株価が1週間連続で上がり続けていた場合、あなたはどう思いますか?多くの投資家は「ちょっと買われ過ぎなんじゃないだろうか?そろそろ下がるかな?」と不安になります。
このように株は永遠に上がり続けることはなく、買われ過ぎた株はやがて大きな売りが入り、必ず調整が入るようになっています。
では、どこまで株価が上がれば「買われ過ぎ」なのか、この見極めをするにはどうすればいいのでしょうか?これには買われ過ぎや売られ過ぎを数値で表し、一定の基準を設けて判断しなければいけません。
そこで利用するのがRSIというテクニカル分析方法です。RSIは株の買われ過ぎや売られ過ぎの状態を見極め、株価が上昇し買われ過ぎの場合は、売りの準備を行い、反対に株価が下落し売られ過ぎの場合は、買いの準備を行うという指標を示してくれます。
今回はRSIの考え方や計算方法を説明し、実際の使い方まで紹介しましょう。
RSI(アールエスアイ)はオシレーター系テクニカル分析の1つ
RSIはアメリカの証券アナリストのJ.W.ワイルダーによって、1978年に開発されたオシレーター系※のテクニカル分析指標です。
オシレーター系とは株価チャートの「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を計測し、その後の反転を予測する投資手法(逆張り)です。
RSIは、「Relative Strength Index(相対力指数)」を略したもので、「アールエスアイ」と読みます。
簡単に説明すると、ある期間の値動きに対して、どれくらい株価が上昇したかの割合をグラフに表した指標で、その割合によって株が買われ過ぎか売られ過ぎかを判断します。
RSIの計算方法を説明します
例えば、次の表のような5日間の株価変動でRSIを計算してみましょう。前日の終値を100円からスタートしてみます。
日 | 株価 | 前日との比較 |
---|---|---|
前日 | 100 | - |
1日目 | 118 | +18 |
2日目 | 112 | -6 |
3日目 | 126 | +14 |
4日目 | 136 | +10 |
5日目 | 134 | -2 |
この表から値上がりしている日は1日目と3日目と4日目で、その値上がり幅を合計すると
42になります。また、値下がりしている日は2日目と5日目で、その値下がり幅の合計は
8になります。RSIは値上がり幅の割合を示すので、値上がり幅「42」と値下がり幅「8」を用いて次のように計算します。
つまり5日間のRSIの値は84になりました。
例では、わかりやすく5日間で計算してみましたが、実際には次の期間を使用します。
- 日足の場合:9日 14日 22日 30日
- 週足の場合:9週 13週 26週
RSIの値を株価チャートの下に表示し、グラフ化したものがこちらです。
RSIは値が高くなれば売りサイン、低くなれば買いサイン
RSIの値は必ず0~100の間で推移し、決して0%以下になることはありません。
0%に近づくことで売られ過ぎと判断でき、いずれ上がるだろうと予測できます。また反対にRSIが100%に近づくことで買われ過ぎと判断でき、今後下がることが予測できます。
このようにRSIは50%を中心に、値が高くなれば売りサイン、値が低くなれば買いサインと捉えることができますが、その基準を次のように設定している投資家が多いようです。RSIの一般的な売買シグナルを3つ挙げてみます。
- 売りシグナル80%以上、買いシグナル20%以下
- 売りシグナル75%以上、買いシグナル25%以下
- 売りシグナル70%以上、買いシグナル30%以下
銘柄によっては1年間ほとんど売買サインの出ない株価の安定したケースもあります。その場合は、RSIの設定期間を変更してみましょう。
RSIは設定期間を変更するとその振れ幅も変化します。例えば、期間を9日と設定した場合のRSIは、22日で設定した場合のRSIより70%以上や30%以下になる回数が多くなったりするのです。
このようにRSIを利用する場合は、設定期間や売買シグナルの値を分析したい銘柄に合わせて、自分の投資スタイルに合わせて変更してください。
RSIは逆張り型の売買シグナルを利用するテクニカル分析
RSIの値が高いと相場は順調に上昇している状態だと言えます。先ほど説明した売りシグナルまで上がれば売り注文を出すことになり、反対に下落し続けて買いシグナルまで下がれば買い注文を出すことになります。
RSIのように「相場が上昇しているときに売る」、もしくは「相場が下落しているときに買う」という売買方法は株式投資の中で一般に「逆張り」と呼ばれています。
また「相場が上昇しているときに買う」、もしくは「相場が下落しているときに売る」売買方法を「順張り」と呼びます。
順張りの場合は、完全に下降トレンドに入ってからしか売りサインが出ないため、天井圏から離れ利益が減ってしまうケースも見られます。
しかしRSIは、逆張り型の売買シグナルを利用しているので、底値圏での買いや天井圏での売りに対応できるなど利益を最大限に得ることができます。
RSIは株価がもみ合ったボックス相場で威力を発揮する
逆張りのメリットを紹介しましたが、RSIにはデメリットもあるので紹介しておきましょう。
具体的には次のような場面だとRSIが機能しづらくなるのです。
- 株価が急騰、急落している場合
- 株価が上昇(下降)トレンドにあるとき
RSIはボックス相場※などチャートが横ばいのときには正しい売買シグナルとして機能しますが、急騰や急落など一方的に上昇や下落を続ける相場にはあまり使えません。
まるで箱に閉じ込められたように決まった範囲内で株価が上下すること。レンジ相場とも言います。相場の先行きが分からないときや、株価に影響するニュースがないときにはボックス相場になりやすいです。
詳しくは「レンジ相場(ボックス相場)とは?売買タイミングや注意点を紹介!」を参照してください。
大きな上昇トレンドでは、買われ過ぎのサインが出てもその後さらに上昇する場面や、強い下落トレンドで売られ過ぎのサインが出てもその後さらに下げ続ける場合があります。
また、上のチャートのような一方的に緩やかな上昇トレンドだと、RSIは70%付近に張り付いて売買シグナルが機能しなくなっているのがわかります。下降トレンドでも同じように大きな右肩下がりの相場では、RSIが30%付近に張り付いてしまいます。
その他、株価は上昇していてもRSIが下がっていくといった「逆行現象」(ダイバージェンス)もあるので注意してください。
株価チャートの流れとテクニカル分析の売買シグナルが逆になる現象です。逆行現象とも呼ばれ、RSIやMACDなどのテクニカル分析で現れることがあります。
上昇トレンドでダイバージェンスが起きると、その後に株価の下落が予想されるため「弱気のダイバージェンス」と言い、反対に下降トレンドで起きるダイバージェンスを「強気のダイバージェンス」と言います。
ダイバージェンスは相場の勢いが弱くなっているときに出やすいのですが、ダイバージェンスが起こったときは、トレンドの転換点が近づいているというサインになります。そのため、1つの売買ポイントとしてダイバージェンスを重要視して探している投資家もいるほどです。
急騰や急落、一方的なトレンドなどRSIが機能しないケースもありますが、チャートがもみ合っているボックス相場では、RSIは大いに力を発揮します。
相場を見てRSIが使えるかどうか判断する必要がありますね。
SBI証券を利用してRSIで売買シグナルを見付ける方法
RSIの精度を高めるために、まずはボックス相場のチャートを見付ける必要がありますが、SBI証券では簡単に現在ボックス相場になっている銘柄をスクリーニングできます。
SBI証券のホームページで、国内株式の銘柄検索窓の右下に「チャート形状」というリンクがあります。
ここをクリックすると別窓でチャート形状検索画面が出てきます。
ここから「もみあい」などの形状がボックス相場になりますので、クリックして各銘柄のチャートをRSIも表示してチェックしてください。
RSIはなかなか利用するのが難しい指標ですが、ボックス相場に限定すれば売買タイミングがわかりやすいのが特徴です。
気になった方はSBI証券でRSIを活用してみましょう。SBI証券のその他の特徴については、こちらのリンクを参考にしてください。
RSIと一緒に活用することをおすすめする手法4つ
RSIはボックス相場で威力を発揮しますが、どんな指標であっても100%ということはありません。分析の精度を上げるため、RSIとの併用をおすすめしたい指標を紹介します。それぞれについて解説している記事もありますから、ぜひ参考にしてくださいね。
複数の指標と合わせてRSIからもチャート分析する
しかし、株式の売買は様々な指標を用いてトレードしていく必要があります。
複数の分析方法から売買タイミングを決めたほうが当然精度は上がりますので、RSIも他の指標と合わせて利用するのがオススメです。
四季報や企業の業績から株価を推測するファンダメンタルズ分析、移動平均線やボリンジャーバンドなどのトレンド系テクニカル分析などと合わせて、オシレーター系テクニカル分析であるRSIも活用できれば、今までより精度の高い分析が行えることは間違いありません。
ぜひ今後の株式トレードに活用してください。