【医師監修】立ち会い出産する? しない? 現状とメリット・デメリット

【医師監修】立ち会い出産する? しない? 現状とメリット・デメリット

我が子の誕生は、感動的な瞬間ですよね。夫婦で一緒に味わいたいと考える人は多いでしょう。一方で、夫に立ち会ってもらうことに不安を抱く女性もいるようです。立ち会い出産の現状から、メリット・デメリットなどをご紹介します。立ち会い出産について、夫婦で考えてみましょう。


立ち会い出産の現状

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立ち会い出産とは、出産する女性以外の家族が、陣痛に寄り添い、分娩室にも入って、ともに赤ちゃんの誕生を迎える出産スタイルを指します。帝王切開の場合の立ち会いは難しく、基本的に自然分娩(経腟(けいちつ)分娩)の場合に行われます。立ち会い出産で一番多いのが、夫が妻の出産に立ち会うケースです。

2人に1人以上の夫が立ち会い出産を経験

厚生労働科学研究費補助金研究「母親が望む安全で満足な妊娠出産に関する全国調査」[*1]の研究報告書(2013年3月)によると、出産に立ち会ったのは、夫が全体の53%、親が12%、その他5%となり、一方で誰も立ち会わなかったという割合は41%という結果になっています。さらに経腟分娩に限ると出産に立ち会った夫は59%という結果でした。つまり、経腟分娩では、全体の約6割が夫の立ち会いのもと出産しているということがわかります。夫の立ち会い出産の割合は、前回の2006年の調査では39%だったので、大きく増加していることがわかります。

立ち会い出産しなかった理由、第1位は?

立ち会い出産が増える傾向とはいえ、あえて立ち会い出産を望まなかった人も少なくありません。前述の調査によると、経腟分娩で立ち会いがなかった理由として、出産する本人が希望しなかったからという理由が最も高く、50%という結果でした。

女性が夫に出産に立ち会ってほしくないと思う理由としては、「恥ずかしい」、「壮絶な姿を見られたくない」などがあるようです。立ち会い出産をするかしないかを決めるには、出産する本人の気持ちが大切ということがわかります。

立ち会い出産のメリット

夫に出産に立ち会ってもらうかどうかを悩んでいる人もいるでしょう。立ち会い出産のメリットとデメリットを知っておくといいですね。まずはメリットからご紹介します。

ママが安心

初めての出産であればなおのこと、いつ終わるかもわからない苦しい陣痛を一人で耐えるのはつらいものです。そんなときに、そばにいて寄り添い、励ましてくれる夫の存在は、とても心強く感じるはず。医師や助産師には言いづらいことでも、夫だから言えること、頼れることはたくさんあるでしょう。頼れる人がそばにいてくれることで、気持ちが安定した状態でお産を迎えられるのが、立ち会い出産の最大のメリットかもしれません。

夫婦の絆が深まる

夫婦で一緒に出産を乗り越えたことにより、夫婦の絆が深まるというメリットもあります。陣痛、分娩の場に居合わせなければわからない、出産の大変さや壮絶さというものは、確かにあります。出産の大変さを共有することで、夫婦として、気持ち新たに信頼関係を築くことができるでしょう。

パパが子育てに積極的になる

立ち会い出産は、男性にとって、新しい命が誕生する瞬間を目にする貴重な経験です。妊娠中、お腹に赤ちゃんがいることでママとしての実感をもちやすい女性に対して、男性はなかなかパパとしての実感が芽生えにくいことがあるといわれています。そんな男性が、命がけで出産する妻の姿と命の誕生する瞬間を見ることで、わが子への愛情が深まり、パパとしての自覚を持ちやすくなることがあるようです。立ち会い出産は、パパが子育てに積極的になるきっかけになるでしょう。

立ち会い出産のデメリット

立ち会い出産にはさまざまなメリットがありますが、なかには「立ち会い出産をしなければよかった」と思う夫婦がいるのも事実です。夫が出産に立ち会った場合のデメリットについても紹介しておきましょう。

想像以上に壮絶

実際の出産は、想像していたよりずっと壮絶なことがほとんどでしょう。「あんな形相は初めて見た」「血を見てショックを受けた」など、予想外の壮絶さに衝撃を受け、自信を失ってしまう男性も少なからずいるようです。立ち会い出産をする前に、出産や赤ちゃんについて、夫婦でしっかり学んでおく必要がありそうです。

お産の邪魔になる

出産を記念に残そうと、イベント感覚でひたすら写真やビデオを撮ったりするのは考えものです。医師や助産師の邪魔になり、最悪の場合、赤ちゃんを危険にさらす可能性もあります。立ち会い出産における夫の役割は、あくまで出産する妻のサポート。撮影会や見学者気分の立ち会いなら、しないほうがいいでしょう。

恥ずかしい姿を見られることも

分娩時には、出血はもちろん、尿や便が出ることは当たり前にあります。立ち会い出産では、そういった通常では見せることのない姿を夫に見られてしまうという可能性があります。夫とはいえ、そんな姿を見られることが恥ずかしいという人は、要検討です。立ち会い出産をすると決めた場合でも、立ち会いできる場所やタイミングを限るなど、夫婦で話し合ってみるといいかもしれません。

立ち会い出産のため準備と心構え

立ち会い出産をしたい、するかも、と思ったら、次のような準備が必要です。頭に入れておきましょう。

妊娠・出産について学ぶ機会を

繰り返しになりますが、立ち会い出産で立ち会う夫の役割は、出産する妻のサポート。妊娠・出産について正しい知識を、夫婦でしっかりと学んでおきたいですね。インターネットや本で情報収集することも大切ですが、正確な情報を得るためには、専門家から直接話を聞くのがいいでしょう。産院や自治体では、出産を控えた夫婦に向けた両親学級(「プレママ・プレパパ教室」などということも)が開催されていますので、ぜひ参加しましょう。また、妊婦健診に夫婦で行くのもいいでしょう。

立ち会い出産の可否と範囲を産院に確認

立ち会い出産を希望する場合に必ず確認しておかなくてはいけないのが、出産する施設がどこまで立ち会い出産を受け入れてくれるか。医療機関によって、またお腹の赤ちゃんの状態によっては、立ち会い出産ができない場合もあります。また、立ち会い出産ができる産院のなかでも、写真やビデオ撮影に制限があったり、子供の立ち会いに制限があったりと、できる範囲に違いがあります。産院の開催する両親学級に参加した人だけを立ち会い可能にする方針の産院も多いです。

早い時期に立ち会い出産の希望が決まっていれば、産院選びの条件に、希望する立ち会い出産ができるかどうかを加えることができます。けれど、産院選びの段階では、出産はまだ先のことで、立ち会い出産について考えていないことも多いでしょう。その場合は、予約した産院の立ち会い出産についての方針を確認してみましょう。

夫婦でなんでも言い合える関係づくりを

出産への夫の関わりは、出産当日だけのことと考えないでください。妊娠が判明したそのときから、夫婦でできること、すべきことはたくさんあります。妊娠しているママは自分が感じる体の変化や考えていること、悩み、心配ごとを、パパになるべく話すようにしましょう。つわりのつらさや出産への不安など、口に出さなければ伝わらないことは多いのです。

パパは、お腹が大きくなっていくママとお腹の赤ちゃんの成長を、一番近くでサポートし、守ってあげられる立場です。ママに任せきりにせず、夫婦一緒に、赤ちゃんを家族として迎え入れる準備をしましょう。繰り返しになりますが、両親学級などには夫婦で参加するといいですね。

立ち会いできない可能性もあると理解して

立ち会い出産を希望し、立ち会い出産できる産院を選び、出産当日に向けて夫婦で準備を進めていても、いざ出産となると予想外に早く生まれてしまってパパが間に合わなかったり、帝王切開になって生まれる瞬間に立ち会えなかったりすることはあり得ます。出産は赤ちゃんのペースで進むので、これはある程度は仕方のないこと。当日になってがっかりしないよう、そういう可能性もあると理解しておきましょう。

立ち会い出産当日、どんなことをするの?

夫に出産に立ち会ってもらうとして、実際には何をどうしてもらったらいいのでしょうか? 当日どんなことをするのか、一般的な例をまとめてみました。実際にどんなことをしてほしいか、事前に夫婦でたくさん話しておけるといいですね。立ち会い出産をすると決めたら、夫が出産立ち会いの準備でできることも確認しておきましょう。

リラックスする手助け

特に初めての出産となると、ママが当日ナーバスになってしまうことも。もちろんパパも緊張するでしょうが、当日はなるべく冷静に、ママのリラックスを助けてくれるのが理想です。陣痛は数時間、長い人だと丸1日以上かかる場合もあります。いろいろな会話をしたり、手を握ってスキンシップをとったりしながら、夫婦で一緒に赤ちゃんの誕生を待ちましょう。

体が楽になるようサポート

お産の進行度合いに応じて、陣痛の痛みも増してきます。そんな時こそパパの出番。背中や腰をさすってもらったり、テニスボールなどを押し当てて痛みを逃がすサポートをしてもらったりしましょう。

汗ふき&水分補給

いよいよお産も進んでくると、短時間のうちに何度も陣痛の痛みが襲ってくるように。そんなときには、汗を拭いてもらったり、飲み物を飲ませてもらったりすることが多いようです。

呼吸法をリード

分娩室に入れば赤ちゃんの誕生はもう目前です。痛みや緊張感でママがパニックになったとき、落ち着いて呼吸法をリードしたというしっかり者のパパもいるようです。ただし、呼吸法は絶対に実践しなくてはいけないというものではなく、実際に練習してきた通りにいかないこともあるものです。そういった知識も含めて、あらかじめ一緒に学んでおけるといいですね。

まとめ

立ち会い出産についてのイメージは湧いてきましたか? 立ち会い出産を選ぶ夫婦は増えてきていますが、なんとなく決めるのではなく、あらかじめメリット・デメリットを知った上で、夫婦でよく話し合って、立ち会い出産するかどうかを決めていきたいですね。また立ち会い出産を決めたら、妊娠・出産に対する具体的なイメージと正しい知識を共有できるよう、夫婦一緒に教室などに参加しましょう。事前準備を含め、赤ちゃんの誕生に向けて、より一層夫婦・家族としての絆を深めていってください。

この記事の監修ドクター
こすぎレディースクリニック 椎名邦彦先生
聖マリアンナ医科大学医学卒業、聖マリアンナ医科大学附属病院産婦人科医局長を経て、こすぎレディースクリニックを開業。
当院の基本姿勢は『癒して治す』です。最新の産婦人科・美容医療に、東洋医学などの代替医療やアンチエイジング医療を取り入れながら、 女性がいつまでも健やかで美しくあるための医療を提供します。
http://kosugi-ladies.jp/

参考文献
[*1]公益財団法人日本医療機能評価機構 母親が望む安全で満足な妊娠出産に関する全国調査―科学的根拠に基づく快適で安全な妊娠出産のためのガイドラインの改訂−
http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/pregnancy/G0000595/03_RQ2.pdf(参照2018-6-28)

【医師監修】夫が出産立ち会いの準備でできる4つのこと

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/19

出産の立ち会いをするとき、ただ痛がる妻の側にいて見守ればよいというわけにもいきません。夫には、妻が安心して出産に臨めるようにサポートをするという、大切な役割があります。何も知らずにその大役を果たすのは難しく、結局何もできなかったということにならないよう、妊娠中から準備しておきたいことをまとめています。

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビウーマン子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.07.02)

※記事の修正を行いました(2019.06.11)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、[内閣官房][厚生労働省]妊婦に関する情報[日本小児科学会]幼児に関する情報など公的機関等で発表されている情報をご確認ください。

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