2017年5月、特定外来生物である「ヒアリ(火蟻)」が国内で初めて確認されて以来、フマキラーなど害虫駆除関連の事業を行う企業で株価が上昇しています。
現在神戸、名古屋、大阪などで確認されている「ヒアリ」。
今後ヒアリの発見が相次いだ場合、日本の株式市場にまだまだ影響を与える可能性が高いです。
この記事ではヒアリが発見されている場所やヒアリとはどんなアリなのか、その発見により株価が上昇している「ヒアリ関連銘柄」を紹介しますね。
ヒアリ関連銘柄の株価が上昇!害虫駆除関連の事業に注目
ヒアリの発見により株価が上昇する可能性があるのは、害虫駆除関連銘柄。殺虫剤を取り扱う企業のうち、注目しておきたい企業を紹介しますね。
証券コード | 企業名 |
---|---|
4998 | フマキラー |
4985 | アース製薬 |
4951 | エステー |
4912 | ライオン |
6073 | アサンテ |
4651 | サニックス |
これらの企業がなぜヒアリと関連するのか、またヒアリの影響で株価がどのように変化したかをそれぞれ詳しく紹介します。
<4998>フマキラー
「日用品質 ふだん使うものにこそ、もっとクオリティを。」をスローガンとして掲げるフマキラーは殺虫剤国内3位の大手企業です。
殺虫剤だけでなく、花粉対策品や家庭用品、園芸用品なども取り扱っています。
2014年以降の業績も右肩上がりなので、中長期保有にも向いている銘柄です。
また今回のヒアリだけでなく、2011年に東京都大田区内にて確認された特定外来生物アルゼンチンアリの防除作業時も、環境省や独立行政法人国立環境研究所と提携し、防除手法の開発に協力していました。
今回の株価急伸も、迅速な対応があったからこそ。
このようにフマキラーは特定外来生物の確認に対し、商品提供や情報発信など、いち早い対応を行うため、こういった事態には株価が上昇しやすい銘柄だと言えます。
<4985>アース製薬
大塚グループであるアース製薬は殺虫剤国内トップの大手企業。連結子会社にはバスクリンやアース・ペットなどを置いています。
そのため、殺虫剤だけでなく家庭用品の取り扱いも。
フマキラーとは異なり株価が変動しやすいので、短期向きの銘柄となります。
今回のヒアリ発見において、アース製薬は地方自治体などに殺虫剤の提供などを行っていなかったため急上昇には繋がりませんでした。
これ以外にも特定外来生物などへの対応に関しては、情報発信は行っているものの商品提供などは行っていないため、株価の上昇が見込めない場合が多いです。
ヒアリを含め特定外来生物への対応を今後どのように行うかによっては株価が上昇する可能性もあるので、値動きを把握しておきたい銘柄です。
<4951>エステー
エステーは衣類防虫剤トップ、家庭用消臭芳香剤2位の日用品メーカーです。
フマキラーとは提携関係にあるため、今回のヒアリ国内初確認においても株価は上昇しています。
エステーもフマキラーと同様に、中長期保有に向いている銘柄です。
ヒアリなどの特定外来生物に対してエステーが特別な対応を行っているわけではないので、株価は上昇するとしても一足遅れることが予想されます。
<4912>ライオン
大手家庭用品メーカーのライオンは、歯磨き関連用品で国内トップレベル。そのほかバファリンなどの薬や衣類ケア用品にも力を入れています。
バルサンなどの殺虫剤も取り扱っているため、ヒアリ発見直後は株価が上昇。
しかしライオンもヒアリに対して特別な対応を行っているわけではないので、6月末以降はヒアリ発見前の株価に戻りつつあります。
<6073>アサンテ
アサンテはシロアリ防除の売り上げ全国一位の企業。
ヒアリ初確認以降も株価は上昇トレンドにあり、中長期保管にも向いている銘柄です。
<4651>サニックス
サニックスは太陽光発電設備工事の大手ですが、もともとは建物の防虫・防腐に関する事業で創業しており、現在でもシロアリ防除サービスも行っています。
今回のヒアリ発見後すぐの株価の上昇はみられませんでしたが、7月に入ってからは上昇しているようです。
しかしシロアリ以外の害虫駆除も手掛けているため、注目はしておきたいですね。
この項目ではヒアリの発見で注目すべき銘柄について紹介しましたが、そもそもヒアリにはどのような危険性があるのでしょうか。
現在日本のどこでヒアリが発見されているのか、ヒアリがどんな生物なのかについて、次の項目で説明していきますね。
今後、ヒアリがどれだけ発見されるかにもよって株価が上がるかどうかが決まってくるだろうな。株価に絶対なんてものはないから、常に情報収集しながら判断する必要があるぞ。
特定外来生物「ヒアリ」、日本に現る!
2017年5月26日に兵庫県尼崎市で発見されたアリが、専門機関の調べにより「ヒアリ(火蟻)」であることがわかりました。
ヒアリが国内で確認されたのは、これが初めて。
これを受け緊急調査を行ったところ、6月16日に同県神戸市(神戸港)にて発見されたアリもヒアリであると確認されました。
6月27日には愛知県弥富市(名古屋港)で、6月29日には大阪府大阪市(大阪港)でそれぞれヒアリが発見されています。
これらのヒアリが発見されたのはいずれも、中国広東省広州市の南沙港から持ち込まれたコンテナです。
現在環境省は国土交通省の協力のもと、全国7つの港湾区域で調査を行っています。
「殺人アリ」とも呼ばれるヒアリの特徴
ヒアリ(火蟻)は、猛毒を持つ特定外来生物。全体は赤茶色で腹部が濃く黒っぽい赤色、体長は2.5~2.6ミリの小型のアリです。
「殺人アリ」とも呼ばれるほど毒性が強く、毒針で刺されると火傷のような激しい痛みが生じ、アナフィラキシーショックで最悪死に至るケースも。
ヒアリは南米中部原産ですが、アメリカや中国、台湾、フィリピンなどにも生息ており、人体に被害を及ぼすため世界各地で大きな問題となっています。
またヒアリによく似た「アカカミアリ」という特定外来生物も、毒性を持つアリです。体長は3~5ミリで、全体は赤褐色で頭部が褐色。ヒアリに比べ毒性は低いものの、刺されると激しい痛みが生じ、水泡状に腫れます。
こちらは以前から日本への侵入が確認されていますが、あわせて注意が必要です。
ヒアリを発見したら地方環境事務所に通報!緊急時は殺虫剤を使おう
もしヒアリと思われるアリを見つけた場合は、殺虫剤を利用しましょう。毒性が強いとは言え、殺虫剤に対して特別強いわけではありません。通常のアリ用殺虫剤でも効果があると考えられています。
ただし先ほどもいったようにヒアリは毒性が強く最悪死に至るケースもあるので、ヒアリを発見したら、無理に自分で処理するのではなく地方環境事務所などに通報するようにしましょう。
フマキラーによるとアカカミアリに対するフマキラー製アリ用殺虫剤については、効果がすでに確認されているようです。しかしヒアリに比べ毒性は低いとはいえ毒針を持っているには変わりないので、発見した場合は地方環境事務所などに通報してくださいね。
殺虫剤メーカーの株価は要チェック!株式市場にも影響を及ぼすヒアリ
しかし、今後ヒアリの生息が確認される地域が増えない、とも言い切れません。ヒアリが確認される地域が増える可能性を考えると、殺虫剤メーカーの株の把握しておきたいですね。
特にフマキラーやエステーは引き続き、注目していきたい銘柄です。
ヒアリは「殺人アリ」とも言われ、刺されると最悪の場合死に至ることもあります。ヒアリ関連銘柄の株価の変動を見るためだけでなく、自分の身の安全のためにもヒアリの発生情報はこまめにチェックするようにしましょう。