個人型確定拠出年金制度は、個人でつくる任意型の年金制度。iDeCo(イデコ)とも呼ばれています。
節税効果が大きいこともメリットですが、掛金を投資信託で運用した場合、利益にかかる20%の税金が非課税になることも大きなメリット。
iDeCoで投資信託を運用しない手はありませんね。
しかし、いざ投資信託を購入しようと思っても、何を購入したらいいのかわからない人もいるでしょう。
そこで、この記事では個人型確定拠出年金(iDeCo)で運用するのにおすすめの投資信託を具体的に紹介します。
おすすめの証券会社についても紹介していますので、まだiDeCoの口座を持っていない人は参考にしてくださいね。
個人型確定拠出年金(iDeCo)で運用するおすすめの投資信託比較
個人型確定拠出年金は自分で年金を積み立て、その掛金の分だけ節税できる、という大変おとくな制度です。
個人型確定拠出年金のメリットとデメリットについて詳しい解説は「【確定拠出年金】iDeCo(イデコ)とは!メリットとデメリットを紹介」を参考にしてください。
iDeCoは掛金を投資信託で運用して元本を増やせることや、利益が出た場合の20%の税金が非課税になることも大きなメリット。
早速、iDeCoで投資信託を購入してみたい!と思った方に、iDeCoの投資信託を選ぶときのポイントを紹介します。
iDeCoは長期で運用することが多いので、次のようなことに気をつける必要があります。
- 信託報酬があまり高くないものを選ぶ
- 信託財産留保額が別途かかるものがあるので注意する
信託報酬とは投資信託を運用するのにかかる費用です。
信託報酬は投資信託を保有している間、ずっと払い続けなければいけないため、できるだけ低く設定されているものを選ぶことがポイント。
また、商品によっては投資信託を解約したときにかかる「信託財産留保額」が一定額設定されている投資信託もあります。
個人型確定拠出年金で投資信託を運用するなら、なるべく諸経費がかからない投資信託を選びましょう。
日経平均株価やNYダウ平均株価などの市場平均より高い運用成績を目指す投資信託のこと。それに対して基準価額が市場平均に連動する投資信託のことをインデックスファンドといいます。
iDeCoで運用できる投資信託のうち、信託報酬などの負担が少なく、運用成績もまずまずでおすすめの投資信託を、資産クラスごとに比較しました。
次から具体的に紹介します。
日本に投資するおすすめの投資信託
個人型確定拠出年金(iDeCo)で運用できる投資信託のうち最も本数が多く、人気も高いのが国内株式に投資する商品。
資産運用の支柱となる投資信託です。
ファンド名 | 特徴 | 信託報酬等(税抜) |
---|---|---|
三井住友-三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド | インデックス(TOPIX) | 0.16% |
ニッセイ-DCニッセイ日経225インデックスファンドA | インデックス(日経平均株価) | 0.169% |
野村ー野村DC・JPX日経400ファンド | インデックス(JPX日経インデックス400) | 0.25% |
フェデリティ・日本成長株・ファンド | アクティブ型 | 1.53% |
ポートフォリアーみのりの投信 | アクティブ型 | 1.75% |
国内株式は全体の資産運用の支柱となり大きな割合を占めるものなので、できるだけ安定性を重視して選びましょう。
アクティブ型の投資信託を選ばないほうがいいわけではありません。しかし経済指標より高い運用実績を目指すといっても、信託報酬と差し引きすると手取りはそんなに変わらないというデータもあります。
ファンド名 | 特徴 | 信託報酬等(税抜) |
---|---|---|
三菱UFJ国際ー三菱UFJ 国内債券インデックスファンド(確定拠出年金) | インデックス(NOMURA-BPI総合) | 0.12% |
野村DC国内債券インデックスファンド・NOMURA-BPI総合 | インデックス(NOMURA-BPI総合) | 0.12% |
野村ー日本債券ファンド(確定拠出年金向け) | アクティブ型(日本債券対象) | 0.55% |
国内債券もインデックス型がおすすめ。
株式のリスクヘッジとして考えるものなので、債券の投資信託でこだわったものを選ぶ必要はありません。
海外に投資するおすすめの投資信託
海外に投資する投資信託には、安定的な「先進国」タイプと、成長性に期待できる「新興国(エマージング)」タイプの2種類があります。
ファンド名 | 特徴 | 信託報酬等(税抜) |
---|---|---|
大和ーiFree NYダウ・インデックス | インデックス(ダウ工業株30種平均) | 0.225% |
ニッセイーDCニッセイ外国株式インデックス | インデックス(MSCIコクサイ・インデックス) | 0.189% |
SBI-EXE-i新興国株式ファンド | アクティブ型(上場投資信託への投資を通じて新興国へ投資) | 0.23% |
ラッセル・インベストメント外国株式ファンド(DC向け) | アクティブ型(日本を除く先進国の株式に投資) | 1.33% |
SBI-ハーベスト アジア フロンティア株式ファンド | アクティブ型(アジア諸国の企業の株式に投資) | 1.94%程度 |
キャピタル・インターナショナルーキャピタル世界株式ファンド | アクティブ型・新興国含む世界各国に投資 | 1.54%程度 |
また新興国に投資するならアクティブファンドの「SBI-EXE-i新興国株式ファンド」がよいでしょう。お手頃な信託報酬にもかかわらず、運用成績が良好です。
ファンド名 | 特徴 | 信託報酬等(税抜) |
---|---|---|
三井住友ー三井住友・DC外国債券インデックスファンド | インデックス(シティ世界国債インデックス) | 0.21% |
三菱UFJ国際ー三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド | インデックス(JPモルガンGBI-EMグローバル・ダイバーシファイド) | 0.52% |
野村DC外国債券インデックスファンド | インデックス(シティ世界国債インデックス) | 0.21% |
みずほUSハイイールドファンド(DC年金) | アクティブ型(米国の米ドル建て高利回り債に投資) | 1.4%※ |
先進国債券の投資信託なら「三井住友ー三井住友・DC外国債券インデックスファンド」がおすすめ。
日本を除く先進国22か国の国債の値動き「シティ世界国債インデックス」に連動するよう運用されています。
先進国の国債より安定性に欠けるものの、新興国の国債なら「三菱UFJ国際ー三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド」がおすすめです。
REITに投資するおすすめの投資信託
REITは不動産投資信託のこと。日本のREITのことは特に「J-REIT(ジェーリート)」と呼ばれます。
ファンド名 | 特徴 | 信託報酬等(税抜) |
---|---|---|
ニッセイーDCニッセイJ-REITインデックスファンドA | インデックス(東証REIT指数) | 0.25% |
ニッセイーDCニッセイJ-REITインデックスファンド | インデックス(東証REIT指数) | 0.55% |
One-MHAM JーREITアクティブファンド(DC年金) | インデックス(東証REIT指数) | 1.0%※ |
野村J-REITファンド(確定拠出年金向け) | アクティブ型(日本の上場REITに主に投資) | 0.95% |
国内REITなら「ニッセイーDCニッセイJ-REITインデックスファンドA」がおすすめ。東証REIT指数※に連動しています。
JーREITの銘柄を対象とした時価総額加重平均の指数のこと。不動産投資信託の全体の変動を知るのに適しています。
この投資信託は信託報酬の安さはもちろん、運用開始から期間が長いため運用実績を確認できる点が安心。運用成績も好調でスタンダードなJーREITです。
ファンド名 | 特徴 | 信託報酬等(税抜) |
---|---|---|
三井住友ー三井住友・DC外国リートインデックスファンド | インデックス(S&P先進国REITインデックス) | 0.27% |
SBI-EXE-iグローバルREITファンド | アクティブ型(日本を含む世界のREITに投資) | 0.23% |
野村ー野村世界REITインデックスファンド(確定拠出年金向け) | インデックス(S&P先進国REITインデックス) | 0.53% |
海外REITはハイリスク・ハイリターンな面もあるので少し注意が必要。
「三井住友ー三井住友・DC外国リートインデックスファンド」は、世界リートに投資する標準的なファンドのなかでも信託報酬が低くておすすめです。
コモディティに投資するおすすめの投資信託
個人型確定拠出年金(iDeCo)では、コモディティ投信(ファンド)※も対象になっています。
原油や農産物、金属類など、対象の商品の価格変動に連動する投資信託のこと。基準価額は社会情勢や天候、災害などで大きな影響を受け、損失リスクや為替リスクも伴います。
コモディティはリスクが高いので、iDeCoではコモディティ投信の種類は多くありません。
しかしiDeCoの対象となるコモディティ投信は、メジャーでリスクが控えめのものが多く選ばれているので、通常のコモディティ投信よりは安心と言えます。
ファンド名 | 特徴 | 信託報酬等(税抜) |
---|---|---|
三菱UFJ国際ー三菱UFJ純金ファンド(愛称:ファインゴールド) | 純金上場信託が投資対象 | 0.9%程度 |
大和ーダイワ/RICIコモディティ・ファンド | ロジャーズ国際コモディティ指数(RICI)に連動 | 1.76%程度 |
コモディティ投信では「三菱UFJ国際ー三菱UFJ純金ファンド(愛称:ファインゴールド)」がおすすめです。
個人型確定拠出年金の利点をうまくとらえ、資産を増やす「攻め」の資産運用にも目を向けてみるのも有効な運用方法かもしれません。
投資信託はアセットアロケーションでリスク回避が基本
ここまでおすすめの投資信託を紹介してきました。
ただし「これらの投資信託の中から1~2本買ってみようかな」と考えるのは、長期的な投資信託の資産運用方法としてはNG。
個人型確定拠出年金は長期的な運用が基本です。そのあいだ、いつまたリーマンショックのような大きな経済危機が起こらないとも限りません。
適切なリスク回避策を講じていく必要があります。
アセットアロケーション(資産配分)して安全に運用しよう
投資信託は基準価額が変動するためとても不安定です。その価格変動による損失が大きなものにならないためにはアセットアロケーション※で資産配分を決めなければなりません。
資産を偏った対象に投資するのではなく、値動きなどの性質の異なった運用対象(アセット)を分散させることでリスクを回避し、安定した資産形成をめざす手法。
代表的なアセットには国内株式、国内債券、国内REIT、海外株式、海外債券、海外REIT、コモディティなどがあります。
例えば景気が良いときは株式が好調になりますが、不景気になると株式は不安定になったり、時として大暴落をおこしたりしますね。
それに対して債券は不景気になっても暴落せず、むしろ基準価額が上昇します。そのため株式と抱き合わせて保有することで、資産を大きく損なわないようにするのです。
アセットアロケーションについて詳しい解説は「個人型確定拠出年金(iDeCo)おすすめのアセットアロケーション」を参考にしてください。
記事のはじめに挙げた「おすすめの投資信託」は各資産クラスに分けて紹介してありますので、自分のリスク許容度に合わせ、資産クラスの割合を決め、投資信託を抱き合わせて運用しましょう。
それに対しコモディティ投信のようなリスクが高めな資産クラスは、相場の変動に応じ機動的な投資をすると良い結果が出る。このように高いリターンを求めて、基本となる資産配分とは別に投資する資産を「サテライト(衛星)資産」というぞ。
個人型確定拠出年金(iDeCo)で投資信託を選ぶならSBI証券
この記事では個人型確定拠出年金(iDeCo)で購入できるおすすめの投資信託を紹介してきました。
これらの投資信託を購入するのにおすすめなのがSBI証券。
SBI証券は個人型確定拠出年金で購入できる投資信託数が、他の金融機関と比較してもダントツに多いのが特徴です。
個人型確定拠出年金の各金融機関ごとの手数料や投資信託本数比較について、詳しい解説は「個人型確定拠出年金(イデコ)を取り扱う金融機関を比較します」を参考にしてください。
iDeCoで購入できる投資信託の取り扱い本数はオリジナルプランで38本、セレクトプランで37本。このラインナップは、iDeCoを取り扱う金融機関の中でもトップクラスです。
「できるだけ信託報酬が安く、なおかつ運用パフォーマンスの高いもの」「できるだけ自分の好みに合ったもの」など、投資条件にあったものを選択するためには、投資信託の選択肢の幅が広い金融機関を選ぶのがベスト。
また、SBI証券ならiDeCoの口座管理手数料も無料!
SBI証券に口座を開設するならSBI証券を紹介した詳細記事をお読みください。
まずは「こんなファンドで運用したい!」とファンド主導で加入金融機関を考える必要があるんだ。
iDeCoに加入するなら楽天証券もおすすめ!
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入するなら、楽天証券もおすすめです。
その理由は次の通り。
- 口座(運営)管理手数料が無料
- 証券口座と一括管理が可能
- 信託報酬が低く運用に適した投資信託が多い
楽天証券もSBI証券と同じく口座管理手数料が無料なので、低コストで個人型確定拠出年金を積み立てることができます。
またユーザーにとって嬉しい機能が、証券資産と年金資産を1つのIDで管理できるところ。
一目で資産状況が確認でき、資産を一元管理も簡単です。
投資信託の本数はSBIと比較してやや少なめではありますが、信託報酬が低い投資信託が多く、安定した資産形成にピッタリの充実したラインナップになっています。
楽天証券はこちらから口座開設ができます。
iDeCoの口座の変更には手間もお金もかかる。慎重に選べよ!
個人型確定拠出年金(iDeCo)で資産を安定的に増やす工夫を
長期間運用するiDeCoでは、信託報酬等のコストがなるべくかからない投資信託を選びましょう。
また、リスク回避のためには、アセットアロケーションで資産配分を決める必要があります。
さまざまな資産クラスの商品を分散して保有することで、将来の年金を安定的に増やすことが可能です。
iDeCo対象商品は、各金融機関でラインナップが異なります。
「口座を開設した金融機関では購入したい投資信託の取扱がなかった!」という事態がおきないように事前に商品を確認しておきましょう。
この記事を参考に、iDeCoで投資信託の運用を始めてみてくださいね。
投資信託を選ぶときに、きっちりチェックしろよ。