当記事は、九州旅客鉄道<9142>の上場前に執筆されたものです。
昨年から予想されていたJR九州(九州旅客鉄道)の新規上場が決まりました。
JRの中ではJR東日本やJR西日本、JR東海に続いて4番目の上場です。しかも最後に上場したJR東海の上場から19年。久しぶりの新規上場になります。
JR九州なら投資家のみならず、旅好き、鉄道好きの人からも注目されそうな銘柄ですね。何といっても旧国鉄ですから安定感は抜群。普段は株式投資をしない人でもJR株なら買ってみようかな、という気になりますね。
しかしJRとはいえ安心はできません。JR北海道は人口の過疎化や、かさんだ工事費や修繕費で経営状態は深刻です。JR北海道は全て赤字路線だという恐ろしい事実もあります。
JR九州のIPO株情報と、気になる今後の経営状態について紹介します。
JR九州(九州旅客鉄道)<9142>の上場情報
市場 | 東証一部 福岡証券取引所 |
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公募株式数 | 160,000,000株(1億6千万株) (国内)1億4千万株 (海外)4千万株 |
ブックビルディング期間 | 2016年10月7日~2016年10月14日 |
仮条件 | 2,400円~2,600円 |
条件決定日 | 2016年10月6日 |
公募価格 | 2,600円 |
募集期間 | 2016年10月18日~2016年10月21日 |
公開上場日 | 東証2016年10月25日 福岡2016年10月26日 |
主幹事証券会社(国内) | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 野村證券 JPモルガン証券 SMBC日興証券 |
JR九州の新規上場はその日本郵政グループに継ぐ大型民営化株です。
無条件の安心と信頼に支えられている民営化株ですから、おそらく想定されているJR九州の時価総額4000億円を上回る結果になると期待されます。
JR九州は合計26事業を展開!これからの企業戦略に注目
JR九州について詳しい企業情報を紹介します。
社名 | 九州旅客鉄道株式会社 |
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設立 | 昭和62年4月1日 |
本社 | 福岡市博多区博多駅前3丁目25番21号 |
資本金 | 160億円 |
事業内容 | 旅客鉄道事業など鉄道関連事業 情報処理及び情報サービス業 損害保険代理業その他の保険媒介代理業 自動車販売及び整備業 旅行用品、飲食料品、酒類、医薬品、化粧品、 日用雑貨等の小売業 旅館業及び飲食店業 不動産の売買、賃貸、仲介及び管理業 輸送用機械器具製造業 精密機械器具及び一般産業機械器具製造業 民間学童保育事業 介護保険法に基づく居宅介護支援事業 など |
鉄道事業 | 線区/22線区 営業キロ/2,273.0km 駅/566駅 車両/1,710両 |
事業開発 | グループ会社/36社 |
旅行事業 | 登録事業所/87箇所 |
JRというと鉄道事業というイメージがありますが、JR九州は九州各所の駅ビル開発などの不動産業や観光業、ドラッグストア経営まで手広く事業展開しています。
学童保育や介護支援まで、その数は全部で26業種に上ります。経営戦略に対する姿勢が前向きであることが伺えますね。
話題を集めている豪華寝台列車(クルーズトレイン)「ななつ星in九州」の運賃は2017年3月から値上げを決定。3泊4日コースは一律10万円の驚きの大幅値上げを発表しています。
日本文化を体験できるプランを採用してさらにパワーアップするとのこと。全国のニュースに取り上げられ観光の目玉となる話題の列車ですから、10万円の値上がりを跳ね返すような素晴らしい観光産業として成長に期待したいですね。
熊本地震で受けたJR九州の被害総額は175億円!
九州地方といえば2016年4月に熊本県益城町を中心に、甚大な被害を受けた熊本地震がありました。JR九州はどのくらいの被害を受けたのでしょうか。
熊本地震の影響でJR九州の売上や被害額は合計で175億円に上りました。線路のゆがみなど鉄道設備の被害は約1200箇所、九州新幹線の脱線や運転見合わせにより90億円の減収、新幹線車両の修理費は85億円と、とても軽く済んだとはいえません。
しかし不幸中の幸い、JR他社からの応援もあり、余震の中の懸命な復旧作業が功を奏し、九州新幹線はたった2週間の早期復旧を果たしました。ゴールデンウイークまで長引かせなかった努力が、経営に深い傷を残さなかったといえます。
また熊本地震の影響が長期化することがなかった理由の一つに、熊本地震の観光復興向けクーポン「九州ふっこう割」効果があります。熊本復興のための需要が増えることで消費は回復傾向にあります。
2018年放送予定のNHK大河ドラマ「西郷どん」も決定し、JR九州渾身の観光関連事業も本腰を入れて売り出していける下地はバッチリできています。あとはやがて来る「九州ブーム」の波に乗るだけです。
なおJR九州の青柳俊彦社長は「株式上場についてはスケジュール通り」と発表し、予定通り2016年10月の上場に変更はありません。
JR九州グループの経営状態は良好!連結決算をチェックしよう
JR九州の2016年3月期、連結決算※をチェックしてみましょう。
親会社だけでなく、子会社や関連会社を含めたグループ全体の経営状態を見る必要があるため、グループ会社全体で連結財務諸表を作ることを義務づけられています。
親会社や子会社を合わせて評価できるので、業績が悪化しているグループ傘下の会社があれば、いち早く察知することができます。JR九州の場合、グループ会社は36社。グループ全体の評価を見ることで業績を評価しましょう。
投資家が特に見なければならないのは連結決算短信にある「営業利益」です。
2015年3月 | 2016年3月 | 2017年3月予想 | |
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営業利益(百万円) | 12,782 | 20,893 | 51,800 |
営業利益の順調な増加の理由は、駅ビル不動産事業が好調であることや2011年に全線開通を果たした九州新幹線の影響、「ななつ星in九州」など話題性の高い観光事業の拡充など、自由度を増した経営多角化の産物です。
JR九州在来線の赤字は若干の心配要因ではありますが、JR九州を引っ張り上げているグループ会社の勢いには目を見張るものがあります。九州の経済発展のために一層活躍するだろうという期待感が高まっています。
JR九州は今回の上場に際し、国庫への返納を求められなかったので、経営安定基金を借入金の返済や九州新幹線施設使用料を一括払いすることなどに当てた。
借金はゼロになったんだから、まさに順風満帆の出発だな。
JR九州のIPO株に当選するには!主幹事証券会社に応募しよう
新規上場株(IPO株)は高い確率で利益が出ることから投資家に大変人気があります。通常は投資家が証券会社に申し込みし、抽選で購入者が決まります。
当選する確立を上げるには、主幹事の証券会社に応募することが第一です。JR九州の上場に際し、主幹事に上がっている証券会社を紹介します。
- 野村證券
- 三菱UFJモルガン・スタンレー
- JPモルガン
- SMBC日興証券
ただJR九州は日本郵政グループ以来の大型民営化株なのでかなり期待値の高い銘柄。また高確率で初値が公募価格を上回ると予想されていますので、IPOの抽選は相当な激戦になりそうです。
しかし予想を上回る利益が出ることはほぼ確実ですから、ぜひともゲットしたいですね。上記の主幹事証券会社の口座を持っている人はぜひ応募してみてはいかがでしょうか。
口座開設するならSMBC日興証券がおすすめ
IPO株で主幹事になることが多く、IPO株の取扱実績もトップクラスのSMBC日興証券に口座開設しておけば、今後のIPO株応募に大変便利なのでおすすめです。IPO株常連の投資家からも絶対にハズせない証券会社といわれています。
証券会社の中でも大手証券会社であるSMBC日興証券なら安心できますし、口座開設するメリットもたくさんあります。
口座開設にかかる費用や管理費なども無料、ダイレクトコースなら手数料は格安です。また株式、債券、投資信託まで全て網羅していますからSMBC日興証券の証券口座を持っていて損はありません。
もちろん支店での窓口対応もありますが、日興コンタクトセンターに電話すると、オンライントレードの使い方や問い合わせに、直接オペレーターが対応してくれますよ
JR九州上場で株価が上がる?注目の関連銘柄を紹介
JR九州の新規上場に便乗して、九州というキーワードに関連したご当地銘柄の株価が上がる可能性があります。
株式投資はいつでもほかの投資家の一歩先を読む努力を。要チェックのJR九州関連銘柄を紹介します。
・<9031>西日本鉄道(鉄道)
・<9508>九州電力(電気)
・<8354>ふくおかフィナンシャルグループ(金融)
・<7180>九州フィナンシャルグループ(金融)
・<8596>九州リースサービス(不動産)
・<9603>エイチ・アイ・エス(旅行)
・<1959>九電工(設備工事)
・<1937>西部電工(電気通信工事)
・<2653>イオン九州(小売)
・<3171>マックスバリュ九州(小売)
・<8108>ヤマエ久野(小売)
・<8179>ロイヤルホールディングス(外食)
鉄道関係株はもちろんですが、この中でも有力視されているのは鉄道に必要な電力を賄う<9508>九州電力、JR九州上場でツアーや旅行関係で盛り上がりが予想される<9603>エイチ・アイ・エスです。
また、NTT工事主体に情報通信工事を行う<1937>西部電工は九州地区では最大手、注目が集まります。
<8179>ロイヤルホールディングスは「ロイヤルホスト」や「てんや」などレストラン事業からケータリング機内食まで幅広く展開している福岡県に本社を置く外食チェーン。需要の高まりとともに株価が上る可能性があります。
JR九州のIPOは激戦必至!話題性と安定性は折り紙つき
JR九州の株はほかのベンチャー企業に比べると爆発的な成長株ではありませんが、何といっても大型民営化株ですから抜群の安定性が自慢です。
また見逃せないのが「ななつ星in九州」の話題性。日本のみならず海外からの需要も高まっています。
かなりの競争率が予想されるので、IPO株の中でも当たるのが難しいのですが、応募しなければ当たるものも当たりません。ぜひチャレンジしてみてください。