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2022年04月05日 16:42 更新

PTAなんていらない? 本当にあったPTAの怖い話と最新PTA事情の紹介

PTAの役員に選ばれたら、非効率で無駄な作業を押しつけられ、人間関係に振り回され、あげくに金銭トラブルまで……そんな怖い話、今もあるようです。「PTAなんていらない!」と考える親も増えるなか、PTAにどんな問題があって、現在ではどのように変わってきているのか、教育研究家の平川裕貴さんに解説していただきます。

ほぼ強制? PTAの役員を押しつけられて非効率地獄……!

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PTA役員、前時代的で非効率なオシゴトが多すぎて、もう退会したい……! どうしたらいいの? 退会って可能なの?

PTAというと、未だに専業主婦前提の時間や手間がかかる活動が多く、共働きママにはつらい……というイメージ、ありますよね? 実際、そうした古い体質のままのPTAも多く残っている一方で、時代に合わせて改善できたPTAも増えてきています。

PTAは何が問題なのか、どんなトラブルがあるのか、そしてPTAはどう変わってきているのか、最新のリサーチを元に、お伝えしていきます。

PTAとは? なんのためにあるの?

PTAは、Parent(保護者) Teacher(教師) Association(組織) の略。

親と先生が協力して、家庭と学校、さらには地域における安全や環境の改善など、子どもたちの健全な育成のために活動する任意団体です。

PTAは具体的に何をするの?

PTAの活動内容は、学校によって差はありますが、多岐にわたっています。

具体的には、次のようなものがあります。

・登下校時の子どもの見守り
・地域のパトロールや清掃活動
・校内の美化活動
・運動会や音楽会、オープンスクールなど行事のお手伝い
・ベルマークの集計
・広報誌の発行
・卒業生への記念品準備
・PTA会費の徴収
・役員会開催
・PTA主催行事の企画運営

PTAは絶対に入らないといけないの?

PTAの歴史は古く、日本では1947年頃から全国の学校で設置されるようになりました。あくまでも任意団体で、加入を義務づけるものではありませんでした。

けれど、当時は今のように仕事を持つ女性が少なく、専業主婦が多かったこともあって、子どもが入学すれば当然PTAに加入するものだと、多くの人が思っていました。

その後、徐々に仕事をもつ女性やひとり親家庭が増え、また少子化などの影響もあって、PTA役員の選出に対して、支障や不満が出始めました。もともと保護者と教師が協力し合って、子どもたちのために活動するはずだったPTAですが、時代の流れ、価値観の変化とともに、さまざまな問題が起こってきたのです。

PTAの現実 本当にあった怖い話……

PTAに関するトラブルは、人間関係のみならず金銭がらみのものもあります。ときには犯罪として新聞記事になるような事態も……。

自分の子どもの学校で起こったら怖いですね。実際にあったPTAトラブルの例を見て見ましょう。

地元の名士が会長としてPTAを私物化! 会員に偉そうに指示し、会費を使い込み……

百合子さん(仮名、42歳)の娘が通った都内の小学校では、PTA会長によるPTA会費の使いこみが発覚して、大騒動になりました。でも、問題はそれだけではなかったのです。

もともと百合子さんの学校では、地元の名士だった人がPTA会長として幅を利かせていて、会長に物を言える人はほとんどいませんでした。PTAの活動は、会長の鶴の一声で決まっていました。

百合子さんが違和感を持ったのは、PTA会長が、まるで自分の会社の社員を使うかのように、若いお母さんたちに指示していたことです。若いお母さんたちは、夜に呼び出されることもあったらしいのですが、口答えもできず、指示されたことを黙々とやっているという感じでした。会長が地元の名士だったからか、先生たちもその会長には何も言えないようでした。

そんなとき、なんとそのPTA会長が、PTA会費を使いこんでいたことが発覚しました。自身の会社の接待に、PTA会費を流用して使っていたのです。

地元の名士だったこと、流用したお金は返済したことから、学校側も穏便に済ませたようですが、百合子さんは納得できず、結局、最終的には娘を転校させたのでした。

ライバルママが揃って役員に! 二人の争いに巻きこまれてPTAは崩壊へ……

康介さん(仮名、38歳)は自営業で、比較的時間が自由になるので、PTAの役員を買ってでました。息子の学校での様子を見ることができるし、何か役に立てるならと思っていました。PTAの会長に推薦されたときも、ふたつ返事で引き受けました。

ところが、会長を引き受けた2年間、康介さんはとても苦労したそうで、二度とPTAには関わりたくないと思ったそうです。

それは、役員に選ばれた人のなかに、「ライバル関係」にある二人のお母さんがいたから。それも、子どもが幼稚園のときから敵対していたらしく、お互いに相手の悪口を言い合うような険悪な関係でした。

その二人が同時に役員として入ってきたので、PTAは大混乱。何かを決めるにしても、一人が賛成すればもう一人が必ず反対し、康介さんが片方の意見に賛成すると、もう一人は「康介さんがえこひいきしている」と責め立てました。

前向きな話し合いがまったくできない状況が続き、その二人のやり取りに嫌気が差したほかのメンバーの退会が続出。もはやPTA活動どころではなくなって、康介さんは、いったんPTAを廃止するところにまで追い込まれたのです。

学校側も、康介さんの責任ではないことは十分理解してくれましたが、康介さんにとっては、とても苦い経験になりました。

「PTAなんていらない」派の意見

PTAに関する様々な問題がSNSなどでも伝えられるようになって、最近ではPTAなんていらないと思う人も多くなりました。

「PTAなんていらない」派の意見を聞いてみましょう。

ベルマーク集計の拘束時間が無駄すぎる!

研修まで受けて作る広報誌はすぐゴミに……

くじ引きで役員に当たり、代わりを探してみじめな気持ちに……

「PTAはやっぱり必要」派の意見

いろいろ問題もあるPTAですが、それでも子どもたちのためには必要という意見もあります。

「PTAはやっぱり必要」派の意見も見てましょう。

PTAを廃止しても必要な仕事はなくならない

PTAも時代に合わせて変わっている!

ボランティアにすると、参加者が固定されるのが問題

PTA制度を見直した学校も! 実例の紹介

今回リサーチした中で、たまたま令和3年度からPTA制度を大きく変える取り組みをする小学校がありましたのでご紹介します。

PTA廃止ではなく運営方法の変更へ

PTA廃止ということではなく、「できる人が・できる時に・できることを!」をスローガンに、運営方法を次のように変えるということです。

<旧制度>

・立候補がいなければ抽選によって委員を選出
・各クラス4名の学級委員を選出して、文化委員会、広報委員会(広報誌発行)、運営委員会に振り分け担当
・ベルマーク整理を年6回
・年会費 2500円

<新制度>

・ボランティア参加型の活動に変更、強制ではなくできる人ができるときにできることを手伝うという、無理のない活動を目指す
・体育大会、音楽コンクール、文化祭やオープンスクールなどの、学校行事のお手伝いが主な活動
・ベルマーク整理は年3回(半減)
・年会費 1500円(減額)。会費は生徒への還元に絞り、経費削減を目指す。

任意加入であることも明記

なお、この学校ではPTA加入は任意なので、加入しない人は教頭まで連絡すればよいということも明記されていました。

PTAに入りたくない! 入会を断る、退会する方法

2015年に朝日新聞が、「PTAは必要ですか、不要ですか」というアンケートを取りましたが、絶対必要・必要の248票に対して、不要・絶対不要が357票と、大きく上回っていました。

PTAに対する保護者の意識が、当時から大きく変わっていたことをうかがわせます。女性の社会進出が進み、共働き家庭が増え、さらに少子化も加速して、人々の生活形態が昔と大きく変わったために、これまでの運営方法が実態に合わなくなったこともあるでしょう。

実際に、PTAは不要だと思うから、入会したくない、入会してしまったけれど退会したいというときは、どうしたらよいのでしょうか。

PTAの入会辞退および退会、手続きとしてはむずかしくない!

PTAは任意団体ですし、そのことはかなり認知されてきていますから、入会辞退も退会も、手続き的にはそれほどむずかしくはないと思います。

最近では新入学の際に、入会を希望するかどうか確認する学校も増えています。入会したくない場合は、その旨お知らせすればいいでしょう。

退会したい場合は、PTA会長や学校窓口に、書面でお知らせすればいいようです。

PTAに入らないデメリットも知っておこう

ただ、学校の規模や地域性によっては、入会辞退や退会が難しいということもあるかもしれません。

たとえば、生徒数の少ない学校では、辞退や退会によって運営に支障が出るでしょう。また、人間関係が密な町なら、加入しないことで村八分的な扱いをされるかもしれません。

加入しないことでこうしたデメリットが発生する可能性もありますから、自分や子どもにとってプラスかマイナスかをよく考えてみましょう。

あとは本人の覚悟次第ということになりますね。

PTA入会辞退や退会以外にできることはある?

PTAはいらないと思うけど、入会辞退や退会までする決意はつかない……そんな人は、いっそ、役員になって、不要なものはなくそうという提案をすればどうでしょうか? 実際、今は多くのPTAで、参加方法や活動内容の見直しがおこなわれています。

ひとりで改革するのが難しければ、仲のよい友人や気心の知れた友人と同時期に役員になるように立候補するという手もあります。多少の根回しをしておくということですね。

「PTAなんていらない」派が、役員になって「PTAはやっぱり必要」派になる例も……

リサーチした中には、「PTAはいらない」と思っていたけど、役員になって考えが変わったという人もいました。

その理由は、次のようなものです。

・実際に学校に行く機会が多くなって、子どもの学校での様子を見ることができた
・子どもの見守り活動で、多くの子どもたちから慕われて楽しかった
・役員として学校へ行くとわが子が喜んだ
・先生と話す機会が増えて、先生の人となりを知るよい機会になった

実際、多くの子ども達に慕われ頼りにされるのは、なかなかいいものですよ。

まとめ

今回PTAについてリサーチして、昔とずい分変わったと実感しました。

PTAに関しては、多くの学校で、かなり改善されスリム化されていると思います。また、PTAという名前を廃止している学校も多くありました。

ただ、スリム化しても名前を変えても、子どもを守るためのある程度の活動は必要だと、私は考えています。また、学校に保護者がいつでも自由に行けるような雰囲気を作ることは、学校の風通しがよくなり、教師や子どものいじめ防止などにも役立つのではないかと思います。

私自身は、PTA活動のトラブルについては、活動内容そのものの問題より、人間関係に派生するものの方が多いのではないかと思っています。

たまたまその年のメンバーが最悪なんてこともあるかもしれませんが、期間の限られたことです。PTA活動を毛嫌いするのではなく、子どもたちのために、自身の成長のためにと割りきって、学校や子どもたちと関わることを楽しんでみてはいかがでしょうか。

(文:平川裕貴/漫画:ぺぷり)

※画像はイメージです

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