住民税を一括請求で払えない場合はどうすればいい?5つの選択肢や分割できない場合の対処法を解説!

住民税を一括請求で払えない場合はどうすればいい?5つの選択肢や分割できない場合の対処法を解説!
この記事を訪れていた方は以下のような状況ではないでしょうか?

「会社を辞めてしばらくしてから、辞めたあとの住民税の請求がまとめて来た」
「住民税をしばらく滞納していたら、一括請求を請求された」

住民税の一括請求には、主に上記の2パターンがあります。どちらのパターンでも、請求に対する支払いが難しいケースがあるでしょう。

この記事では、そのように「住民税の一括請求分を払えない」ケースで、とるべき選択肢を解説します。

住民税の一括請求を受けて困っている方に、役立てていただけたらと思います。

住民税を一括請求で払えない場合はどうすればいい?5つの選択肢

市役所

住民税の一括請求に対する支払いができない場合、請求のパターンによって対処法が変わります。ここでは、2つのパターンの両方で、対処法を説明します。

4期分割:住民税はもともと4分割できる

住民税の一括請求では、まだ滞納していないものもあります。「請求が来ただけ」のものです。

特に多いパターンは、下記のように「年度途中で退職した」というものです。この場合「自分で納付する分」の請求が、まとめて届きます。

6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月
給与から天引きできた分 自分で納付する分

参考:年の途中で退職した場合の市民税・県民税について|藤沢市

このように、給与からの天引きでなく自分で直接納税する方式を「普通徴収」といいます。普通徴収の納税は「一括・4期分割」のどちらかを選択可能です。

1年間の税金を6月、8月、10月、翌年1月の4回に分けて納めていただきます。この方法を普通徴収といいます。
引用:個人の市民税・府民税のQ&A|大阪府八尾市

このため、まだ納期限が来ていない住民税については、特別な交渉をするまでもなく分割が可能です。

分割納付:払えるペースでの分割に切り替えてもらえる

通常の4期分割でも払えない場合、払えるペースでさらに分割することも相談できます。

失業・病気等の特別な事情で市税を納期内に納められないとき、納税課にご相談いただければ分割納付も可能です。
引用:納期ごとに市税を払うすることができません。分割にすることはできますか。|東京都国分寺市

この相談での分割がどのような内容になるかは、状況次第です。基本的に「払える限り最大限払う」ことを求められます。

納期限の延長:最大90日程度待ってもらえる

分割ではなく、単純に「納期限の延長」を受けられるケースもあります。

災害その他やむを得ない理由により納期限までに納付等を行うことが困難な場合は、申請することによって、納期限の延長(その理由がやんだ日から90日を限度とする)を受けることができます。
引用:納期限の延長|神奈川県横浜市

特定の月にまとめてお金が入ることがわかっている場合は、このような「延長」が適していることもあります。

徴収の猶予:最大1年待ってもらえる

納期限の延長がさらに長くなったものとして「徴収の猶予」があります。自治体によって一部ルールが異なりますが、おおむね下記のように最大1年支払いが猶予されるというものです。

徴収の猶予とは、(中略)1年以内の期間に限り徴収を猶予して猶予期間内に完納を求める制度です。
引用:市税の猶予制度について|愛知県岩倉市

この猶予の対象になれば、住民税の一括請求も「最大1年待ってもらえる」ということです。

減免:税金の一部をカットしてもらえる

ここまでのすべての措置を受けても、まだ支払いが難しいケースもあるでしょう。その場合は「減免」の措置があります。

(前略)納期の延長または徴収の猶予によっても納税が困難であると認められる場合、特別区民税・都民税を減免する制度があります。
引用:救済制度|千代田区

「困難」と認められる条件は、主に被災した、生活保護を受けた、収入が激減したなどです。たとえば愛知県名古屋市の場合、主な条件として下記があげられています。

  • 災害の被害を受けた
  • 生活保護などを受けている
  • 前年所得が200万円以下で、今年の見込み所得が2分の1以下になる(見込み)
  • 前年所得が200万円以下で、雇用保険の基本手当受給資格がある

参考:市民税・県民税の減免|名古屋市

住民税の分割を断られた場合はどうすればいい?

相談

住民税の分割は断られるケースもあります。なぜ断られるのか、断られた場合にどうすればいいかを解説します。

完全に断られ、支払いもできなければ差し押さえになる

「滞納した住民税は一括納付が原則」という自治体は少なくありません。そうした自治体では、分割納付が断られることもあります。

滞納市税等は一括納付が原則です。分割納付などで猶予することは基本的に対応しておりません。
引用:市税等を滞納しています。ローン返済などがあるので分割払いにしてほしいのですが。|東京都東村山市

この場合は一括で納めることになり、それができなければ差し押さえなどの措置に発展します。
実際に差し押さえに至るまでにはいくつかの段階がありますが、差し押さえに向けた措置は順番にとられていきます。

担当した職員の知識不足もあり得る

役所の職員も人間である以上、完璧な知識をもっているわけではありません。分割相談の内容が複雑だった場合、職員の知識不足により断られたという可能性もあります。

自治体の職員も、担当業務に対する知識が不足しているケースがあることは、多くの自治体の内部で指摘されています。

文書事務、財務会計事務など職員としての基礎的な知識や、地方公務員としての担当業務に関する専門的な知識が不足している。
引用:事務処理ミス防止対応方針|広島県安芸太田町

このような原因も考えられるため「明らかに分割をできる」と思われるケースでは、別の職員に相談することも考えましょう。

弁護士に相談すれば分割できるケースがある

弁護士はすべての法律に精通しており、地方税法も熟知しています。このため、弁護士に相談すれば分割の方法が見つかる可能性もあります。

無料で法律相談を受けたい場合、下記の法テラスに相談するのも1つの選択肢です。

住民税を払わない方法は一切ない

NG
住民税の支払いが難しいとき「払わない方法はないか?」「踏み倒しはできないか?」と考える方もいるでしょう。結論をいうと、住民税を支払わない、踏み倒すという方法はありません。ここでは、なぜそうした方法を取れないのかを説明します。

自己破産をしてもダメ(非免責債権)

住民税の支払い義務は、自己破産をしても免除されません。理由は、税金の支払いは「非免責債権」に当たるためです。
免責とは、自己破産によって借金などの返済義務を免除されることです。非免責とは、その免責を受けられないことを指します。税金の支払いをはじめ、免責の対象外となる債権(支払う側からしたら債務)を、非免責債権といいます。
税金の支払いが非免責債権に該当することがわかる条文は、下のものです。

租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)
引用:破産法第253条1項|e-Gov法令検索

非免責債権である以上「自己破産をして支払いを免れる」という選択肢はありません。

引っ越しても無効や時効にはならない

引っ越しによって住民税が無効になることはありません。1月1日の時点で住んでいた自治体に対して納税義務があります。
この1月1日のことを「賦課期日」といい、下記の条文で規定されています。

個人の道府県民税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日とする。
引用:地方税法第39条|e-Gov法令検索

上記のルールにより、1月2日に別の自治体に引っ越しても、1日時点で住んでいた自治体で課税されます。

1月1日時点で海外に住んでいた(日本国内に住所をもたなかった)という場合、住民税は課税されません。しかし「海外に住んでいた」かどうかは、実質をみて判断されます。
日本国内に住所を有しないかどうかは、実質的にみて判断するものとされています。

引用:転出・死亡・出国した場合の市民税|つくば市

たとえば「1月1日時点で海外にいたのに課税された」という場合、上記のルールで「実質的に日本に住所があった」と判断された可能性があります。

借金の返済が原因で住民税を支払えない場合

債務整理
住民税の支払いが難しい理由が借金の返済負担である場合、検討すべき選択肢があります。ここではその選択肢について解説します。

借金返済で他の支払いができなければ、債務整理をすべき

税金を含め「借金の返済負担が原因で他の支払いができない」という場合、債務整理を検討するべきです。少なくとも、税金の支払いと借金の返済では、法的な優先順位が高いのは税金の支払いの方です。

住民税は減免されないが、借金は減らせる&ゼロにできる

住民税は、減免の条件に該当しない限り支払義務が残り続けます。しかし、借金は債務整理によって、減らすこともゼロにすることも可能です。
債務整理には下記の3種類があります。

任意整理 主に利息をカットする(内容は交渉次第)
個人再生 借金を5分の1~100万円程度までに減額できる
自己破産 借金を帳消しにできる

どの債務整理を適用できるかは、状況によって異なります。まずは弁護士に相談し、適用できる債務整理を把握するのがいいでしょう。

借金なしでも住民税を払えないなら、生活保護の受給を検討する

借金もなく、単純に住民税を払えない場合、生活保護の受給も検討するべきです。生活保護を受けると、滞納している住民税についても、一時的に督促が停止されます。

これは「滞納処分の執行停止」というものです。下記の条件に該当する場合、督促や差し押さえなどの処分が停止されます。

一 滞納処分をすることができる財産がないとき。
二 滞納処分をすることによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき。
引用:地方税法第15条の7第1項|e-Gov法令検索

そして、この停止状態が3年間継続すると、支払義務は免除となります。
わかりやすくいうと、3年間生活保護を受けていたとしたら「住民税の滞納分は支払わなくていい」ということになります。この「3年間」というルールは、住民税だけでなく所得税(国税)でも共通します。

滞納処分の停止をした場合において、その処分が取り消されないで3年間継続したときは、その3年の期間を経過した時に、その滞納処分の停止をした国税を納付する義務は当然に消滅する(法第153条第4項)。
引用:第153条関係 滞納処分の停止の要件等|国税庁

上記の理由から、本当に支払いをできず、働くことなども困難である場合は、生活保護の受給を検討するべきといえます。

まとめ

住民税の一括請求に対する支払いができない場合も、ある程度までは役所が相談に乗ってくれるものです。このため、まずは役所と交渉しましょう。

そして、税金の支払いができない理由が他にも借金がある場合は、まず債務整理を検討しましょう。債務整理については、相談料無料・着手金無料などの条件で相談できる法律事務所も多くあります。

まずは自身の状況で債務整理を行えるかどうか、一度気軽に弁護士へ相談してみましょう。

(監修:鎌倉鈴之助)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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