自己破産をするとどうなる?破産者本人へ与える4つの影響と家族等に与える2つの影響とは?

自己破産をするとどうなる?破産者本人へ与える4つの影響と家族等に与える2つの影響とは?

自己破産をするとどうなるのか?そう思うと、なかなか自己破産へ踏み込めない方も多いでしょう。自己破産とは、一定以上の財産を失う代わりに今抱えている「借金のすべてを免責()」にする手続きです。

(※)株式投資の失敗、ギャンブル、浪費などが原因の借金については、免責が認められないこともあります。また、著しい免責不許可事由がある場合には「一部」免責となります。

メリットとデメリットを比較したときも、圧倒的にメリットのほうが多い手続きと言えるでしょう。

しかし、自己破産をすることで実際に与える影響を考えると、なかなか自己破産へ踏み込めない方も多いはずです。

そこで今回は、自己破産をするとどうなるの?どのような影響があるの?家族への影響は?と不安を抱えている方に向けて、下記のことをお伝えしています。

  • 自己破産をすると借金の差し押さえが止まったり、今抱えている借金がすべて免責になったりなどの多くのメリットが発生する
  • 自己破産をすることで本人へ与える影響は4つ、家族へ与える影響は2つそれぞれの影響について
  • 勘違いされがちな「自己破産による影響」6つについてお伝えし、自己破産の不安を払拭できる

自己破産をするとどうなる?

自己破産をすることで起こることは下記の3つです。

  • 借金の取り立てや差し押さえが止まる
  • 今抱えている借金すべてが免責になる
  • 官報に名前等が原則2回掲載される

自己破産をするとどうなってしまうのか?わからないままでは、なかなか自己破産手続きに踏み込めない方も多いでしょう。

まずは、自己破産をすることで起こる3つのことについて詳しくお伝えします。

借金の取り立てや差し押さえが止まる

自己破産手続きを弁護士等の専門家に依頼をすることで、弁護士は債権者へ「受任通知(又は「介入通知」「債務整理開始通知」)」を送付します。

この受任通知を受け取った貸金業者等は、債務者に対して連絡をしたり借金の取り立てをしたりすることができなくなります。

貸金業法21条(取り立て行為の規制)1項では「債務者が債務の処理を弁護士や司法書士に依頼し、その書面を受け取ったときは弁済を要求したり、直接連絡を取ったりすることを禁止する」と明記されています。

参考:e-Gov|貸金業法(21条)

また、借金の滞納の結果、財産の差し押さえを行う強制執行がなされていたときも、破産手続き開始決定及び執行停止の上申書提出により一旦差し押さえがストップします。

最終的に自己破産による免責許可決定がおりれば財産を差し押さえられることはありません。

今抱えているすべての借金が免責になる

破産手続き開始後、免責許可が決定したときはすべての借金が免責になります。消費者金融等からの借入はもちろん、クレジットカードの借金や住宅ローン等の各種ローンもすべてです。

また、友人・知人、家族等からの借金を抱えている場合もすべて免責になります。

なお、家族や友人等からの借金はあくまでも「個人間融資」に該当し、貸金業ではないため受任通知送付後も取り立てが可能です。

ただし、特定の債権者のみに返済をしてしまう行為は債権者平等という破産制度の趣旨に反することにもなり、免責不許可事由に該当する恐れがあるうえに、偏頗(へんぱ)弁済や財産隠しを疑われる恐れがあります。

最悪の場合、免責不許可になるうえに刑事罰として懲役もしくは罰金刑になり得ます。

知人友人、家族等からの借金で注意すべきことは2つ

  • 貸金業ではないため取り立ては可能
  • ただし、特定の債権者のみに返済をする行為は自分が不利になる

免責許可がおりればすべての借金が免責になります。それまでの期間は、知人友人、家族等に返済をできない旨を伝えて理解してもらうしかないでしょう。

なお、免責許可決定後は借金の返済義務はなくなりますが「返済してはいけない」などの法律はありません。知人友人等に返済したいのであれば、免責許可確定後に行いましょう

税金等は免責の対象外

自己破産をしても0にならない債務のことを「非免責債権」と言います。非免責債権には下記のものが該当し、自己破産をしても0にならないので注意してください。

  • 税金各種
  • 悪意で与えた不法行為に対する損害賠償請求
  • 破産者が扶養義務として背負っている費用(養育費)

税金等は公的な請求権であるため、非免責債権に該当します。他には、水道料金や健康保険料、罰金なども非免責債権に該当するので注意してください。

官報に「破産手続きの開始決定をした事実」と「免責許可が決定した事実」が掲載される

「自己破産をすると官報(国の機関紙)に掲載される」事実は、広く知られています。しかし、破産手続き開始時点と免責許可決定時点の2度掲載される事実を知っている方は少ないでしょう。

官報に掲載されることで、自己破産をした事実が公に公表されます。しかし実際には、官報を閲覧する一般の方は少なく、知人友人や家族、会社の人などにバレる心配はほぼありません。

「自己破産をすれば最大で2度、官報に掲載される」そういうもの。程度に思っておけば良いです。とくに不利益を受けることはありませんので、安心してください。

自己破産をすることで与える自分への影響と家族への影響

自己破産をするとどうなるのか?についてお伝えしてきましたが、続いて自己破産をすることで自分や家族にどのような影響があるのか?についてお伝えします。

自分へ与える影響は下記の4つ

  • 多くの財産を手放すことになる
  • 今後5~10年間はローン契約等が難しくなる
  • 一定期間就けない職業・資格制限がある
  • 各種カード、銀行口座が凍結する恐れがある

家族へ与える影響は基本的にありませんが、間接的に与える影響は下記のとおりです。

  • 家や車を失うことによる生活不便
  • 家族が保証人になっているときは債務が移る

上記、自己破産をすることで与える自分への影響や家族への影響について詳しくみていきましょう。

本人への影響①:多くの財産を手放すことになる

自己破産は一定以上の財産を処分する代わりに、あなたの借金をすべて免責にする手続きです。たとえば住宅や預貯金、一定額以上の生命保険や高価な動産が換価処分の対象になるでしょう。

しかし、最低限守れる財産(自由財産)も法律によって定められています。

  • 新得財産(破産手続開始決定後に得た財産)
  • 差押禁止財産(生活に欠かせない家財道具や1カ月間の食料燃料等)
  • 99万円以下の現金
  • 自由財産の拡張が認められた財産
  • 破産管財人が破産財団から放棄した財産

参考:e-Gov|破産法(34条)

しばらく生活を送るために必要な現金や生活を送るうえで必要不可欠な財産、破産手続開始決定後に新たに取得した財産(新得財産)は換価処分の対象外です。また、破産管財人が破産財団から放棄した財産として、価値の認められない財産も処分の対象から外れます。

一方で、上記以外の財産であればすべて処分の対象になるでしょう。「生活に必要なもの」だとか「仕事で使うもの」であるときは、自由財産の拡張を認めてもらう必要があります。

ローンの残っていない車は残せる可能性もある

自己破産をすると車も換価処分の対象になると思われがちです。しかし実際は、ローンが残っておらず新車登録から最長6年経過していれば、価値がないものとみなされ、換価処分の対象にはなりません。

【新車登録からの期間】

普通自動車 6年
商用車 5年
軽自動車 4年

また、上記期間内であっても車両の査定額が20万円以下であれば、処分の対象とならない可能性が極めて高いです。 反対に高級車等、財産としての価値が明らかに認められるときは、上記期間を経過していても処分の対象になる恐れがあります。

なお、ローンが残っている車については、自己破産と同時にローン会社に引き揚げられるため手元に残しておくことはできません。

給料が直接差し押さえられることはない

自己破産によって給料が直接差し押さえられることはないので安心してください。

借金を滞納して行われる強制執行(差し押さえ)では、給料の直接差し押さえを行います。しかし自己破産は「直接給料を差し押さえることはない」と、覚えておくと良いでしょう。

本人への影響②:今後5~10年間はローン契約等が難しくなる

自己破産をすると信用情報「自己破産をした事実」が掲載されます。この情報が消滅するまでの期間が5~10年であるため、この期間中は新たなローン契約が難しくなるでしょう。

しかし「自己破産をした人にローン契約をさせてはいけない」などの法律はありません。そのため、ローン審査に通すか否かは各金融会社の判断に委ねられています。

中には「自己破産の情報が残ったまま、クレジットカード審査に通った」と言った話を聞くこともありますが、極稀なケースです。実際は99.9%難しいと思っておくと良いでしょう。

本人への影響③:一定期間就けない職業がある

自己破産の申し立てをして「破産手続きの開始決定」がなされると、一定期間就けない職業があります。これを資格制限と言いますが、一部例は下記のとおり。

  • 弁護士・司法書士・税理士等の士業
  • 生命保険募集人
  • 警備員

など。

参考:自己破産による資格制限一覧 – 坂東法務事務所

破産手続き開始決定後、免責許可が決定すれば「復権」といってすぐに資格制限が解除されます。しかし、免責不許可になってしまうと最長で10年間復権が認められないので注意してください。

免責不許可になった方が復権をするためには、下記の要件を満たさなければいけません。

  • 免責不許可から10年経過したとき
  • 再生計画認可を受けたとき(個人再生が成立)
  • 借金の返済が終了したとき

免責不許可になってしまえば「破産者」のままになってしまうため、復権が認められません。上記いずれかの方法で復権してください。

本人への影響④:各種カード、銀行口座の凍結の恐れがある

自己破産をすることでクレジットカードがすべて停止し、強制解約になります。また、銀行等から借入があったときは当該銀行口座が事実上一時的に凍結するので注意してください。

とくに給料受取口座に指定している銀行からお金を借りている方、各種ライフラインの引き落とし口座に設定している方、クレジットカードで支払いをされている方。公共料金の支払いができず止まってしまう恐れがあります。

前もって支払い方法の変更を行ったり、給与受取口座の変更をしておいたりなどの対策をしてください。

家族への影響①:家や車を失うことによる「生活不便」

自己破産をした本人が所有する車や家などの財産を失います。その結果、同居家族にも不便を強いることになるでしょう。

他にも、預貯金や生命保険等も解約して処分しなければいけないため、家族へ与える間接的な影響はあります。

自己破産をする際には、家族とよく話し合って理解をしてもらってから行うと良いでしょう。ひとりで行動をしてしまうと、後にトラブルに発展する恐れもあるので注意してください。

家族への影響②:家族が保証人になっているときは、借金返済義務が家族に移る

家族に限らずですが、自己破産する人が抱えている借金の中に「(連帯)保証人」がついているときは、その債務は保証人へ移ります。

保証人よりも連帯保証人のほうが重い責任を負いますが、自己破産の結果であればどちらも変わりはありません。とくに「家族だから頼みやすい」と言った理由から、保証人を設定しているケースも多いです。

保証人になっている家族が突然借金の請求がくれば驚きます。前もって相談しておくなど、前準備を徹底するよう心がけてください。

自己破産をしても影響を与えない6つのこと

自己破産をすることでどうなってしまうのか?と考えている方の中には「自己破産に対する間違えた認識」をされている方も多いです。たとえば、下記の6つはよく勘違いされる自己破産の影響です。

  • 家族へ迷惑を掛ける
  • 旅行や引っ越しができない
  • 会社にバレてしまう
  • 携帯電話や賃貸住宅の契約ができない
  • 今後、結婚ができない(離婚をしなければいけない)
  • 戸籍に自己破産の事実が掲載される

上記の影響はすべて勘違いです。それぞれ、誤った情報であることについて、もう詳しくお伝えします。

影響を与えないこと①:家族へ与える直接的な影響はない

自己破産をすることで家族がクレジットカードを持てなくなるのではないか?家族の所有する財産も処分されてしまうのではないか?と思われる方もいますが、すべて間違いです。

自己破産はあくまでも「個人」の手続きであって、たとえ配偶者や同居家族であっても一切の影響は与えません。唯一、家族へ与える影響といえば、先にお伝えした間接的な2つの影響にとどまります。

家族への影響を懸念して自己破産に踏み切れなかった方は、安心して自己破産手続きを開始してください。

影響を与えないこと②:免責確定後は旅行も引っ越しも可能

「自己破産をすることで引っ越しや旅行を制限される」と、勘違いされている方もいます。こちらは、管財事件の場合は、破産手続き開始決定後から免責確定するまでの期間は「裁判所の許可が必要」になるだけです。

つまり、引っ越しや旅行が禁止されているわけではなく、裁判所へ申し出れば何ら問題なくできます。また、免責確定後であれば通常通りの生活を送れるため、一切の制限がありません。

なお、弁護士へ依頼している時点で旅行や引っ越しを検討されているのであれば、弁護士へ相談してから行くようにしましょう。必要な情報や必要な書類を準備できないと、手続きに遅れが発生してしまう恐れがあるためです。

影響を与えないこと③:会社にはバレないため仕事への影響はない

自己破産をしても基本的には、会社にバレる心配はありません(資格制限対象職種は別)。先程もお伝えしたとおり、給料が直接差し押さえられることもありませんので、会社が自己破産を知るすべは少ないでしょう。

強いて言えば、会社のだれかが官報を見てバレてしまう恐れがある程度です。極めて稀なケースなので、あまり心配する必要はないでしょう。

影響を与えないこと④:携帯電話や住宅の賃貸借契約に影響を与えない

自己破産後も携帯電話の契約や賃貸住宅の賃貸借契約は可能です。ただし、携帯電話本体の割賦契約(分割払い契約)や、信用情報を参照する賃貸借契約であれば、お断りされるケースがあります。

携帯電話会社との契約や賃貸借契約自体は制限なく行えるので安心してください。唯一ある影響は、一般の人よりも選べる物件が少ないとか携帯電話本体を一括で購入しなければいけない程度です。

影響を与えないこと⑤:今後の結婚や配偶者へ与える影響は一切ない

自己破産をしても今後の結婚に影響はありませんし、もちろん離婚をする必要はありません。また、自己破産を理由とした離婚も認められないため、最終的に離婚裁判になっても離婚を強いられることはないでしょう。

ただし、著しい浪費やギャンブルを理由に自己破産をしたのであれば、離婚事由にもなり得ます。ケースバイケースではありますが「自己破産のみ」を理由に結婚や離婚に影響を与えることはありません。

影響を与えないこと⑥:戸籍等に自己破産をした事実が掲載されない

自己破産をしてもその事実が戸籍等に掲載されることはありません。ただし、破産手続き中の期間は、本籍地の市区町村にある破産者名簿に掲載されます。

免責許可決定後は破産者名簿から消えるので安心してください。

もしも免責不許可となったときは、復権するまでの期間は破産者名簿に記載され続けます。

この破産者名簿は一般には非公開であるため、だれもが閲覧できるものではありません。あまり心配される必要はないでしょう。

まとめ

今回は、自己破産をするとどうなるのか?についてお伝えしました。

自己破産をすることで起こることは、借金が免責になるうえに貸金業者等による借金の取り立て等が止まるとのことでした。

また、自己破産をすることによる影響は、財産を失ったり信用情報に傷がついたり、一定期間就けない職業があるなどです。

家族へ与える直接的な影響はほぼなく、唯一与える影響は財産を失うことによる生活不便程度のみです。

今まで、家族への影響や勘違いしていた影響によって、自己破産に踏み切れなかった方も、今回をきっかけに自己破産を検討されてみてはどうでしょうか。

(監修:加陽麻里布)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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