カードローンで借り入れしたお金、返済する意思はあっても、思いがけない出費などで借金をなかなか返せない状況になったらどうしますか?
返済期日になってもお金を返せず延滞したら、ペナルティーで高い金利がつきます。また信用情報機関には、「金融事故」として情報が登録されてしまうんです。
さらに延滞が続くと、カードローン会社に「この契約者は悪質だ」と判断され追加の借り入れができなくなります。長期延滞によって給料も差し押さえられ、借金していることが会社に知られてしまうことも。
借りたお金は期日までに返すのが基本ですが、もしもの時のために、延滞したら受けるペナルティー・延滞長期化の予防策を知っておきましょう。
また借金の返済が苦しくなったときに返済の負担を軽減できる「借り換え」や「おまとめ」、どうしても借金が返せない場合に行う債務整理についても解説します。
カードローンの返済を延滞してしまった場合のペナルティー
カードローンの返済を延滞するとペナルティーがあります。
悪質業者(闇金)でない限り、過激な取り立てや暴力を振るわれるようなことはありません。これは法律で、早朝や深夜の取り立てや職場への押しかけ、保証人ではない家族への返済の要求などが禁止されているからです。
それでは延滞のペナルティー内容について、詳しく見ていきましょう。
延滞したら遅延損害金の支払い義務が生じる
債務者が返済期日までにお金を返済しなかった場合、送れた日数分に対して通常より高い金利がつくのを知っていますか?
これを「遅延損害金」または「遅延利息」といい、次のように算出されます。
消費者金融のカードローンだと、遅延損害金は上限金利いっぱいの20%に設定しているところが多いです。銀行カードローンでも、上限金利ギリギリに設定されています。
カードローン | 損害遅延金の金利 |
---|---|
SMBCモビット | 20.0% |
プロミス | 20.0% |
アイフル | 20.0% |
アコム | 20.0% |
オリックス銀行カードローン | 3.8%~19.9% |
みずほ銀行カードローン | 19.9% |
三井住友銀行カードローン | 19.94% |
新生銀行カードローン レイク | 20.0% |
延滞は信用情報機関に登録!長期になればカードローン利用不可に
カードローンでの借金を返せないと、遅延損害金を支払うだけでは済みません。信用情報機関※に、延滞したことが登録されてしまいます。
カードローンやクレジットカード利用者の信用力を判断するための情報(信用情報)を集めている機関。
日本国内には全国銀行個人信用情報センター(銀行系)、株式会社CIC(信販、クレジットカード系)、株式会社日本信用情報機構(銀行、消費者金融、信販系)の3機関があります。
延滞中、信用情報機関に登録された情報は登録されたまま。延滞が解消してからも、過去に延滞したという事実が登録され続けます。
延滞解消から登録が消えるまでの期間は、信用情報によって様々です。全国銀行個人信用情報センターと株式会社CICの場合は最長5年、日本信用情報機構の場合は最長1年登録され続けます。
2ヶ月以上延滞が続いた場合には、信用情報に「異動」と登録され、新たな借り入れができなくなります。
信用情報の登録期間や、信用情報の開示請求の仕方、信用情報開示報告書の見方については「ローン審査に通らないなら信用情報を開示!方法と開示画面の見方」で解説しているので、こちらも読んでみましょう。
延滞しそうなときの対処法!まずはカードローン会社に連絡
ペナルティーを受けないためには、早めに計画的に返済するのが一番。それでも「冠婚葬祭が立て続けにあった」「給料の支払いが遅れている」などの事情で、延滞してしまう場合もあるかもしれません。
そんな場合は事前にカードローン会社に電話して、次のことを伝えましょう。
- 返済が遅れる理由
- 返済可能な金額
- 返済できそうな日
その月は利息分だけ返済するなど、返済額を減らしてくれる場合もあるようです。
延滞を放置したらどうなる?借金が会社にバレるおそれも!
悪質業者でない限り、ドラマのように「内臓を売れ」「自分で返済できないなら、家族に払わせろ」など過激な取り立てはありません。
しかし書面や電話で「支払ってください」という催促は何度もされます。それでも返済しない場合は、裁判や給料差し押さえといった法的手段も。延滞を放置したらどうなるのか、詳しく説明します。
督促に応じないと自宅訪問される
延滞した場合、まずは電話や書面で「返済してください」という督促(とくそく)が来ます。これは返済するまで何度も届くので、家族に内緒で借金している場合知られるおそれがあるんです。
それでも支払わないと行われるのが、カードローン会社の社員による自宅訪問。訪問時間や訪問方法は、法律で定められています。
契約者が借金を返せない場合、保証会社が契約者の代わりに一旦返済をします。これが代位弁済(だいいべんさい)です。代位弁済が行われる目安は延滞開始から3カ月で、行われたことは信用情報機関に登録されます。
代位弁済が実行されても借金が帳消しになるわけではなく、返済する先が銀行から保証会社に変わっただけということは覚えておきましょう。
保証会社は一括返済を求めてきますが、交渉のうえで分割し返済していくのが一般的です。
収入があるなら必ず返済!給料差し押さえで職場バレのおそれも
督促してもなかなか返済に応じないカードローン利用者に対し、カードローンや保証会社は裁判と矯正執行という法的手段をとります。
まずカードローン会社(債権者)は利用者(債務者)に対して、「借金を返済して」という裁判を起こしますが、ここでは当然「きちんと返しなさい」という判決が出るでしょう。
それでも払わない場合、債権者(カードローン会社や保証会社)は裁判所で「債権差押手続」をし、ここで認められれば、債権者は債務者の預金や給料を差し押さえることが可能です。
通知書を受け取った会社は、カードローン会社に対して支払いをする義務を負います。ただし給料全額が差し押さえられるわけではありません。民事執行法152条で、次のように上限が決まっています。
- 給料の4分の1まで
- 33万円を超える部分の全額
ちなみに銀行カードローンの保証会社は、同じ銀行グループに所属している消費者金融がつとめていることが多いわ。
多重債務なら、おまとめローンも検討しよう
「おまとめローン」という言葉、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
おまとめとは、複数の会社で契約しているローンを一本化することで金利を下げ、返済総額を軽減する方法のこと。次のようなメリットがあります。
- 金利が下がり返済総額が減る
- お金の管理がラクになる
- 返済計画が立てやすい
- 信用情報に響かない
おまとめローンで返済総額が減るのは、各ローンの限度額を合計することにより金利が下がり、返済額にかかる利息を小さくできるからです。
また複数の借り入れがあると、それぞれの返済日が違いお金の管理も大変ですよね。
おまとめすれば、毎月の返済日が1回になり、返済に充てる金額もわかりやすいので管理がラクになります。そのため返済計画も立てやすく、いつごろ完済できるかの見通しもつきやすいです。
しかしローンのおまとめは、契約する金融機関や使い方に注意が必要です。
- おまとめローンによっては返済総額を下げられない
- おまとめ専用ローンの場合は追加借入できない
- 限度額が高いため審査が厳しい
おまとめローンによって金利設定は異なります。「おまとめ可能!」と謳っていても、実際借り入れを一本化してみると逆に金利が高くなり、返済総額が多くなってしまう恐れも。
また限度額は高くなるので、基本的に審査も厳しくなります。
審査に申し込む際知っておきたいポイントについては「おまとめローン検討中なら必ず読みたい5つのポイント!」で詳しく解説しているので、確認してみてください。メリット・デメリットや注意点、おまとめ向けのカードローンも紹介していますよ。
延滞の最終手段、債務整理の基礎知識
延滞が続き、「いまの給料では返済が難しい」「無職になってしまい返済できない」など、どうしても借金を返せない場合、弁護士などの専門家に相談して債務整理するという手段があります。
債務整理とは、借金を減額したり、持っている資産をすべて処分することで借金を帳消しにしたりすること。おもに「任意整理」と「民事再生(個人民事再生)」、「自己破産」の3種類です。
また返済途中で、払い過ぎた利息分の返還を求める「過払い金請求」も、債務整理に該当します。それぞれの特徴や違いを見ていきましょう。
将来の利息を免除する任意整理
任意整理は、最も一般的な債務整理の方法です。弁護士や司法書士が債権者と直接交渉し、カードローン契約者の負担が少なくなる返済方法を決定します。
例えば上限金利を超える高金利でお金を借りていた場合、払い過ぎている利息を減らすことが可能。
長期で少しずつ返済できるよう分割払いにしたり、将来の利息を免除する交渉もします。
弁護士や司法書士に支払う報酬は1社につき2~数万円程度。別途借金を返済できた額などに応じて、成功報酬が必要な場合もあります。
次の表に、メリット・デメリットを整理したので参考にしてください。
メリット | ・一般的には将来の利息が免除される ・比較的少額で、裁判なしで手続きできる |
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デメリット | ・返済額が大きく減ることはない ・信用情報の登録期間中は借入できない |
継続的な収入があれば検討したい、個人民事再生
個人民事再生とは、民事再生のうち個人のみが対象のものを指します。
債務者が破産せずに、無担保ローンのうちの一定額を3年間(原則)で分割返済できれば、残りの金額は免除されるので、継続的な収入がある人におすすめです。
メリット | ・通常の民事再生より手続きが簡単 ・借金を大幅に減らせる |
---|---|
デメリット | ・信用情報機関に「金融事故」として登録される ・安定継続した収入がなければ行えない |
個人向けのため、法人が対象の民事再生に比べ手続きは簡略化されています。返済額がどれだけ軽減できるかは債務者により異なりますが、5分の1程度に減らせる場合も。
しかし安定継続した収入がなければ行えないうえに、計画どおりに分割返済できなければ取り消しになってしまうというデメリットもあります。
個人民事再生は「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類で、次のような違いがあります。
項目 | 小規模個人再生 | 給与所得者等再生 |
---|---|---|
対象者 | ・個人債務者 ・支払不能のおそれがある ・総負債額5,000万円以下 ・返済の見込みがある ・継続的な収入がある | ・個人債務者 ・支払不能のおそれがある ・総負債額5,000万円以下 ・返済の見込みがある ・継続的な収入がある ・給与などによる、収入の変動が少ない |
最低弁済額 | ・負債総額により決定 ・所有している財産の評価額 | ・負債総額により決定 ・所有している財産の評価額 ・可処分所得の2年分 |
債権者による投票 | 有 | 無 |
給与所得者等再生の場合は、返済額を決めるとき「可処分所得※の2年分」という基準もあります。
実収入から、支払義務のある税金や社会保険料などの「非消費支出」を除いた、残りの手取り収入のこと。自分で使い道を決めて使うことが可能です。
そのため次のような人は、小規模個人再生を行ったほうが返済額を軽減できます。
- 扶養者が少ない
- 年収が多い
借金が免除される自己破産はデメリットも大きい
自己破産は裁判所に申し立てをして、20万円を超える資産はすべて処分して債権者に渡し、借金を免除(免責)してもらう方法です。
借金がなくなるというメリットがある分、デメリットが任意整理や個人民事再生より大きいことも覚えておきましょう。
- 信用情報に「金融事故」として登録される
- クレジットカード作成・ローン申込は当分できない
- 職業・資格の一部が制限される
- 資産を処分する必要がある
自己破産の際、制限を受ける職業は多いです。ここでは書ききれないため、一部を例として挙げます。
・司法書士
・税理士
・公認会計士
・証券会社の外交員
・貸金業者
・質屋
・警備員
・日本銀行の役員
・信用金庫等の会員・役員
・旅行業者 など
返済中は債務整理扱いになる、過払い金請求とは
過払い金請求は借金返済中も行うことができ、その場合は債務整理扱いとなります。
払い過ぎた利息が大きい場合、返ってきた過払い金と相殺して借金が完済できる可能性もあります。この場合は信用情報機関に登録されるケースはほとんどなく、登録されたとしても過払い金請求の手続きが済めば解除されます。
一方次の場合は「任意整理を行った」として信用情報機関に登録されるため、登録期間中は新たな借り入れができません。
- 過払い金がなかった場合
- 過払い金が返ってきても借金が残った場合
貸金業者から取引履歴を取り寄せ、自分で過払い金を計算し、直接業者と交渉することも可能です。しかし計算が違ったり、思いがけず過払い金が返ってこないこともあるので、まずは司法書士や弁護士に相談しましょう。
返済中の過払い金請求手続きの費用は1社につき2~数万円程度で、さらに取り戻せた過払い金から成功報酬の支払いが必要です。過払い金があるかどうかだけの計算なら、無料で行ってくれる場合も多いですよ。
過払い金請求の手続き方法や注意点については「過払い金返還請求の事項は10年!手続き方法や費用を解説」を読んでみてください。
官報に名前や住所が記載されても、周りの人に知られる可能性はかなり低いわよ。記載される人数はとても多いの。そもそも官報を読んでいる人、周りにそんな居ないでしょ。
延滞しない利用計画を!返せないなら金融機関・専門家にすぐ相談
この記事では、借金の滞納・延滞の長期化によるペナルティーや、多重債務者向けのおまとめローン、どうしても返済できなくなった場合の債務整理について解説しました。
まずは延滞せず返せるよう、必要最低限の金額だけ借りることを心がけましょう。延滞しそうになったら、債権者である金融機関へ早めに連絡してください。
延滞が長期化し「このままでは借金を返せない!」という状況に陥ったら、債務整理を検討しましょう。
ただし、それぞれの方法にメリット・デメリットがあるので、困ったら弁護士や司法書士といった専門家にすぐ相談するのが確実です。
債務整理の種類それぞれの手続き方法やメリット・デメリットについては「自己破産だけじゃない!債務整理の種類と方法を徹底紹介」でさらに詳しく説明しているので、借金返済が難しい人はそちらも参考にしてくださいね。