株に投資するとき、上がる株かどうか判断する基準の一つに「株価チャート」があります。株価チャートは、証券会社のホームページなどで誰でも見ることができ手軽ですね。
しかし株価チャートの読み方が今ひとつ理解できず、何となく苦手に感じている人も多いのではないでしょうか?株価チャートについて一から勉強するには、時間も労力もかかり大変です。
とはいえ株価チャートがうまく読めないと、せっかくの買いどきや売りどきを見逃してしまうことにもなります。
そこでこの記事では、「チャートでこれだけを確認すれば大丈夫」という方法を5つに絞って紹介します。
つまり5つの方法に沿ってチャートを分析し、よりたくさんの条件に合致する銘柄に投資すれば、かなりの高確率で勝てるということです。
株価チャート機能を使った5つの方法は、そのまま銘柄選びのチェックリストになります。株価チャートに苦手意識のある人でも、チェックリストに沿って「株価が上がるサイン」を確認していくだけなので、カンタンに高確率で上がる株を見つけ出せて便利です。
株価チャートをただ漫然と眺めていても、売買ポイントは見つかりません。ぜひこの記事で、株価チャート活用術をマスターし、勝てる投資を実践してみてください。
銘柄選びチェックリスト!買いシグナルを判断する5つの方法
よさそうな株を見つけたけど、この株は今が買いどきかどうか判断できない。そんなときが株価チャートの出番です。
株価チャート機能を活用して、上がる株かどうか判断するための5つのチェック項目は、銘柄選びにも利用できて便利です。
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<銘柄選びチェックリスト>
- 酒田五法でチェックする
- 抵抗線でチェックする
- グランビルの法則でチェックする
- MACDでチェックする
- ボリンジャーバンドでチェックする
もちろんチェックリストのすべてをクリアできなくても大丈夫です。しかしこの中からたくさんの条件で「上がる」と判断できる株の方が、より勝率は高くなります。
チェックリストその1「酒田五法」!買いシグナルはローソク足を見ろ
酒田五法(さかたごほう)ってなに?と疑問に思う人がいたとしても、株価チャートには付き物のローソク足を知らない人はいないのではないでしょうか?
酒田五法はローソク足によって、売買タイミングを読むための法則です。株を買うときの絶好のチャンスには、次に紹介する配置のローソク足が現れます。
酒田五法の買いサイン「鍋底(なべぞこ)」
このように鍋の底のようなローソク足が現れたときは、相場が下がりきったサイン。下がりきった株価が反発し、上昇を始める可能性があります。
株の買いどきは、短いローソクがいくつか続いたあと、大きく「窓※を開けて陽線が現れた」瞬間です。
窓とは、ローソク足の間にできる空白部分のこと。大きく窓が開いているときは、大幅に株が買われたり売られたりすることで、相場に勢いがあるときだといえます。
このようにローソク足チャートでは、何も書かれていない空白部分でも相場の過熱度を表すことができるのです。
酒田五法の買いサイン「赤三兵(あかさんぺい)」
赤三兵は、陽線が3本連続で続く場合です。
赤三兵が表れると、長期の上昇トレンドにつながる可能性がきわめて高く、買いシグナルとして有名です。
しかし単に陽線が3本連続で現れても、買いシグナルではない場合もあります。
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<長期の上昇トレンドに出る赤三兵とは>
- 上昇トレンドの途中に現れているか
- 三本の陽線が少しずつ上に切れ上がっているか
- 上ヒゲが短く、下ヒゲが長くなっているか
反対に、上ヒゲが長く出ている陽線なら、「赤三兵先詰まり」と呼ばれ、売り圧力が強まっていると読めますので、買いサインとはいえません。悪い赤三兵だと、株価の上昇につながらないケースがありますので慎重にしましょう。
酒田五法の買いサイン「三空(さんくう)叩き込み」
三空叩き込みとは、4本の陰線が連続して表れる状態のこと。間に窓を開けながら、株価が下降していることがポイントです。
大きく窓を開けていることから、投資家が株価の急落を察知し、成り行き注文で投げ売りしている状態だといえます。
酒田五法では、三空叩き込みは買いのサインです。
投げ売りが出尽くし「下げ」が一段落すると、今度は反発して買いが殺到するため、急激な株価の上昇となるからです。
しかし急落の反発なので上げ幅は短絡的。長期的な上昇にはつながらないことが多いので注意しましょう。
酒田五法はほかにもいろいろなローソク足のパターンがあります。酒田五法については「株の教科書「酒田五法」で今後のチャートパターンを分析!」にさらに詳しい解説があります。
チェックリストその2「抵抗線」!トレンドの転換点を読め
チャートの読み方の一つとしてよく耳にするのが「支持線」と「抵抗線」です。
株価が下がりきったところで買い、上がりきったところで売るのが株式投資の基本ですから、「どこが最も下がりきったところか」を読み、そのタイミングで買う必要があります。
そのため「下値抵抗線」を知ることは、買うタイミングを計るために大切なことなのです。
しかし下値抵抗線はブレイクアウト(下値支持線を突き抜けて下落すること)する場合もあり、初心者には見極めが難しいかもしれません。
下値抵抗線で反発して上昇に転じると踏んで、株を買ったにもかかわらず、下値抵抗線を突き抜けて、株価が続落する場合もあるのです。
そこで、どこが下値抵抗線であり、買いのタイミングなのかがひと目でわかる方法を紹介します。
底値圏を見極めろ!「価格帯別出来高」を目安にする方法
これはSBI証券の株価チャートです。価格帯別出来高にチェックを入れて表示すると、どの価格でどのくらいの出来高だったかが一目瞭然です。
出来高が増加しているときは、その価格帯で売買が活発に行われたというサインです。
下値圏に大きな出来高が見られる場合は、底値が固められているので、そこで株価が反発する可能性が高いのです。
反発したときがトレンドの転換期。買いが増えて上昇に転じます。
価格帯別出来高による売買ポイントについては「投資家心理を読む!価格帯別出来高の見方と株の売買シグナル」にさらに詳しい解説があります。
チャートが見やすいSBI証券
上記のように、この記事で紹介している株価チャートは全てSBI証券のものを使用しています。SBI証券の株価チャートは無料とはいえとても使いやすいのが特徴です。
SBI証券の株価チャートでできる分析の一例を次に紹介します。
チャートの分析方法がこれだけ豊富にあれば、有料の株取引ツールなんか使わなくても精度の高い銘柄選びができてしまいます。
主要な分析方法は全て揃っていますので、是非SBI証券の株価チャートを活用してみてください。
チャートだけでなく、企業情報も念のため頭に入れておこう。
チェックリストその3「グランビルの法則」で買うタイミングをマスターしよう
グランビルの法則とは、アメリカの証券アナリストだったグランビルが考案した、8つの売買ポイントのことです。
8つの売買ポイントをすべて覚えるのはなかなか大変なので、これから株価が上がるという局面に現れる3つのサインだけに絞って紹介します。
この3つのサインに条件が合えば、これから高い確率で株価が上がると推測できます。
グランビルの法則で開局面に表れる3つのポイント
上の図からわかるように、グランビルの法則にはいくつかのポイントがありますが、その中でも「買いサイン」として覚えておかなければいけないのは、1~3の3つのポイントです。
では1~3の3つの買いポイントとは、移動平均線との関係が具体的にどのようになったときをいうのでしょうか?
1、下落していた移動平均線が横ばい~上昇に転じ、株価が移動平均線を抜けたとき
2、上昇中だった株価が移動平均線を下回って下落したが、移動平均線は上昇を続けているとき
3、上昇中の株価が下落したものの、移動平均線を下回らず再び上昇を始めたとき
この3つの買いポイントを、実際の株価チャートと見比べてみましょう。
このように、グランビルの法則は、移動平均線と合わせて見るだけで、株価が上がるかどうかを予測することができるのです。
グランビルの法則については「株の売買タイミングが一目瞭然!移動平均線の正しい使い方」にさらに詳しい解説があります。
そのためグランビルの法則を使う投資家を惑わせ、株価を操作する「だまし」の手口もあるんだぞ。だからこそ、さまざまなチャート分析法でトレンドを見極めるワザを習得し、騙されないようにするんだ!
チェックリストその4「MACD」で買いシグナルを先読みしよう
株価チャートでテクニカル分析する上で、移動平均線を活用する方法をグランビルの法則で紹介しましたが、ここでは2本の移動平均線を組み合わせる方法を紹介します。
2本の移動平均線を組み合わせて、株価チャートを先読みする方法のひとつにMACD(マックディー)※があります。
「Moving Average Convergence Divergence(移動平均収束拡散法)」の略で、証券会社の株価チャートでMACDにチェックをいれ表示させるだけで、手軽に見ることができるので大変便利です。
まずはゴールデンクロスとデッドクロスをマスターしよう
2本の平均移動線を組み合わせ、チャートを先読みしトレンドを予想する方法に、長期の移動平均線と短期の移動平均線を使う方法があります。
長期と短期の移動平均線がクロスするときがトレンドの転換点として有名です。上昇トレンドである「ゴールデンクロス」と、下降トレンドである「デッドクロス」は、誰でも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
MACDの売買シグナルは、長期と短期の移動平均線で買いのタイミングである「ゴールデンクロス」よりも早くサインが表れるので、トレンドの転換点をさらに先読みすることができます。
まずはゴールデンクロスとデッドクロスのおさらいをしましょう。
株価チャートを活用して「MACD」を表示してみよう!
MACDはどうしたら見ることができるのか、証券会社の株価チャートで説明します。
これはSBI証券の株価チャート機能を利用していますが、「移動平均線(2本)」と「MACD」にチェックを選択して表示するだけで手軽に見ることができます。もちろん、そのほかの証券会社もMACDを株価チャート機能からも見ることができます。
図の赤丸が付いた地点で、この株を買うことができれば、うまく上昇トレンドに乗ることができることがわかりますね。
では赤丸の付いた地点、つまり株の買いどきは移動平均線とMACD、MACDシグナルにどんな関係があるのか説明します。
株価変動 | 移動平均線 | MACDとシグナルの状態 |
---|---|---|
下降 | 長期の移動平均線が上の位置にある | 下降 |
下降圧力が強まる | 長期と短期の移動平均線が大きく離れる | 下降 |
下げ止まり (底値) |
2本の線の幅が縮まる | MACD:上昇に転じる シグナル:横ばい (MACDとシグナルがクロス) |
株価上昇 | 短期線が長期線を突き抜ける (ゴールデンクロス) |
上昇 |
上昇圧力が強まる | 短期の移動平均線が上の位置にある | 上昇(プラス圏に入る) |
上昇が止まる (天井) |
長期と短期の移動平均線が大きく離れる | 下降に転じる (MACDとシグナルがクロス) |
下降 | 短期線が長期線を下に突き抜ける (デッドクロス) |
下降 |
移動平均線のゴールデンクロスは、誰でも知っているポピュラーなものですが、これだけでトレンドの転換点を先読みするのは不安があります。
そのためMACDとシグナルの2本の線も、並行して観察することをオススメします。
MACDが移動平均線より早く転換点を知らせてくれることは大きなメリットですね。
MACDについては「移動平均線が進化!MACD(マックディー)の見方と活用法」にさらに詳しい解説があります。
チェックリストその5「ボリンジャーバンド」は移動平均線の変化球!
ボリンジャーバンドは、移動平均線の上に3本・下に3本・合計6本の線を書き足し、これからの株価の動向を分析する方法のことです。
このように、ボリンジャーバンドは移動平均線を中心にして、その外側に3本ずつ線が並んでいます。
この3本の線は、株価が推移する範囲を意味しています。株価が推移する範囲が±3σ以内である確率は約99%ですから、株価が±3σ以上にはみ出ることは、ほとんどないといっていいでしょう。
そのためボリンジャーバンドは底値圏や天井を知るための目安として重宝されています。
ボリンジャーバンドで覚えるべき基本形をマスターしよう!
シグマとか小難しいことはよくわかんない!という株初心者の皆さんでも大丈夫です。
ボリンジャーバンドは基本的な3つの形を覚えているだけで、「買うチャンス」を知ることができる優れものなのです。ボリンジャーバンドの線の意味を詳しく知る必要はありません。
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<ボリンジャーバンドの基本形>
- スクイーズ
- エクスパンション
- バンドウォーク
どういった形なのかを具体的に見ていきましょう。
ボリンジャーバンドの基本形「スクイーズ」
スクイーズとは、移動平均線を中心した6本のボリンジャーバンドが、上の画像のようにキュッと締まっている状態のことです。
スクイーズの状態は、株価が上下変動するエネルギーが凝縮し、爆発を待っている段階だといえます。
スクイーズの状態にある銘柄を見つけたとき、株価がどちらに振れるかまだわからない状態なので買ってはいけません。
ひとまず様子をみましょう。
ボリンジャーバンドの基本形「エクスパンション」
エクスパンションとは、キュッと収束されていたボリンジャーバンドが拡張した状態をいいます。
上の図では揉み合っていた株価が大きく上昇を始めたとき、ボリンジャーバンドも拡張を始めていることがわかりますね。
このようにボリンジャーバンドが拡張を始めた、絶好の「買いチャンス」を逃さないようにしましょう。
ボリンジャーバンドがエクスパンションを始めた瞬間、相場が上昇トレンドに入っているかどうかを確認してから買うことが大切です。
エクスパンションに入った瞬間下降トレンドに入っている相場だと、大きく下落するサインになります。そのため株の上級者には空売りのチャンスだといえます。
ボリンジャーバンドの基本形「バンドウォーク」
ボリンジャーバンドに強い上昇トレンド(下落しているときは下降トレンド)として表れる「バンドウォーク」という状態を覚えおきましょう。
バンドウォークはエクスパンション入った株価が、+2σの上を歩くように上昇を始める状態をいいます。+3σ(一番外側の線)に触れるようなら、急激な上昇になると考えて間違いありません。
バンドウォークの状態は、株が買われすぎているため上値抵抗線で大きく反発し、下落に転じることもあるということを覚えておきましょう。
しかしその銘柄の背景に、新技術の開発や大幅な上方修正、増配など、長期的な株価上昇につながる好材料がある場合、すぐに再び上昇に転じる可能性が高いので一時的な株価下落は心配ありません。
ボリンジャーバンドについては「株の売買サインを簡単に見極めるボリンジャーバンドの使い方」にさらに詳しい解説があります。
上がる株か見極めろ!株価チャートを最大限に活用しリスク回避を
株を買う前に紹介した5つの分析法を5つのチェックリストとして活用し、上がる株の条件にいくつ当てはまるかをチェックしてみてください。
あなたが買おうとしている株は、5つのチェックリストのうちいくつに当てはまり、買うタイミングだと判断されましたか?
このチェックリストで条件に合う銘柄であればあるほど、これから上がる株としてかなり確率が高いといえます。
株の初心者でも、まずは株価チャートを有効に活用する方法からマスターしていけば、高確率で勝てるようになれます。ぜひ株価チャートを読む知識をつけ、自らの感性を磨き、勝ち組への仲間入りをしましょう!
なぁに、これから株価が上がるときに表れるシグナルを覚えておくだけだから簡単だ!