学費を準備する方法のひとつ「国の教育ローン(教育一般貸付)」には、次のようなメリットがあります。
- 対象となる学校が多い
- 教育資金として、幅広い用途で利用できる
- ほかの教育ローン・奨学金と併用できる
- 申込条件が緩和される場合がある
- 金利が低い(1.81%)※
- 返済期間を延長できる場合がある
- 在学中は利息のみの返済も可能
中学校卒業以上の人を対象とする教育施設であれば、国内・国外問わず「国の教育ローン」の利用が可能です。
また銀行や信用金庫など、民間金融機関で取り扱う教育ローン・独立行政法人日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金とも併用可能できます。
それでは「国の教育ローン」の特徴や審査基準、利用方法を確認していきましょう。
国の教育ローンは何に使える?対象となる学校や利用目的一覧
「国の教育ローン」とは、日本政策金融公庫(JFC)が取り扱う教育ローンのことです。
主に次のような学校に通う場合、「国の教育ローン」融資対象となります。
- 修業年限が原則6カ月以上
- 中学校卒業以上の人を対象とする教育施設
日本国内 | 大学、大学院(※1)、短期大学、専修学校、各種学校、予備校、デザイン学校、高等学校、高等専門学校、特別支援学校の高等部 |
---|---|
海外(※2) | 高等学校、高等専門学校、短期大学、大学、大学院など |
※2:原則6カ月以上の留学
そのほか職業能力開発校などの教育施設も対象と、「国の教育ローン」はさまざまな学校での修学支援が可能です。
「国の教育ローン」で融資される資金は、次のような目的で利用することができます。
教育資金 | 例 |
---|---|
学校納付金 | ・入学金 ・授業料 ・施設設備費 |
受験費用 | ・受験料 ・受験時の交通費・宿泊費 |
在学のための住居費用 | ・家賃 ・敷金、礼金 |
その他 | ・教科書代 ・教材費 ・通学費用 ・学生の国民年金保険料 |
迷ったら、日本政策金融公庫へ問い合わせてみて。
国の教育ローンの利用条件【申込者は保護者】
続いて「国の教育ローン」の利用条件を見てみましょう。申し込み資格があるのは、次のような条件を満たしている人です。
- 融資の対象となる学校に入学・在学する人の保護者である
- 主に生計を維持している
- 世帯年収(所得)が定められた金額以内
でもその前に、「年収」と「所得」の違いを理解しておいて。
意味 | |
---|---|
年収 | 「給与」や「賞与」など、年間の収入を合計した金額 |
所得 | 「年収」から「給与所得控除」を除いた金額 |
では「国の教育ローン」利用条件となる世帯年収(所得)の上限額を、子どもの人数ごとに見てみましょう。
子どもの人数 | 世帯年収(所得)の上限額 |
---|---|
1人 | ・790万円 (590万円) |
2人 | ・890万円 (680万円) |
3人 | ・990万円 (770万円) |
4人 | ・1,090万円 (870万円) |
5人 | ・1,190万円 (970万円) |
また扶養している子どもが1人または2人の場合、次のいずれかに該当すれば、上限額が990万円(770万円)まで緩和されます。
- 勤続(営業)年数が3年未満である
- 居住年数が1年未満である
- 世帯のいずれかの人が自宅外通学(予定)である
- 借入申込者かその配偶者が単身赴任である
- 海外留学資金を利用目的とする
- 借入申込人の年収(所得)のうち、借入金返済の負担率が30%を超える
- 親族などに「要介護(要支援)認定」を受けている人がいて、その介護に関する費用を負担している
でも「国の教育ローン」には審査があるでしょ?申し込みはできても、審査に落ちたら嫌だなぁ。
国の教育ローンにおける5つの審査基準
「国の教育ローン」の審査では申込者の提出資料から、主に次の項目を見られます。
- 勤務および営業状況
- 収入(所得)状況
- 借入状況
- 住宅ローンの返済状況
- 公共料金の支払い状況
これらの項目に問題がなければ審査が通り、「国の教育ローン」で教育資金を借りられます。
勤務状況や収入はもちろん、「他にいくら借り入れしているか」「ローンを返済している場合、問題なく返済できているか」なども見られます。
借入状況や住宅ローンの返済状況を確認したい場合は、信用情報を見てみましょう。
信用情報の開示方法や見方については、次の記事で解説しています。自分の信用情報を確認したい人は、参考にしてください。
国の教育ローンの審査に落ちたら民間の教育ローン・奨学金も検討
「国の教育ローン」の審査は甘いものではないから、審査に落ちたときのために他の借り入れ方法も考えておきましょう。
対象となる学校や利用目的、利用条件など異なる点はありますが、次の方法でも学費を用意できます。
- 民間金融機関の教育ローン
- 日本学生支援機構の奨学金
これらの教育ローン・奨学金は、「国の教育ローン」と併用することも可能ですよ。
「民間金融機関」とは、銀行や信用金庫、ろうきん、JAなどのことです。これらの金融機関でも、教育ローンを取り扱っています。
金融機関との取引状況によっては、金利引き下げ(金利優遇)が可能な場合もありますよ。
民間金融機関の教育ローンについては、次の記事で解説しています。
日本学生支援機構の奨学金には「給付型」と「貸与型」の2種類。教育ローンは借り主が保護者なのに対し、奨学金は借り主が学生本人となります。
成績優秀者は無利息で奨学金を借りられるなどのメリットもあるので、条件を確認してみるといいでしょう。
奨学金については、次の記事を参考にしてください。
申し込み条件をクリアしているかどうかなど、確認する必要もあります。「国の教育ローン」で審査に落ちたときのために、別の借入先も合わせて検討しておくといいでしょう。
また当サイトでは、大学の学費を払えない場合の対処法をまとめた記事も用意しています。在学中に学費を滞納した場合の対応についても解説しているので、読んでみてください。
国の教育ローンは民間の教育ローン・奨学金と併用するのもオススメ!
- 借入のタイミングが違うから使い分けやすい
- 返済の負担が大きくなりにくい
国・民間の教育ローンと日本学生支援機構の奨学金は、教育資金の借り方と返済開始時期が違います。
借入方法 | 返済開始時期 | |
---|---|---|
国の教育ローン | ・一括振込 | 借入の翌月 |
民間の教育ローン | ・一括振込 ・必要に応じて随時借入 | 借入の翌月 |
奨学金 | ・毎月定額を振込 | 卒業後 |
民間金融機関の教育ローンには「一括借入型」と「カードローン型」があります。
カードローン型の教育ローンなら、必要に応じて繰り返し借り入れ可能です。
奨学金は卒業後から返済すればいいから、それまでに教育ローンの返済を少しでも進めておくといいわ。
国の教育ローン申込・手続き方法【インターネット申込は来店不要】
「国の教育ローン」は、インターネットまたは郵送で申し込み可能。それぞれの手続きの流れを簡潔にお伝えします。
- 日本政策金融公庫(JFC)の公式ホームページから申込フォームを開き入力する
- 今後の申込手続きに関するメールが届く
- 必要書類を日本政策金融公庫の支店へ郵送する
- 教育ローンコールセンターへ問い合わせて、借入申込書を郵送してもらう
- 借入申込書に記入する
- 必要書類を日本政策金融公庫の支店へ提出する※
審査結果の連絡は、申し込み完了後10日ほどで郵送されます。
契約者名義の口座へ資金が入金されるまでは、申し込み完了後から20日ほどかかることも覚えておきましょう。
ただし入学資金として利用する場合は、合格通知などの確認が完了してから入金されます。
国の教育ローンの返済期間と返済方法
「国の教育ローン」で無事審査が通り契約できても、返済が終わるまでは気が抜けないですよね。
ざっくりまとめると、「国の教育ローン」の返済期間・返済方法は次のようになっています。
返済期間 | ・15年以内 (条件により18年以内の場合あり) |
---|---|
返済方法 | ・毎月同額を返済 ・ボーナス月の増額返済可能 ・在学中は利息のみの支払い可能 |
国の教育ローンの返済期間は最長15年!18年に延長可能な場合あり
「国の教育ローン」の返済期間は最長15年ですが、次のような人は18年まで延ばすことが可能です。
- 交通遺児家族
- 母子家庭または父子家庭
- 世帯収入200万円(所得122万円)以内または子ども3人以上で世帯年収500万円(所得346万円)以内
国の教育ローンは毎月の返済額が一定!在学中は利息のみの返済も可能
「国の教育ローン」の返済方法には、簡潔にまとめると次のような特徴があります。
- 毎月の返済額が一定
- ボーナス月の増額返済が可能
- 在学期間中は利息のみの返済も可能
「国の教育ローン」融資金は、元利均等返済※という方法で返済します。
元金・利息を合わせて返済する方法のことです。
この返済方法は、毎月の返済額が一定になっています。
そのため返済計画が立てやすく、毎月のお金の管理もしやすいのが特徴です。
年2回、ボーナス月の増額返済もできます。
また在学期間中は、元金据置返済※(利息のみの返済)も可能です。
元金(融資された金額)の返済は行わず、利息分のみを返済する方法のことをいいます。
在学中は、教育資金をはじめ色々とお金がかかるもの。元金据置返済は在学中の返済負担を軽減したい人にオススメです。
国の教育ローンのメリットや利用法をおさらい!
インターネットまたは郵送から申し込むことができます。インターネットなら手続きが来店不要なので、「日本政策金融公庫の支店へ行く時間がない」「支店が近くにない」という人にオススメです。
返済額は毎月一定なので、計画的に返済しやすいのもメリットでしたね。在学中の返済が苦しくなりそうな人は、元金据置返済を選択するといいでしょう。
「国の教育ローンで審査に落ちた」「国の教育ローンだけでは学費を用意するのが難しい」という人は、民間金融機関の教育ローン・日本学生支援機構の奨学金も検討してみてくださいね。