自動運転の実現に向けた実証実験が官民一体となって続いています。
それに伴って、自動運転関連株にも急騰する銘柄が生まれました。
2018年1月には1,300円台だった株価が、5月頃から急上昇。
同年10月には14,000円台を記録し、10倍以上になりました。
自動運転の本格化は2020年以降を予定しているため、今後もさまざまな銘柄での伸びが期待されます。
AI、IoT、ビッグデータ、半導体に関連する銘柄はもちろん、物流業界やドローンなど、自動運転を活用したサービス産業にも注目です。
この記事では自動運転の概要とおすすめの銘柄を紹介。
銘柄選びの参考にしてください。
おすすめの自動運転関連銘柄
自動運転を実現するためには、さまざまな関連技術が必要。
たとえば次のような技術は、自動運転にとって必須です。
技術 | 利用例 |
---|---|
センサー | 現在走行中の場所や障害物の動きを特定する |
地図情報 | 道路や天候の状態などを記録 |
AI | 緊急時のおける対応など |
通信 | クラウドとの連携。車両同士の通信など |
サイバーセキュリティ | システムへのハッキング対策 |
自動運転にはAIやサイバーセキュリティなど、従来の自動車産業以外の企業も関わりをもつようになります。
自動運転の関連株から利益を得るには、自動車産業以外の銘柄にも目を配らなければなりません。
この記事では、おすすめの自動運転関連銘柄を5つ紹介するので、参考にしてみてください。
<2317>システナ
システナは組み込み式のソフトウェア開発企業です。
近年モバイル向けのシステムから車載システムへと開発をシフト。
株価は6年間で約10倍にまで上昇しました。
またクラウド事業も好調で、純利益も順調に増加中です。
<2303>ドーン
ドーンは地理情報システム(GIS)を専業とするソフト開発会社。
政府が「自動運転に必要な情報を盛り込んだ立体地図を作る」と伝えたことから、株価が高騰しました。
近年では消防署向けクラウド型緊急通報システム「NET119」などを提供し、連続増配を記録しています。
<3852>サイバーコム
サイバーコムは富士ソフトの子会社であり、通信分野を中心としたソフトウェア開発が主力です。
車載向けのソフト開発を拡大しており、5G向けの開発も開始しています。
中期経営方針の「サイバーコムビジョン2020」では2017年~2019年の3年間を増収増配で継続すると発表しました。
<4288>アズジェント
アズジェントはネットワークセキュリティソフトを提供する企業。
自動車メーカーをはじめ、自治体や大学が取引先です。
2016年11月から、コネクテッドカーやIoT機器に対するセキュリティソフトの取り扱いを開始しました。
コネクテッドカーは、インターネットと接続されたIoT機器としての側面を持つ車両のこと。
営業利益は赤字が発生していましたが、今期は回復予定です。
<2432>ディー・エヌ・エー(DeNA)
DeNAはスマホゲーム開発から球団運営まで、さまざまな事業を手がける企業。
2017年にヤマトホールディングスと共同で、次世代物流サービス「ロボネコヤマト」の実証実験を開始。
2018年4月には、完全無人車両での実験を実施しました。
スマホ向けゲームの不調があり、営業利益は落ち込んでいますが、8月にはブロックチェーンや音声認識など先端分野での研究開発組織を設置しています。
自動運転に必要な技術の動向と関連銘柄を紹介
自動運転は複数の技術が組み合わさって実現します。
近年自動運転への期待が高まるにつれ、自動車向けの開発へシフトする企業も増えてきています。
自動運転を構成する各技術ごとの銘柄を詳しく見ていきましょう。
- センサー
- AI
- 5G
- セキュリティ
センサーは自動運転の目の役割
自動運転を実現するためにはセンサーの存在が欠かせません。
自動運転車は車体に搭載されたセンサーを通じて、歩行者や道路標識、対向車の情報などを取得。取得したデータを車のAIへ送り、AIがハンドルやブレーキ操作を行っていきます。
自動運転におけるセンサーは人間で言うところの「目」の役割を果たす重要なものです。
日本国内でも自動車向けのセンサーを提供している企業は多く、<6929>日本セラミックや<6770>アルプス電気のように欧州向けの輸出で売上を伸ばしている銘柄もあります。
銘柄 | 事業内容 |
---|---|
<6632>JVCケンウッド | カーナビやカーオーディオが主力事業。関連分野の買収にも積極的。 |
<6989>北陸電気工業 | スマホやタブレット向けのモジュール製品が中心ですが、車載用の各種センサーにも力を入れています。 |
<6929>日本セラミック | 赤外線センサーで国内9割のシェア。自動車向けの超音波センサーが欧州を中心に堅調な伸び。 |
<6770>アルプス電気 | 電子部品の国内大手で売上高の6割は自動車向け。欧州向けの車載情報機器が好調。 |
AIがドライバーに代わって自動運転車を制御する
自動運転におけるAIは脳の役割を果たします。
センサーから取得した情報を元にAIが「ブレーキを踏む」「車線を変更する」といった車の制御をドライバーの代わりに行います。
自動運転向けのAIを開発している企業は<7203>トヨタやデンソーなど大手企業がありますが、2018年にトヨタと資本業務提携した<3906>ALBERTなどの企業もあります。
銘柄 | 事業内容 |
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<3906>ALBERT | AI・ディープランニングを活用したビッグデータ分析が主力。2018年にトヨタ自動車と資本業務提携。 |
<7203>トヨタ自動車 | 世界首位の自動車メーカー。東京に1,000人規模のAI開発拠点を設立。 |
<6929>デンソー | 国内最大の自動車部品メーカー。東芝と自動車向けAIを共同開発。 |
5Gにより大量のデータをより早く取得
自動運転を実現するためには次世代通信規格「5G」も欠かせません。
自動運転車が渋滞などの情報を掴むにはセンサーから読み取った情報をクラウドに伝える必要があります。その際に5Gを活用すれば、大量のデータを超高速で運ぶことができ、遅延も少なくなります。
自動運転車同士が相互に通信し、車間距離を保つ際にも5Gによるリアルタイムの通信ができれば、AIがより素早く的確な判断を下せるようになるのです。
2018年3月にはソフトバンクが5G通信を活用したトラック隊列走行の実験を行うなど、実用化に向けた取り組みが着々と進んでいます。
銘柄 | 事業内容 |
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<6754>アンリツ | 通信系計測器の有力企業。携帯電話や基地局に強く、海外でも高いシェアをほこる。 |
<6857>アドバンテスト | 半導体試験装置の国内大手。高周波用集積回路や無線通信用集積回路などを同時測定可能なモジュールを開発中。 |
<6800>ヨコオ | 自動車用アンテナの国内大手。低周波から高周波まで対応した小型アンテナを大量生産可能。 |
<3852>サイバーコム | 富士ソフトの子会社で通信分野を中心としたソフトウェア開発が主力。車載向けソフトと5G向けの開発も開始。 |
IoTの進展に伴いセキュリティ関連銘柄にも注目が集まる
自動運転の実現にはサイバーセキュリティへの対策も必須です。
自動運転車は従来の車以上に多くの外部通信とつながっています。
具体的には衛星とのGPS、クラウドを通したビッグデータのやり取り、道路を走る他の車との相互通信など。
外部との接続が増えればドライバーにとっては便利ですが、ハッキングされるリスクも高まり、車が乗っ取られるといった危険性もあるのです。
セキュリティについてはコネクティッドカーやスマートホームなど、ほかのIoT機器でも問題視されているため、関連銘柄にも注目が集まっています。
銘柄 | 事業内容 |
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<3356>テリロジー | 情報セキュリティやIPサーバーなどのネット製品輸入販売が主力。 |
<3968>セグエグループ | セキュリティ製品の輸入販売とソリューションが主力。米国製や自社開発のセキュリティ製品も販売。 |
<3857>ラック | セキュリティ製品やセキュリティ専門家の育成、教育・訓練なども実施。日本最大のネットワークセキュリティ監視センターも所有。 |
自動運転の本格化は2020年以降
自動運転の関連市場が盛り上がっていますが、完全無人化の自動運転が実現するのはもう少し先になりそうです。
自動運転にはレベル0~5までの段階があり、現在ではレベル2搭載車が市に登場しています。
自動運転のレベルごとの定義
レベル0 | ・全ての操作をドライバーが行う |
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レベル1 | ・ステアリング操作/加減速のいずれかをサポート |
レベル2 | ・ステアリング操作/加減速が連携してサポート |
レベル3 | ・高速道路等、特定の場所で全ての操作が自動化 ・緊急時にはドライバーが対応 |
レベル4 | ・特定の場所での操作が完全自動化 ・緊急時もクルマが対応 |
レベル5 | ・あらゆる場所での操作が完全自動化 |
実際に車が自動で道路を走るのはレベル3以降。
高速道路など特定の場所に限り、ハンドル操作が不要となります。
国土交通省の「官民ITS構想・ロードマップ2018」では、現在レベル3以降の開発や実証実験を推進中で、2020年頃の市場化を目指しているとのことです。
自動車メーカー各社も自動運転の実現に向け、動き始めています。
トヨタ | ・2020年の東京オリンピックで、完全自動運転車「e-palette(イーパレット)」を提供すると発表 ・2020年代前半までに一般道路での自動運転実現を予定 |
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日産 | ・2016年、レベル2に相当する「プロパイロット機能」を新型セレナに搭載済み ・2020年に交差点を含む一般道での自動運転実現を目指す |
ホンダ | ・2020年に高速道路での自動運転を実現予定 ・2025年頃、一般車向けにレベル4の自動運転技術を確立予定 |
BMW | ・2018年9月、自動運転バイク「BMW R 1200 GS」のテスト動画を公開 ・2021年に完全自動運転の市場投入を予定 |
フォルクスワーゲン | ・2018年、世界初のレベル3搭載車「アウディA8」を発売※ ・2021年にレベル4またはレベル5の自動運転車を発売予定 |
AIやセキュリティのほか、自動運転活用サービスにも注目しよう!
必要となる技術はAI、外部通信、サイバーセキュリティなど既存の自動車に使われていたものとは異なる技術も。
自動運転が普及すれば、それを活用した新しいサービスも生まれます。
ヤマトホールディングスとDeNAの「ロボネコヤマト」が、その一例。
物流業界以外にも、工場内のドローンが在庫管理を行ったり、自動運転の車両から収集したデータを活用した新しい保険サービスが始まるなど、さまざまな動きがあります。
2020年以降、自動運転の実用化が本格化していくため、関連の話題やニュースに注目しましょう。