投資を始めようと思ったあなた、どんな投資スタイルで株式市場に挑みますか。株式市場には、デイトレーダーやスイングトレーダー、中長期投資など、株を保有する期間が違う投資家が入り乱れています。
「株で稼いでいるイメージ」が強いデイトレードに憧れを抱く人も多いですよね。
デイトレードは日中仕事がサラリーマンには不可能だと思われがちですが、工夫次第でサラリーマンでもデイトレード可能ですよ。
また、他の投資スタイルとして「スイングトレード」や「中長期投資」のメリット・デメリットも紹介します。
あなたの生活に合う、株式投資とのつきあい方を探しましょう。
投資スタイル別に狙うべき銘柄とメリット・デメリット
「株式投資を始めたいけど、どの投資スタイルでいくべきか悩んでいる」そんな人も多いですよね。まずは、それぞれの投資スタイルの特徴を確認しておきましょう。
保有期間 | 1日 |
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向いている銘柄 | ・1日の中で値動きが予想される ・好材料が出そう ・値動きが比較的大きい |
メリット | ・資産を有効活用できる ・投資成果がすぐに出る ・取引時間外の悪材料に影響されない ・高止まり相場で利益が出る |
デメリット | ・売買手数料がかさむ ・日中は株価を負い続ける必要がある ・取引時間外の好材料による値上がり益を逃す |
保有期間 | 2日~1周間 |
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向いている銘柄 | ・短期間で値動きが予想される銘柄 ・好材料が出そう |
メリット | ・投資成果が比較的すぐに出る ・取引時間外の好材料で値上がり益が期待できる ・高止まり相場で利益が出る |
デメリット | ・ある程度の売買手数料がかかる ・日中も株価を負い続けるほうが有利になる ・取引時間外の悪材料に影響される |
保有期間 | 数カ月~ |
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向いている銘柄 | ・将来の成長が見込める |
メリット | ・短期の値動きを気にする必要がない ・成長企業を選べば将来的に大きなリターンが期待できる |
デメリット | ・一度買うと資産が他に使えない ・投資成果が出るのが遅い ・高止まり相場で利益が出にくい |
次章より、投資スタイルごとの売買方法やメリット、デメリットを詳しく説明します。
デイトレードとは?1日で売買を完結させる短期決戦
デイトレードは日計り(ひばかり)ともいい、1日の取引時間の中で何度も売買を繰り返して売却差額で利益を得る方法。
買った同じ日に、その株は売って売買を完結させるのが特徴。売買を完結させることを「手仕舞い(てじまい)する」とも言います。
あまり値動きしない銘柄だとなかなか売買のタイミングが来ないため、株価が安定している銘柄ではなく、安値と高値の差がでそうな銘柄を狙うのもデイトレードの特徴です。
特徴、メリットやデメリットについて詳しく見ていきましょう。
資産を有効活用できるのがデイトレードのメリット
デイトレードには次のようなメリットがあります。
- 取引時間外のニュースの影響を受けない
- 投資の成果がすぐに出る
- 株価全体に大きな動きがない場合でも利益が出る
- 資金を有効活用できる
デイトレードでは、買ったその日に株を売って手仕舞いします。株を翌日に持ち越さないことのメリットは、取引時間が終わってから発生した災害やニュースの影響を受けないことです。
取引時間後に業績悪化などのニュースが出た場合、翌日にかなり株価が下がって取引が始まることが予想されます。
株を翌日に持ち越していた場合は、翌日に持っている株を売ると売却損が出ることになりますが、1日のうちに取引を完了していれば、ニュースによる値下がりで損をすることはありません。
1日のうちに取引を繰り返すので投資の成果がすぐに出ますし、株価全体が高止まりしているような状況でも、短期的な値動きは必ずありますので、利益を上げることが可能です。
資金を何度も有効活用できるメリットもあります。
このように次々にいろんな銘柄に乗り換えていく方法を「ループトレード」とか「サーフィントレード」と呼びます。
会社員には難しい?チャートをリアルタイムで確認する必要あり
ではデイトレのデメリットはなんでしょうか。メリットのところで株を翌日に持ち越さないメリットをご説明しましたが、そのメリットと表裏一体のデメリットがあります。
取引時間外に良いニュースが出た場合には、株を翌日に持ち越していれば得られるはずの値上がり益を逃してしまいます。
さらに、売買を頻繁に行うので、売買手数料がかさみます。売買手数料を上回る売却利益を得られないと赤字です。
サラリーマンが休憩中になんとか時間を作りたくても、日本の証券取引所には11:30~12:30まで昼休みがあるため、会社の昼休憩が12:00~13:00なら12:30~13:00の30分しか取引できません。
注文の情報が表示される画面のこと。どの値段でどれくらいの量の注文が出ているかがわかります。
購入時より株価が下がった株を、損失を最小限にするために、ある程度の損を覚悟で売ること。資金を回して利益を上げるデイトレードでは損切りが特に重要です。
損切りについて詳しくは含み損が出たらナンピンせず損切り!塩漬け株を作らない方法で説明しています。
しかし日中働いているサラリーマンでも、工夫次第でデイトレードは可能です。
ネット取引をうまく利用したり、立会時間外で売買注文を出したりして、スキマ時間をうまく活用しましょう。
デイトレードの手法やコツについて、詳しくは次の記事を参考にしてくださいね。
ここにも注意!差金決済回避のために資金が十分必要
デイトレを行う際に注意すべきなのが差金決済です。株の現物取引※では、同日に同一銘柄を(1)買い、(2)売り、(3)買う場合には、(2)で得た売却益を(3)の購入代金に当てることができません。
通常の株取引のことで、信用取引などと区別するための名称です。
信用取引は証券会社に担保を差し出して、手持ち資金以上の投資を行えるシステムで、差金決済が認められています。
同一銘柄を(1)200万円で買って、(2)210万円で売って、(3)200万円でまた同じ株を買う場合には、(2)で得た売却益210万円とは別に(3)を買うための資金が必要です。つまり、(1)200万円+(3)200万円=400万円の買付余力がないと差金決済にひっかかって売買ができません。
ただし銘柄を変えて行う「ループトレード」であれば、この問題は起こりませんよ。
約定日時 | 10月1日 9:01 |
10月1日 9:15 |
10月1日 11:20 |
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取引 | 買 | 売 | 買(不可) |
銘柄 | A運輸 | A運輸 | A運輸 |
単価(円) | 2,000 | 2,100 | 2,000 |
株数(株) | 1,000 | 1,000 | 1,000 |
受渡金額(円) | 2,000,000 | 2,100,000 | 2,000,000 |
買付余力 | – | 2,100,000 | – |
この場合、11:20の買付は差金決済に該当するため不可です。
デイトレードでおすすめの証券会社!
デイトレードは1日何回も取引する必要があるので、利用する証券会社の料金体系によって利益の差に直結します。
そこでおすすめしたいのが、むさし証券のインターネット取引「トレジャーネット」です。
むさし証券トレジャーネットは、手数料の安さに自信があります。一日の約定代金の合計で決まる手数料「トレジャーボックス」の料金表を見てください。
1日の約定代金合計 | 手数料(税抜) |
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300万円まで | 1,200円 |
300万円超~600万円まで | 2,400円 |
900万円超~1,200万円まで | 4,800円 |
1,200万円超~1,500万円まで | 6,000円 |
このようにほかの証券会社と比較してかなりオトクな料金体系だと分かるかと思います。
むさし証券のトレジャーネットはデイトレーダーに使い勝手のよい「トレジャーボックス」のみならず、1約定ごとの手数料体系「トレジャースタンダード」にも自信を持っています。
むさし証券のトレジャーネットのオトクな料金体系に興味がある人は、「むさし証券の特徴をご紹介!手数料が安く信用取引金利もオトク」をお読みください。
デイトレードにこれからチャレンジしたい人は、ぜひ手数料で歴然の差があるむさし証券のトレジャーネットで口座開設をして、その良さを実際に体感してみてくださいね。
手数料で心配しないためにも、デイトレに使う証券会社の手数料には注意が必要だぞ。
スイングトレードは会社員でもできるタイミング重視の投資方法
次にスイングトレードについて説明します。スイングトレードもデイトレードと同じで、短期トレードに分類されますが、デイトレとの違いは株を翌日以降に持ち越すことです。
スイングトレードの場合、2日~1週間程度で売買が完結。メリットとデメリットを紹介します。
スイングトレードなら会社員でも簡単に短期投資に挑戦できる
スイングトレードのメリットは次のとおりです。
- 取引時間外の好材料で値上がりが期待できる
- 1日中画面を見ている必要はない
- 投資の成果が比較的早く出る
- 株価全体に大きな動きがない場合でも利益を出しやすい
- 資金を有効活用できる
スイングトレードは数日間株を持つので、市場が閉まった後に良いニュースが出た場合には値上がり益を確保することができるのがデイトレと違います。
株をデイトレードより長く保有するので、1日中株価を見ていなくてよいことも会社員にとっては大きなメリット。
仕事が終わった後、その日の終値を確認し、夜のニュースや移動平均線※を参考に翌日売買を行うかどうかの戦略を立てているスイングトレーダーが多いようです。
直近の、ある期間の終値の平均値をつなげたものです。「直近のある期間」としてよく使われるのは5日、25日、13週、26週など。
「株価が25日移動平均線から離れ過ぎたら反発するはず」「期間が短い移動平均線が、期間が長い平均線を下から上に突き抜けたら株価が上昇する」など、株価の予測に使う投資家が多い指標のひとつです。
他のメリットはデイトレと似ています。短期の取引ですので、株価が高止まり・下げ止まりしてあまり動きがないように見えるときでも利益をあげることができますし、投資成果も比較的早く確定します。
株式投資に大きな労力と時間をかける覚悟が必要
スイングトレードのは株価が下がるニュースが出た場合に、株を翌日に持ち越していることで損失が出てしまいます。デイトレのメリットと反対ですね。
デイトレほど頻繁ではないにしても、短期間で銘柄を入れ替えて売買するので、次にどの銘柄を買うか、常に情報収集する必要があります。資金を有効活用するために損切りのタイミングも常に注視しておく必要も。
株式投資に対して、毎日かなりの時間と労力を割く覚悟が必要です。
また、大きな利益を出そうとすると、デイトレードと同じように値動きが大きい銘柄を選ぶ必要があります。
値動きが大きい銘柄を選んだ場合、大きな損失が出る可能性もありますから、日中も値動きをチェックできる人のほうが有利と言えるのです。
スイングトレードをするにあたって「適切な銘柄選び」や「売買タイミング」について、詳しくは次の記事を参考にしてください。
短期の値動きは気にせず企業の成長を待つ中長期投資
中長期投資は、数ヶ月、数年、数十年の単位で株を保有する前提で行う投資のことです。企業の事業内容、業績などを分析して、「この企業は成長する」と見込んだ銘柄に投資します。
デイトレやスイングトレードが短期の値動きを重視し、倒産が噂されるような企業の株でも買いに行くのとは正反対です。
一度買ってしまえば、株価が上がっていくことを信じて待っているだけですので、短期投資ほど慌ただしくなく、会社員向けとも言えます。しかし長期投資にもデメリットや注意点があるので、事前にしっかり理解しておきましょう。
成長を見込んだ企業の株価上昇を待つ長期投資
中長期投資は、世界経済の流れ、その企業の事業内容の将来性や競争力、業績、債務状況、株価の割安感などを重視して投資するものです。「この企業には将来性があるから、株価がきっと上がっていくはずだ」と考えて投資します。
中長期投資のメリットは次のとおりです。
- 短期の株価の上下を気にしなくても良い
- 成長企業を選べば、将来的に大きな利益を得られる
最初から長く株を保有するつもりですから、短期の値上がり・値下がりを気にすることなく過ごすことができ、チャートや板情報を頻繁にチェックする必要もありません。
他に本業を持つ、サラリーマン向きです。
順調に成長する銘柄を選べば、億万長者になることも夢ではありません。例えばヤフー<4689>の株を上場当時に買った人が今株を売れば、莫大な売却益を手にします。ニトリ、ファーストリテイリングなども上場以降に大きく成長した銘柄です。
企業 | 上場当時の価値 | 現在の価値 |
---|---|---|
ヤフー | 1株154万円 (1997年11月) |
3億8584万円 (株価は471円だが、株式分割で1株が819,200株にまで増加) |
大きく成長して株価が10倍以上になる銘柄をテンバガー銘柄といいます。その探し方について詳しくは、次の記事を参考にしてください。
長期投資が簡単なわけじゃない!成長企業を見抜く難しさ
長期投資・長期保有のデメリットは、一度株を買ってしまうと投資の成果がでるまで時間がかかり、投資した分の資産が長期間使えなくなることです。
また、企業の成長性をしっかり分析した上で銘柄を選ばないといけないため、成長する企業を見極めるための企業分析は欠かせません。
しかし、決して楽だとか簡単だと言う意味ではありませんよ。利益を出そうと思うなら、どの投資スタイルでもそれなりの覚悟や勉強は必要です。
デイトレやスイングトレードで売買タイミングを見極めるのも難しいが、長期投資で買うべき株を見極めるのも簡単じゃない。1日中画面に張り付かなくてもいいのは、会社員向けだけどな。
投資スタイル・投資戦略がぶれないことが何より大切
「この株は成長するはずだから長期で持つ」と決めて買った場合、日々の値動きをいちいち気にして「下がったから売ったほうがいいか」などと考えることは不要です。
「もう成長が期待できない」と思った時には売るべきですが、長期で持つと決めた以上はある程度持ち続ける覚悟が必要。
もちろん投資スタイルをひとつに限定する必要はありません。長期投資と短期投資のどちらのメリットも享受したい場合は、「A株は中長期で持つけど、B株はスイングトレードで短期で売る」というスタイルもありです。
しかし、それぞれの銘柄を買った目的を見失ってはいけません。
そこがぶれてしまうと、「ちょっとした値下がりで怖くなって株を売ってしまうので、売却損が出るばかり」になりかねませんよ。
デイトレなら、短期の値動きが期待できる場合は倒産寸前の銘柄も買うが、中長期投資でそんな銘柄に手を出すことはできないな。