株のアノマリーをあなたは知っていますか?株のアノマリーとは「理論上説明がつかない根拠のないことでも、なぜかその通りになってしまう」相場の経験則のことです。
例えば、金曜ロードショーでスタジオジブリのアニメが放送される当日やその翌週の月曜日は、なぜか為替レートが乱高下したり、日経平均株価がガタ落ちすることが多いそうです。
これは「ジブリの法則」と呼ばれるアノマリー。ジブリが放送される日は、念のため株の買い控えをするアノマリー信者もいることでしょう。
この記事では巷にあふれる「まさか!」「本当?」と思うようなユニークなアノマリーを集めて紹介します。
またアノマリーに照らしてみると、2017年の日経平均株価の見通しはどうなるでしょうか?信じるか信じないかは、あなた次第です。
株のアノマリーは当たる?巷にあふれるアノマリーを一挙公開
株のアノマリーといっても、さまざまな種類があります。
- サザエさんの視聴率が高いと株価が下がる
- アンパンマンの人気が上がると株価が上がる
- ミニスカートが流行る年は景気が良い
- 女性にロングヘアーや太い眉が流行すると景気がよくなる
- 離婚が増えると株価が上がる
- 一年のサイクルや季節、月にアノマリーがある
当たるかどうかは別にしても、株のアノマリーにはいろいろな種類があることがわかります。ジブリの法則やジブリの呪いだけではないんですね。
偶然の一致?まったく株と関係がないのになぜか当たるアノマリー
株や景気と関係内にもかかわらずなぜかよく当たるアノマリーとして有名なのは、金曜ロードショーでスタジオジブリのアニメが放送される当日や、翌週月曜の相場は大荒れになるという「ジブリの法則」です。
その的中率はなんと9割ともいわれる、脅威のアノマリーなんです。
ジブリの法則がよく当たる理由は「金曜日の米雇用統計発表と重なり、その影響を受けているため」ではないかとされています。
しかし必ずしもそういった地合いの悪さが関係していないときもあります。そのためジブリの呪いは相場関係者の間で恐れられているそうです。
またアニメや漫画ではありませんが、流行の傾向から景気を計ろうとするアノマリーもあります。
- ミニスカートが流行る年は景気が良い
- 女性にロングヘアーや太い眉が流行すると景気が上向きになる
2013年にはスカート丈と景気が関係するという風説にかこつけて、日経平均株価が上がればスカート丈をミニにするというようなアイドルユニットまで現れました。このことからもわかる通り、かなり一般的な株のアノマリーだといえます。
とはいえスカート丈や髪型、眉毛の太さと経済の関係は理屈では説明がつきません。また女性のファッションの流行は多様性があり、統計を取って検証することができないのが現実です。
流行と景気を結びつけるアノマリーは女性のファッションがほとんどで、不思議と男性のファッションは対象にならないのが特徴です。
離婚率と景気が連動?アメリカでは離婚が増えると景気がよくなる
またアメリカには「離婚率が上がると株価が上がる」というアノマリーもあります。
リーマンショックについて詳しい解説は「リーマンショックの本当の原因とは?日本への影響を簡単に解説します」を参考にしてください。
失業率が高い州は離婚率が低かったというアメリカの研究所の裏付けもあり、アメリカではかなり信ぴょう性が高いことがうかがえます。
かつてない金融不況がアメリカ全土を覆っていたころ、経済的な不安が夫婦関係の破たんにつながらなかったことは不思議ですね。
ではこの法則を日本に当てはめることはできるでしょうか。
これは厚生労働省の「離婚の年次推移」を調べた統計結果です。
またひときわ離婚率が高かった2002年はちょうどアメリカの同時多発テロの翌年です。この年も年初から日経平均は軟調に推移し、5月に12,000円台を回復するものの、その後は右肩下がりに株価は低迷しました。
このことからわかる通り、北米で言われている「離婚率が上がると株価が上がる」というアノマリーは日本では通用せず、「離婚率が上がると株価は下がる」というのが正しいようです。
もっとも近頃では、結婚しないおひとり様が増えていますから、「独身者が増えると景気がどうなるか?」という新しい研究が待たれますね。
「一年のサイクル」「季節」「月」によるアノマリー
一年を通しての季節のサイクルや季節、月によってもアノマリーがあります。
主なアノマリーを紹介します。
- 1月効果
- 節分天井彼岸底
- 3月の配当買いで上昇
- 28(にっぱち)相場
- サンタクロースラリー
1月は株価が上がりやすいという「1月効果」というアノマリーがあります。
前年の年末に税金対策として株が売られ、年が明けて新規に株を買う人が多いからが理由の一つ。「新年のご祝儀相場」などと言われることもあります。
「節分天井(せつぶんてんじょう)彼岸底(ひがんぞこ)」とは、節分の頃(2月初旬)まで1月の好調をひきずり株価が上がりやすく、彼岸の頃(春分の日前後)は3月決算前に利益確定する投資家が多いため株価が下がりやすいことを表しています。
しかし3月末には再び株主優待や配当目当ての投資家が集中するので、人気の高い銘柄は大きく株価を上げます。そのため「3月の配当買いで上昇」となります。
昔から「28(にっぱち)」は商売あがったりといって、2月と8月は相場があまり振るわない傾向にあります。8月は「夏枯れ相場」と言われたりもします。
「サンタクロースラリー」はクリスマス時期に株価が上昇するわけではなく、新年明けてからの買い戻しのことを指します。クリスマス中は外国人投資家は休暇を取るので、むしろマーケットは閑散としてしまいます。
どうなる2017年日経平均!初詣の人出が多いと日経平均は不調?
株のアノマリーに「初詣の人出が多いと、その年の日経平均は上がる」というものがあります。しかし逆に「日経平均は下がる」という説も。
このアノマリーの真相はどうなのか、日本三大神宮の一つである伊勢神宮を例にとって調べてみました。
伊勢市観光統計をもとにして、伊勢神宮の1月の参拝者数の合計をグラフにしました。
一方こちらは2009年から2016年末までの日経平均株価の推移です。
単純に二つを比較してみると、参拝者が多かった2009年から2013年は逆に日経平均株価は低迷。回復基調にあった2014年も参拝客は多く、日経平均株価が上昇の波に乗った2015年2016年は参拝者数は大幅に減少しています。
参拝者数の減少した2016年はトランプラリーと呼ばれる円安ドル高相場の到来で、日経平均株価の急激な上昇につながり、2万円の大台を目前とするめでたい大納会で締めくくることができましたね。
伊勢神宮の参拝者数を例に取ると「年初の参拝者が増えると日経平均は低迷or大きな転換期となり、参拝者が減ると日経平均は上向きor上昇基調」になるという相関関係が成り立ちます。
2017年1月の参拝者数の合計はまだ算出されていませんが、正月三が日だけで参拝者数は49万438人で、昨年比6416人増だったとのことです。
このことから2017年の日経平均株価は低迷するか、大きな転換点を迎えるという結果が予想されます。
どうなる2017年日経平均!酉年相場でマーケットは大騒ぎ?
株や相場のアノマリーには干支を捉えたものもあります。干支のアノマリーには以下のようなものがあります。
- 子(ねずみ)繁盛
- 丑(うし)躓(つまず)く
- 寅(とら)千里を走る
- 卯(うさぎ)跳ねる
- 辰(たつ)・巳(へび)天井
- 午(うま)尻下がり
- 未(ひつじ)辛抱
- 申(さる)・酉(とり)騒ぐ
- 戌(いぬ)笑う
- 亥(いのしし)固まる
リーマンショックが2008年(ねずみ年)の9月に起こり、翌年の2009年(うし年)はひどい株価低迷の年になりました。確かに大きく「躓いた年」だったといえるかもしれません。
しかし「跳ねる」といわれているうさぎ年だった2011年の日経平均株価も、年末ベースで前年比17%安、29年ぶりの安値を記録しており、相場のアノマリー通りの跳躍の年とはいえませんでした。
このことから考えると、干支のアノマリーは当たるも八卦、当たらぬも八卦といったところでしょうか。
株価が乱高下を繰り返し、一方向に定まらない「騒ぐ」年となる可能性が考えられます。
どうなる2017年日経平均!NHK大河ドラマの視聴率が景気を反映
株のアノマリーの一つに、「NHK大河ドラマの視聴率が高い年は、日経平均株価も高くなる」というものがあります。
NHK大河ドラマの視聴率と日経平均株価はまったく関係のないもののような気もしますが、その関係が成立しているならまさに株アノマリーといえますね。
放送年度 | タイトル | 視聴率 (前年比) |
日経平均の騰落率(%) |
---|---|---|---|
2008年 | 篤姫 | 24.5 (+5.8) |
▲39.69 |
2009年 | 天地人 | 21.2 (-3.3) |
+16.62 |
2010年 | 龍馬伝 | 18.7 (-2.5) |
▲4.00 |
2011年 | 江・姫たちの戦国 | 17.7 (-1) |
▲18.68 |
2012年 | 平清盛 | 12.0 (-5.7) |
+21.43 |
2013年 | 八重の桜 | 14.6 (+2.6) |
+52.42 |
2014年 | 軍師官兵衛 | 15.8 (+1.2) |
+9.69 |
2015年 | 花燃ゆ | 12.0 (-3.8) |
+9.33 |
2016年 | 真田丸 | 16.6 (+4.6) |
3.59 |
リーマンショックで大きく株価が下落した2008年と、その揺り戻しで株価が上がった2009年は例外として、だいたい視聴率が前年比プラスだった年は日経平均も右肩上がりで推移したといっていいのではないでしょうか。
ここ数年のデータを見る限り、「NHK大河ドラマの視聴率が良い年は、日経平均も上昇傾向にある」というアノマリーは成立しています。
2016年9月はじめ、ちょうど日経平均株価が米大統領選で大きく揺れていたころ、NHK大河ドラマ「真田丸」では、まさに「勝負」というタイトルでドラマが展開されていました。
当時、トランプ大統領が選出されていったい日本はどうなってしまうのだろう、と誰もが悲観的になりました。しかし結果的に株高に転じドラマと同じように大勝利を納めましたね。
2016年の大河ドラマ「真田丸」では、ドラマが盛り上がりを見せるにつれ日経平均も連動して盛り上がったといえるでしょう。
2017年の大河ドラマ視聴率は?日経平均の株高に強く期待
さて2017年のNHK大河ドラマは「女城主直虎」です。柴咲コウさん演じる井伊直虎が女だてらに城主となり、力強く乱世を生き抜くといったストーリーです。
気になる2017年大河ドラマ「女城主直虎」の視聴率は現在のところこのようになっています。
女城主直虎 | 真田丸 | |
---|---|---|
第1回 | 16.9 | 19.9 |
第2回 | 15.5 | 20.1 |
第3回 | 14.3 | 18.3 |
第4回 | 16.0 | 17.8 |
平均 | 15.67 | 19.0 |
同じころの「真田丸」の視聴率と比べ、やや控えめなで滑りだしでしょうか。このまま推移するようならば、今年日経平均株価が青天井となるのは難しいかもしれません。
しかし視聴率も株価も途中からどう転ぶかは予測がつきませんから、ぜひ今後の展開に期待したいですね。
2017年日経平均株予想!円安と東京オリンピックが景気を牽引か
実際にトランプ新政権の財務長官は「強いドルを」と繰り返し強調しており、米金利も引き続き断続的に引き上げられる予定です。このことから大きな番狂わせがない限り円安相場は続きそうです。
また日本には2020年の東京オリンピックに向けて物やお金、労働力の流動も活発になるだろう材料はそろっています。
アノマリーでは2017年の日経平均株価のさらなる上昇は難しそうな印象ですが、こればかりはフタを開けてみなければわかりません。この記事の予想に反し、アノマリーが当たらないことを願いたいですね。