個人再生の流れは5ステップ!流れを抑えて、スムーズな手続きを目指そう

個人再生の流れは5ステップ!流れを抑えて、スムーズな手続きを目指そう

個人再生では、借金を大幅に減額しながらも、住宅のような大切な財産をしっかり守れます。

そのため、借金の返済に苦労している人の中には、自己破産ではなく個人再生にこだわる方も多くいるでしょう。そんな個人再生の「流れ」について今回、詳しくお伝えしていこうと思います。

今回お伝えすることは下記の2点

  • 個人再生の依頼から再生計画認可・不認可までの5ステップ
  • 個人再生の流れの中で起こり得る3つの注意点

ぜひ、今回お伝えする個人再生の流れを把握し、スムーズな手続きを目指しましょう。

個人再生依頼から認可決定までの流れは5ステップ

個人再生の大まかな流れは下記のとおり、5ステップです。

  1. 弁護士・司法書士へ依頼
  2. 個人再生の申し立て
  3. 個人再生手続き開始の決定
  4. 再生計画案の提出
  5. 再生計画の認可・不認可決定

専門家への依頼から再生認可の許可もしくは不認可決定までは、わずか5ステップで完結します。しかし、他の債務整理手続きである自己破産や任意整理と比較して、「手続きがとても複雑」なのが個人再生です。

上記ステップの順番で「具体的には何をするのか?」について、詳しく見ていきましょう。

ステップ①弁護士・司法書士へ依頼

弁護士・司法書士への依頼のこまかな流れは6ステップ

  1. 依頼
  2. 依頼者と専門家で契約締結
  3. 受任通知の発送
  4. 取引履歴の開示請求
  5. 引き直し計算(必要に応じて過払い金請求)
  6. 申立書類の準備

まずはじめに、「個人再生を始めたい」と思い立ったら弁護士や司法書士へ個人再生手続きの依頼をします。個人再生は、専門家へ依頼することなく、債務者(借金を抱えている人)個人でも手続きが可能ですがおすすめはしません。

その理由は、「失敗するリスクが高まるため」です。失敗しても何度でも申し立てが可能ですし、自己破産手続きへ変更することも可能です。しかし、一度費やした時間は戻ってこないため、より確実に手続きを行いたいのであれば、はじめから専門家へ依頼したほうが良いでしょう。

では、「専門家に依頼」することが決まったとして、弁護士へ依頼するべきなのか、司法書士へ依頼するべきなのか、悩ましい部分もあるでしょう。

弁護士、司法書士それぞれの大きな違い取り扱うことできる業務の範囲が異なるという点です。その範囲の違いの基準は「個別の債権額(借金額)が140万円を上回るかどうか」です。

140万円超の債権 140万円以下の債権
弁護士
司法書士 認定司法書士であれば◯

「司法書士であれば、140万円以下の法律相談や交渉、手続きの代理などが可能」と思われている方も多いですが、じつは、「認定司法書士」に限られていることもポイントです。認定司法書士とは、特別研修を受け、考査によって認定された司法書士です。

すべての司法書士が該当するわけではなく、一部の司法書士のみが「認定司法書士」に該当します。そのため、個人再生を司法書士へ依頼する際には、注意しましょう。

専門家への依頼が完了し、契約を締結すると、弁護士・司法書士が債権者(お金を貸した側)に対して「受任通知」を発送します。この書類は、「債務者から個人再生手続きを一任され、受任しました」という書類です。

受任通知が債権者へ届いた時点で、債務者に直接連絡を取ることは認められず、借金の返済はもちろん、取り立て等を行うことも許されません。債務者は、個人再生依頼時点で、借金の返済義務が一時的(すべて解決するまで)にストップします。

そして、受任通知の送付と同じタイミングで、債権者に対して「取引履歴の開示請求」を行います。これは、債務者と債権者の間で行われていた取引のすべてを確認し、「引き直し計算」をするためです。

引き直し計算とは、今までの取引のすべてを法定金利に従って計算し直し、正しい借金総額を把握するための行為です。この結果、過払い金が発生していれば、債権者に対して過払い金請求を行います。

ここまで完了すると、個人再生申立書類の作成を開始します。この書類を作成するためには、家計の調査、収支の調査などを行わなければいけませんので、聞かれたことに答える、必要な書類は提出するなど、しっかりと協力しましょう。

ここまでの一連の流れは下記の4ステップ

  1. 依頼
  2. 受任(受任通知の発送)
  3. 引き直し(必要に応じて過払い金請求)
  4. 申立書類の準備

ステップ②個人再生の申し立て

依頼する専門家が決まり、申立書類の準備が完了したら、次のステップ「個人再生の申し立て」です。

個人再生申し立てのこまかな流れは2ステップ

  1. 個人再生委員の選定・面談
  2. 履行テスト

個人再生の申し立ては債務者(借金を抱えている人)の所在地の地方裁判所に郵送で行います。申立書類の到着後、当日から1週間以内に個人再生委員の選定が行われ、面談が開始されます。

もっとも、個人再生委員が選任されるか否かは、個々の事件によって変わってきますので、個人再生委員が選任されないケースも多くあります。

個人再生委員とは、債務者の財産や収入のチェック、個人再生計画案のアドバイスなどを総合的に担います。個人再生委員の選任後に行われる、30分から1時間程度の面談で、具体的な収入や抱えている債務に関する情報等を問われますので、前もって準備しておくと良いでしょう。

その後に行われる「履行テスト」では、債務者に支払い能力があるのか?を実際にテストします。このテストでは、債務者が申立書に記載した月々の弁済額(毎月返済する金額)を申立期間中(6カ月程度)、実際に返済していくものです。

もしも、履行テスト期間中に支払いが滞ってしまうようなことになれば、「再生計画に従った返済能力がない」と判断されてしまいます。そのため、再生計画を立てる段階から、確実に支払いができる範囲内で計画すると良いでしょう。

ステップ③個人再生手続き開始の決定

ステップ②で行われた面談や履行テストの結果をもとに、個人再生委員が裁判所へ「個人再生手続きを開始すべきかどうか」の意見書を提出します。裁判所は、意見書やその他の内容を総合的に判断し、個人再生の手続き開始決定をするかどうかを決めます。

個人再生手続きの開始決定のこまかな流れは2ステップ

  1. 金融業者による債権の届出
  2. 債権認否一覧表・報告書の提出

個人再生手続きの開始が決定されたあと、裁判所より各貸金業者に対して、「再生手続き開始決定の通知」が送付されます。また、この書類と同時に「債権届出書」という書類が送付されます。

再生手続き開始決定の通知は、その名のとおり「再生手続きの開始が決定したことを知らせる書類」です。債権届出書は、債権者(お金を貸した側)が主張する借金額を記載して提出します。

債権届出書はあくまでも債権者が提出する書類であるため、債務者(借金を抱えている人)が何らかの行動を起こす必要はありません。

ただ、債権届出書が債権者から返送されたあとに、債務者が「債権認否」を行います。これは、債権届出書に記載されている内容を認めるかどうかを判断するものであって、これを一覧にまとめ、個人再生委員へ提出します。

ステップ④再生計画案の提出

再生計画案の提出では、具体的な再生計画を立て、計画書としてとりまとめて裁判所へ提出するステップです。

再生計画案提出のこまかな流れは2ステップ

  1. 再生計画のとりまとめ・提出
  2. 書面による決議(小規模個人再生のみ)

再生計画は「具体的な再生計画」を記載し、裁判所へ提出します。具体的な記載内容は下記のとおり。

  • 返済開始の時期
  • 返済方法
  • 返済総額
  • 返済期間
  • 住宅資金特別条項の利用について

これらの情報をとりまとめ、裁判所へ提出します。この再生計画案は、提出期限(申し立てから3~4カ月以内)までに提出しなければ、いかなる理由があろうと再生手続きが廃止されますので注意してください。

再生案提出後、小規模個人再生の方のみ、裁判所から債権者(お金を貸した側)に再生計画案と議決書が送付されます。議決の結果、債権(借金)の1/2を超える不同意があれば、再生手続きは廃止されてしまいます。

※給与所得者再生は議決は行われず、意見聴取のみで完結

ステップ⑤再生計画の認可・不認可決定

小規模個人再生の場合は、議決の結果をもとに、給与所得者再生の場合は、意見聴取の結果をもとに、個人再生委員が裁判所へ意見書を提出します。それらを総合的に判断し、裁判所が最終的な判断を下します。

再生計画の認可・不認可決定の流れは3ステップ

  1. 履行テストや議決等の結果をもとに、認可・不認可の決定
  2. 官報へ掲載
  3. 再生計画に従った返済開始

債務者(借金を抱えている人)の態度や返済能力、個人再生委員からの意見書などを総合的に判断して、裁判所が認可・不認可の決定を下します。認可・不認可が決定すると、日本の機関紙である「官報」へ掲載されます。

官報は、誰でも閲覧可能ですが、余程のことがない限り周囲の人にバレてしまう心配はありません。毎日多くの方々が再生手続きや破産手続きを行っているため、発見することも容易ではありませんので安心してください。

そして、最終的に再生計画の認可がされれば、再生計画に従った返済が開始されます。再生計画認可後、返済が滞ると、個人再生が取り消されてしまうことがあるので、忘れずに確実に支払いを続けていきましょう。

個人再生の流れの中で注意すべきこととは?

個人再生は、専門家へ依頼するところから再生計画の認可・不認可が下るまでに6カ月~1年間の期間を要します。この間で注意しなければいけないことが3つあります。

  1. 偏頗弁済(へんぱべんさい)に要注意
  2. 書類の不備や非協力的な態度は手続きに悪影響
  3. 銀行口座が凍結される

いずれの注意点も、個人再生の流れの中で起こり得ることです。

「弁護士へ一任したから大丈夫」

「言われたとおりにやっていればなんとかなる」

など、注意力が散漫になっていると、自分自身が不利益を受けることになり得ます。これからお伝えする、個人再生の流れの中で起こり得る注意点についても、しっかりと把握しておいてください。

偏頗弁済(へんぱべんさい)には要注意

偏頗弁済とは、特定の債権者(お金を貸してくれた人)にのみ返済をしたり、担保を提供したりする行為です。本来、個人再生を依頼した時点で、弁護士から債権者へ受任通知が送付され、取り立てや返済をしてはいけないことになっています。

これに違反し、特定の債権者のみに返済をしてしまうと、偏頗弁済とみなされ、個人再生の認可等へ影響を与えます。これは、家族や友人・知人からの借り入れも同じです。

個人再生手続きは、すべての債務(借金)が対象となるため、貸金業者からの借り入れのみではなく、一切の債務への返済ができません。

家族や友人・知人からの借り入れは、人間対人間のやりとりであるため、「優先的に返済したい」とか、「少しずつでも確実に完済したい」などと思うのは当然です。しかし、「債権者」という括りで見ると、すべて同じで、不公平になることは許されませんので注意してください。

書類に不備があったり、依頼者が協力的でなかったりすると手続きが長引く

個人再生委員や裁判所へ提出する書類に不備があれば、当然手続きが完了しません。また、依頼者が非協力的であれば、個人再生手続きが進まず、長引いてしまうこともあるでしょう。

「弁護士などの専門家に一任したから大丈夫」と、考える方もいるかもしれませんが、手続きのすべてを任せることはできません。かならず、依頼者の協力も必要になる部分がありますし、面接が必要なときもあります。

求められた書類はすぐに提出し、聞かれたことに対して的確に回答するなど、積極的に協力しましょう。

最悪の場合、手続きが完了せず個人再生が完了しない

手続きがあまりにも長引いてしまうと、個人再生が完了せず、最悪の場合、再生手続きの廃止になり得ます。これは、「再生手続き廃止決定事由」に該当するためです。

再生計画案提出期限またはその伸長期間内に、再生計画案の提出がなければ、再生手続きが廃止されます。今まで支払った弁護士費用等は一切返金されず、債務(借金)も減ることなく、また取り立て等が開始されます。

手続きを遅らせることで得られるメリットは何ひとつありません。可能な限り協力し、スムーズに手続きが完了できるよう心がけたほうが良いでしょう。

受任通知の発送タイミングで、銀行口座が一時凍結する

銀行からの借り入れがある場合、その銀行口座は受任通知到着と同時に凍結します。銀行口座が凍結されることで入金以外すべてのことができなくなります。引き落としや出金などもできません。

そのため、給与受取口座のある銀行から借り入れをしている方や、引き落とし口座に指定している方は、前もって口座変更しておいたほうが良いでしょう。また、預金についても、受任通知送付前までに引き出しておいたほうが良いです。

なお、債務整理を開始したあとであっても、銀行口座の開設は可能です。ひとつしか口座を持たず、給与受け取り口座がなくなってしまうのであれば、できるだけ早い段階で給与受取口座の開設をしておきましょう。

まとめ

今回は、個人再生の流れやその中で起こり得る注意点についてお伝えしました。

まとめると

  • 個人再生は5ステップで完結し、期間は半年~1年程度かかる
  • 自己破産手続き中は、「偏頗弁済」「手続き期間」「口座凍結」の3つに要注意

個人再生は、わずか5ステップで依頼から再生計画の認可・不認可まで完結します。一方で、期間は1年程度かかることもあります。

長期間での手続きになるため、途中で気が抜けてしまうこともあるかもしれません。しかし、最後にお伝えした「偏頗弁済」「手続き期間」「口座凍結」については、しっかりと覚えておいてください。

今回お伝えした個人再生の流れや注意点をもとに、個人再生がスムーズに行くよう積極的に協力すると良いでしょう。

(監修:鎌倉鈴之助)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※画像はイメージです