株価が上がれば儲かるのは当然ですが、下落相場でもソツなく儲けることができたら嬉しいですよね。
もちろん信用売り(空売り)という手があります。しかし株の初心者だと「信用取引口座を作っていない」「信用取引ってなんだか怖い」と、信用取引にはなかなか手を出しにくいものです。
そこで現物取引でも「空売り」と同じ効果を得られる、インバース(ベア)型ETFを紹介します。
この記事ではインバース型ETFとは何か、メリットやデメリット、効果的な使い方、おすすめインバース型ETFをわかりやすく解説。
このETFを知っておくだけで、もう下落相場は怖くありません。下落相場もうまく利用して、効率よく資産を増やしましょう。
インバース(ベア)型ETFとは?
ETFとは投資信託が上場し、普通の株式のように取り引きできる金融商品です。
ETFの特徴については「ETFとは?仕組みやメリット」で詳しく解説しています。
そもそも投資信託には、日経平均株価やTOPIXなど株価指数に連動するように作られたインデックスファンドがたくさんあります。
インデックスファンドについての詳しい解説は「インデックスファンドとは?特徴や仕組みをわかりやすく解説!」を参考にしてください。
しかし日経平均インデックスとは逆に「日経平均インバース・インデックス」のような、通常の株価指数と反対の動きをするように作られた指数も。
この指数に連動する投資信託を、インバース型インデックスファンドといいます。
インバース型ETF※は、このようなインバース型インデックスファンドが証券取引所に上場しているイメージの金融商品です。
日々の騰落率を原指数の騰落率の-1倍として計算されたインバース・インデックスという指数に連動するETFのこと。
インバースとは「逆」「反対の」という意味があり、その名の通り日経平均株価やTOPIXなどの原指数と反対の値動きをします。
熊が爪を振り下ろすような下落相場で利益がでることから、ベア型ETFとも呼ばれています。
インバース型ETFには日経平均のほかに、TOPIX、JPX日経400、ハンセン中国企業株指数などと反対の動きをする指数に連動するETFがあります。
インバース型ETFは日経平均を空売りするのと同じ効果が!
たとえば日経平均株価と逆の値動きをする「日経平均インバース・インデックス」に連動するように作られたETFに、<1571>日経平均インバース上場投信があります。
つまりこの株を購入した場合、日経平均を「空売り※」するのとほぼ同じ効果があるということです。
株の信用取引における取引方法の一つで、「信用売り」ともいわれます。信用売りで株を売建てることで、相場の下落局面でも利益が得られるメリットがあります。
ただリスクも大きく、株の初心者には注意が必要です。空売りについての詳しい解説は「信用買い、空売りとは?」を参考にしてください。
インバース型ETFは空売りとは違い、追証や逆日歩(ぎゃくひぶ)が発生することはなく、貸株料もかかりません。空売りのメリットはそのままに、リスクを低減させることができるのがインバース型ETFなのです。
日経平均株価がなんらかの理由で「下がりそうだ!」と判断されるとき、ぜひ買っておきたいですね。
下げ相場を利用!ダブルインバースETFで利益を2倍に
しかしインバース型ETFよりもっと効率よく利益が出たら嬉しいですね。そんな期待にしっかり応えてくれるのが「ダブルインバース型ETF※」です。
日々の騰落率を原指数の騰落率の-2倍として計算されたダブルインバース・インデックスという指数に連動するETFのこと。
例えば日経平均株価が「-10%」になれば、ダブルインバース型ETFは「+20%」に、「-20%」になれば「+40%」になるということです。
このようにもとの指数より大きな値動きが期待できるので、ダブルインバース型ETFは短期的に効率よく利益を得られる手段として人気を集めています。
レバレッジ型のETFについて詳しい解説は「<1570>日経レバレッジETFとは!人気のETFの仕組みと特徴」を参考にしてください。
インバース型ETFの効果的な使い方
インバース型ETFは原指数と反対の値動きをするETFです。
その特性を生かした使い方には、次のようなものがあります。
- 相場の下落が予想されるときの利益を上げる手段として
- 指数連動型ETFのリスクヘッジとして
- 持っている株式や投資信託の「つなぎ売り」として
インバース型ETFのさまざまな使い方について詳しく解説します。
相場の下落を察知したらインバース型ETFを買え!
景気の動きや企業の元気度を映す鏡ともいえる経済指標の落ち目のときは、どんな投資家でも消極的になりがちです。
しかしそんな落ち目を狙い、インバース型ETFに買いを入れ積極的に市場参加してみてはいかがでしょうか。
日本の景気が悪くなる原因は、地政学リスク※や円高、ニューヨーク・ダウの低迷に引きずられるなどさまざま。
テロや戦争、財政破綻など、政治的・軍事的な緊張の高まりが、経済の先行きを不透明にし、あらゆる地域の経済に影響を及ぼすこと。
いずれも毎日の新聞やニュースにおいてこまめな情報収集が大切です。下落の兆候を素早くキャッチし、相場を勝ち抜けましょう。
インバース型ETFは指数連動型ETFのリスクヘッジとして活躍!
すでにETFを保有しているときに相場の下落を予測した場合、インバース型ETFはリスク回避手段として有効です。
もちろん指数の下落を察知した時点で指数連動型のETFを「売る」という手段をとることもできますが、長期投資を計画的に行っている人は「売りたくない」と考える人もいますね。
下落相場で売ってしまうより、ひとまず自分の持っている指数連動型ETFと対極にあるようなインバース型ETFを買い、しばらく様子を見るという方法を取るのもいいでしょう。
インバース型ETFを保有株式や投資信託の「つなぎ売り」として利用
いくつかの上場株式や投資信託を保有している場合、相場の下落を察知しても簡単に売ることはできません。
利益が出ているとき利益確定するならまだしも、損失を計上するのは本当に悔しいものです。
しかし「絶対下がる!」と予想できるような局面に来た場合、何も対策をしなければ損失は大きく膨らみ、傷も深いものになってしまいます。
そこで活躍するのがインバース型ETF。
インバース型ETFを下落相場の間だけ短期的に保有することで、「つなぎ売り※」として機能させることができます。
下落相場で損失を抑えるため、保有する現物株式の同数だけ信用売り(空売り)すること。
インバース型ETFは空売りとは違うので、本来の「つなぎ売り」とはなりません。しかし下落相場で対策を取らない場合に比べて、各段に損失額の差がつきます。
信用取引ができず空売りできない、投資信託を保有している場合などは「つなぎ売り」の手段としてインバース型ETFを活用してみてください。
インバース型ETFのデメリット
インバース型ETFのデメリットは次の通りです。
- 相場(指数)が上がると損をする
- 長期保有には向かない
- 分配金は期待できない
インバース型ETFのデメリットについて解説します。
インバース型ETFのデメリット!相場が上がると損をする
日経平均やTOPIXなど支柱となっている原指数が下がると値上がりするような仕組みのETFなので、指数が上がればインバース型ETFは値下がりします。
2013年量的・質的金融緩和が始まってから、日銀がETFを積極的に買い続けているせいもあり、国内ETFは簡単には下がらないことが予想されます。
日銀の「買い」を押し返すほどの「下げ」圧力かどうかを見極め、タイミングを見て購入することが大切です。
インバース型ETFのデメリット!長期保有に向かない
インバース型ETFは長期保有には向きません。
原指数の逆になるとはいえ、日々の騰落率×α%というように計算されていることから、長期的に見れば指数にずれが生じてしまうのです。
これは日経平均株価が1日目に5%上昇、2日目に10%下落、3日目に6%上昇した場合の日経平均ダブルインバース・インデックスの推移です。
「3日目」と「基準日」を比較した場合、日経平均株価はほぼ変わらず0.17(100.17)%です。一方日経平均ダブルインバース・インデックスは4.96(100-95.04)%下落しており、変動率は原指数に戻っていません。
つまりインバース型ETFを長期保有していると、株価の上下変動によって価格が少しづつ乖離(かいり)して利益がすり減ってしまう可能性が高いのです。
インバース型ETFは、あくまでも短期的な下げ相場で活躍するETFだと覚えておきましょう。
インバース型ETFのデメリット!分配金に期待できない
ETFは投資信託と同様に分配金がでるものがたくさんあります。
ETFの分配金については「おすすめETFランキング!分配金や出来高でETFを選ぶ方法」に詳しい解説があります。
ETFの分配金は株式の配当などから支払われますが、インバース型ETFの場合は現物株式を保有しないため、分配金はほとんど出ないか、あってもごく少ない金額になります。
おすすめインバース型ETFを紹介
ここでは比較的活発に取引され、株の初心者にもおすすめできるインバース型ETFを紹介します。
銘柄コード | 銘柄名 | 信託報酬(%) |
---|---|---|
1457 | ダイワ上場投信ーTOPIXインバース | 0.75 |
1456 | ダイワ上場投信ー日経平均インバース | 0.75 |
1569 | TOPIXベア上場投信 | 0.75 |
1571 | 日経平均インバース上場投信 | 0.8 |
銘柄コード | 銘柄名 | 信託報酬(%) |
---|---|---|
1356 | TOPIXベア2倍上場投信 | 0.75 |
1357 | 日経ダブルインバース上場投信 | 0.8 |
1360 | 日経平均ベア2倍上場投信 | 0.75 |
1366 | ダイワ上場投信ー日経平均ダブルインバース | 0.75 |
1459 | 楽天ETF-日経ダブルインバース | 0.35 |
1469 | JPX日経400ベア2倍上場投信ダブルインバース | 0.75 |
インバース型とダブルインバース型の出来高や売買代金を比較すると、ダブルインバース型ETFのほうが活発に売買されています。
短期的に大きな利益を望む投資家が多いことがわかりますね。
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ETFの活用幅は無限大!インバース型ETFを使いこなせ
投資信託のベア型ファンドは、下落相場で利益が期待できます。
しかし投資信託の性質上、急な相場の変動に応じてすぐさま売買できるものではありません。
それに比べインバース(ベア)型ETFは、ファンドの特性を残しつつも市場価格でリアルタイムな取り引きができます。
株式と同じように売買できるため、短期的な利益獲得にうってつけの金融商品です。
しかしインバース型ETFは、相場が上がると損をする商品。長期保有には向かないので、相場が下落する局面を見極めて短期取引に徹する必要があります。
万が一の急場で自分の資産を守るためにも、インバース型ETFをしっかりと認識しておきましょう。
この記事の後半でおすすめインバース型ETFをリストで紹介しているから要チェックだ!