株価チャートには株価だけでなく、移動平均線を加えて表示させることで売買のタイミングを見極める便利な指標になることは知っている人も多いと思います。
では、「ボリンジャーバンド」を聞いたことがある人はどれだけいるでしょうか?ボリンジャーバンドとは、移動平均線をさらに進化させたもので、株価の上昇トレンドや下降トレンドの始まりがわかったり、買い過ぎや売られ過ぎのサインが判断しやすい便利な指標です。
その精度の高さから多くの投資家が利用していて、信頼度の高い指標としてとても人気があるんですよ。
ボリンジャーバンドを活用できれば、売買タイミングを見極める精度がグンと上がり、投資テクニックを数倍レベルアップすることができます。
今回はこのボリンジャーバンドの活用方法について説明します。難しいことは全くないので、この機会に是非マスターしておきましょう。
テクニカル分析の1つであるボリンジャーバンドについて
ボリンジャーバンドとは、1980年前半にジョン・ボリンジャー氏が公表したテクニカル分析方法です。
過去の株価の値動きから今後の相場の流れを予測したり、株が買われ過ぎか、売られ過ぎかを判断する投資の手法です。
なお、ボリンジャーバンドを理解するには、まず移動平均線について理解しておく必要があります。移動平均線については、「株の売買タイミングが一目瞭然!移動平均線の正しい使い方」の記事を参考にしてください。
ボリンジャーバンドについて文字で説明するより実際に見たほうがわかりやすいと思うので、さっそく次のチャートをご覧ください。
この株価チャートの中には、ローソク足とは別に7本のラインが引かれていますが、これらをあわせてボリンジャーバンドと呼びます。
7本の中心にあるのは移動平均線で、その隣にある上下ラインが±1σ(シグマ)、その次が±2σ、一番外側が±3σと並んでいます。
そして、これらのボリンジャーバンドの間に株価が推移する統計学的な確率が次のようになります。
ボリンジャーバンド | 確率 |
---|---|
±1σ | 68.27% |
±2σ | 95.45% |
±3σ | 99.73% |
上の表から+2σと-2σのボリンジャーバンド内には、約95%の確率で株価が推移していくと予想されます。
つまり+2σのラインを株価が超えた場合は株が買われ過ぎと判断でき、反対に-2σのラインを株価が下抜けた場合は売られ過ぎと判断できるため、その後には適正な価格へ戻ることが予想できるのです。
σ(シグマ)は移動平均の数値の標準偏差として次のように計算できます。
標準偏差という言葉が少し難しいですが、簡単に説明すると株価がどのように分布しているかを表すものと考えてください。学生の頃、テストの結果で偏差値というものがありましたが、ここでも同じような意味で使われます。
標準偏差の式内にある「期間」には移動平均線と同じ期間が入り、例えば25日移動平均線を用いた場合は、期間が「25」になります。
ボリンジャーバンドには基本的な3つの動きがある
ボリンジャーバンドには、基本的な3つの動きがあるので、次に紹介します。
- スクイーズ:幅が狭くなる
- エクスパンション:幅が上下に広くなる
- バンドウォーク:±2σラインに沿って株価が上昇または下落する
それぞれに特徴があり、投資家としてどのように行動しなければいけないのかがわかるので、これら3つの動きについて説明しましょう。
ボリンジャーバンドの基本的な動き【スクイーズ】
ボリンジャーバンドを見ると、幅の狭いところもあれば、広いところもあります。スクイーズとは、英語で「搾る」という意味があり、ボリンジャーバンドでもギュッと搾られたように幅の狭い部分を指しています。
スクイーズの部分は値動きが小さいという特徴があります。株を買ってもなかなか売るタイミングが来ないため、スクイーズは売買はせず、様子を見ている期間と考えてください。
このスクイーズは株価が上昇や下落するエネルギーを溜めている状態で、この後大きく株価が変動する危険があるため、株初心者の方はとりあえず様子を見ておきましょう。
ボリンジャーバンドの基本的な動き【エクスパンション】
エクスパンションはボリンジャーバンドが両側に大きく広がった部分を指し、英語では「拡張」という意味があります。
ボリンジャーバンドはスクイーズ(収束)とエクスパンション(拡張)を繰り返していますので、スクイーズの後には上下に広がるエクスパンションが来ます。(上図の丸印のように値動きとは逆方向に開くのがエクスパンションです。)
上下に大きく開いたエクスパンションは、強い上昇トレンドや下降トレンドとして見ることができますが、スクイーズのままただ上昇したり下降しているボリンジャーバンドは、トレンドの力が弱いため株価が上下し不安定になりやすいです。
ボリンジャーバンドのエクスパンションは、値動きと逆側もちゃんと広がっているかどうかがトレンドの強さを判断する1つの指標になることを覚えておいてください。
エクスパンションの開き具合から強い上昇トレンドが確認できた場合は、その開き始めが買いサインになります。
ボリンジャーバンドの基本的な動き【バンドウォーク】
標準偏差のところで紹介しましたが、株価が±2σのラインにかかっている状態は、買われ過ぎや売られ過ぎのサインになるため、いずれ大きく反発することが予想できます。
強いトレンドなので上昇トレンドの場合、しばらく株価の上昇が続きますが、買われ過ぎという点を常に念頭に置いて、株価の急落に備えておいてください。
また、下降トレンドでバンドウォークが現れた場合は、売られ過ぎのサインと読むことができ、いずれ大きな反発が訪れるので、買いタイミングを逃さないようバンドウォークを外れるポイントをチェックしておきましょう。
ボリンジャーバンドの基本的動きから取るべき行動まとめ
スクイーズ、エクスパンション、バンドウォークについて説明してきました。それぞれの動きの特徴と、現れた時にとるべき行動をまとめておきますね。
- スクイーズ:バンドが狭く搾られた状態で、値動きは小さいため様子見。
- エクスパンション:バンドが上下に広く開いた状態で、上昇トレンドや下降トレンドに入った期間。上昇トレンドの場合は、エクスパンションが始まったポイントが買いサイン。
- バンドウォーク:±2σのボリンジャーバンドに寄り添うように株価が推移していく状態。出現率は低いが、現れたときは強いトレンド。買いサインや売りサインを逃さないよう要チェック。
ボリンジャーバンドが見やすいSBI証券
これはSBI証券で任天堂<7974>の株価チャートにボリンジャーバンドを表示させた状態です。
とてもはっきりとスクイーズ、エクスパンション、バンドウォークが確認できます。どの証券会社の株価チャートでもボリンジャーバンドは表示できますが、とくにSBI証券のボリンジャーバンドは見やすくてオススメです。
SBI証券に口座を持っていなくても株価チャートで確認できるので、ボリンジャーバンドが気になる人は一度試してみてください。
チャートから見るボリンジャーバンドの売買ポイント
次にボリンジャーバンドを利用した実際の売買ポイントについて紹介します。ボリンジャーバンドには±1σ、±2σ、±3σの3種類がありますが、今回は±2σの形状に注目してください。
上のチャートで、赤い矢印が示すローソク足は+2σのボリンジャーバンドを上抜けました。
しばらくバンドウォークを続けて株価が上昇しますが、下側の-2σのボリンジャーバンドを見ると、緑の点線の場所から向きが下向きから上向きへ切り替わっています。
値動きと逆にあるボリンジャーバンドは、エクスパンションからしばらく経つとスクイーズに向かって向きが変わってきます。
この向きが変わったポイントが売りポイントになります。
上のチャートで実際の値動きを確認すると、向きが変わったポイントから株価が上下し始め不安定になってきているのがわかります。
また、今回例にしたエクスパンションの両側にも1つずつエクスパンションがありますが、同じように下側の-2σラインの向きが変わった時点から値が崩れているので、ここが売りポイントだと判断することができます。
- 買いサイン:エクスパンションが始まり、+2σのライン上でバンドウォークが確認できたら買い
- 売りサイン:エクスパンションが始まって、-2σのラインが拡張から収束に方向転換した時点で売り
チャートを見るときはボリンジャーバンドも参考にする
とても使いやすく人気のチャート分析法で、活用する際の注意点はエクスパンションの形状です。
ボリンジャーバンドがちゃんと上下に開かないと、トレンドの勢いがなく相場もぶれやすいため不安定です。エクステンション形状や、バンドウォークが現れているかどうかがトレンドの強さを確認するための指標になります。
ボリンジャーバンドは相場の状態がわかるだけじゃなく、売買ポイントの判断にも活用できるとても優秀な指標です。チャートを見る際、ぜひボリンジャーバンドも一緒に表示して売買ポイントの見極めに利用してください。