「決算短信」とは、四半期ごとの決算発表の内容をまとめた、速報のようなものです。
経営活動における財務上の結果を報告する財務諸表の概略やその期の配当金状況、企業が出した業績予想などが記載されています。
決算短信が発表されると、株価が変動しやすくなります。投資家が決算短信を読み、株の売買を行うからです。
株を売買するなら、その企業を分析する必要があります。そこで分析材料のひとつとして欠かせないのが、決算短信です。
しかし「はい、どうぞ」と渡されても、簡単に読み取れるものではありません。決算短信を材料として最低限活用できるよう、決算短信の概要と読み方のポイントを4つ紹介します。
決算短信とは、決算発表の内容をまとめた速報
決算短信とは、企業の決算発表の内容の要点をまとめた書類です。
似た書類に「有価証券報告書」があります。有価証券報告書には決算の詳細情報が記載されますが、発行は決算発表の3ヶ月以上あと。
そこで投資家にいち早く決算内容を知らせるために作成されるのが、この決算短信です。
決算短信は大まかに分けると「サマリー情報(短信部分)」と「添付資料」、2つの項目で構成されています。とは言っても、最初の1~2ページ以外は全て「添付資料」。よって最も注目すべきは、次のような「サマリー情報」にあたる最初のページなのです。
気になる企業があればチェックしてみてくれ!
次の項目から、この短信部分を読む上で特に注目すべき4つのポイントを紹介していきますね。
決算短信の読み方
決算短信には財務三表と言われる「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」の概略と、配当金や業績予想に関する内容が記載されています。なかでも注目すべきポイントは次の4つです。
それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。
決算短信のポイント1「連結経営成績」
損益計算書の概略にあたる、「連結経営成績」について説明します。
連結経営成績には「売上高」「営業利益」「当期純利益」など、企業の経営状況を知る上で必要になる基礎情報が載っています。当期決算の数値だけでなく、その下に記載される前期決算の数値も見ておきましょう。
各項目の右側に書かれているのは、それぞれ前期からの伸び率です。前期と比較して売上高や利益が増加している企業は、次の期でも業績が好調になる可能性が高いといえます。
売上高が増加したら「増収」、利益が増加したら「増益」となり、増収増益になった企業は株価も上昇しやすいです。
ただし当期純利益には本業以外の儲けも含まれるので、「営業利益の伸び率は低いのに、当期純利益の伸び率だけが高い」という企業は、さらに詳しい内容のチェックが必要です。
決算短信のポイント2「連結財政状態」
貸借対照表の概略にあたる、「連結財政状態」を見てみましょう。
連結財政状態ではおもに、総資産に対する総資本の割合を見ます。その割合が書かれているのが「自己資本比率」。
数値だけを見れば70%以上なら理想企業ですが、自己資本比率が高ければ良い、というわけではありません。
業績を拡大させる活動が十分にできていないと、「資金を有効活用してない」と市場がみなす場合があります。
自己資本比率は業種によっても異なりますが、どの業種でも10%を下回るようなら、資金繰りが滞っている可能性があるので注意が必要です。
また同業他社と比べて、あまりにも数値が低い場合も注意しましょう。
決算短信のポイント3「連結キャッシュ・フローの状況」
キャッシュフロー計算書の概略にあたる、「連結キャッシュ・フローの状況」について説明します。なかでも「営業活動によるキャッシュフロー」に注目しましょう。
営業活動によるキャッシュフローでは、本業における現金の増減を表しています。健全な運営を行っているなら、通常この項目の数値はプラスです。
もしマイナスになっているなら本業の活動が上手くいっていない可能性が高いので、株の購入は控えましょう。
決算短信のポイント4「連結業績予想」
当期の業績ももちろん知っておきたいですが、最も知りたいのは次期の業績がどうなるか。投資家はこれらの数値からその企業が今後「どれだけ儲けることができるか」「どれくらい成長できるか」を読み取り、株価の売買を行います。
業績予想は今期との増減に注目しましょう。もちろん「予想」なので、必ずこの通りになるわけではありません。あくまでも企業が掲げた「目標」のようなものです。
しかしこの業績予想を見て、投資家たちが「無理がある」もしくは「来期も問題なさそうだ」と判断して株の売買を行うため、株価の上昇・下落が起こります。
また短信発表直前に、業績予想に修正をかける場合も。
だから「連結」の記載がない企業もあるんだ。
決算短信を読んで企業を分析しよう!
あくまで決算短信は、企業を分析する材料のひとつ。
しかしポイントを押さえた上で、「決算短信を読む」「株価の変動を見る」を繰り返せば、自分なりの予想ができるようにもなり、優良銘柄を判断するための材料も増えるのです。
また四季報や証券アナリストの予想なども併せてチェックし、決算短信の内容と比較してみましょう。四季報の読み方については「会社四季報の読み方をマスター!株式投資に必要な指標をチェック」にて詳しく紹介しています。
最初から完璧に読み取るのが難しくても、読まなければ理解はできません。まずは決算短信を読み慣れることから始めてみてくださいね。