投資信託のメリットは、プロのファンドマネージャーが代わりに運用してくれることです。株価チャートを見るためパソコンに貼りついていなくても大丈夫、という安心感があります。
しかし大船に乗ったつもりでいても、景気が悪くなれば株価が下がるのは当たり前です。こんなときは、どんなプロでも運用損は避けられません。
損をしたとき、どうすればいいか自分で決めておくことが大事だ。
投資信託で大きな損害を出さないために、どうしたら損失に早く気付くことができるか、リスク回避の方法について解説します。
投資信託で大損をしないために最低限知っておくべき5つのルールとは
投資信託は、株の知識があまりない人の資産運用として人気を集めています。しかし手軽さの反面、損失を生むリスクもあるということを理解しておかなければなりません。
後悔する前に、しっかりとリスク回避の方法を知っておきましょう。
投資信託に重要な書類「目論見書」を理解しよう
投資信託は、投資家が順調に資産を増やしていけるよう、すでにそれぞれのテーマに沿った株式や債権のバランスを考えて組み合わされています。そのため通常の株取引のようにどんな企業か、どんな銘柄かを考える必要はありません。
そこで、投資信託を選ぶ上でどこに気をつけて選べばいいかというと、検討段階で手に入れることができるファンドの目論見書※にある記載事項です。
購入を検討している投資信託について、購入者に重要な判断材料を記した説明書類のことで、投資信託を購入する前に投資家に渡されます。そのファンドの特色や投資リスク、運用実績、手数料などの重要事項が記載されています。
記載項目には基準が設けられていますので、ほかのファンドと比較する際に便利です。
目論見書は投資家にとって重要な判断基準が書かれた書類です。購入する前はもちろん、購入後も大切に保管しましょう。
自分が購入した金融商品がどんなものなのか、しっかり理解することはリスク回避の第一歩です。よくわからないから、と放置していれば重要事項を見落としてしまうかもしれません。
目論見書の読み方は、次の記事を参考にしてください。
投資信託で偏ったファンドを組まないようにしよう
投資信託のリスク回避の手段の一つに、「偏ったファンドを組まない」という鉄則があります。
株価の変動は予想できないので、投資先を集中させると大きな利益を生む可能性がある反面、多大な損失につながる危険も。
投資信託は長期投資でこつこつ利益を得る特性なので、なるべくリスクを抑える必要があります。そのため、いくつかに分散して投資する方法をおすすめします。
市場原理では株価が上昇しているときに株式のファンドを買った方が利益は出ますが、債券を購入した投資家には損ですね。反対に株価が下落しているときには株式ファンドは損。債券が得です。
このように一つの投資信託を選ぶと、リスクが偏ってしまうという弱点があります。この弱点は、メリットが対照的なファンドを抱き合わせることで解消可能です。
国内市場が低調でも、アメリカ株やほかの新興国株は好調という場合があります。
国内株と国際株の投資信託を購入することでリスクを回避し、利益を安定させる効果が期待できますよ。
投資信託には次のような種類があります。
- 国内株式
- 国内債券
- 国際株式
- 国際債券
- J-REIT(国内の不動産投資信託)
- 国際REIT(海外の不動産投資信託)
- コモディティ投資信託
ファンドの種類をよく理解してバランス良く購入していくことがリスク回避の第一歩です。
2、国内・先進国・新興国
3、コモディティ
この三つのグループの長所と短所がそれぞれ違うことを活かし、偏らないようにバランスを保つことで大きな損害を回避するのが狙いです。
まずは気に入ったファンドを一つ購入したあと、次はその投資信託の真逆の投資信託を抱き合わせるなど、徐々に増やしていくことがおすすめです。
投資信託の種類については、次の記事で紹介しているので参考にしてください。
初心者ならSBI証券のノーロード(手数料無料)を選ぼう
投資信託は、ノーロード(手数料無料)の本数がどんどん充実しています。
投資信託を始めるなら、ランニングコストを抑えられるノーロードを選びましょう。SBI証券の投資信託では、「ノーロード」のキーワード検索が利用できます。
投資信託は販売店が利益を保証してくれるわけでもなく、利益が出ても出なくても手数料は差し引かれます。手数料を上回る利益が出るならいいのですが、手数料やそのほかの費用を引かれると、結局「損」になるというケースもあります。
ノーロードについては、次の記事で紹介しているので確認してください。
購入手数料以外の費用には、次の費用があります。
・信託財産留保額(換金する際の証券売却にかかる費用)
これら余分な出費を抑えるためにも、手数料無料のノーロード商品をSBI証券の投資信託検索で選びましょう。
投資信託に元本保証はない!損切りを徹底しよう
株価には上下変動がありますから、損失を出すときもあれば利益を出すときもあります。損失が膨らみ、運用損や元本割れが発覚すれば頭の中は真っ白。どうしたらいいのか、わからなくなってしまいますね。
そんなとき投資信託の販売店から「今は損失が出ていてもそのうち株価が上昇していきますから、損失を取り返すことができますよ」という説明を受けて、解約するかどうか迷う場合もあります。
しかしこれは間違った考え方ですよ。
毎月分配型の投資信託には、分配金が毎月出るので「きちんと利益が出ている」という安心感があるため、根強い人気があります。
しかし注意しなければならないのは特別分配金※の存在です。
分配金には「普通分配金」と「特別分配金(元本払戻金)」があります。普通分配金が運用収益の中から払われるのに対し、特別分配金は運用収益が足らない(もしくは無い)場合、投資資金(元本)の中から払われます。
ちなみに普通分配金は課税対象(20.315%)。特別分配金は非課税です。
分配金という名称に惑わされ、「分配金は支払われているから安心」してはいけません。特別分配金は「損失」です。特別分配金が支払われれば、当然元本は目減りしてしまうということを知っておきましょう。
投資信託の分配金については、次の記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
定期的にファンドのリバランスを再考察
投資信託を始めて何年か経つと、損益によって最初に決めておいた資産配分からだんだんとズレが出てきてしまいます。
適切なリスク回避を続けるために、定期的なリバランスで資産配分をメンテナンスする必要があるのです。
このまま好景気が継続するなら、資産配分をリバランスしないほうがいいのかもしれません。
しかし、どんなきっかけで市場経済が破綻したり、株価が暴落したりするとも限りません。
自分のファンドの見直しをするためにも1年に1回程度のリバランスを行うことをおすすめします。
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リバランスするときのポイント
- 増えている資産は売却して割合を減らす
- 減っている資産は購入して割合を増やす
- 必要に応じて基準とする割合を設定する
バランス型ファンドはリバランスの必要がないため初心者におすすめですが、アセットアロケーション(分散投資)の内容に過不足がないか、あらかじめ目論見書をしっかり確認する必要があります。
徹底的なコストカット!投資信託ではNISA(ニーサ)を活用しよう
投資信託は通常の株式投資に比べ、巨額な利益が見込めるわけではありません。
そのためいかに損失のリスクを抑えるか、いかにコストカットをするかが大切です。
運用益から必ず引かれる税金(20.315%)はとてもバカにできる金額ではありません。できるだけ運用益を目減りさせないためにも、NISAの120万円の非課税枠を有効に利用しましょう。
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投資信託をする上でNISAを活用するときの注意する点
- NISA専用の口座が必要
- 非課税枠は最大120万円
- 運用期間は最大5年
- 非課税分の余りを翌年繰越はできない
NISAについてのメリットやデメリットなど詳しい解説は「NISA(ニーサ)とは?株初心者が知るべきメリットとデメリット」を参考にしてください。
運用益が出た場合、120万円を超えて継続運用はできません。非課税枠に収まらない分は売却するか、課税口座に移す必要が出てきます。
そのような細かい事務処理は必要になるものの、非課税枠は魅力的ですよね。NISAの最大メリットである非課税枠を有効に活用するために、リターンの期待値が高い投資信託をNISA口座で運用することがおすすめ。
投資信託で受けた損益をチェックするにはトータルリターンサービス
購入した投資信託によって自分が損をしているのか得をしているのか、イマイチわかりにくい場合もありますよね
そんなときは、トータルリターンサービス※が便利です。
「現在の評価金額」+「累計受取分配金額」+「累計解約金額」-「累計買付金額」で求められる投資信託の損益金額がわかる機能。
しかし手数料や信託報酬、税金は計算に入っていませんので注意が必要です。
トータルリターンサービス機能は口座開設している証券会社からログインして利用可能です。
購入した投資信託について本当の投資成果を知り、損失が出ているなら早めに察知し、必要に応じて損切りに踏み切りましょう。
株も同じだが損失が膨らむと冷静な判断ができなくなる。いざというとき困らないようにあらかじめ自分でルールを作っておくんだぞ。
投資信託だからと安心は禁物!リスク回避で損失を出さない工夫を
投資信託はプロが運用し、バランス型ファンドでおまかせできるなど、「ほったらかしで大丈夫」な印象があります。しかし損失を被ったとき、運用会社が損失を担保してくれるものではありません。
投資信託を購入するとき元本保証のない金融商品だということを念頭に置き、リスク回避策を講じることを忘れないようにしましょう。
また損が発覚した場合、心を鬼にしてこれ以上損失が膨らむ前に解約を決断することが大切です。
勝負は時の運。もっと優秀な投資信託に巡り会えることを信じてサッと解約し、新しい投資信託を買えばいいのです。失敗の次にはまた新たなチャンスが巡ってきます。新たなチャンスを逃さないようにしてくださいね。