マイホームの購入は「人生の三大支出」と言われるほど大きな買い物。自己資金だけで家を買える人は少ないです。そのため多くの人は、住宅ローンを利用することになります。
しかし「どの住宅ローンを選べばいいのか、よく分からない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
住宅ローンは大きく分けて、次の3種類に分類されます。
- 公的住宅ローン
- 民間住宅ローン
- フラット35
種類の違う住宅ローンを組み合わせることで、総返済額を減らすことも可能。金利変動による利息の増加も抑えられるのでオススメです。
それでは住宅ローン検討の際に知っておきたい、住宅ローンの種類と併用ローンについて解説します。
公的機関が扱う公的住宅ローン
まずは公的機関が取り扱う「公的住宅ローン」について説明します。公的住宅ローンに該当するのは、次の2つです。
- 財形住宅融資
- 自治体融資
「財形住宅融資」は財形貯蓄※を1年以上継続している人が利用できます。
会社で行われる貯蓄制度のこと。毎月決まった金額を社員の給与から天引きし、財形貯蓄取扱金融機関に払い込む仕組みです。
「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」がこれに該当します。
また自治体によっては「自治体融資」として、独自の融資を行う場合も。それぞれの融資条件や限度額などを確認していきましょう。
1、財形住宅融資
財形住宅融資とは、住宅金融支援機構や雇用・能力開発機構が行うものです。
融資条件 | ・一般財形貯蓄、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄などを行っている会社員、公務員 ・財形貯蓄を1年以上続けている ・貯蓄残高が50万円以上 |
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限度額 | ・財形貯蓄残高の10倍 ・最高4,000万円 ・購入費用の80%まで |
金利タイプ | ・5年固定金利型※ |
購入する物件にも、融資条件が定められているので確認しておきましょう。
- 一戸建て 70㎡~280㎡
- マンション 40㎡~280㎡
2、自治体融資
自治体融資は都道府県や市町村で、主に次のような形式で行われています。
- 自治体や公社が直接融資する
- 地域の金融機関にあっせんして融資する
- 一定の利子補給をする※
しかし自治体によっては、融資制度を設けていない場合もあるので事前確認が必要です。
多くの自治体では、主に次のような項目を条件としています。
- その自治体に居住または勤務している
- 収入が一定額以下である
- 住民税を滞納していない
民間金融機関が扱う民間住宅ローン
「民間住宅ローン」とは、銀行やJAなどの民間金融機関で扱っている住宅ローンのこと。種類も増えており、住宅ローンの主流となっています。
- 銀行
- 信用金庫
- 信用組合
- 労働金庫
- JA
- 生命保険会社
- 損害保険会社
- ノンバンク※
民間住宅ローンを利用する場合、団体信用生命保険への加入が必須です。融資条件や金利タイプは、金融機関によって異なります。
民間住宅ローンも融資条件や限度額、金利が違うので、各金融機関の住宅ローンについての情報収集・比較検討が必要です。
公的機関と民間金融機関が提携したフラット35
フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する住宅ローンです。融資条件や金利タイプを見てみましょう。
融資条件 | ・申込時年齢が満70歳未満※ ・日本国籍または永住許可を受けている人、特別永住者 |
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限度額 | ・100万円以上8,000万円以下 |
金利タイプ | ・全期間固定金利型 |
またフラット35を含む、年収に占めるすべての借り入れの年間合計返済額の割合(総返済負担率)が、次の基準を満たしていれば申し込み可能です。
年収 | 基準 |
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400万円未満 | 30%以下 |
400万円以上 | 35%以下 |
金利タイプは、一度借り入れしたら金利が変わらない「全期間固定金利型」です。
フラット35には、次のようなメリットがあります。
- 団体信用生命保険の加入が任意
- 自営業の人でも住宅ローンが組みやすい
また年間ローン返済額が現在の年収に占める割合を審査するため、自営業者でも現在の業績が安定していれば申し込み可能。
民間住宅ローンの場合は過去2~3年間の所得が審査内容となるので、フラット35は自営業者にとって比較的組みやすい住宅ローンと言えますね。
民間住宅ローンより金利設定は低めよ。でも手続きは基本的に、契約者本人が全部しなきゃいけないの。それに「職場の人に懐事情を知られるのは嫌」という理由で利用しない人もいるわね。
併用ローンで住宅ローンの返済負担を軽減!
これまで住宅ローンの種類を紹介してきましたが、住宅ローンは1種類に絞る必要はなく、複数組み合わせて借り入れする「併用ローン」も可能です。
金利タイプの異なるローンを合わせて利用することで、返済の負担を軽減したり、金利変動によるリスクを抑えたりすることができます。
ただし自分が気に入った住宅ローンを、自由に併用できるわけではありません。最後に併用ローンのメリットや、組み合わせが可能なパターンやルールについて説明します。
併用ローンのパターンとメリット
住宅ローンの組み合わせが可能なパターンは、次のとおりです。
- フラット35+民間住宅ローン
- 財形住宅融資+フラット35
- 財形住宅融資+民間住宅ローン
では、これらの併用ローンにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
たとえばフラット35・民間住宅ローンを組み合わせた併用ローンを組んだ場合、金利タイプは次のようになります。
住宅ローン | 金利タイプ |
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フラット35 | 全期間固定金利型(※1) |
民間住宅ローン | 固定金利選択型(※2) |
市場金利の変動に関わらず、借り入れ時に定めた金利が返済完了まで変わらない金利タイプです。
3年、5年、10年など一定期間の金利を固定するタイプです。固定期間の終了時、それ以降の金利タイプを変動金利・固定金利選択型のどちらにするか選ぶことができます。
そのためこの組み合わせで併用ローンを利用すると、固定金利型でコツコツ一定額を返済しながら、固定期間金利型で少し金利を抑えておくことができます。
市場金利の変動に応じて金利タイプを選択することも可能なので、柔軟性があるのもメリットです。
返済の負担を減らせるので、ぜひ活用してください。
自分に合った種類・併用方法で夢のマイホームを買おう!
融資条件や限度額はもちろんですが、返済期間や金利タイプなども「無理なく返済できるかどうか」に大きく影響するポイントなので、必ず確認しましょう。
また異なる種類の住宅ローンを組み合わせる「併用ローン」で、自分に合った返済計画が立てることが可能です。
自分に合った種類・組み合わせの住宅ローンを組んで、夢のマイホームを手に入れてくださいね。