日経平均先物は日経平均株価が上がるか下がるかを予想し、期日までに決済を行う先物取引です。通常の株取引に比べて少額で始められるほか、夜間の取引に対応しているのでサラリーマンでも時間を気にせず売買できます。
特に日経平均先物ミニ(mini)は必要資金が7万円ほど。
手数料も証券会社のプランを工夫すれば、1注文20~30円程度に抑えられます。
この記事では日経平均先物の特徴や、日経平均先物を始める上で役に立つ証券会社の情報などを紹介していきます。
日経平均先物は日経平均株価の上下を予測する先物取引
日経平均先物とは日経平均株価を対象とする先物取引※です。日経225先物とも呼ばれています。1988年9月3日に取引が開始され、現在は大阪取引所(大証)、シンガポール(SGX)、シカゴ(CME)に上場中です。
銘柄を個別に選ぶ必要がない、手数料が信用取引に比べて安いなど様々な特徴があります。
日経平均先物の取引ルールや仕組みを確認しましょう。
なお日経平均株価(日経225)については「日経平均株価とは?今さら聞けない経済指標の定義や仕組みを徹底解説!」をご覧ください。
日経平均先物は日経平均が下落しても利益が出る!
日経平均先物は、将来の日経平均株価が上がるか下がるかを予想する先物取引です。先物取引の特徴は商品価格が下落した場合でも利益を出せることです。
売りからでも利益が出せるのは信用取引の場合と同じです。ただし日経平均先物では金利や貸株料といった手数料は不要。取引手数料だけで売買できるのが特徴です。
信用取引については「信用買い、空売りとは?株初心者向け信用取引の基礎知識」で詳しく紹介しています。
日経平均先物の取引単位は日経平均の1,000倍
日経平均先物は日経平均を1,000倍した数値が取引単位となっています。
日経平均が2万円のとき、最低取引金額(1枚)は2,000万円です。
なお日経平均先物ミニ(mini)の場合は取引単位が10分の1となっています。
日経平均が2万円なら200万円が1枚です。
日経平均先物には証拠金が必要!
日経平均先物は証拠金取引です。一定の証拠金を担保として預けることで、より高額な取引が可能となります。
必要な証拠金は先物取引の種類によって変わります。日経平均先物の場合は1枚当り750,000万円です(SBI証券:2018/12/3)。
日経平均先物ミニは必要証拠金が10分の1なので、75,000円あれば取引できます。
10万円以下の金額で200万円を超える取引ができるので、レバレッジは20倍以上。非常に資金効率が良いことがわかります。
ただし損失が大きくなり、預けた証拠金が必要額を下回った場合「追証(おいしょう)」する必要があります。
追証できないと強制決済(ロスカット)されてしまうので注意しましょう。必要な証拠金は日経平均先物「ラージ」か「ミニ(mini)」によって異なるため、一覧で確認してください。
日経平均が10円上がれば1万円の利益!
日経平均先物の魅力は少ない資金で大きな利益を上げられることです。
日経平均株価の値動きの最小単位(呼び値)は銭単位ですが、日経平均先物の場合は10円単位(miniの場合は5円単位)で動きます。
取引単位は日経平均株価の1,000倍なので、10円の値動きは1万円の変動を意味します。
もし日経平均が1万8300円のときに買い、1万9000円になったときに売却すれば、700円×1,000=70万円の利益です。
日経平均先物ミニ(mini)は日経平均の100倍なので、差額の700円は7万円の売却益を意味します。
日経平均先物の取引時間
日経平均先物は次の時間で取引できます。平日のみの取引で土日は休みです。
- 日中:8時45分~15時15分
- 夜間:16時30分~翌朝5時25分
一般的な株取引だと11時30分~12時30分は昼休みですが、日経平均先物に昼休憩はありません。また夜間取引も可能です。
日経平均先物なら昼間働くサラリーマンでも無理なく取引を行うことができます。
日経平均先物には取引期限がある
現物取引の場合、一度購入した株式はいつまで保有しても構いません。
しかし先物取引の場合は取引できる期間が決まっています。
取引期限が終了する月を限月と言い、日経平均先物ラージの場合は3ヶ月単位、miniの場合は1ヶ月単位です。取引できる最終日(満期日)は「SQ(エスキュー)日」と呼ばれ、各限月の第2金曜日がSQ日に設定されています。
もしSQ日までに決済ができないとSQ値※で強制決済されるので注意しましょう。
SQ値とは
特別清算指数とも呼ばれ、日経平均株価の始値を基に算出される値。毎月第2金曜日に基準値が発表される。3月、6月、9月、12月はメジャーSQ。それ以外の月はマイナーSQと言われます。
日経平均先物では確定申告が必要
日経平均先物で発生した損益は雑所得として扱われ、20.315%の税金がかかります。
しかも日経平均先物には「特定口座(源泉徴収あり)」がなくNISA口座にも非対応のため、確定申告しなければなりません。
確定申告をすれば3年間は繰越控除が可能です。大きく損失が出た場合でも、翌年に利益を上げれば相殺することもできます。またFXで発生した損益も確定申告で合算可能。
確定申告については「株初心者の会社員におくる確定申告書類の書き方ガイド」で解説しています。
日経平均先物ラージとミニの違い!miniの方が小規模で始めやすい
日経平均先物には「日経平均先物(ラージ)」と「日経平均先物ミニ(mini)」の2種類があり、必要証拠金や限月(満期日)などが異なります。
ラージ | ミニ(mini) | |
---|---|---|
必要証拠金 | 60~70万円程度 | 6~7万円程度 |
取引単位 | 日経平均株価の1,000倍 | 日経平均株価の100倍 |
手数料(片道) | 200~400円 | 25~50円 |
呼び値単位※ | 10円 | 5円 |
限月 | 3,6,912月 | 毎月 |
日経平均先物ミニ(mini)は必要な証拠金や取引単位がラージの10分の1です。
日経平均先物は開始当初ラージしかありませんでしたが、一般の投資家でも参加しやすいよう2006年7月18日からミニ(mini)がスタートしました。
初心者の人は日経平均ミニ(mini)から始めるのがおすすめです。
日経平均先物のデメリットは損失も大きいこと
日経平均先物には現物取引にはないメリットも多いですが、デメリットも当然あります。
日経平均先物には元本保証がない
日経平均先物は証拠金取引なのでFXなどと同じように元本が確実に守られるわけではありません。相場が急変した場合はロスカットが発動し、自動的に損失が確定します。
取引額が多くなるほど、利益とともに損失時の金額も多くなるので十分注意してください。
長期投資には向いていない
日経平均先物は少しでも利益が出たら反対売買して、含み益を獲得するのが鉄則です。日経平均先物は夜間でも取引可能なので、夜のうちにテロや企業の倒産が発生すると大幅に下落する可能性があります。
ポジションを1日以上保有するオーバーナイトは危険な行為なのです。
日経平均先物はいわゆるスキャルピング※やデイトレードの手法が向いている取引といえます。
スキャルピングとは
わずかな値動きで決済を行い、小さな利益を積み重ねていく投資手法。
日経平均先物をする証券会社は手数料で選ぼう!
日経平均先物を取引するには証券会社を利用する必要があります。それぞれ手数料などが異なるため、違いを確認しておきましょう。
先物取引専用口座を開いて証拠金を入金
日経平均先物の取引を行う場合、証券会社で次の3STEPが必要です。
- 「総合口座の開設」
- 「先物・オプション取引口座の開設」
- 「証拠金の入金」
先物・オプション取引口座は、株取引などを行う総合口座とは別物です。
普段から証券会社を使っている人も専用口座を開いていない場合は手続きをしましょう。
証券会社の手数料の違い
ラージ※ | ミニ(mini) | |
---|---|---|
SBI証券 | 250円 | 35円 |
楽天証券 | 250円 | 35円 |
マネックス証券 | 250円 | 35円 |
松井証券 | 200円 | 30円 |
岡三オンライン証券 | 300円 | 40円 |
SBIネオトレード証券 | 250円 | 35円 |
むさし証券 | 500円 | 50円 |
auカブコム証券 | 300円 | 38円 |
証券会社によって手数料はかなり異なります。
手数料は買いと売りの注文ごとに必要。
なるべく手数料の安い証券会社を選び、手数料負担を減らしましょう。
SBIネオトレード証券は、手数料が安くおすすめ。
しかも、先物・オプション取引口座開設日の翌営業日から約2カ月間、日経平均先物の取引手数料がなんと無料になるんですよ。(~2019年9月30日)
こちらからぜひ口座開設をしてみてください。
証券会社によっては手数料と必要証拠金を節約できる
手数料が割高な証券会社であっても、特定のサービスを利用すれば手数料や証拠金を抑えられる場合もあります。
手数料(ラージ) | 手数料(ミニ) | 必要証拠金 |
---|---|---|
250円 | 25円 | 通常時の半分 |
松井証券の「一日先物取引」は、返済期限を新規建したセッションに限定することで、コストを抑える仕組みです。
そのため、日中に建てたポジションを持ち越して、夜間に決済することはできません。
返済期限を過ぎた場合は強制決済されます。
そのかわり、手数料はラージの場合50円、ミニの場合は15円安いです。また必要な証拠金も通常の半分。
コストをかけずに、日経平均先物取引をしたい人には松井証券の一日先物取引がおすすめです。
証券会社の必要証拠金の違い
取引に求められる証拠金は証券会社によって異なります。
基準となるのは「SPAN証拠金」です。これはシカゴ・マーカンタイル取引所が1988年に開発した証拠金計算方法であり、世界の先物・オプション取引所で採用。日本では日本証券クリアリング機構(JSCC)が算出し、毎週見直しが行われています。
各証券会社はSPAN証拠金に1.0倍~1.2倍程度の掛け目を設けて、必要証拠金を計算しています。ただしほとんど証券会社の掛け目は1.0倍なので、SPAN証拠金の金額がそのまま必要証拠金です。
掛け目 | 必要証拠金※ | |
---|---|---|
SBI証券 | 1.0倍 | 660,000円 |
楽天証券 | 1.0倍 | 660,000円 |
松井証券 | 1.0倍 | 660,000円 |
auカブコム証券 | 1.0倍 | 660,000円 |
マネックス証券 | 1.0倍 | 660,000円 |
GMOクリック証券 | 独自の掛目 | 日々変動 |
日経平均先物にはリスクもある!まずはminiから始めよう
夜間での取引にも対応しているので、日中働くサラリーマンでも無理なく始めることができます。ただし証拠金取引はリスクもあるので要注意。初めて日経平均先物に手を出す人は、証拠金と取引金額の少ないminiから始めてみましょう!