株価の値動きを調べるときに株価チャートを参考にしますが、日本では一般的にローソク足チャートを用います。他にもいろいろな種類の株価チャートがありますが、日本で生まれたローソク足チャートがとても見やすいと海外でも人気が高いんですよ。
今回はそんな日本を代表するローソク足の見方や種類について紹介します。
ローソク足の読み方がわかれば、その後の値動きが予測しやすくなり、株の売買タイミングを判断する1つの指標になるため、必ずマスターしていただきたいテクニックの1つです。
ここで紹介するローソク足の意味を理解して、ぜひ株式投資に役立ててください。
どんな投資家でも利用する基本のローソク足チャート
株価の値動きを見るには、ラインチャートやバーチャートなど様々なチャートがありますが、日本で広く使われているのがローソク足チャートです。
ローソク足はその形がろうそくの形に似ていることからその名が付けられ、古くは江戸時代の米相場を示すのに活用されていたと言われています。
このローソク足は、ある一定期間(1日、1週間、1ヶ月など)の始値(はじめね)、終値(おわりね)、高値(たかね)、安値(やすね)の、4つの価格情報(四本値)がひと目でわかるようになっています。
- 始値・・・一定期間内の最初についた価格のこと
- 終値・・・一定期間内の最後についた価格のこと
- 高値・・・一定期間内で最も高い価格のこと
- 安値・・・一定期間内で最も安い価格のこと
例えば、期間を1日と設定した場合のローソク足には、その日の最初についた価格と、最後についた価格、またその日の最高値と最安値が1本のローソク足で表され、そのローソク足のことを「日足(ひあし)」と呼びます。
他に、もしそれが週単位の場合は「週足(しゅうあし)」、月単位の場合は「月足(つきあし)」、また5分という短い期間の場合は「5分足(5ふんあし)」などと呼びます。
つまり投資スタイルに関わらず、どんな投資家でもローソク足チャートは必ず利用する基本的なツールというわけです。
では実際にローソク足で、どのように四本値を表しているのか次に説明します。
ローソク足を見て、四本値がどう表されているか確認しよう
ローソク足には上の図のように始値、終値、高値、安値が表されています。
始値より終値が高い場合は、実体(柱)の色が白くなり「陽線」と呼びます。逆に、始値より終値が低い場合は、実体(柱)の色が黒くなり「陰線」と呼びます。(※白と黒以外にも赤と青、赤と白などで色分けする場合があります。)
では、次にわかりやすいように価格の例を挙げて説明します。
始値から価格が上がっていく陽線のローソク足例
上の図の価格変動を例に説明します。
始値:110円 → 安値:100円 → 高値:130円 → 終値:120円
この期間の始値が110円で、終値が120円と価格が上がっているので、実体が白い陽線になります。次に高値と安値を見ると、実体で示した110~120円の間から両方ともはみ出しているので、安値の100円まで下ヒゲが伸び、高値の130円まで上ヒゲが伸びます。
始値から価格が下がっていく陰線のローソク足例
次は、上の図の価格変動の場合について説明します。
始値:120円 → 高値:130円 → 安値:100円 → 終値:110円
この期間の始値が120円で、終値が110円と価格が下がっているので、実体が黒い陰線になります。次に高値と安値を見ると、実体で示した110~120円の間から両方ともはみ出しているので、安値の100円まで下ヒゲが伸び、高値の130円まで上ヒゲが伸びます。
ローソク足の形状からわかる買い・売りのサイン
四本値からローソク足がどのようにできるか説明しましたが、その実体やヒゲの長さから、様々なパターンに分類でき、その後の相場を読むことができます。では、次にローソク足の種類について詳しく説明したいと思います。
ここで紹介する情報は、株の売買タイミングを決める上で良い判断材料になります。ぜひ参考にしてください。
大陽線 →買いサイン
実体が長く、価格が大きく変動するほど買いの勢いが強いのがわかります。大陽線は非常に強い買いのサインです。底値で大陽線が出た場合は、その後は株価の上昇が期待できます。
大陰線 →売りサイン
実体が長く、価格が大きく変動するほど売りの勢いが強いのがわかります。大陰線は非常に強い売りのサインです。天井圏で大陰線が出た場合は、その後は株価の下落が予想できます。
陽の丸坊主 →買いサイン
大陽線の中で上ヒゲも下ヒゲもないものを陽の丸坊主と呼びます。
始値から終値まで一気に上昇した状態で、大陽線の中でも特に強い買いのサインです。
また、短い下ヒゲができる「陽の大引け坊主」、短い上ヒゲができる「陽の寄り付き坊主」も同じく強い買いのサインです。
陰の丸坊主 →売りサイン
大陰線の中で上ヒゲも下ヒゲもないものを陰の丸坊主と呼びます。
始値から終値まで一気に下落した状態で、大陰線の中でも特に強い売りのサインです。
また、短い下ヒゲができる「陰の大引け坊主」、短い上ヒゲができる「陰の寄り付き坊主」も同じく強い売りのサインです。
小陽線 →様子見サイン
実体が短いため価格の変動が小さかったのがわかります。売りと買いのバランスが均等で、価格が上昇するか下落するか見極めている状態です。コマ(陽の極線)とも呼ばれ、これが出た場合は、様子を見たほうがよいでしょう。
小陰線 →様子見サイン
実体が短いため価格の変動が小さかったのがわかります。売りと買いのバランスが均等で、価格が上昇するか下落するか見極めている状態です。コマ(陰の極線)とも呼ばれ、これが出た場合は、様子を見たほうがよいでしょう。
上影陽線 →売りサイン
上ヒゲが長いのが特徴で、一度は価格が上がったものの、最終的には下がってしまった状態です。陽線ではありますが、この後は下落が予想されます。買うタイミングではないので、注意してください。ローソク足の形状からトンカチ(陽線)と呼ばれることもあります。
上影陰線 →売りサイン
上ヒゲが長いのが特徴で、一度は価格が上がったものの、最終的には下がってしまった状態です。上影陽線と同じように、この後は下落が予想されます。買うタイミングではないので、注意してください。ローソク足の形状からトンカチ(陰線)と呼ばれることもあります。
下影陽線 →買いサイン
下ヒゲが長いのが特徴で、一度は価格が下がったものの、最終的には上昇してきた状態です。
下影陽線が底値で出た場合は、この後に上昇へと切り替わる可能性が高いため、買いのサインになります。
ローソク足の形状からカラカサ(陽線)と呼ばれることもあります。
下影陰線 →買いサイン
下ヒゲが長いのが特徴で、一度は価格が下がったものの、最終的には上昇してきた状態です。下影陰線が底値で出た場合は、この後に上昇へと切り替わる可能性が高いため、買いのサインになります。ローソク足の形状からカラカサ(陰線)と呼ばれることもあります。
トンボ →買いサイン
始値から一度は下がったものの、最終的に始値まで価格が戻ったことがわかります。下影陽線や下影陰線と同じようにトンボが底値で出た場合は、この後に上昇へと切り替わる可能性が高いため、買いのサインになります。
トウバ →売りサイン
始値から一度は上がったものの、最終的に始値まで価格が戻ってしまったことがわかります。上影陽線や上影陰線と同じようにトウバの後は価格の下落が予想されます。買うタイミングではないので、注意してください。
十字線(同時線)→買い・売りサイン
相場全体が様子を見ているときに現れるローソク足で、この後に流れが変わる転換点として注意が必要です。価格が上昇傾向にあるときに十字線が出た場合は、この後に下落する可能性が高いため売りサインとなり、逆に底値で出た場合は、上昇傾向に転換する買いサインになります。
このようにローソク足1つ見ても、今後の相場の流れを読む材料になります。実際のチャートの中でローソク足がどのように表れるか次に例を紹介します。
株価の上昇から始まって、十字線が出たところで流れが変わり、下落していきます。十字線は先ほどの表で説明したとおり、流れが変わる転換点として表れることが多いです。また、終盤には陽の丸坊主(大陽線)が出ていますが、これはその後に価格が大きく上昇していく強い買いのサインになります。
ローソク足を使った相場の読み方については、複数のローソク足を組み合わせることにより精度の高い予想ができるようになります。
このようにローソク足から次の相場の予想が立てられますが、必ずそうなるというわけではありません。
覚えておきたいローソク足の基礎知識と売買シグナル
ローソク足には次の4つの価格情報が入っていることを説明しました。
- 始値(はじめね)・・・一定期間内の最初についた価格のこと
- 終値(おわりね)・・・一定期間内の最後についた価格のこと
- 高値(たかね)・・・一定期間内で最も高い価格のこと
- 安値(やすね)・・・一定期間内で最も安い価格のこと
ローソク足の形状から判断できる売買ポイントを示すシグナルは次のとおりです。
大陽線、下影陽線、下影陰線、トンボ、十字線(底値で出た場合)
小陽線、小陰線
大陰線、上影陽線、上影陰線、トウバ、十字線(天井圏で出た場合)
株価チャートの基本であるローソク足の意味を理解し相場を読む
もちろん予想した流れと逆に進んでいく場合もあります。相場を読む精度を上げるにはローソク足だけを参考にするのではなく、他の指標やニュースなども総合的に考える必要があります。
とはいえ、ローソク足は株価チャートの基本になることは確かなので、ひと目見て必ず意味がわかるよう、今回紹介した内容は最低限理解しておきましょう。