eワラントとは、「特定の期日に特定の価格で株式などを売買する権利」を取り扱う商品です。
例えば、「3カ月後に2万円で日経平均を買える権利」などが売買されています。
3カ月後に日経平均が2万円を超えそうだ、と予測する人が多ければそのeワラントの値段は上昇。eワラントが値上がりしたときに売却できれば、利益を出すことができます。
eワラントは少額から投資が始められるのが大きなメリット。
また、上げ相場でも下げ相場でも利益が上げられる、大きなリスクなくレバレッジ取引が可能などの特徴も。
この記事では、eワラントについて詳しく説明していきます。
eワラントを購入するときに注意する点についても紹介しますのでぜひ参考にしてください。
eワラントとは?eワラントの種類や利益を出す方法も説明
eワラントは「カバード・ワラント」という金融商品。「買う権利」「売る権利」を取り扱う商品です。
eワラントの種類は次の通り。
- コール型・プット型
- ニアピン
- レバレッジトラッカー
- トラッカー
もっとも一般的なコール型・プット型のeワラントについて次から詳しく説明します。
コール型・プット型のeワラントは上がるか下がるかを予測する
コール型・プット型のeワラントは、「投資対象となる資産(原資産)が、ある特定の日(満期日)までに、ある価格(権利行使価格)まで、上がるか(コール)、下がるか(プット)」を予測して購入します。
例えば、日経平均株価が値上がりして、2019年10月に20,500円を超えているはずだと予測するなら、「日経平均 コール 20,500円 2019/10/09」という商品を購入すればOK。
eワラントで利益を出せるパターンは次の2つです。
- eワラントが値上がりしたタイミングで売却できたとき
- 満期時の受取金が、購入金額より高かったとき
まず、どんなときにeワラントは値上がりするのか見ていきましょう。
eワラントは、基本的には原資産の株価の動きに影響を受けて値動きする仕組みになっています。
つまり、原資産が「日経平均株価」のeワラントの場合、日経平均株価が上がればコール型のeワラントは値上がり、逆に日経平均株価が下がればプット型のeワラントが値上がりするのです。
満期日が近づくと、原資産が値上がりしていても、eワラントの価格が下がることがあるので注意が必要です。
満期日が近づくと、予測が当たりそうか外れそうか、見当がついてきます。
予測が外れそうだ、となった場合はそのeワラントの価値が下がり、価格は下落してしまうのです。
また、eワラントは満期日まで保有した場合、次のような条件を満たせば受取金がもらえます。
- コール型を購入し、原資産価格>権利行使価格となったとき
- プット型を購入し、原資産価格<権利行使価格となったとき
受取金の金額が、eワラントの購入金額を上回っていれば、その差額分が利益になるのです。
それより、eワラントの価格が値上がりしたら、満期を待たずに利益確定するのが一般的なやり方だぞ。覚えておけよ!
その他のeワラント(ニアピン、レバレッジトラッカー、トラッカー)を紹介
eワラントにはその他に、ニアピン、レバレッジトラッカー、トラッカーという商品があります。
ニアピンeワラントは、日経平均や円米ドル相場の価格を当てる商品。
予想価格がぴったり当たった場合や、予想価格がある一定の範囲内におさまった場合は、受取金がもらえます。
レバレッジトラッカーも、コール型・プット型と同様、相場の方向性を予測する商品。
対象原資産の値動きのほぼプラス5倍で値動きする「プラス5倍トラッカー」と、対象原資産の値動きのほぼマイナス3倍で値動きする「マイナス3倍トラッカー」があります。
大きな幅で値上がり・値下がりが期待できる商品です。
一方、トラッカーにはレバレッジはなく、リスクは低め。
それでいて、コール型・プット型のeワラントよりも満期日までの期間が長いので、中長期で投資するのに向いています。
自分の投資スタイルや、相場の状況に合わせて使い分けるとよいでしょう。
eワラントのメリット・デメリットを説明
eワラントにどのようなメリットがあるのか次から見ていきます。
- 数千円から投資が可能
- 上げ相場でも、下げ相場でも利益があげられる
- レバレッジ取引ができる
- 投資対象が豊富
- 取引時間が長い
- 損失が限定されており、追証がない
eワラントは少額から始められるのが大きなメリットです。
大半のeワラントの価格は1~100円程度。最低取引単位が1000ワラントなので、数千円から1万円程度で購入できるものがほとんどです。
また、「コール」「プット」の2種類があるので、原資産が値上がりした場合、値下がりした場合、どちらでも利益を上げられる可能性があるのも特徴。
レバレッジを効かせて効率的に稼ぐことができるのも魅力です。
投資対象は、日経平均などの株価指数のほか、国内株式、外国株式、為替など種類は豊富。
取引時間は、平日9時から23時50分までと長く、仕事が終わった後でも十分に取引できます。
eワラントは、投資金額のすべてが損失になる可能性はありますが、投資金額を超えて損失が出ることはありません。
一方で、eワラントのデメリットは次の通り。
- 取引が停止されることがある
- スプレッドが一定ではない
- 購入したい商品がないこともある
- 取扱証券会社が少ない
株価に大きな影響がある発表があった場合、関連する銘柄のeワラントが取引停止になることがあるので、注意が必要です。
このときは購入のみではなく保有銘柄の売却も不可。
利益を出せるタイミングで、自由に売却できない可能性があるのはデメリットです。
また、eワラントは「販売価格」「買取価格」という異なる値段で売買されるので、その差額である「スプレッド」が自動的に引かれます。
このスプレッドの価格は一定ではなく、取引時間や原資産の流動性によって大きくなったり小さくなったりすることがあるので、取引のタイミングをよく考えないといけません。
eワラントは、日経平均などのメジャーな銘柄であれば満期日や権利行使価格のバリエーションが多いのですが、バリエーションが少ない銘柄もあります。
「この銘柄の、3カ月後満期、権利行使価格〇〇円のものを買いたい」と思っても、ぴったり条件に合う商品がない可能性も。
eワラントの取扱証券会社は、SBI証券とEVOLUTION JAPAN証券のみ。このどちらかに口座がなければ取引できません。
eワラントがおすすめなのはこんな人!憧れの値がさ株にも投資できる
eワラントは、次のような人におすすめできます。
- 株価が高い銘柄に投資したいが資金が少ない人
- レバレッジを効かせた投資をしたいが、追証が怖い人
- 保有株式の下落に備えて対策をしたい人
トヨタ自動車やキーエンスなど、株価が高い「値がさ株」に投資をしてみたいが、資金が足りないという人にはeワラントがおすすめ。
一方で、キーエンスのeワラント「2019年10月9日満期 権利行使価格6万円 コール」の1ワラントあたりの価格は8.81円。
eワラントは1000ワラント単位での取引になるので、キーエンスのeワラントを購入するのに必要な資金は8,810円です。
また、レバレッジ※取引をしたいが、リスクはなるべく減らしたいという人もeワラントにチャレンジするといいでしょう。
小さな力で大きな物を動かすことができる「てこ(レバー)」が語源。証券会社に証拠金を預け、その証拠金の何倍もの大きな取引を行うことを指します。
eワラントは、レバレッジを効かせた投資が可能な一方で、損失が限定されている点がメリットです。
投資した金額が0になる可能性はありますが、それ以上の損失は発生しません。
株式の信用取引や日経225先物取引、CFD取引などもレバレッジをかけることが可能ですが、これらの金融商品には一定の証拠金が必要で、損失が膨らんだ場合、追証※が必要になるのが怖いところ。
口座の時価評価総額(持っている商品の評価額)が必要証拠金を下回ってしまった場合、不足分を追加で入金すること。
eワラントは、他のレバレッジ商品よりは安心して投資できます。
また、eワラントは、保有している株式のリスクヘッジとしても活用が可能。
保有株式の下落が心配だが、売却してしまうのはもったいない、というときには、保有株式を原資産とするプット型のeワラントを購入すればOK。
株価が下落すると、プット型のeワラントの価格は上昇するので、損失分を穴埋めすることができます。
eワラントにチャレンジするときの注意点!はじめは低リスク商品から
eワラントにチャレンジするときには、次の点に気をつけましょう。
- はじめは低リスクの商品を選ぶ
- 利益が出たときには確定申告をする
それぞれ見ていきます。
eワラントにチャレンジするときの注意その1:はじめは低リスク商品を選ぶ
eワラントは、一般的に株式などに比べて値動きが大きく、リスクが高い商品です。
初心者の人は、eワラントの中でも低リスクの商品から始めるのがおすすめ。
とはいえ、eワラントは種類が豊富で、どれを選んでいいのかわかりにくいですよね。
次で初めてのチャレンジにおすすめのeワラントを紹介します。
- 日経平均を原資産とするもの
- 満期日が3カ月~6カ月先のもの
- レバレッジ(実行ギアリング)が3~5倍程度のもの
- 原資産価格が、権利行使価格をすでに達成しているもの
日経平均は、最も身近で予測がしやすい指数。
初心者はまずは日経平均のeワラントからチャレンジしてみましょう。
満期日や権利行使価格のバリエーションも豊富なので、希望のものを購入しやすいです。
満期が近いeワラントは値動きが大きいので、初心者は満期日が3カ月~6カ月程度先のものを選んでください。
レバレッジも必ずチェックしておきましょう。3~5倍程度のものがリスクが低くおすすめ。
原資産価格が、すでに権利行使価格を達成しているものもリスクが低いので、探してみてください。
eワラントにチャレンジするには、SBI証券もしくはEVOLUTION JAPAN証券の口座を開設しておく必要があります。
SBI証券について、詳しく知りたい人は「人気のSBI証券!特徴から口座開設方法まで徹底紹介します」の記事も参考にしてくださいね。
eワラントにチャレンジするときの注意その2:確定申告を忘れずにする
eワラントで利益が出た場合は、確定申告で利益を申告し、納税する必要があります。
税率は、株式の売却益などと同様に20.315%。
ただし、会社員でeワラントの年間の利益が20万円以下の人は申告不要です。
また、eワラントで損失が出たときは、「先物取引にかかる雑所得等」の損益通算ができるので覚えておきましょう。
eワラントと損益通算ができるのは、FX、日経225先物、日経225ミニなどです。
株や投資信託とは損益通算できないので気をつけてください。
eワラントの損失は3年まで繰越が可能です。この場合、毎年確定申告が必要なので忘れないようにしましょう。
eワラントで投資のバリエーションを増やそう
eワラントは、「買う権利」「売る権利」を取り扱う金融商品。
コール型・プット型eワラントは、満期日に、原資産の価格が権利行使価格より上回っているか、下回っているかを予測して商品を購入します。
eワラントの価格が上がったときに売却するのが一般的な利益の出し方。
eワラントは、少ない資金で値がさ株に投資したい人、大きなリスクを取らずレバレッジ取引をしたい人、保有株式の下落に備えて対策をしたい人におすすめの商品です。
メリット・デメリットをよく理解した上で、eワラントにチャレンジし、投資のバリエーションを増やしてみてくださいね。