自己破産を決断してから完了するまでの流れを徹底解説

自己破産を決断してから完了するまでの流れを徹底解説

自己破産は、多額の借入によって返済が困難な状態(いわゆる「支払不能」の状態)であると裁判所に認めてもらい、免責の許可をもらう債務整理の方法です。

自己破産をすることによって、税金など非免責債権を除いた全ての借入に対しての返済義務が法的になくなるため、生活を立て直す上でも有効な手段です。

本記事では、専門家への相談から自己破産を終えるまでの流れについて解説していきますので、自己破産を検討されている方はぜひ参考にしてください。

自己破産の主な流れは?

自己破産するまでの主な流れは、まず弁護士や司法書士などの専門家に相談・依頼するところからがスタートです。

自己破産には同時廃止管財事件という2つの手続き方法があり、どちらで手続きを進めていくかで、若干流れが異なります。

では、順に解説していきます。

まずは弁護士や司法書士に相談する

自己破産は、個人で申立を行って手続きを進めていくこともできますが、弁護士や司法書士などの専門家に相談して手続きを代行してもらう方法が一般的です。ここでは、弁護士や司法書士に相談して手続きを進めていく方法でご説明していきます。

法テラスや弁護士の相談会などを利用するのがおすすめ

自己破産について相談するにしても、弁護士や司法書士などに知り合いにいるというようなこともない限り、一体どこに相談したらいいのかわからないという方が大半でしょう。

相談する弁護士や司法書士の探し方としては、以下のような方法があります。

  • インターネットなどを利用して自力で探す
  • 知り合いの弁護士に相談または共通の知人・友人からの紹介
  • 役所などで開催される住民向けの相談会に参加
  • 各弁護士会で開催する相談会に参加
  • 法テラスに相談して弁護士の紹介を受ける

自力で弁護士や司法書士を探す場合や知り合いの弁護士などに相談する場合は、最初から数千円~1万円前後の相談料が発生することがあります。

逆に、役所や弁護士会などが主催する法律相談会の場合は、無料相談会として開催されるケースが多く、そのまま弁護士を紹介してもらうことができます。

法テラスで無料相談をする場合には、「民事法律扶助」という制度を利用することで無料相談が可能です。ただし、「民事法律扶助制度」は、以下の条件を満たしていないと利用できません。

  1. 収入等が一定額以下であること(※資力基準)
  2. 勝訴の見込みがないとはいえないこと
    ※自己破産の免責見込みのあるものも含む
  3. 民事法律扶助の趣旨に適すること

(出典:日本司法支援センター 法テラスHP

上記のうち、13の条件を満たしていれば、無料相談を利用できます

つまり、法テラスの定める「資力基準」に沿っていて、民事法律扶助制度を利用するに適した理由での相談であれば無料相談を利用できます。「資力基準」の詳細は、この後にご説明します。

ちなみに上記3つ全ての条件を満たしていると、「弁護士・司法書士費用等の立替制度」を利用することも可能です。補足として知っておいて損はありません。

法テラスの資力基準とは?

法テラスで定めている資力基準には、【収入基準】と【資産基準】の2つがあります。

収入基準
同居人数 手取月収額の基準1 家賃・住宅ローンを負担している場合に
加算できる限度額2
1人 18万2,000円以下
(20万200円以下)
4万1,000円以下
(5万3,000円以下)
2人 25万1,000円以下
(27万6,100円以下)
5万3,000円以下
(6万8,000円以下)
3人 27万2,000円以下
(29万9,200円以下)
6万6,000円以下
(8万5,000円以下)
4人 29万9,000円以下
(32万8,900円以下)
7万1,000円以下
(9万2,000円以下)

※1:東京、大阪など生活保護一級地ではカッコ内の基準を適用
※2:居住地が東京特別区の場合はカッコ内の基準を適用
(出典:日本司法支援センター 法テラスHP

【収入基準】では、本人と配偶者の収入が合算されるほか、同居家族の収入も「家計の貢献の範囲」で合算されます。

次に、【資産基準】を見てみましょう。

資産基準
同居人数 資産合計の基準
1人 180万円以下
2人 250万円以下
3人 270万円以下
4人以上 300万円以下

(出典:日本司法支援センター 法テラスHP

現金と預貯金の合計額が上記条件を満たせば、無料法律相談を利用できます。

収入基準や資産基準など、法テラスで無料法律相談をする場合の条件が少しややこしいですが、法テラスの公式サイトには「要件確認体験ページ」も用意されています。無料相談のための条件を満たしているか確かめたい方は、ぜひ利用してみましょう。

相談は弁護士と司法書士のどちらがいい?

自己破産の手続きに対応してくれる専門家としては、弁護士と司法書士が知られていますが、実際に依頼をするならどちらがいいのかと悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

弁護士は代理申立が可能なため、代理人として自己破産の申立まで行ってくれます。

一方、司法書士は書類を作成してはくれますが、申立を行うのは本人でなければなりません。

また、自己破産の申立後に行われる裁判官との面接の際も、弁護士は同席できますが司法書士は同席できません。

依頼から自己破産を終えるまでのトータルなサポートという点においては、代理人として申立をしてくれる弁護士に依頼した方が、安心感があります。

弁護士への依頼後は返済も取立もストップ

弁護士への依頼が済むと、債権者に対して弁護士からの「受任通知(弁護士介入通知)」が送付されます。

それ以降は借入の返済をしなくてもよくなり、債権者からの取立も止まります。

その後、弁護士は貸金業者などの債権者から取引履歴の開示を受けて法定金利への引き直し計算を行い、最終的な債務額が決定されます。受任から債務額決定まで1カ月~3カ月ほどの期間を要します。

申立書類の作成と即日面接が終われば破産手続開始決定

手続きを弁護士に依頼してから債務額が決定するまでの間、依頼者側は申立のための必要書類を用意するなど申立の準備を整えていきます。申立書類の作成が完了すると、裁判所での受付を行い、すぐに裁判官との面接(即日面接)が行われます。

自己破産手続きは管財事件と同時廃止がある

冒頭で触れましたが、自己破産の手続きには管財事件同時廃止の2種類があり、即日面接後の流れは管財事件同時廃止とで異なります。

管財事件とは?少額管財と特定管財の違い

管財事件では、破産手続開始決定後に破産管財人が選任され、調査や財産の現金化(換価処分)が行われ、債権者へ配当されます。

管財事件は、以下のような条件に当てはまる場合に選択されます。

  1. 自由財産を超える財産がある(概ね20万円以上)
    (自由財産の範囲は裁判所によって扱いの違いがある)
  2. 法人の代表や個人事業主
    ※個人事業者は事情により同時廃止が選択されることもあり
  3. 住宅ローンや保証債務を除く債務額が5,000万円程度を超えていること

少額管財と特定管財

管財事件は、「少額管財」と「特定管財」の2種類に分けられ、「少額管財」で20万円、「特定管財」で50万円以上の予納金が必要になります。

「少額管財」と「特定管財」の違いは以下のようになっています。

少額管財 弁護士が申立代理人であれば少額管財になる。申立書類の作成段階で追加調査の事項が少ない場合に選択される。
統計では、管財事件のほとんどが少額管財
特定管財 申立書類の作成段階で追加調査の事項が多く、また複雑である場合に選択される。司法書士が書類を作成して本人が申立を行う

弁護士が代理人であれば、少額管財が選択されます。

同時廃止とは?管財事件との主な違い

同時廃止は、財産がない場合(概ね20万円未満)に選択されます。管財事件とは異なり財産などの調査・管理・換価処分なども不要なため、破産管財人を選任する必要もありませんし、予納金も不要です。

破産手続開始決定と同時に破産手続きが即廃止されるため、同時廃止と呼ばれます。同時廃止は、破産手続開始決定後の手続きが管財事件よりも簡略化されているのが特徴です。

管財事件と同時廃止の流れ

管財事件同時廃止も、弁護士に依頼してから「破産手続開始決定」が出されるまでは同じ流れで手続きが進められます。

管財事件による自己破産の流れ

管財事件では、破産手続開始決定が出された際に、破産管財人が決まります。

  1. 弁護士に依頼
  2. 債務額の確定
  3. 必要書類の収集・申立書類の作成
  4. 申立・裁判官との即日面接
  5. 裁判所から破産手続開始決定が出され破産管財人が決定する
  6. 即日面接から1週間~2週間後に破産管財人との面接が行われる
  7. 申立から1カ月程度後に裁判官や破産管財人と共に依頼者も出席し債権者集会が行われる
  8. 債権者集会から1週間程度で免責許可決定が出される
  9. 免責許可決定から約1カ月程度で免責許可決定が確定

同時廃止による自己破産の流れ

  1. 弁護士に依頼
  2. 債務額の確定
  3. 必要書類の収集・申立書類の作成
  4. 申立・裁判官との即日面接
  5. 裁判所から破産手続開始決定が出される
  6. 弁護士と裁判所へ行き免責審尋が行われる
  7. 免責審尋の約1週間後に免責許可決定が出される
  8. 免責許可決定から約1カ月程度で免責許可決定が確定

比較してみますと、破産管財人を置かない分だけ同時廃止の手続きが簡略化されていることがわかります。

自己破産するまでの期間と費用

自己破産を終えるまでの期間は、破産管財人を置く必要のある管財事件の方が同時廃止よりも長く、費用も予納金が発生する管財事件の方が高めです。

管財事件は6カ月~12カ月の期間が目安

管財事件は、破産管財人を選任して財産に関する手続きが加わる分だけ期間が長くなります。目安としては6カ月~12カ月となり、同時廃止に比べて倍程度の期間を要します。

同時廃止は3カ月~6カ月の期間が目安

逆に、同時廃止は破産管財人を選任する必要がないので、管財事件よりも手続きの流れがスムーズです。多くの場合、3カ月~6カ月の期間で終了します。

管財事件と同時廃止は費用も違う

自己破産の手続きにかかる費用は20万円~80万円程度と幅があります。それは、弁護士によって設定されている報酬が異なるほか、管財事件同時廃止で費用が異なるためです。

既述しましたが、管財事件では裁判所に納める予納金が必要で、少額管財で20万円、特定管財で50万円以上です。単純比較するまでもなく、同時廃止の方が費用は低くなります。

また、管財事件を選択するなら、弁護士へ依頼して少額管財の手続きをした方が費用を抑えられます。

自分で自己破産の申立はできる?

自己破産の手続きを自分で行うことは可能です。ただし、以下のようなデメリットがあります。

  • 個人の手続きでは手間がかかる
  • 手続き中の取立や返済をストップできない

個人で自己破産を申立することも可能!ただし手間がかかる

弁護士に手続きを依頼した場合には、即日面接制度を利用でき、これにより自己破産が終えるまでの期間を短縮できます。

個人で手続きを進める場合は即日面接制度の利用ができないため、弁護士に依頼した場合と比べて手続きの期間も長くなります。

さらに、弁護士が代理人であれば裁判所とのやり取りも全て弁護士が担ってくれますが、個人で手続きする際は裁判所とのやり取りも自分でこなさなければなりませんので、手続きにかかる手間が多くなります。

弁護士を代理人とした方がメリットは大きい

弁護士に代理人を依頼すれば手続きを一任できるため手間もかかりません。しかも、受任通知によって取立や返済がストップできるのも特徴です。個人の手続きではそこまでできませんので、弁護士へ依頼した方がメリットは大きいです。

まとめ

自己破産は、管財事件同時廃止という2種類の手続き方法があり、どちらが適用されるかで手続きの流れが変わります。

自己破産を終えるまでの流れは弁護士などからも説明が行われますが、大まかな手続きの流れをあらかじめ把握しておくだけで、専門的な説明も理解しやすくなります。

また、管財事件同時廃止とで期間も費用も異なりますので、自身にとってどちらの手続きが適切か、事前に検討しておくこともおすすめします。

(監修:鎌倉鈴之助)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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