バランスファンドは、さまざまな投資対象に分散投資し、基本的な組み入れ比率(バランス)を維持しつつ運用されるファンド。
バラエティ豊かな投資対象をパッケージ化したバランスファンドは、株の初心者でも手軽に分散投資ができる万能ファンドだと思われがちです。
しかしバランスファンドには、思わぬ落とし穴も。
バランスファンドのデメリットも理解し、「なぜそのファンドを選ぶのか」という根拠を明確にする必要ですよ。
この記事ではバランスファンドのメリット・デメリットを解説します。
「どんなバランスファンドを選べば安定した運用ができる?」「買ってはいけないバランスファンドとは?」など、気になる内容を徹底解説するので参考にしてくださいね。
バランス(型)ファンドとは?投資初心者のための万能投資信託
投資資金をひとつのファンドに集中投資すると、そのファンドの基準価額が暴落したときの損失は甚大です。
「卵をひとつのカゴに盛るな」という格言のとおり、資産の投資先を分散させることが、価格変動リスクを回避するために必要。
それには適切な「アセットアロケーション※」を構築することが大切です。
ひとつの資産に偏った投資をするのではなく、資産対象(アセット)を分散させる資産運用の方法のこと。価格変動リスクをある程度回避できる効果があります。
アロケーションは「割り当て・配分」という意味です。
上の図は、三井住友TAM-SBI資産設計オープン(愛称:スゴ6)というバランス型ファンドです。
このようにバランスファンドは複数の資産対象があらかじめセットになっています。
そのためこのファンドを購入すれば複数の資産対象に、まとめて分散投資ができるんです。
「アセットアロケーションを考えるのが面倒」「投資信託を何本も保有するほど投資資金がない」という人に、ピッタリの分散投資だといえます。
分散投資については、次の記事で詳しく解説しているので参考にしてくださいね。
株初心者に教えたい!バランスファンドをおすすめする4つのメリット
バランスファンドのメリットは、次の4つです。
- プロが構築したアセットアロケーションなので安心
- 1本のファンドで価格変動リスクを回避できる
- 少ない資金で分散投資ができる
- リバランスも自動なので運用がラク
バランスファンドのメリットについて解説します。
バランスファンドは運用のプロが考えたアセットアロケーション!
バランスファンドは、運用のプロが「ファンドの目的」に沿って、安定的な運用を目指し組み入れ比率を考えた金融商品です。
投資内容や過去の運用成績が良質と判断できれば、特別な知識のない投資の初心者でも安定的な運用ができます。
また初心者が陥りがちなのが「同じようなファンドばかりをコンプリートしてしまう」というミスです。
これでは分散投資をしている気になって、実際にはリスク回避策が機能しきれていません。
そのためバランスファンドは「自分で資産配分を考えるのが苦手」「アセットアロケーションの知識がない」という人には特にオススメです。
1本のファンドでリスクを回避!価格変動も怖くない
バランスファンドは、値動きが異なるさまざまな資産クラスがセットになった金融商品です。
そのファンド1本でも分散投資ができるため、急激な価格変動による大きな損失を回避できるというメリットがあります。
たとえば株式と債券など、値動きの異なる2種類の資産クラスに分けられたバランスファンドを買ったとしましょう。
予期せぬ経済恐慌などで「株式」の基準価額が著しく下落しても、もう一方の資産クラスである「債券」の基準価額が歯止めになります。
そのため「保有資産の大損害を食い止められる」というメリットがあるんですよ。
少ない資金で分散投資!リスクを回避しつつ着実な資産運用ができる
優秀なバランスファンドなら、1本のファンドを購入するだけで済みます。そのため投資資金が限られる人の分散投資の方法として最適です。
しかしその場合「あまりお金はないけど少しだけ投資してみようかな」という人には、ハードルが高くなってしまうのです。
メンテナンスの必要ナシ!リバランスもお任せでラクラク
バランスファンドの大きなメリットは、「リバランスの必要がない」という点。
たとえば資産を50%ずつに分け、一般的な株式と債券のファンドを2種類購入していたとします。
基準価額の推移はファンドによって違うため、長期保有するにつれて当初の保有比率からだんだん変化するのです。
次の図を見てみましょう。
これでは、効果的な分散投資の機能を果たせません。
投資信託でアセットアロケーションを組んでいる場合、もとの資産配分になるよう定期的にリバランスする必要があります。
リバランスの一例は、次のとおりです。
このように長期的に投資信託を保有していると必要になるリバランス。正直いって面倒くさいと思う人も多いですよね。
その点バランスファンドは定期的なリバランスを運用者が行うため、投資家に手間がかかりません。
バランスファンドのデメリット!初心者が騙される5つのワナとは?
バランスファンドのデメリットは、次の5つです。
- 手数料が割高
- 資産配分のカスタマイズができない
- 投資内容がわかりにくい
- タイプによってはリスクが高いものもある
- 注意すべきファンド・オブ・ファンズもある
ここではバランスファンドのデメリットについて解説します。
バランスファンドは手数料が高い!保有コストがかさむ
バランスファンドは、ほかの投資信託と比較すると手数料が割高になる傾向が。
投資信託にかかるコストには、主に次の3つ。
- 購入時手数料
- 信託報酬
- 信託財産留保額
信託財産留保額は、満期前に解約すると必要になる手数料です。ファンドのなかには信託財産留保額が設定されているものもあります。
この3つの中で、もっとも負担が大きいのが信託報酬※です。
投資信託を運用するための経費。年率換算してありますが、投資信託を保有している間、毎日払い続けなければならない費用です。
通常のインデックスファンドの場合、信託報酬は年率0.2%程度と考えていいでしょう。しかしコストが割高なバランスファンドだと年率1.0%を超えるものもあります。
過去の運用成績が、その手数料に見合うだけのパフォーマンスならば問題ありません。
しかし運用成績がよくない場合、コスト倒れになる可能性があります。
バランスファンドは資産配分のカスタマイズができない
バランスファンドはさまざまな資産クラスをパッケージ化したもの。「その中の気に入らないものを入れ替える」ということはできません。
はじめにどんな投資信託なのかを、ファンドの目論見書(説明書)でよく確認してから購入しましょう。
バランスファンドは投資内容がわかりにくい
投資信託はセット商品のため、どうしても中身がわかりにくくなってしまうことが難点です。
バランスファンドといっても、さまざまな資産クラスに分散投資されているというだけで、どれもが「安定型」だとはいえません。
「バランスファンドと書いてあったから」という単純な理由だけでファンドを決めてしまうと、ハイリスクな商品を購入してしまう危険性も。
過去の運用成績を見て、運用がうまくいっていないファンドは購入を避けるようにしましょう。
バランスファンドには価格変動リスクが高いものもある
つまりバランスファンドの中でも投資対象の比率によっては、価格変動が大きいものもあるということ。
上の図は、バランスファンドの資産構成によるリスクの違いを表した目安です。
バランスファンドとひとくちに言っても、さまざまなファンドがあります。自分のリスク許容度と合うものか、しっかり確認してから購入しましょう。
バランスファンドに多いファンド・オブ・ファンズに注意
バランスファンドのなかには「仕組みが複雑で何に投資しているのか、よくわからない」というものもあります。
投資信託の種類のひとつに「ファンド・オブ・ファンズ※」というものがあります。
投資信託に投資する投資信託。投資信託の運用会社が、自らの金融グループ会社以外のより高い技術をもつ運用会社の投資信託をファンドに組み込んだものです。
中には同じ金融グループの運用ファンドを組み入れているものもあります。
ファンド・オブ・ファンズの問題は、実質二重に信託報酬がかかり手数料が高くなることです。
またファンドの中身がわかりにくいため、「自分が何に投資しているのか」理解せずファンドを購入することに。
またこの事実を多くの人が知らずに購入しているのです。
もし自分が持っている金融商品の正体を知っていたら、購入をとどまっていた人も多かっただろう。
「よくわからないものには投資しない」ことは、投資の世界では鉄則。目論見書をよく読んでも、投資内容を納得できないファンドは買わないようにしましょう。
投資信託の失敗しない選び方については、次の記事を参考にしてくださいね。
バランスファンドを買う前に!運用実績と投資内容を把握しておこう
バランスファンドは、運用目的に沿った分散投資と定期的なリバランスをしてくれるため、手間いらずの投資信託です。
しかし一方で投資リスクが高いファンドや、投資内容がはっきりしないファンドもあることに注意しましょう。
バランスファンドを購入する前にファンドの目論見書を確認し、コストや投資内容を把握しておくこと。
また運用成果に、問題がないかも確かめることが大切です。
投資の初心者とはいえ、賢い投資家になるための努力を惜しまないようにしましょう。