知らない人や会社から身に覚えのない1万円が銀行口座に振り込まれていたら、それはヤミ金からの押し貸しかもしれません。
押し貸しとは、少額を勝手に銀行口座に振り込んでおいて、後日高い利息と一緒に返済を求めることです。
過去にどこかのヤミ金を利用したことがある人や、途中まで申込した人など、ヤミ金に個人情報を知られている人が狙われやすいですが、個人情報の名簿が売り買いされていれば全くヤミ金と関係ない人も被害にあいます。
ヤミ金が怖いからといわれるままに利息を振り込むと相手の思うツボ。さらに押し貸しを続けてきますよ。でも無視するのも危険です。
押し貸しの手口、押し貸し被害にあったときの正しい対処法をご紹介します。
ある日突然口座のお金が増えてる!押し貸しの手口2パターン
ある日通帳記入をしてみたら、覚えのないお金が知らない会社や個人から振り込まれている。
これがヤミ金による押し貸しの手口です。数千円から数万円くらいの少額を勝手に銀行口座に振り込んでおいて「借りたんだから利息つけて1週間後に返せ」と要求してきます。
50円しか入ってない死口座に40000もの入金あった((((;゚Д゚)))))))
押し貸しか!?面倒くせー…。— あかいかなりあ★ (@akaikanaria_) 2015年8月17日
どうしてこのような被害にあってしまうのか、狙われやすい人の特徴を紹介します。
狙われやすい人1:以前にヤミ金と取引があった人
まずは、以前にヤミ金と取引があった人の取引情報を利用して振り込んでくるパターンです。
ヤミ金同士で顧客の情報を交換して、以前に利用したヤミ金とは別のヤミ金が振り込んでくることもあります。
こういったケースでは、実際にお金が振り込まれる前に、ヤミ金から「振り込みます」あるいは「振り込んだ」という電話がかかってくることが多いです。
電話をかけてくるのは、押し貸しのターゲットとなる人の生活状況や性格(脅しに簡単に屈しそうか、法律の知識がありそうかなど)、以前ヤミ金との取引で使っていた銀行口座が解約されていないかをそれとなく探るためだと思われます。
狙われやすい人2:ヤミ金に融資申込をした人
ヤミ金への融資申込のときに口座情報を手に入れて、実際にはまだ契約もしていないのに振り込んでくるパターンもあります。
あるいは、「なんかこの業者怪しいな」と思って途中で手続きを止めたのに、取得した口座情報をもとに勝手に振り込んでくる業者もいます。
融資申込を利用した押し貸しの場合、ヤミ金から「振り込んだ」と電話がかかってきた時点では、実際に振り込まれてしまっている可能性が高いです。
申込の際にターゲットを見極め、「こいつなら押し貸ししてもホイホイ払うだろう」と思われているからだと思われます。
押し貸しするための銀行口座も、申込時に記入されたものが解約されていることはほぼないので、ヤミ金側として安心して押し貸しできるわけです。
押し貸し被害にあったときにとるべき正しい対処法と予防策
押し貸しをされてしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。無視すればいいなどという人もいますが、これは危険です。
無視していると自宅や職場に嫌がらせの電話が入るようになるからです。職場への電話が原因で、退職に追い込まれてしまった人もいるくらいなんですよ。
ヤミ金から「振り込んだ」と電話があったものの実際にお金が振り込まれていない場合と、すでに振り込まれてしまった場合にわけて、対処法をお伝えします。
まだ振り込まれていない場合:銀行口座と携帯電話を解約
実際にお金が振り込まれる前に「振り込みます」あるいは「振り込んだ」という電話がかかってくる場合、電話があった時点で以前ヤミ金との取引に使っていた口座を解約すれば、押し貸し被害を防げます。
電話があったら「その口座は解約したので、振り込んでも返ってくるはずですよ」とヤミ金に伝え、即座に銀行口座を解約しましょう。
もう電話がかかってこないように、ヤミ金に知られている携帯電話の番号も変えることをおすすめします。
振り込まれてしまった場合:専門家の威光を借りる
すでに振り込まれてしまった場合、一番いいのは、ヤミ金関係に詳しい司法書士や弁護士に相談することです。
ただし、専門家に相談して対処を依頼するとお金がかかります。ただでさえお金がないのに、依頼料を支払うことに抵抗がある人もいるでしょう。
その場合、実際に相談していなくても「弁護士(あるいは司法書士)に相談したら、利息は払う必要はないといわれた」と伝えるだけで引き下がるヤミ金もあるので、試してみる価値はあります。
司法書士や弁護士はヤミ金問題に詳しい人を選ぼう
自分でヤミ金と話をするのは怖いし、ストレスを感じるという人も多いでしょう。その場合、やはりヤミ金関係に詳しい司法書士や弁護士に相談してください。
借金問題に詳しい弁護士や司法書士はたくさんいますが、その中でもヤミ金被害対策に力を入れている専門家に相談するのがおすすめです。
実際、WEBサイト上で弁護士に相談できる弁護士ドットコムでも、押し貸し関連で具体的なアドバイスがついている回答はほとんどないんですよ。
ヤミ金が元金の返金を受け付けない場合は供託も視野に
振り込まれたお金をそのまま返したいと思っても、ヤミ金は受け付けてくれません。一方的に返済日(1週間後など)、利息などを指定してくるはずです。
ヤミ金が元金の返金に応じない場合は、供託制度※を利用することもできます。
相手がお金を受け取らない場合に、法務局(供託所)に返還するためのお金を預けることで、「供託した」と相手に伝えれば、自分の手元にはお金はないのですから、相手から返済を求められることはなくなるはず。
自分でネットからでも供託手続きはできますが、専用ソフトをインストールしたりする手間があります。ヤミ金業者が折れる可能性もあるので、供託するのが適切かどうかも含めて、まずは司法書士や弁護士に相談しましょう。
借金の返済や家賃の支払いをしようとしても、債権者や家主が受け取りを拒んだり所在不明で支払いできない場合に、支払うべきお金を供託所に預けて債務を免れること。
ヤミ金利用経験者は、返済したら口座と携帯を解約して被害予防
以前にヤミ金と少しでも関わったことがある人は、ヤミ金に知られている銀行口座を解約し、携帯電話の番号を変えることが何よりの押し貸し被害予防策になります。
「生活費の引き落とし用に使っている口座だから、解約するのが面倒」などと言って手続きを怠っていると、もっと面倒なことに巻き込まれる羽目になりますよ。
無視は危険!押し貸し被害者がやってはいけない対処法
実は、最高裁ではヤミ金が法外な高金利(年利数百%~数千%)で貸付した場合、元金も返す必要はないという判決が出ています。
金融庁も「ヤミ金の行為がかなり悪質で貸し付け自体が公序良俗に反する場合は、元本自体返す必要がないと判断されることがある」とマニュアルに記載しています。
こういった根拠をもとに「押し貸しは無視しておけばいい、振り込まれたお金も返す必要はない」という人もいます。
もうヤミ金と関わりたくから無視したいという気持ちはわかりますが、無視していると職場にガンガン電話がかかってくるようになりますよ。
無視など、押し貸し被害にあったときにやってはいけない行動をまとめました。
言いなりになって利息も払ってしまうと押し貸し地獄にはまる
「早く解放されたい」という思いで、ヤミ金の言いなりになって利息分も払ってしまうのは絶対にダメです。
「こいつは脅したら払う」と思われて、返しても返してもまた振り込まれます。払う必要のない利息は、絶対に支払ってはいけません。振り込まれたお金を返せた場合でも、「キャンセル料を払え」「契約破棄の手数料を払え」とか言ってくる業者もいます。これも払う必要はありませんよ。
また、振り込まれたお金には何があっても手をつけないでください。使ってしまったらヤミ金の思うツボ。「使ったなら返せ」と攻めてきます。
無視していると職場に電話がかかってくる
ヤミ金の押し貸しを無視していると、会社や家族に連絡すると脅してきたリ、実際に会社に嫌がらせの電話が入るようになります。
ヤミ金のような悪質業者の場合、押し貸し被害にあっている本人だけではなく同僚にも暴言を吐くことがあり、職場に迷惑がかかってしまいます。ヤミ金と関わりがあると思われると、被害者も会社に居づらくなってしまうことでしょう。
旦那の勤め先の人、押し貸し詐欺にあってたらしい。
もう解決したらしいけど、会社にまで返済の電話かかってきてて大変だった模様。ググッたところ、被害にあっておられる方のほとんどが、以前 ヤミ金を利用 した経験が・・・
・・・まぁ、そこは突っ込まないでおきましょう
— Nolly (@Nolly_M) 2015年4月15日
ヤミ金が実際に自宅や職場に押しかけてくる可能性は低い
職場に電話がかかってくるようになったら、次は直接職場に押しかけてくるのではないかと心配になりますね。
同様に、子どもと誘拐するとか家に放火するとか、そういったこともしません。
ヤミ金業者にとってもたかが数万円のことなので、そのくらいのお金のために大きな犯罪をおかすことはないと思ってください。
- <よくある脅し文句>
- 若い奴らを連れて自宅、実家、職場に行くぞ
- 自宅に放火するぞ
- 子どもを誘拐してやるからな
- コンビニ強盗でもして返せ
警察への相談で職場への電話がなくなっても根本的な解決ではない
自宅や職場に電話がかかってきた段階で警察に相談するのもありですが、警察に相談しても今般的な解決にはならないことがほとんどです。
警察から業者に警告してもらって職場への電話がなくなったとしても、自分への催促はなくならないことが多いからです。
被害届も、実際に暴力などの危害を加えられないと受理してもらえない可能性が高いです。
警察がヤミ金の告訴状どころか被害届も受け取らない。貸金業法改正でヤミ金が増えてるとかいうけど,受任して拾い上げる人がいないのと,警察がしっかり取り締まらないのが増えてる理由としては大きい気がする。
— 吉井和明 (@kgoodwell) 2010年11月15日
【押し貸し詐欺】
先輩から聞いた話。急に口座に1万円振り込まれて、後日「◯日までに利子込みで3万円返せ」と電話が来る。確認すると確かに1万円振り込まれていて、もちろん借りた覚えなんてないので警察に相談するも、実被害を被る前でいまいち動いてくれない。— 千早 (@nn_tsuki) 2014年11月28日
弱さを見せたら付け込まれる!毅然と対応することが何より大事
まだ口座に振り込まれていない場合は口座を解約、振り込まれてしまった場合は専門家に相談して振り込みされた金額以上は絶対に返金しないことが重要です。
ヤミ金は暴力などの危害を加えてくることはありませんが、嫌がらせの電話をかけ続け、押し貸し被害者を精神的に追い詰めようとします。少しでも弱さを見せたらつけこまれ、いいようにお金をむしりとられますよ。
自分でヤミ金と渡り合う自信がないなら、早めに専門家や消費生活センター、警察に相談しましょう。
過去にヤミ金を利用したという負い目があるかもしれませんが、悪いのはヤミ金で、あなたは悪くありません。「支払う必要がないお金は払わない」「脅しには屈しない」という意思をもって行動しましょう。