個人型確定拠出年金制度はiDeCo(イデコ)とも呼ばれていますが、自分で年金を積み立て、その掛金を運用することができる制度です。
また運用している投資信託で利益がでたら、通常は20%もかかる税金が全て非課税になってとてもオトクです。
しかし投資信託を購入するとき気を付けなければならないのは、金融商品の値動きによる損失です。せっかくの大切な老後の資金を増やすどころか、大きく減らしてしまっては元も子もありません。
そんなことにならないため「アセットアロケーション」というリスク回避の考え方が必要になります。
この記事では投資信託の基本「アセットアロケーション」の解説と、個人型確定拠出年金で運用するときの「リスク許容度別おすすめアセットアロケーション」を紹介します。
個人型確定拠出年金(イデコ)の投資信託の選び方
個人型確定拠出年金は自分で年金を積み立て、さらに運用することができる年金制度です。
個人型確定拠出年金のメリットとデメリットについて詳しい解説は「【確定拠出年金】iDeCo(イデコ)とは!メリットとデメリットを紹介」を参考にしてください。
ただ個人型確定拠出年金で投資信託を運用するなら、将来的に安定した資産形成ができるかどうかが最も気になるポイントですね。
いくら投資信託が元本保証がないことが前提だとはいえ、元本割れのリスクはできるだけ抑えたいのは当然です。
そこでリスクをできるだけ低く抑え、安定的な運用をしていくためにまず始めに考えるべきことが「アセットアロケーション」なのです。
まずはアセットアロケーションを理解しよう
アセットアロケーションとは資産配分のことで、投資信託の運用を考える上で欠かすことができない要素です。
資産を偏った対象に投資するのではなく、運用対象(アセット)を分散させることでリスクを回避し安定した資産形成をめざします。
代表的なアセットには国内株式、国内債券、国内REIT、海外株式、海外債券、海外REIT、コモディティなどがあります。
上記のようなアセットはそれぞれ景気や社会情勢によって別々の動きをします。そのためいろいろなアセットを組み合わせることによって、急激な価格変動のリスクを軽減させることができるんです。
株式タイプの投資信託のみを購入している場合より、債券タイプの投資信託と抱き合わせて購入しているほうが、(景気が悪化し株式が暴落したときなどは、債券がディフェンスとして機能するので)大きく資産を減らすことがないという仕組みです。
まずは個人型確定拠出年金の全体の掛金のなかから、元本確保型の定期預金に預ける配分を差し引き、投資信託で運用する分を100%とします。
この100%の資産を、自分のリスク許容度に合わせ、アセットごとに振り分けて投資していくことで、元本変動型の投資信託のデメリットを緩和させることができるんです。
個人型確定拠出年金でおすすめのアセットアロケーション例
個人型確定拠出年金で投資信託を購入する場合必要な考え方は、長期的に運用することで利益を出すことを目標とし、価格の変動による損失をできるだけ抑えること。
そこでアセットアロケーションを組む必要があるのですが、アセットアロケーションにもさらに「リスク許容度」があります。
リターン(利益)とリスク(損失)は表裏一体です。
リターンが高いということは、基準価額の変動が激しく、同時に損失のリスクも高いということ。逆にリスクが低いということは、価格変動の波が穏やかなのであまり大きく資産が増えることがありません。
おすすめアセットアロケーション【リスク低め】
リスクが低めで堅実な運用方法です。
国内外の債券が8割を占めているのが大きなポイント。残りの2割に安定的な国内株式と先進国株式を組み入れているので安心です。手堅く運用したい人におすすめです。
個人型確定拠出年金を定期預金に預け入れず、投資信託の運用中心に考えている人などは、むしろこのくらい保守的なアセットアロケーションのほうがいいかもしれません。
おすすめアセットアロケーション【リスクやや低め】
これも、債券が6割を占め、価格変動に左右されにくいアセットアロケーションです。
残りの資産配分も日本と先進国の株式、REIT※なので比較的安定しています。
不動産投資信託のこと。賃貸料や不動産売買によって得られた利益を投資家に還元します。
REITは安定した配当が魅力。また、実際の不動産投資とちがい、不動産や株の専門知識がなくても購入できるREITは、手軽に購入できるので人気の投資信託です。
REITは一般的に、株式や債券とも連動性がない値動きをするため、分散投資をするうえで適しています。
またREITは不動産という「モノ」に投資するため、物価と連動する傾向が強いことが特徴。つまりインフレに強い投資対象なんです。
しかしREITのデメリットもあります。
また大規模な地震や火事、災害にも弱いのがREITの弱点。そのため資産配分はあくまでもREIT主導で考えず、割合は控えめにしておくのが堅実でしょう。
おすすめアセットアロケーション【リスク中程度】
これはリスク許容度が中程度、「あまり冒険はしたくないけど利益もそこそこ期待したい」という人向けのおすすめのアセットアロケーションです。
安定的な日本と先進国の株式と債券、国内REITで8割を占めていますが、残りの2割に新興国株式と債券を配置し、ややリスクを取る構造になっています。
新興国への投資信託は確かに冒険ではありますが、これから伸びしろがあり、経済が頭打ちの先進国より大きな経済成長が見込めるため、投資家には期待の的になっています。
個人型確定拠出年金を受け取るのは今ではありません。20年後や30年後の世界を想像してみると、今割安な新興国への投資は絶好のチャンスともいえます。
おすすめアセットアロケーション【リスクやや高め】
このアセットアロケーションは、もう少しリスクを取ってでも利益を増やしたい人向けの一例です。
全体の50%を株式が占め、それに対して債券は25%(株式:債券が2:1)なので、積極的に利益を取っていきたい、運用に意欲的な人におすすめです。
その一方で、残りの25%で株式や債券の動きとは連動しにくいREITがリスクヘッジ(リスク回避)として機能しているのがポイント。
アセットアロケーションはシンプルでほったらかしより、手をかけていろいろな商品を組み入れていったほうが、全体の運用パフォーマンスも上がります。
リスクを取りつつもある程度リターンを狙った運用は、運用成績が数字になって目に見えるため、だんだんと楽しみになっていくものです。
おすすめアセットアロケーション【リスク高め】
これは日本や先進国、新興国の株式が8割を占める、リスクとリターンの高いアセットアロケーションの一例です。
株式とREITのみなので不安定さが際立つ配分になっていますが、世界各国の株価暴落が一度期にやってくる可能性は低いことから、「地域に対する分散投資」といえます。
世界レベルの金融恐慌が起こりえないわけではありませんが、起きたとしても世界恐慌が何十年にも渡って続くことは考えづらく、基準価額が暴落しても一時的なこと。長期投資をする人にはさほど大きな問題とはなりません。
多少リスクはありますが、個人型確定拠出年金の掛金のうちから定期預金に預ける割合が多い人の場合、このくらい「攻め」重視の配分を選んでもいいでしょう。
投資信託には好調なときと低調なときが必ずある。低調なときは資産が減って苦しいが、少し待っていると状況が好転することがよくある。リスクを高めに設定している人ほど、すぐ損切りしないことがポイントだ。
理想的なアセットアロケーションのために金融機関選びが重要!
理想的なアセットアロケーションを組んでも、アセットに組み入れるピッタリの投資信託を見つけなければ実現しません。
ピッタリの投資信託を見つける第一歩は、たくさんの対象商品を持っている証券会社で口座を作ることです。
個人型確定拠出年金の金融機関選びに迷ったら「個人型確定拠出年金(iDeCo)を取り扱う金融機関を比較します」を参考にしてください。
iDeCo口座はSBI証券がおすすめ
そこで個人型確定拠出年金におすすめなのが、対象の運用商品が多いSBI証券です。
SBI証券なら個人型確定拠出年金の対象になっている投資信託の数が多いだけでなく、投資信託の信託報酬も最安クラス。
さらに個人型確定拠出年金の口座管理手数料が無料です。
運用コストを低く抑えたい人はSBI証券で決まりですね!
これから個人型確定拠出年金を始めようと思っている人はSBI証券と詳細記事を参考にし、口座開設を検討してみてください。
楽天証券のiDeCoは使いやすさが自慢!
個人型確定拠出年金に加入するなら、楽天証券もおすすめです。
楽天証券とSBI証券は甲乙つけがたく、どちらもサービスで引けをとりません。
楽天証券も口座管理手数料が無料なので、コスト面でも満足できます。
また証券資産と年金資産を1つのIDで管理できる機能は、一目で資産状況が確認でき、とても使いやすくなっています。
投資信託の本数はSBIと比較して少ないながら、対象投資信託の信託報酬が低いものが多く、安定した資産形成に最適です。
楽天証券はこちらから口座開設ができます。
投資信託はアセットアロケーションでリスク回避が基本
個人型確定拠出年金で資産を運用するなら、長期投資目線で資産を増やす必要があります。リスクを回避しつつ安定的に利益を取っていくなら分散投資が必須です。
自分がどれくらいの利益を望んでいるか、どれくらいの損失に耐えられるかをよく考えた資産配分を組み、それに合わせた投資信託を購入することがもっともおすすめの資産運用方法です。
長期投資は「地域」や「資産クラス」によってしっかり分散投資することが基本。1~2本の少ない投資信託で一極集中の投資を行うことは極めて危険だと自覚し、しっかりリスク回避策を取りましょう。