「マイホームが欲しい」「子どもの教育費がかさむ」「通院にお金がかかる」など、生活をするには何かとお金が必要ですよね。日々なんとなく支払っている費用のなかには、国や自治体からもらえる、または返ってくるお金が潜んでいるかもしれません。
実は自治体によって内容や名称が異なるため、あまり知られていない補助金もいろいろあるんですよ。
例えば、神奈川県在住で世帯年収350~590万円だと私立高等学校等授業料軽減助成金と高等学校等就学支援金を併用できるので3年間で約80万円、学費の補助金を受け取れます。※1
そのほかにも、住宅ローン減税では最大500万円の控除を受けられるなど、知っているだけで多額の節税ができる制度もたくさんあります。
適用する制度は使わないと損ですよね。ここでは住宅関連、子育て関連、医療関連、その他知っておくと、お得な制度をいろいろ紹介していきます。
住宅ローン減税とすまい給付金の併用で賢く節税!リフォームにも適用
「住宅ローン減税」と「すまい給付金」は消費税引き上げの負担を軽減するために、制度が大幅に拡充されました。
住宅ローン減税は新築だけでなく、中古住宅も対象でリフォームに適用できる場合もあります。お得な住宅ローン減税と併せて利用できる、すまい給付金についても紹介します。
住宅ローン減税(控除)制度は最大500万円の控除を受けられる!?
住宅ローン減税制度は住宅ローンを借りて、マイホームを取得する際の金利負担を軽減するための制度です。平成26年の消費税引き上げに対応するために制度拡充が行われました。
この制度では最大で500万円の控除を受けることができます。
控除されるのは以下の金額が少ない方の1%で、10年間所得税から控除を受けられます。
- 年末の住宅ローン残高
- 住宅の取得対価(すまい給付金の額は控除される)
新築だけでなく、中古住宅も対象となる住宅ローン減税は増築や省エネ、バリアフリー改修の費用が100万円を超える場合、その工事費用も減税対象となります。
すまい給付金で住宅購入のときに最大30万円もらえる!?
上記で紹介した「住宅ローン減税」は、所得税などから税金を控除するので、収入が少ない人にとっては大きな効果が望めませんでした。そのため実施されたのが「すまい給付金」です。
すまい給付金は最大で30万円をもらうことができ、住宅ローン減税と併用できます。(2016年12月、消費税8%時点)
すまい給付金の対象者はこちらです。
- 住宅を取得して登記上の持分を保有し、その住宅に居住する
- 一定以下の収入※である
夫婦(収入は夫のみ)、12才以下の子どもが2人の家族構成、世帯収入をモデルにした例
税金8%:目安として510万円以下
税金10%:目安として775万円以下
すまい給付金でいくら受け取れるかはこちらのサイトでシミュレーションできるので、参考にしてください。
出産から進学まで子育てに役立つ制度!年齢別のもらえるお金を紹介
妊娠・出産から就学にかかる費用など、子育てには何かとお金がかかりますよね。実は国や自治体が行う子育て支援のための給付金は、いろいろあるんですよ。
例えば出産の際には出産育児一時金や育児休業給付金、その後も中学生までは児童手当、高校に上がってからは高等学校等就学支援金や私立高等学校等授業料軽減助成金などの制度があります。せっかくなので使える制度は利用しましょう。
出産育児一時金は子ども1人につき42万円支給される!
出産育児一時金は出産費用や育児にかかる費用負担を軽減するために支給される給付金で、1人につき42万円が支給されます。在胎週数が22週未満など、産科医療補償制度加算対象出産でなければ40万4千円(平成27年1月1日以降)が支給されます。
受け取り条件は次の3つです。
- 健康保険の被保険者またはその被扶養者
- 妊娠4カ月以上で出産した人
- 産科医療補償制度加算対象出産でない人
児童手当は0才から15才まで受け取れる!最大15,000円支給
児童手当は0才から満15才(誕生日後の初めの3月31日まで)の児童を養育している人を対象に支給される手当金で、金額は年齢によって異なり月額5,000~15,000円が支給されます。※2
0才から満15才までの支給月額はこちらです。
年齢 | 月額 |
---|---|
0~3才未満 | 15,000円 |
3才~小学校終了前 | 10,000円(第3子以降は15,000円) |
中学生 | 10,000円 |
所得制限の限度額を超えている世帯の場合でも、月額5,000円の児童手当を受け取ることができます。
新制度の高等学校等就学支援金で授業料負担を軽減!
この制度は高校学校等の授業料を支援するための制度です。市町村民税所得割額が30万4,200円(年収910万円程度)未満の世帯に支給されます。所得によっては支援金が増えることもあります。
全日制の高等学校の場合は月々9,900円支給され、3年間の総支給額は356,400円です。
学校の種類別の月々支給される金額はこちらです。
学校の種類 | 月額 |
---|---|
下記以外の支給対象高等学校等(全日制や私立など) | 9,900円 |
国立高等学校、国立中等教育学校の後期課程 | 9,600円 |
公立高等学校(定時制)公立中等教育学校の後期課程(定時制) | 2,700円 |
公立高等学校(通信制)公立中等教育学校の後期課程(通信制) | 520円 |
国立・公立特別支援学校の高等部 | 400円 |
対象者は平成26年4月以降の入学者で、平成25年度までに在学している人は旧制度の公立高等学校授業料無償制・高等学校等就学支援金制度を利用できます。
私立高等学校等授業料軽減助成金は授業料を助成する制度
私立高校を対象に自治体で授業料を助成する仕組みで、内容や名称は各自治体によって変わります。ここでは神奈川県の「私立高等学校等生徒学費補助金」を例にします。
授業料補助額:年間121,800円
入学金補助額:100,000円
3年間の総支給額は465,400円
この助成金制度は、上記で紹介した高等学校等就学支援金と併用できる場合がほとんどです。
※2016年12月 各自治体の公式サイトを元に自社調べ
育児休業給付金は最大で月給の67%をもらえる
育児休業給付金とは、育児休業する人を経済的に支援するための給付金で、雇用保険を元に支払われます。
育児休業開始日から6カ月(180日)までは月給の67%を支給され、それ以降は育児休業の最終日まで月給の50%の給付金を受け取れます。
給付期間は出産日(産前休業の末日)、産後休業、育児休業の期間を合わせて1年間です。保育所に入所できないなどの特別な理由がある場合は、受給期間を1年6カ月まで延長することができます。※3
こちらのサイトで育児休業給付金をいくらもらえるか、自動計算できるので育児休業を考えている人は参考にしてください。
制度を使って医療費もお得に!大人・小児別のおすすめ制度
ケガをしたり病気にかかったりした場合は医療費が高額になってしまいますよね。そんなときに利用したい制度が高額療養費制度です。また、子どもを対象とした乳幼児医療費助成・子ども医療費助成制度も知っておきたいお得な制度なので合わせて紹介します。
高額療養費制度を利用して超過分を受け取れる!
高額療養費制度とは、月初めから終わりまでにかかった医療費が自己負担額を超えた場合に、超過分の費用をもらえる制度です。年齢や所得によって自己負担の限度額が変わります。
ここでは年収が約400万円で35歳の人の医療費負担例をみてみます。この場合の自己負担の上限額は87,000円です。30万円を医療機関の窓口で支払った場合、上限額を超えた20万円以上が払い戻されます。※4
乳幼児医療費助成・子ども医療費助成は小児を対象とした助成制度
子どもは流行り風邪にかかったり、転んでケガをしたりと何かと病院に行く機会は多いですよね。自治体では子育て家庭を支援するために乳幼児や小児を対象とした医療費助成制度を実施しています。※5
この助成制度は自治体によって内容や名称が変わります。ここでは八王子市を例に乳幼児医療費助成制度・子ども医療費助成制度を紹介します。名称は「乳幼児医療費助成制度(マル乳)」です。
八王子市の場合は医療費のうちの保険診療の自己負担分が助成され、所得制限はありません。
- 以下の条件を満たす人を対象に実施されています。
- 市内在住の乳幼児(6才になって初めて迎える3月31日まで)
- 国民健康保険または各種社会保険に加入している人
- 生活保護や里親制度を受けていない人
検索するときは「乳幼児医療費助成」または「子ども医療費助成」と地域名で検索すると、その地域の小児を対象とした医療費制度を確認することができます。
- 「乳幼児医療費助成 名古屋市」
- 「子ども医療費助成 高槻市」
身内の不幸があったときにもらえるお金!葬儀を行ったら必ず申請
葬祭や埋葬にはなかなか費用がかかりますよね。そんな時に使用したいのが各健康保険の葬祭費や埋葬費を支給する制度です。また、年金受給者が亡くなった時に受け取れる未支給年金給付という給付金もあるんですよ。
それでは身内の不幸があったときにもらえるお金2選を紹介します。
年金をもらっている人が亡くなったら未支給年金給付の申請を!
年金受給者が亡くなったときに、受け取っていない年金分と、亡くなった月の分まで年金を受け取ることができます。未支給年金を受け取ることができるのは、亡くなった人と生計を同じにしていた遺族です。
未支給年金を受け取れるのは配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、左記以外の3親等内の親族で、未支給年金を受け取る順位もこの通りです。
葬儀を行ったときにもらえるお金は5万円!
健康保険に加入していると、葬祭費や埋葬料にかかったお金をもらうことができます。葬儀を行った人によって給付内容や名称は変わってきます。※6
埋葬料 | 被保険者が亡くなったとき、葬儀を実施した家族に給付されるお金 |
---|---|
埋葬費 | 被保険者が亡くなったとき、葬儀を実施した知人などに給付されるお金 |
家族埋葬料 | 被扶養者が亡くなったとき、家族に給付されるお金 |
もらえるお金は埋葬料と家族埋葬料が5万円、埋葬費は実際にかかった金額の5万円以内まで支給されます。
葬祭費の支給額は自治体によって異なり、1~7万円受け取ることができます。
家族が亡くなったときにもらえるお金については、こちらで詳しく紹介しています。
もらえるお金はいろいろ!ライフプランに合わせて制度を利用しよう
給付金と聞くと縁遠いように感じますが、自分にも適用される制度は案外あるものです。ライフプランに沿って、その時々で自分が使える制度がないかチェックしてみましょう。
例えば住宅購入のときは住宅ローン減税、子どもが生まれるときは出産育児一時金、ケガをしたときは高額療養費制度の利用など、制度を上手に使うことで、出費をおさえられます。
ここで紹介した国や自治体などからもらえるお金は生活に役立ち、いざというときに使えるものばかりなので、ぜひ利用してください。