債務整理はどれくらい借金がある時に行うのがいい?するべきタイミングを解説します

債務整理はどれくらい借金がある時に行うのがいい?するべきタイミングを解説します

借金の返済が厳しくてどうにもならなくなった場合、弁護士などの専門家から債務整理を提案されることがあります。

債務整理とは、多重債務に苦しむ方の救済措置で「自己破産」「任意整理」「特定調停」「個人再生」の4つの方法があります。

それぞれの方法によって、特徴や受ける影響などは異なりますが、債務整理をすることで法律に基づく借金の整理が可能です。

しかし、どの方法を選ぶにせよ、適切なタイミングでおこなうことが求められるでしょう。

当記事では、債務整理をするべきタイミングをはじめ、借金の状況に応じた債務整理の方法の選び方について解説します。

債務整理をするべき6つのタイミング

債務整理をするべきタイミングを6つお伝えします。

「借金の残高が○○○万円になったら債務整理をする」などの決まりはありませんが、以下の6つに当てはまったら債務整理をするべきタイミングといえるでしょう。

借金がいつまでも減らないと感じたとき

「借金の返済を毎月おこなっているのに残高がいつまでも減らない」と感じたら、早めに見切りをつけて債務整理をするタイミングです。

その理由となるのが利息の負担が大きいことで、特にクレジットカードのキャッシング機能やリボ払い、カードローンを利用している方に多い傾向になります。

たとえば、利率18%(実質年率)のキャッシングやカードローンで50万円を借りて、毎月15,000円を返済する契約をしたとします。

この場合、初月の返済は「元金7,500円、利息7,500円」となり、返済金額の半分となる金額が利息分になってしまいます。

この状態を放置すれば、借金が減ることなく返済に延々と悩み続ける可能性もゼロではありません。

そして、返済ができなくなれば多重債務に陥ったり、さらに利息が発生したりするなど、生活苦や借金問題から抜け出せなくなるでしょう。

年収3分の1以上の借金残高があるとき

年収の3分の1以上の借金残高がある場合も債務整理をするタイミングの目安です。

実際に生活費に回せるのが年収の残り3分の2なことで、家計が圧迫されてさらに生活を苦しめてしまいます。また、新たな借金を重ねる可能性も出てくるでしょう。

貸金業法の総量規制でも「貸金業者は、借主の年収3分の1を超える金額は貸してはいけない」と定められており、借金の返済不能、多重債務者を出さないための消費者保護を目的にしています。

借り過ぎ・貸し過ぎを防ぐために設けられた新しい規制です。具体的には、貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超える場合は、新たな借り入れはできなくなる、という内容です。

たとえば、年収300万円の方は、貸金業者から100万円までしか借りることができないということになります。

引用:貸金業法Q&A:金融庁

病気や勤務先都合で定職を失うとき

病気や思いがけない事故、または勤務先都合で定職を失うなどのアクシデントが起き、その後の復職や収入の目途が立たないようでしたら、債務整理をするべきタイミングです。

収入を得られる見込みがなくなることで借金を返済する手段はなくなりますので、一般的な常識で考えても返済不能に陥る可能性は高いでしょう。

また、返済不能に陥ることで返済期限以降の利息がどんどん上乗せされ、借金残高だけが膨れ上がって日々の生活を脅かすことにもつながります。

たしかに失業保険や給付金などに頼ることもできるかもしれません。しかし、給与のような安定した長期的な収入とはならないので、返済ができても一時的なものになりやすいです。

その他に、定職を失う以外に「今の職を続けられそうにない」と感じ、次の職のあてがないようなときも、将来的な返済状況を考慮して債務整理をするタイミングになります。

基本的に借金をする人は預貯金がなく、毎月の収入で返済をおこなっていますから、失業して収入を得られなくなれば滞納は避けられないからです。

複数の会社から借り入れをしているとき

クレジットカード会社に消費者金融会社、金融機関などといった複数の会社から借り入れをしているとしたら、債務整理を考えるタイミングと判断して良いでしょう。

すでに複数の会社から借金をしている場合、自転車操業状態で返済をおこなっているのではないでしょうか。

A社の返済をB社の借り入れでおこない、B社の返済はC社でおこなうというような流れです。

そして、借入件数が多い分だけ返済金額も増えますから、収入があっても返済に消えて不足分の生活費を借金するという悪循環が続きます。

「返済ができれば問題ない」「滞納しなければ良いだろう」と考える方もいるかもしれません。しかし、借金のできる金額には限界があります。

新たに借り入れをしようとしても、契約件数が増えれば申し込みをしても審査に落ちやすくなって、いつかお金を借りられない状況になるでしょう。

すでに返済が行き詰まっているのでしたら、後で支払いができなくなった状態で債務整理をするよりも、借入件数と残高を増やす前に解決した方が効果的です。

借り入れと返済を繰り返しているとき

毎月の借金を返済しても、またお金が足りなくなれば借金をするということを繰り返している方は、債務整理を視野に入れてみましょう。

このようなパターンを繰り返す方はすでに借金癖がついています。

そのときの返済は問題なくできたとしても、借金が減ったり完済できたりすることはほぼ期待できません。

また、お金を借りている意識が薄いことから、後で借金問題が深刻になったときは手遅れになっている可能性があります。

債務整理をすることで自分の借金に対する甘さをしっかりと反省して、借金癖に別れを告げて出直してください。

すでに借金の返済ができない・延滞の状態になっている

今月の返済はできそうにない、すでに返済ができずにいるという場合、解決策を取り入れないまま放置しても良いことは何一つないです。

借金問題を悪化させるだけなので、債務整理を早急に考えた方が良いでしょう。

なぜなら、借金の返済ができずに延滞になると以下のようなリスクがあるからです。

  • 遅延損害金の発生
  • 自宅や勤務先に督促の電話が入ったり郵便が届いたりする
  • クレジットカードやローンの利用停止
  • 借金の一括請求
  • 裁判を起こされて給与や財産が差し押さえとなる
  • 会社や家族に借金の事実を知られてしまう

これらのリスク回避のために新たな借金をして返済する方がいますが、それでは何の解決もできません。

借金を余計に増やしてしまい、自分を苦しめるだけになります。

債務整理の種類別タイミングの考え方

債務整理の方法は4つありますが、以下のようにそのとき置かれている状況によって適切な方法は異なるでしょう。

  • 借金の残高はどのくらいあるのか
  • 現在の収入がどのくらいなのか
  • 今後どれだけの収入を得られるのか
  • 自己名義の財産を保有しているか

こちらでは、債務整理のそれぞれの方法と、種類別で考えるタイミングについて解説します。

将来的に完済の見込みのない状況なら自己破産

債務整理の最終手段が自己破産で、所有する財産を処分しても借金の返済能力がないことを裁判所に認めてもらう方法です。

税金などの非免責債権以外の債務はすべて消滅するため、借金の返済がどうしても困難な場合に利用する方法となります。

また、以下に当てはまる場合、自己破産を選ぶタイミングといえるでしょう。

  • 毎月の借金の返済額が収入を大きく上回っている
  • 将来的に借金を完済できそうにない
  • 保有資産を手放しても借金の返済ができそうにない
  • 大きな財産を保有していない

自己破産をすることで借金の返済は免除されますが、同時に自宅や車などといった20万円以上の資産は処分する必要があります。

さらに同居家族の預金通帳の写しや所得を証明できる書類提出を求められる場合があるため、自分一人で解決するのが難しい特徴があります。

しかし、生活のために必要なものは最低限残せますし、自己破産をすることで生活ができなくなることは基本的にありませんから、借金を整理して心機一転やり直したい方には効果的な方法です。

また、任意整理のように債権者と協議する必要はありませんが、裁判所から開始決定を受けて、さらに裁判所から免責許可が下りることで借金の返済義務がなくなります。

注意点として、自己破産の理由が「免責不許可事由」に該当する場合は免責許可が下りないと思ってください。

自己破産のメリット

  • 借金がなくなる
  • 必要最低限の財産は残せる
  • 取り立てに督促、給与の差し押さえなどがストップする

自己破産のデメリット

  • 一定期間は信用取引ができない(ブラックリストに載った状態)
  • 官報に個人情報(住所・氏名)が記載される
  • 自宅や車などの財産は手放さないとならない

借金総額が比較的少額の状況なら任意整理

債務者と債権者が協議をおこない、現在残っている借金の返済計画を決定する方法が任意整理です。

借金がどのくらい残っているのかで異なりますが、一般的に3年~5年間で完済できるような計画を立てるようになります。

また、自己破産のように官報に掲載されることもなく、家族や勤務先などに債務整理をおこなった事実を知られるリスクも低いです。

借金の残高が大幅に減ることはありませんが、協議後に発生する利息がカットされたり、返済が長期化することで毎月の返済負担を少なくしたりできます。そのため、毎月の支払いが苦しい方でも無理なく返済を継続できるようになるでしょう。

任意整理を選ぶタイミングと判断できるのが以下の状態なので参考にしてください。

  • 3年~5年で借金を完済できる可能性がある
  • 裁判所を通さず素早く借金を解決したい
  • 返済は継続できるが現在の返済額は負担が大きい

任意整理を選ぶ場合、弁護士や司法書士などの専門家を通さないと協議に応じてくれない債務者が多いです。

あるいは自分でおこなったとしても債務整理に関する知識がなければ、債務者が不利な条件を提示しても気付かずに和解してしまう可能性があります。

任意整理のメリット

  • 取り立てに督促、給与の差し押さえなどがストップする
  • これから先に発生する利息を抑えられる
  • 保有財産を手放さずに済む
  • 手続きが比較的簡単

任意整理のデメリット

  • 一定期間は信用取引ができない(ブラックリストに載った状態)
  • 借金の返済義務は継続する
  • 借金残高の大幅減額はされない
  • 納得できる条件で和解するために専門家への依頼が必要

専門家に頼らず自分で手続きができる状況なら特定調停

弁護士や司法書士などの専門家に頼らず、債務者自身で簡易裁判所に申し立てる債務整理が特定調停です。

「自身で裁判所に申し立てるのは難しいのではないか」と考える方もいるかもしれませんが、書類の書き方も説明してくれますし、債権者との仲介も裁判所が間に入ります。

返済金額の減額を債務者と債権者それぞれの合意によっておこなう公的な支援制度で、申立料が1社につき500円、予納郵便切手代は420円程度で済みます。そして、借金の元金に利息、遅延損害金の合計金額を3年~5年で完済する返済計画を立てて債権者と交渉する流れです。

裁判所が間に入っておこなう債務整理なことから強制力があり、仮に債権者が合意しなくても裁判所が決定を下す場合もあります。

先述した任意整理と同様に借金の返済義務はなくならないので、特定調停を選ぶ場合は安定収入のあること、以下の条件に当てはまる方が適しているでしょう。

  • 債務整理の費用を用意できない方
  • 自身で必要書類などの用意をしたい方
  • すでに差し押さえとなった借金がある方
  • 平日の日中に裁判所に出廷可能な方

特定調停で債務者と債権者の交渉が成立すると「調停証書」が発行されます。この証書は裁判所の判決と同じ効力があるので、決められた通りの返済ができないと強制執行がおこなわれ、給与や財産などを差し押さえられてしまいます。

また、交渉成立まである程度の時間がかかるため、借金を急ぎで何とかしたい方には効果的な方法ではないかもしれません。

特定調停のメリット

  • 手続きにかかる費用を抑えられる
  • 債権者と直接交渉をおこなわずに済む
  • 強制執行を止めることができる
  • どの債権者と合意するかを自身で選べる

特定調停のデメリット

  • 債権者が交渉に応じないことで調停不成立になることがある
  • 債権者からの取り立てが止まるまでに時間がかかる
  • 平日に裁判所へ出廷する必要がある
  • 調停証書通りの返済ができなければ即強制執行の対象となる

財産を残しつつ借金を減らしたい場合は個人再生

債務者が裁判所に再生計画を提出して認可されることで、借金の減額が叶う手続きが個人再生です。

自己破産では、税金や年金、水道代などの一部債権は除き、その他の債権は支払い義務がなくなりますが、個人再生では減額された借金を3年程度かけて支払いをします。

しかし、その後の残りの借金は支払い義務をなくすことが可能です。
参考:自己破産しても免責にならない場合(免責不許可事由と非免責債権) | 松谷司法書士事務所

たとえば、借金残高が500万円の方が任意整理をする場合、5年間の分割で毎月約8.5万円を返済する必要があります。それに対して個人再生は借金が5分の1に減額されるため、総返済金額は100万円となり、3年間の分割で支払ったとしても毎月2.7万円程度の返済金額となります。

また、自己破産では一定の保有財産は処分対象ですが、個人再生は車、生命保険などもそのまま継続保有できますし、住宅ローン残債のある自宅も「住宅ローン特例」を利用することで売却することなく返済を継続できます。

  • 任意整理では返済計画が立たないほどの借金がある方
  • 複数の貸金業者から借り入れのある方
  • 自宅などの処分したくない保有財産がある
  • 収入があって継続的な返済ができる方

債務者と債権者の交渉成立が必要な特定調停に対し、個人再生では「貸金業者は債務者が一定の条件をクリアしていれば債務整理の内容に合意する必要がある」という強制力もあります。

個人再生のメリット

  • 再生計画が認可されれば借金を大幅に減らせる
  • 自宅を失うことなく返済が継続できる
  • 給与などの差し押さえを止められる

個人再生のデメリット

  • 手続きが複雑で長期化しやすい
  • 再生計画が必ず認可されるかどうかはわからない
  • 他の債務整理と比べて費用がかかる

まとめ

借金の返済が困難な方を救うための手段が債務整理です。

債務整理の種類によって最適な方やおこなうタイミングなども異なってくるので、現在の借入残高に返済を継続できるだけの収入はあるのかなどの状況を考慮して適切な方法を選んでください。

また、自身で判断が難しい場合は、債務整理の専門家の弁護士や司法書士に相談して力を借りるのがスムーズです。

(監修:櫻井晴季)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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