国内・海外旅行向けクレジットカード 銀聯カード(中国銀聯Union Payユニオンペイ)の基礎知識

投稿日時:2018.02.15
「爆買い」という言葉を生み出した中国人観光客の方々が、お買い物の際に必ずと言って良いほど使うカードが「銀聯カード(ぎんれんカード)」です。
銀聯カードとは、別名「Union Pay(ユニオンペイ)」ともいい、中国で発行されているカードおよび国際ブランドを指します。この銀聯カードは、中国だけではなく日本でも発行することが可能で、国内でも所有する人が増えている注目のカードなのです。
今回は、中国に行くなら必携の「銀聯カード」について、どのようなカードなのかをじっくりご紹介していきます。
銀聯カードってどんなもの?中国国内で圧倒的シェアを誇るワケ
中国国内の銀行口座を開設すると、銀聯マークのついたキャッシュカードが発行されます。これが、中国における銀聯カードです。銀行口座を開けばもらえるため、中国人ならみんな持っているといっても過言ではありません。
「銀聯」とは、VISAやJCBのような国際ブランドの一種で、2015年には決済額がVISAを抜いて一位となるなど、どんどんシェアを伸ばしています。特に本国の中国内では圧倒的なシェアで、どこでも銀聯カードが使えます。
つまり、キャッシュカードでありながら、銀聯マークのついた加盟店でクレジットカードのように使うこともできるのが、銀聯カードなのです。
中国の銀聯カードはデビットカード
銀聯カードは、キャッシュカードに銀聯ブランドが付いたものであることをお伝えしましたが、このことからも分かるように、中国で発行される銀聯カードはクレジットカードではなく、デビットカードという位置づけです。
中国では与信審査(クレジットカード審査)や、信用情報機関があまり発展していない為、後払いのクレジットカードではなく利用時に即口座から引き落とされるデビットカードが主流なのです。
また、中国は経済大国ではあるものの、とても貧富の差が激しく、クレジットカードの審査に通るほどの信用を持つ国民が少ないため、クレジットカードが普及するには厳しい状況です。
一方デビットカードなら銀行口座と紐づけされており、使用したらすぐ口座から引き落とされるため、口座残高を超えての使用はできません。したがって、クレジットカードを持てない人が多い中国でも広く普及したのです。
利用者にもお店にもメリットが大きいことが普及の決め手!
また、中国で流通している紙幣には偽札が少なくないという問題があり、お店側はお客さんから受け取ったお金が偽札かどうかを確認せねばなりません。でも、デビットカードで支払ってもらえば、そんな面倒な確認作業も不要です。
さらに、中国では海外に現金を持ち出すことへの制限があり、日本へは現金や小切手等を含めて合計100万円までしか持ち込むことができません。海外で爆買いしたい中国人の方々にとっては、かなり不便な状況です。
しかし、カードであれば制限がかかることもなく、たくさんの現金を持ち歩く手間もリスクもありません。
このように、銀聯カードは使う側にとっても、お店側にとってもメリットが大きいのです。銀聯カードが広く普及したことには、このような背景もあるわけですね。
銀聯カードが使える国や加盟店は増加中!高いセキュリティで安心!
中国で発行が始まった銀聯カードですが、発行国や利用可能な地域はどんどん拡大中です。もちろん日本もそのうちの一部なのですが、日本の一般的なクレジットカードとは利用法がちょっと異なるところもあります。その辺りも、申し込み前に確認しておきましょう。
銀聯カードは世界160か国以上で利用可能
繰り返しになりますが、銀聯は中国で圧倒的に強い国際ブランドで、あの広大な国土を持つ中国で、どのお店やATMでも利用できるのが特長です。
中国では銀聯以外の国際ブランドが歓迎されないこともあるため、中国への旅行や出張の機会がある方は、ぜひとも銀聯カードを作っておくことをオススメします。
しかも、銀聯カードは、中国だけではなく、日本を含む160を超える国と地域でも利用可能です。中国以外の国々では、どのお店でも使えるとまでは言えませんが、加盟店は増加中です。主にアジア地方への渡航の機会があるならば、銀聯カードを検討する価値があります。
銀聯カードは6桁の暗証番号入力が必須!
日本でクレジットカードを使うときは、カードを出すだけで済むことも多いですよね。しかし、銀聯カードで支払いをする際には、どのお店でも必ず、暗証番号の入力とサインの両方が必要となります。
少々面倒に感じる方も多いかもしれませんが、セキュリティが高い証拠ですので、安心して利用することができますね。銀聯カードの暗証番号は6桁です。
「そんなにたくさんの数字を覚えられない!」という方もいらっしゃるかもしれませんが、4桁の番号の頭に00を付けるだけでOKなので、ご安心ください。
とはいえ、00+4桁の暗証番号を忘れてしまうと、銀聯カードでの決済ができませんので、ご注意くださいね。
中国へ行くなら絶対持っていくべき!日本でも発行可能な銀聯カード
中国の銀行口座を作ると銀聯カードが発行されるとご説明しましたが、日本国内でもクレジットカードとしての銀聯カードを作ることが可能です。
現在日本では、三井住友カードと三菱UFJニコスの2社で銀聯カードが発行可能です。ここからは、そんな日本で申し込み可能な銀聯カードについてご紹介します。
単体で発行可能!三井住友銀聯カード
三井住友銀聯カードは、「パンダ」と「大陸」の2種類からカードデザインを選択できます。別途クレジットカードを作る必要がなく、このカード単体で申し込みが可能です。
ワールドプレゼントという三井住友VISAカードのポイントプログラムを利用できたり、対象となる中国国内ホテルで優待が受けられたりと、様々な特典もついています。
項目 | 内容 |
---|---|
カード名称 | 三井住友銀聯カード |
年会費 | 無料 |
発行手数料 | ・新規入会時:無料 ・更新時:1,000円+税 (5年ごとの更新) |
特徴 | ・ワールドプレゼント:利用額1,000円ごとに1ポイント ・銀聯コールセンター照会受付サービス ・海外・国内旅行傷害保険:なし ・ショッピング保険:なし |
旅行保険などは付帯しないので、中国などへ旅行の際は別途保険に加入することをオススメします。シンプルな内容である分、年会費無料ですから、持っていてもコストはかかりません。ただし、更新手数料はかかりますのでご注意ください。
また、三井住友銀聯カードは、ネットショッピングや通信販売には使えません。
店頭での利用時にも暗証番号の入力が必ず必要なので、暗証番号を受け付けないお店では利用できないことがあります。単体発行ができるとはいえ、一般的なクレジットカードに比べると利用に制限があることを知っておきましょう。
ANA銀聯カードなら優遇レートでマイル移行できる
三井住友VISAカードの銀聯カードには、もう一種類、「ANA銀聯カード」というものもあります。
先にご紹介した三井住友銀聯カードでも、1ポイント=3マイルでANAマイルに移行できるのですが、ANA銀聯カードなら1ポイント=5マイルという優遇レートが適用されるので、マイルを貯めている方ならこちらの方がお得です。
ただし、ANA銀聯カードは単体での発行はできませんので、申し込み資格として、以下のANAカード(ANA法人カードは除く)を持っていること、もしくは同時申込をすることが必要となります。
- ANAカード VISAカード
- ANAマスターカード
- ANA VISA Suica
- ANA TOKYU POINT ClubQ PASMO マスターカード
- ANA VISA nimocaカード
つまり、ANA銀聯カードは、これらのカードの追加カードという形になります。
項目 | 内容 |
---|---|
カード名称 | ANA銀聯カード |
年会費 | 無料 ※本カードの年会費 (初年度無料、2年目以降2,000円+税)は別途必要 |
発行手数料 | ・新規入会時:無料 ・更新時:1,000円+税 (5年ごとの更新) |
特徴 | ・1ポイント=5マイルでANAマイルに移行可能 ・ワールドプレゼント:利用額1,000円ごとに1ポイント ・銀聯コールセンター照会受付サービス ※本カードに最高1,000万円の 海外旅行保険が自動付帯 ※本カードに海外利用分最高100万円の ショッピング保険が利用付帯 |
本カードの年会費がかかりますが、旅行傷害保険などは付帯しているので、ANA銀聯カードがあれば中国旅行も万全ですね。こちらも三井住友銀聯カードと同様に店頭でのお買い物専用ですので、ANA銀聯カードが使えない場面では、ANAカードをお使いください。
MUFG銀聯カードは、海外利用でポイント2倍
最後にご紹介する銀聯カードは、三菱UFJニコスから発行されているものです。この銀聯カードを作成するには、いずれかのMUFGカードを持っていることが条件となっており、銀聯カードだけを単体で発行することはできません。
MUFGカードがない方は、同時に申込をする必要があります。この銀聯カードには、手持ちのMUFGカードが、グローバルポイント・スヌーピーポイントプログラムの対象となるものであれば、海外での利用でポイント2倍になったり、中国国内での滞在をサポートする「ハローデスク」を利用できたりする特典がついています。
項目 | 内容 |
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カード名称 | MUFG銀聯カード |
年会費 | 無料 ※本カードの年会費 (カードの種類によって異なる)は別途必要 |
発行手数料 | ・新規入会時:1,000円+税 ・更新時:1,000円+税 (5年ごとの更新) |
特徴 | ・海外利用時の基本ポイントが2倍 ・海外アシスタンスサービスの窓口「ハローデスク」 |
中国に行くなら銀聯カードは必携!世界各地でもエリア拡大中
中国では非常に多くの人が日常使いしている銀聯カードですが、お伝えしてきたように日本でも発行・利用することが可能です。ただし、中国でのキャッシュカード兼デビットカードとしての銀聯カードとは、少し異なります。
日本で発行できる銀聯カードはクレジットカードですが、単体では発行できない銀聯カードもあることや、利用の際には6桁の暗証番号とサインが必須であること、更新時に手数料が必要であることなど、一般的なクレジットカードとも異なる点がありますので、あらかじめ知っておきましょう。
中国に行くことがあるなら、他のどの国際ブランドのクレジットカードより使い勝手の良い銀聯カードが必携ですよ。