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2021年02月10日 16:17 更新

【知育】『はらぺこあおむし』でダイアロジック・リーディング『ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ』Vol.4

ハーバード大学をはじめ、アメリカの大学で長年研究されてきた「ダイアロジック・リーディング」。その手法について紹介した書籍、『思考力 読解力 伝える力が伸びる ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ』(かんき出版)より、子どもの能力を伸ばす読み聞かせメソッドを紹介します。今回は絵本『はらぺこあおむし』で実際のやり方を紹介。

絵本『はらぺこあおむし』でダイアロジック・リーディングに挑戦

Lazy dummy

さまざまなバリエーションの質問ができる

ダイアロジック・リーディングには、絵を見て答えを導き出せる問いや、子どもに考えさせる質問など、さまざまな種類のやりとりがありますが、『はらぺこあおむし』はそのような幅広い種類の質問をたくさんすることができる絵本です。
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たとえば、冒頭のたまごが描かれているページで、「たまごはどこ?」、お月さまのページで「これは何?」などと問いかければ、子どもの語彙力を計ることができます。

質問だけでなくコメントすることも大切です。
たとえば、フルーツがたくさん出てくるページには西洋なしが描かれています。
そこで、「このなしって日本のなしとちょっと違うね?」とか、すももを指しながら「すももって食べたことないね」といったコメントをすることで、のちに1人で本を読むときにも自分で考えながら読み進めたり、 ただ文字を追うだけでなくそこで描かれている事柄とかかわる姿勢が育まれます。
では具体的なやりとりの例を挙げましょう。

何質問・答えの拡張・反復

たとえば、最初のシーンで、葉っぱの上のたまごを指して、次のやりとりをしてみましょう。
このように、子どもの答えを反復、拡張すれば、語彙力や表現力を育むことができます。

子どもの生活と関連した質問

食べすぎでおなかが痛くなったあおむしのシーンでは、「〇〇ちゃんと同じだね」というようなコメントをすると、絵本の世界が、じつは現実の世界と結びついているということも学べます。文章と自分と関連づけて考えることができるわけです。

最初にあおむしが登場する場面では、あおむしを見たことがない子どももいるでしょうから、次のようなやりとりをしてみましょう。

文章を完成させるやりとり

「おなかはぺっこぺこ」という文章が続くシーンでは、3回目以後、以下のように子どもに文章を完成させてもらいましょう。
「おなかは」ということばがヒントになり、子どもが「ぺっこぺこ」と発したら物語の展開を予測できているということです。難しいときは、「ペ」とヒントを出して、「ぺっこぺこ」と発したら、「そのとおり」とフィードバックを忘れずに。

決まった答えのないやりとり

大きくなったあおむしが、さなぎになり眠りにつく場面では、「さあ、何が出てくると思う?」とたずねて、子どもに考えてもらいましょう。
私の研究に効力してくれたアメリカ人の子どもは、ちょっと考えてから「赤ちゃん」と答え、その発想に感心しました。
答えが合っているかどうかがポイントではなく、自分で考える習慣をつけることが目的です。 子どもは何度も同じ絵本を読むことを好むので、2回目に読んだときに「ちょうちょ」という答えが出るでしょう。

すべての絵本に言えることですが、子どもが発話したときには必ずフィードバックしてあげてください。
そうすることで読み手と子どもとの間にやりとりが生まれ、ことばが育まれるのです。

次回の内容は……?

「ダイアロジック・リーディング実例 【じのないえほん】」についてお届けします!

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いつもしている絵本の読み聞かせに、「親子でやり取りをすること」をプラスするだけで、子どもの能力が飛躍的に伸びる「ダイアロジック・リーディング」について解説した本。子ども自身が情報を読み解き、自分で考え、その考えを相手に論理立てて主張する力を育てます。効果を最大化する工夫やコツのほかに、「この絵本では、こういう問いかけをするといい」といった具体例も紹介されているので、忙しいパパ・ママでもすぐに実践できるのがポイントです。

(文:加藤 映子『思考力・読解力・伝える力が伸びる ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ』(かんき出版)より一部抜粋/加筆修正:マイナビ子育て編集部)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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