法人クレジットカード 法人クレジットカード利用時に領収書は不要!領収書の要件

投稿日時:2019.10.15
現金で会社のものを購入した時には必ず領収書をもらうと思います。しかし法人クレジットカードを使った時はどうでしょうか。
その場でもらうのは売上票ですが、領収書はもらっていますか?そもそも法人クレジットカードを使った時に領収書が必要なのか、領収書がないと経費で落とせないのか、迷ってしまうことがたくさんありますね。
今回は、法人クレジットカードを使ったときの領収書はどうすればいいのか、経費として認めてもらうにはどうすればいいのか、ということについてわかりやすくまとめました。
今まで曖昧にしていたという方は、ぜひ参考にしてください。
法人クレジットカードを使った時の領収書の取り扱い
法人クレジットカードを使った時に領収書をもらうのを忘れてしまった!という場合ですが、安心してください。
基本的にクレジットカード払いには領収書が必要ありません。
基本的には必要ない
法人クレジットカードで支払いをした時に領収書が必要なのか、基本的には必要ありません。それは、クレジットカードで支払いをした時点では、現金が移動していないからです。
お店としては、商品やサービスの代金として現金を受け取った場合に「○○の代金として××円もらいました」という証明書として領収書を発行します。
しかしクレジットカードで支払う時には、まだ現金が動いていませんよね。
ですから、お店によっては「領収書をください」といっても断られる場合があります。
お店側にはクレジットカード払いでの領収書を発行する義務はありませんので、断られてしまったらどうしようもないのですが、社内規定で領収書が必要な場合もありますよね。
その場合には売上票で代用できるのかを経理担当に確認しておいた方が良いでしょう。
買い物をした時の領収書は領収書ではない
法人クレジットカードで支払いをして領収書を発行してもらえたとしても、その領収書には「クレジットカードにてお支払い」と書かれています。
このような領収書は通常の「金銭の授受があった証拠」とはみなされないので、正式な領収書としては取り扱えません。
領収書としては認められないものなので、高額なお買い物をしても収入印紙が貼られていなくても大丈夫です。
領収書とはそもそもどういうものか。領収書の要件とは
では、領収書とはどのようなものなのか、改めて要件をおさらいしてみましょう。領収書として認められるためには、以下の項目が記載されていることが必要です。
- 金銭の授受や決済を行なった日付
- 名前
- 金額
- 但し書き(〇〇代として。商品名など)
- 領収書を発行した者の氏名、住所、会社名称など
つまり、いつ誰に、どんなものをいくらで売ったのかということが明記されているものが領収書である、ということです。領収書を発行するのは、代金を受け取った人です。
ちなみに有価証券とは国債や株券、手形や小切手などです。5万円を超える金額の領収書には収入印紙を貼る必要がありますが、これは領収書などの課税文書に印紙税が課されているため。印紙を貼ることで税金を納めているのです。
領収書がなければ証憑(しょうひょう)書類が必要
法人クレジットカードで買い物をすると、上記のような要件を満たす領収書が手元にないことになります。
その時はどうすればいいか、領収書に代わる証憑書類が必要です。
証憑書類とは取引をしたことがわかる証拠書類のことです。法人クレジットカードの決済で使えそうなのは、売上票(利用伝票)でしょう。クレジットカードを使った時にお客様控えとしてもらう伝票です。
この伝票には日付や店名、金額などが書いてありますので、領収書ではありませんが取引の証拠書類にはなりますので、大事に保管しておいてください。
他には、
- 納品書
- 請求書
- 見積書
- 契約書
などがありますので、できるだけ多く保管しておいた方が良いでしょう。
クレジットカード会社の明細書は領収書にはならない?
領収書の要件を満たすのものとして、クレジットカード会社から送られてくる利用明細書が代わりに使えるのかどうか、ということについて説明します。
国税庁の見解によると、クレジットカード会社が発行している利用明細書は正式な領収書には当たらないとされています。
それは、この利用明細書はあくまでもクレジットカード会社が作成したもので、お店が発行したものではないという理由からです。
領収書はサービスや商品を売った人が発行するものでしたね。この明細書はどこのお店でいつこのカードを使ったのか、という記録ですから、領収書にはならないということなのです。
では経費で落とす際に使えないのか?というとそんなことはありません。
確かに正式な領収書とは認められないものの、利用明細書には
- カードを使った日時
- 使った店(インターネットショップも含む)
- 金額
が明記されています。ですから、税法上の正式な領収書にはならなくても、取引があったことを証明する書類にはなります。
領収書ではないからと捨てないようにしてください。なぜこれで取引の証明ができるか、それは領収書でも「上様」と書いてもらうことがありますよね。
ここに会社名などがなくても領収書として認められるということは、最低限以下の3つがはっきりしていればいいわけです。
- 日付
- 金額
- 代金を受け取った者(会社)
それならば利用明細書でも十分情報が網羅されていますから、領収書の代わりに使える可能性が高いということ。
納品書などと合わせて使うことで、証憑書類の代わりとして使えますので大事に保管してください。
領収書の代わりになる書類を保管しておく必要がある
領収書がない場合には、利用明細書の他にも領収書の代わりになる書類を保管しておきましょう。
売上伝票を取っておく
法人クレジットカードを利用した時にもらう、売上伝票(利用伝票、お客様控え)も必ず保管しておいてください。
売上伝票には日付や金額、売主の名前など領収書の役割を果たすような項目が記載されています。
商品名については入っていない場合がありますが、商品区分がありますので問題ないでしょう。取引をした大事な証拠書類になりますので、捨てないように気をつけてください。
関連する書類は全て残しておく
そのほか、取引に際して交わした書類は捨てずにとっておいてください。先ほども説明した、見積書や納品書などです。
利用明細書や売上伝票だけでは領収書にならなくても、これらの書類を総合的に判断すれば取引があったことの証拠にはなります。
ネットショッピングに関する領収書はどうするか
では、インターネットで法人クレジットカードを使った時はどうなるのか、ということについてお話ししますね。
ネットショッピングではその場で売上伝票をもらうことができませんし、領収書も発行してもらえないことがほとんどです。そんな時に、取引の証拠として使えるのはどのような書類でしょうか。
納品書が領収書がわりになる
まず、売上伝票の内容が書いてあるもの、代用できるものとして納品書が挙げられます。
発送されてきた商品またはサービスに必ず同封してあるはずです。
ここには、取引の日付はもちろんのこと、金額など重要な項目が網羅されているはずですので、これを納品書の代用として使いましょう。
WEB明細書は印刷しておく
クレジットカード会社のWEB明細書ですが、最近では資源節約の観点から、紙で送られてくるのではなくWEB上で確認するケースが増えています。
この場合は、必ずその明細書をダウンロードしプリントアウトして保管しておきましょう。
メールも印刷して取っておこう
もう1つ、取引の証拠として使えるのが発注と納品に関するメールです。注文をした時および発送時にメールが送られてきているはずです。
ここにも日付や金額など、領収書の代わりとなる項目が明記されていますから、これらのメールもプリントアウトして保管をしておいてください。
法人クレジットカードで決済する時の注意ポイント
何かと面倒な法人クレジットカードの領収書ですが、決済の時に注意してほしいことがあります。
売上票をなくしてしまったら
うっかり売上伝票をなくしてしまったらどうするか、これは再発行してもらえませんので、それに代わる書類を用意するしかありません。
クレジットカード払いの領収書は発行してもらえないので、 WEB利用明細書で代用するしかないでしょう。
ここに利用した日付や代金、お店の名前などが明記されていれば大丈夫です。
うっかり二重計上しないように気をつけよう
領収書の代わりになる書類をできるだけ保管しておいてください、といいましたが、二重計上には気をつけてください。使った時に売上伝票で計上して、引き落としの時にWEB利用明細書の分も計上してしまうと二重計上になってしまいます。
同じ内容を計上しないように、同じ取引に関する書類はきちんとひとまとめにし、経理の処理をするタイミングを決めておいた方が良いでしょう。
法人クレジットカード利用時には領収書は発行されない
領収書はあくまでも現金と有価証券のやりとりがあった時に発行されるものであり、法人クレジットカードを利用してもその時に発行してもらえるものではありません。
信用取引では、売主に領収書の発行義務がないからです。
その代わりに売上伝票や利用明細書など証拠書類をできるだけ保管しておき、取引があったことがわかるようにしておくことが大切です。
万が一税務調査が入っても正々堂々と説明できるように、わかりやすく書類を保管しておくことをおすすめします。