国が法律上認めた借金救済制度とは?4つの種類と減額できる金額を解説!

国が法律上認めた借金救済制度とは?4つの種類と減額できる金額を解説!

借金の返済方法を調べていると「国が法律上認めた借金救済制度」という言葉を目にすることが多くありますが、「本当にそんなものがあるのか?」という疑問を持った方も少なくないでしょう。
結論からいうと、国が法律上認めた借金救済制度は本当にあります。その中身や実際に利用する方法を解説します。
借金の返済で負担を感じている方には、きっと役立てていただけるでしょう。

国が法律上認めた借金救済制度とは、債務整理のこと

国が法律上認めた借金救済制度とは、債務整理のことです。借金の一部、あるいはすべての返済義務が免除されます。免除でなく「月々の返済額を本来のルールより少なくする」などの債権者との交渉も可能です。
債務整理には4種類ありますが、それぞれ下記の法律によって認められています。

個人再生 民事再生法
自己破産 破産法
特定調停 特定調停法
任意整理 民法

借金救済制度はどれを選ぶべき?4つの違いを解説

 

4つの選択肢がある借金救済制度、「自分の場合はどれを選ぶべきか」知りたい方が多いでしょう。ここでは、希望する救済の内容に応じて、どの制度を選ぶべきかを説明します。

借金を全額帳消しにしたいなら、自己破産

自己破産では、税金や社会保険料の滞納などを除く借金の返済義務が全額免除されます。原則として、下記の条件に該当しなければ、借金の全額免除が可能ですし、仮に下記の条件に該当したとしても、破産が認められる可能性もあります。

  • 浪費やギャンブルによる借金である
  • 財産を隠していた
  • 借入先に嘘をついていた
  • クレジットカードの現金化をしていた
  • 過去7年以内に免責を受けたことがある
  • 裁判所や破産管財人の調査に協力しなかった

参考:免責不許可事由とは何ですか?|裁判所

上記の条件は「免責不許可事由」といい、免責とは借金の返済義務がなくなることで、その免責が許可されないケースを免責不許可事由といいます。

自己破産をしても、99万円以下の現金は下記のとおり手元に残せます。

破産財団に属する現金のうち99万円までは、破産者が自由に処分できます(自由財産)
自己破産とは何ですか?|法テラス

また、衣服や家具などの生活用具や、仕事に必要な道具も手元に残せます。これは、民事執行法第132条の「差押禁止動産」で規定されている内容です。

参考:第百三十一条(民事執行法)|e-Gov法令検索

破産した後で仕事をして得た収入は、すべて自分のものです。破産後に得た財産は「新得財産」といい、破産法第34条1項などで所有する権利が認められています。

参考:第三十四条(破産法)|e-Gov法令検索

その他、自己破産には下記のようなメリットがあります。

  • 賃貸住宅から出ていく必要がない
  • 将来の国民年金をもらえる
  • 履歴書に書く必要がない
  • 戸籍にも記入されない
  • 周囲にバレることもない

上記のように、自己破産をしてもその後の生活は問題なくできます。

車や家を残したいなら、個人再生

個人再生は、借金を最大10分の1に減額でき、車や家または残したい財産がある方に適しています。減額できる割合や金額は、借入の総額によって下表のように定められます。

借入総額 最低返済額
100万円未満 全額
100万円以上~500万円以下 100万円
500万円超~1,500万円以下 総額の5分の1
1,500万円超~3,000万円以下 300万円
3,000万円超~5,000万円以下 総額の10分の1

参考:個人再生手続利用にあたって|裁判所

個人再生を検討する方の借入総額は、100万円~1,500万円の間に収まることが多いでしょう。そのため、個人再生を行うと「100万円だけ返済すればいい」「総額の5分の1だけ返済すればいい」という状態になります。

借金がそれほど多くないなら、任意整理

任意整理は、借金の減額や利息のカット、返済計画の再編(リスケジュール)などを行えます。内容は債権者との話し合いで決まり、裁判所も内容については規定していません。

任意整理は,あなたと債権者が直接話合いをして返済方法などについて新たな取り決めをするものです。
債務整理の方法についてのQ&A|裁判所

リスケジュールについては、借金の残高が減るわけではありません。しかし、月々の返済ペースが緩やかになることで、家計のやりくりに余裕が生まれます。

裁判所に仲介してほしい場合は、特定調停

任意整理は弁護士などの専門家に依頼するか、自力で交渉を行うものですが、これに対して特定調停は裁判所に仲介(調停)してもらうものです。

特定調停では、下記の必要書類を家庭裁判所に提出します。

  • 調査表(自身で記入)
  • 申立書(自身で記入)
  • 所得額証明書(または納税証明書)
  • 給与証明書(または源泉徴収票)
  • 家賃がわかる書類
  • 水道光熱費がわかる書類

書類の提出後、数回裁判所に足を運び、金融機関の担当者と裁判所の調停委員を交えて話し合いをします。
参考:特定調停手続|裁判所

借金救済制度のメリット

借金返済

借金救済制度の利用には多くのメリットがあります。ここでは、主なメリットを3つ説明します。

借金を大幅に減額できる

借金救済制度を利用すると、借金の残高を大幅に減額できます。自己破産なら全額、個人再生なら最大10分の1、少なくとも100万円の減額が可能です。
任意整理や特定調停は交渉次第ですが、何もしない場合よりは明らかに返済の負担が小さいです。

返済の督促が止まる

債務整理を行うと、金融機関からの督促が止まります。止まるのは、下記2つのタイミングです。

  • 依頼を受けた弁護士・司法書士が「受任通知」を金融機関に送る
  • 特定調停の申し立てを受けた裁判所が、その通知を金融機関に送る

要は、専門家や裁判所が債権者に対して通知を送り、その通知が届いたときから、督促が止まります。上記2つのパターンで督促が止まることは、下記資料の「取立ストップ」の部分でわかります。

参考:債務整理の四つの方法の長所と短所(注意点)|静岡家庭裁判所

受任通知による督促停止のルールは、貸金業法の第21条の9(取立て行為の規制)に定められています。

参考:貸金業法「第二十一条」|e-Gov法令検索

司法書士・弁護士の費用は共通のルールがありわかりやすい

司法書士や弁護士に依頼する際の費用も、それぞれの連合で共通のルールがあり、明瞭になっています。弁護士の場合、日弁連が下記のように報酬の上限を定めています。

解決報酬金 1社あたり2万円
減額報酬金 減額分の10%以下

参考:債務整理の弁護士報酬のルールについて|日本弁護士連合会

司法書士についても、連合会が「1社あたり5万円」が上限です(下記でいう債権者とは、主に金融機関のことです)。

任意整理事件を受任したときは、定額報酬として債権者一人当たり5万円を超える額を請求し、又は受領してはならない。
債務整理事件における報酬に関する指針|日本司法書士連合会

事務所によっては「着手金不要」なこともあります。この場合、現時点で所持金がない場合でも依頼しやすいのがメリットです。

借金救済制度のデメリット

借金返済

借金救済制度の利用にはデメリットもあります。ここでは、主な3つのデメリットについて説明します。

5年~10年ブラックリストに入る

債務整理をすると、5年~10年の間はその記録が残ります。この記録が俗に「ブラックリスト」と呼ばれるものです。

記録される機関は「個人信用情報機関」で、3つの機関ごとに記録が残る年数が異なります。CIC(シー・アイーシー)の場合、すべて5年です

Q6 情報はいつまで残るの?
(中略)
契約機関中、および契約終了から5年間
信用情報開示報告書の見方|CIC

債務整理などの「異動情報」も含め、CICではあらゆる情報が5年間記録されます(金融機関による閲覧記録など、重要性の低い情報は6カ月です)。

JICC(日本信用情報機構)も、CICと同じく最長5年間記録が残ります。

Q.JICCに登録されている信用情報は、どのくらいの期間登録されるのですか?
A.契約継続中及び契約終了後5年以内です。
よくあるQ&A|JICC

KSC(全国銀行個人信用情報センター)は、任意整理や特定調停なら5年、個人再生と自己破産は10年です。任意整理などを含めたすべての取引情報は「5年を超えない期間」で保存されます。そして、個人再生や自己破産など官報に掲載される情報については「10年を超えない期間」保存されます。

参考:全国銀行個人信用情報センターとは|一般財団法人・全国銀行協会

上記の内容をまとめて表にすると、下のとおりです。

任意整理 5年
特定調停 5年
個人再生 5年~10年
自己破産 5年~10年

現時点の借金が、全国銀行個人信用情報センターに記録されるものでなければ、ブラックリストに残る期間は「最長5年」です。

保証人がいる場合、先に保証人による返済が必要

保証人がいる場合、いきなり救済制度を使うことはできません。先に保証人が返済し、保証人も返済できなくなってはじめて、救済制度の適用が認められます。
下記の民法446条のとおり、保証人は「借りた本人が支払いをしないとき」に、代わりに支払いをする責任があります。

保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
民法「第四百四十六条」|e-Gov

借りた本人が債務整理をすることは「支払いをしない」ことであり、保証人に責任が及びます。ただ、任意整理については「内容が自由」であるため、保証人に支払い義務を負わせることなく、借金の整理ができます。
(この場合は、元本の減額や利息カットでなく、リスケジュールのみを行うケースが多いです)

状況によってはできないことがある

状況によっては、救済制度を利用できないこともあります。代表的な例は先にも説明した、自己破産の「免責不許可」です。
個人再生については、資産を残したい場合「その資産と同等以上の支払い」が必要です。裁判所も下記のように説明しています。

(前略)所有している財産価値(清算価値)以上の金額の弁済を行う必要があります。
個人再生手続について|裁判所

このルールは清算価値保障原則と呼ばれるものです。この原則を守るだけの支払いができなければ、個人再生で資産を残せません。
この他、任意整理も金融機関との話し合いが不成立になれば不可です。

まとめ

国が認めた借金救済制度を利用するのであれば、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのがベストです。所持金がない場合は、前金や着手金が不要の事務所に依頼すれば、現時点でお金がなくても問題なく依頼できます。
国が認めている制度である以上、罪悪感にひたる必要もありません。金融機関側も、毎年一定の債務整理が発生することは想定済みで、金利を設定しています。

(監修:鎌倉鈴之助)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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