スズやゴム、ガス、石油などの豊富な天然資源に囲まれながらも、国家プロジェクトによっていち早く工業大国へ変換を遂げたマレーシア。
「東南アジアの優等生」として位置づけられているほど、堅実な成長をしています。
またITインフラの整備も進み、アメリカのデルコンピュータからアジアの生産拠点として選定。経済成長率は今後も5~6%台は確実に見込まれます。
さらに観光業にも力を入れているマレーシアは、年間2743万人(2014年)。日本の約2倍の外国人旅行者を受け入れ、農業・工業・観光と非常にバランスの良い成長国なんです。
マレーシアは2020年に先進国の仲間入りを目指す、国を掲げてのプロジェクト「マルチメディア・スーパーコリドー計画」を推進。今後も見通しの明るいマレーシアに投資を考える人も増えています。
この記事ではマレーシアの経済や、マレーシア株の買い方、おすすめ銘柄などを紹介するので参考にしてくださいね。
物価も安定し、定年退職後の移住にも人気のマレーシア
国名 | マレーシア |
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首都 | クアラルンプール |
人口 | 約3162万人(2017年) |
言語 | マレーシア語、英語 |
日本との時差 | -1時間 |
通貨 | リンギット(1リンギット=約27円) |
東南アジアというとまだ発展途上国というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、マレーシアは生活水準も高く、日本の暮らしと比べても遜色のない環境が整っていることに驚きます。
GDPは約2962億ドル(2015年)で、世帯当たりの平均月収は約17万円です。お隣のシンガポールの影響で最新技術も街中にあふれていて、高水準な生活を送りながら物価は日本の約3分の1と、大変暮らしやすい国と言えます。
そのため、日本から定年退職でリタイアした夫婦が、セカンドライフを送る国としても人気があります。
日本から近くて治安も良く、日本人が住みたい国で長年1位に選ばれているマレーシアには、今後もますます移住する人は増えていくでしょう。
マレーシア経済の3本柱!「天然資源」・「観光」・「IT」
冒頭でも紹介したとおり、マレーシアの産業には偏りがなく、非常にバランスが良いのが特徴です。
170年続いた植民地時代から大規模プランテーションが発展し、マハティール・ビン・モハマド首相の方針で、東南アジアの中でも急速に工業化が進められました。
その結果、首都のクアラルンプールはビジネス、政治、文化などを総合評価した世界都市格付けで53位と健闘しています。そんな世界でも認められたマレーシアの経済について、代表的なものをピックアップして見ていきましょう。
- 天然ガスや石油などの豊富な資源を持っている
- リゾート産業が盛んで海外からの観光客が多い
- インフラが整備されていて海外から投資しやすい
豊富な天然資源を持つマレーシア
マレーシアには鉱山がたくさんあり、スズをメインに金鉱や鉄鉱、ボーキサイト鉱などが経済を支えています。また海底から原油、天然ガス、石炭なども産出し、日本が輸入している天然ガスも約20%はマレーシア産なんです。
さらに広大な土地と恵まれた気候を利用したゴムやパームヤシなどのプランテーションが盛んで、生産国として世界でもトップクラスの豊富な天然資源を保有しています。
外国人観光客の訪問数は世界12位!
マレーシアでは政府が主体となって航空会社とも連携し、海外からの観光客誘致に力を入れています。
その努力もあり、外国人観光客の訪問数ランキングでは世界14位(2015年)と、アジアの中では中国、タイ、香港についで4位を獲得しています。
近年ではボルネオ島やランカウイ島のリゾート開発が進んでいて、2020年までに年間3600万人の訪問客を目標とし、1680億リンギット(約5兆400億円)の外貨獲得を見込んでいます。
ITインフラ整備に力を入れるマレーシア
マレーシア政府が積極的に進めるITインフラ整備によって、海外からもその成果が高く評価されています。
そのため、アメリカのデルコンピュータがアジアの生産拠点としてマレーシアに工場を建てるなど、アジアにおけるIT先進国の仲間入りを果たしました。
中でも首都クアラルンプール周辺に、情報産業都市「サイバージャヤ」を建設する計画で、世界トップクラスの大容量次世代通信インフラを整備し、通信コストも他の地域より15~20%程度安い水準で提供されています。
IT技術者の教育にも力を入れ、マルチメディア大学を新設して将来急増する人材の需要に備えています。またコンピュータ犯罪法やデジタル署名法などのサイバー法を制定し、マルチメディアや電子商取引に関する事業を守る法整備も進んでいます。
マレーシアの有望企業を紹介します!
次にマレーシア国内で人気の銘柄を紹介します。安定したイスラム金融を扱う銀行や、広大な土地を所有するプランテーション会社、マレーシアで唯一カジノを運営できるリゾート会社、東南アジア全域をカバーするモバイル通信会社など、イチオシな企業ばかりなのでぜひ参考にしてみてください。
【銀行】マヤラン バンキング
マラヤンバンキングは、マレーシア最大の時価総額があり、ASEAN全域にネットワークを広げている銀行です。
「メイバンク」の愛称で親しまれていて、シンガポールやインドネシアなど世界20カ国に2,200もの支店があります。
子会社にメイバンク・イスラムがあり、東南アジア地域のイスラム銀行としては最大の規模を誇ります。また、インターネットバンキングも早々に手がけ、国内シェアは55%を占めるメガバンクです。
配当利回りが6.03%と、高配当なのも魅力。
【農業】IOIコーポレーション
IOIコーポレーションは、マレーシアでゴムや油ヤシの栽培加工を行っている農業生産法人です。子会社では不動産開発投資や産業用ガス製造、建設サービスなど、ビジネスを幅広く展開し、2014年度の業績は売上で約120億リンギット(日本円で約3253億円)もあります。
マレーシア国内でパームオイルのプランテーションを約80箇所も所有しており、その面積は約17万ヘクタールと国内トップクラスです。
インドネシアにもプランテーションを所有し、土地開発に力を入れています。
【観光】ゲンティン
ゲンティン社は、首都クアラルンプールから車で約1時間の距離にあるリゾート地「ゲンティンハイランズ」を運営しています。標高は2000メートルと高地にあるため涼しく、マレーシアの避暑地として人気があります。
ホテルの客室は合計約6000室あり、世界でも最大級のリゾート会社です。さらにマレーシアでは唯一カジノ運営が認められていて、ホテル内にはカジノが併設されています。また、カジノだけでなくテーマパークの施設もあり、ファミリー層にも大人気。
ゲンティン社は、海外進出も積極的で近年はグループ企業がフィリピンやシンガポールに巨大なカジノを開設。このカジノ事業が、同社の収益を大きく上げて成長を続けています。
【通信】アシアタ・グループ
マレーシア、インドネシア、タイ、バングラディシュ、カンボジア、イラン、スリランカでモバイル通信サービス事業を行うアシアタ・グループは、マレーシア最大の通信会社です。
携帯契約件数は2億人を超え、今後も東南アジアを中心に伸びていくでしょう。
同社はモバイル通信サービスのほかに、有料テレビ配信サービスやその他のデータ管理サービスなどの業務からも収入を得ています。
日本でマレーシア株の買い方とは?取り引きができる証券会社を紹介!
マレーシア株の買い方は、次の2通りがあります。
- マレーシア現地で口座開設
- マレーシア株を取り扱っている証券会社で口座開設
マレーシアは外国人の投資環境が整備されていて、英語での会話ができれば現地の口座をつくるのがとても簡単。
ただし、やりとりが英語のみという点や、取り扱い通貨がマレーシアリンギットだけという点が、初心者には手が出しにくいかもしれません。
しかしわざわざ現地の口座をつくらなくても、日本のSBI証券ならマレーシアの株式市場にリアルタイムで取り引き可能です。
手数料も約定代金の1%(最低手数料は税抜で76マレーシアリンギット、約2,000円)を手数料として支払うだけで取り引きができます。
日本の証券会社で取り引きする場合は、マレーシアの株式市場に上場している全銘柄を取り扱うことはできません。
SBI証券なら、選定された大手44銘柄のみ。
またSBI証券のほかに、楽天証券でもマレーシア株の取り扱いがあります。
取扱銘柄が41銘柄と少ないものの、手数料が約定代金の1%、最低手数料は500円(税抜)とSBI証券より割安なのが特徴。
取り引き金額が約20万円以上ならどちらも手数料は変わりませんが、10万円前後の少額取り引きを行う場合は楽天証券のほうがお得。
ちなみに先ほど紹介した有望企業は、SBI証券・楽天証券どちらでも全て取り扱いがありますよ。
マレーシア株を取引するなら、SBI証券か楽天証券の口座開設を済ませておいてくださいね。
先進国入りを目指すため、経済成長を続けるマレーシア
ここ20年でマイナス成長だった年は、アジア通貨危機とリーマンショックの2回のみ。
国が一丸となり、2020年に先進国入りするため、毎年6%以上の成長率を目標に努力しています。
物価が安定しており、自然災害が少なく、新興国の中ではカントリーリスクが低いのも大きな魅力です。
東南アジアの多くは欧米の植民地支配から発展が遅れましたが、マレーシアは日本の技術援助により、いち早く工業化と経済成長を達成しました。そのためマレーシアでは、中国やタイに比べ人権費が高く、日本の企業が進出するにも頭打ちが続いていました。
しかし、中国での人件費高騰や、タイの洪水などの自然災害やたびたび起こる軍事クーデターへの懸念から、最近はマレーシアへの人気が高まっています。
あなたもこの波に乗って、マレーシアに投資してみてはいかがですか。