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2021年02月16日 19:00 更新

モンペ認定されないために! 親が知っておくべきポイントと行動指針

「モンペ(モンスターペアレント)」という言葉、耳にしますよね。なにか園や学校でトラブルがあっても、「私、モンペと思われてしまうかしらじゃないかしら……」なんて、先生に伝えることに悩んでしまう人もいるようです。どんな行動がモンペとされるのか、教育研究家・平川裕貴さんの解説です。

「モンペ(モンスターペアレント)」とは?

モンペと言われないためにどう行動すべき?マンガで解説
子どもが心配だからといって、「モンペ」になるのは、もってのほか。でも、「モンペ」と言われることを恐れて、必要な行動をとらないのも、おかしいですよね。親として、どう行動すべきなのでしょう……?

モンスターペアレントという言葉。子どもをもつ親なら、きっと知らない人はいないでしょう。

モンスターペアレントという言葉は、元小学校教諭で、教育関係の著書も多数ある向山洋一さんの造語だと言われています。

向山さんは、小学校の先生をされていたご経験から、「モンスターペアレント」や「学級崩壊」という言葉を生み出されました。「モンペ」とも略されるモンスターペアレントは、「学校や教師に対して、常識外れで理不尽な要求をする親」と言う意味で使われます。

「モンペ」は先生にも保護者にも子どもにも悪影響

「モンぺ」は、教師や学校、ときには教育委員会などまでにクレームを持ちこんだり、ほかの生徒やその保護者にクレームをつけたりするトラブルメーカーです。

ところかまわず、時間的配慮もせず、相手の立場も理解せず、相手の言い分も聞こうとしないで、ただただ、自分の不満をぶつけたり、要求を通そうとする、モンスターたち。教育現場の先生達や同じ保護者達にも、迷惑がられています。

「モンペ」は、関わるクラスメートたちはもちろん。モンペ自身の子どもにも、精神的に悪影響を与えます。

「モンペ」が大暴れして大迷惑! エピソード集

これまで私が見たり聞いたりしてきた、「モンペ」と言われて当然、というエピソードを集めました。実際にどのようなケースがあるのか、見てみましょう。

「なんでうちの子が主役じゃないわけ?」特別扱い要求モンスター

幸恵さん(28歳、仮名)の娘さんが、幼稚園の年長さんのとき、別のクラスであった話。

園の発表会で、主役に選ばれなかった女の子の母親が、「なぜ、うちの子が主役ではないのか」と若い先生に食ってかかったそうです。くじで決めたと言っても納得せず、結局そのクラスの出しものは、全員が主役になるように話を作り替えることに。当然、ダラダラしたメリハリのないストーリーになっていました。

自分の子に主役になってもらいたいと思うのは、どの親も同じだと思います。でも、ほとんどの親は、みんなが主役になれるわけではないという事情を理解して、発表会がうまくいくように応援しているんです。

わが子だけ特別扱いしてほしいというのは、やっぱり「モンペ」だなと思います。

「うちの子はもっとかわいいのに!」アルバム写真にクレームモンスター

智子さん(33歳、仮名)の息子さんが通った幼稚園では、毎年卒園アルバムの写真に文句を言う親がいるそうです。

写真写りが悪いとか、自分の子どもの写真が他の子より少ないとか。苦情を言われるので、先生たちは、アルバム作りにはとても気を使っていました。でも、動きまわる子どもたちを同じように写真に撮るなんて、実際、不可能ですよね。先生たちも、大変だなあと思います。

智子さんの息子さんは活発で目立つので、結構多く写真に写っていたし、まあ写真写りもいいほうなので、陰で文句を言われていないかと、ちょっと心配になったそうです。

「あの子と一緒に遊ばせないで」子どもの人間関係決めつけモンスター

道子さん(42歳、仮名)は小学校の先生。小学3年生を担当していたときのこと。

男の子がふたり、どうも相性が悪いみたいで、しょっちゅうケンカをしていました。ある日、そのうちのひとりの男の子の親がやってきて、「仲の悪い男の子と並ばせるな、遊ばせるな」と言ってきました。

「それは無理だ」と断ると、今度は「クラスを変えてくれ」と。「学期の途中なので、それも無理だ」と説明しましたが、納得せず。

毎日のように相手の男の子がいかに悪いかを言ってきて、そのうち、相手の男の子の親にまで苦情を言いだしたそうです。幸い相手の親御さんは話の分かる人で、人間関係のいい訓練になるからと、大ごとにはせず、助かったそうですが……。

文句を言っていたモンペ家族が引っ越したときには、正直ホッとしてしまったという道子さん。行く先の学校で、また同じような問題を起こすのではないかと、心配しています。

「ズルしてでも負けたくない!」競争意識むき出しモンスター

容子さん(32歳、仮名)の、小学2年生の娘さんのクラスであった話。

ある男の子が、夏休みの工作の宿題の提出期限を守りませんでした。先生が母親に事情を聞くと、うまくできなくて子どもが泣いたからとの説明。まあ、それだけなら、いいのですが……。

その子の親は、「ほかの子よりいいものを作りたいから、ほかの子たちの作品を見せてくれ」と先生に頼みこみ、その後、子どもに制作させて、提出したそうです。実際は、親がほとんど作っていたようで……。

楽しんで作ればいい工作にまで、競争意識をもっているのでしょうか。きっとその子は、何かにつけて母親からプレッシャーをうけているのかもと、ちょっとかわいそうに思った容子さんです。

「校長先生! 担任が頼りないんです!」新人いじめモンスター

芳江さん(42歳、仮名)の娘さんが小学校2年生のとき、担任は、新人の若い女性の先生でした。

1年生のときはベテランの先生だったので、確かに頼りない感じはしましたが、クラスの保護者の中に、「担任が頼りない」からと、子どもの問題を細かいことまでいちいち校長先生に直接話しに行った親がいたそうで、びっくり。校長先生も、「まずは担任の先生に相談してください」と伝えたようですが、その保護者は聞かなかったそうです。

自分だって、何か新しいことを始めたときは、うまくいかなかったり、失敗もしたはずですよね。誰でも最初は新人。子どもにとっても、いい社会勉強になるんじゃないかと思うのですが……そういうことは考えられないところが「モンペ」と言えそう。

当時は気の毒に思っていた芳江さんでしたが、今ではその先生も、ベテランのいい先生になっているそうです。

「モンペ」と言われないためにはどうすればいい?

「モンペ」と思われるエピソードをあげましたが、実は同じ内容の訴えでも、言い方ひとつで、まったくモンペ扱いされることがない場合もあります。

質問は穏やかに、クレームではなく子どもの気持ちを伝えて

たとえば、幸恵さんのエピソードの場合、「なぜ、うちの子が主役ではないのか」ではなく、



と、まずは穏やかに質問してみればどうでしょう? これなら、先生も「モンペ」などとは思わないはずです。単に質問されただけですから。

もし、主役が不公平のない形で決められたのなら、仕方ありませんよね。そこで、



と付け加えれば、先生もきっとお子さんの気持ちを理解して、その後の授業で寄り添ってくれるはずです。もしかしたら先生にとっては、主役になれなかったほかの子たちにも落ち込んでいる子がいるかもしれないと気づく、いいきっかけになるかもしれません。

これなら、親と先生、どちらにもプラスになる、Win-Winの結果になりますね。

「モンペ」にならないための言い換え事例集

学校や園に対し、何か疑問や不信に思うことがあったとき。先生に問い合わせたり質問したりすること自体は、決して失礼なことでも問題行為でもありません。

ただ、やはり言い方には気をつけた方がいいでしょう。苦情と思われるような言い方ではなく、相談という形でアプローチすれば、「モンペ」と言われることはないと思います。

いくつか、「モンペ」にならないための、言い換えの例をあげておきましょう。

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モンペにならないためには「苦情」ではなく「相談」を

先生だって人間です。しかも、大勢の子どもを見ているのです。

誰でも、相手からいきなり喧嘩腰でこられたら、緊張しますし、構えてしまいますよね。でも、保護者から「相談」という形で、ていねいに話してこられたら、先生だって穏やかに対応できるでしょう。

先生だって、子どものことを知りたいし、問題があるなら把握しておきたいはずです。先生にとってもプラスになるような、穏やかな情報交換を目指しましょう。

「モンペ」と言われやすい行動やふるまいは?

わが子可愛さからの言動なのでしょうが、周りから「モンペ」と言われるような行動とは、どんなものなのでしょうか?

「モンペ」と、そうでない常識的な親とはどうちがうのか、考えてみましょう。

「モンペ」は状況判断ができていない

「モンペ」は、朝の授業前や、子どもたちの登下校時、イベントの最中など、先生が忙しい時間帯であろうとお構いなしに連絡して、自分の言いたいことを一方的に言い始めます。

また、周りに人がいたり、先生が他の人と話しているときにも平気で割りこんできて、長々と話をしたりもします。頭にあるのは自分の都合ばかりで、相手の都合をまったく考えません。

忙しい時間帯は避けること。話し始める前に「今、お時間大丈夫でしょうか?」と確認!

常識的な親なら、先生の忙しい時間帯は避けますし、今、話していいか、話し始める前に、先生の都合をまずは聞くべき。そのとき先生が忙しければ、都合のいい時間を聞いて再度連絡するなり、出向く時間や場所を決めるなりしましょう。

緊急の問題でない場合は、連絡帳で質問するなど、先生が都合の良いときに返答できるようにと考えるといいでしょう。

「モンペ」は自分の子のことしか考えていない

「モンペ」は、自分の子どものことしか考えません。自分の子どもが得をするのか損をするのかにしか、目がいかないのです。

主役になれない、希望の楽器担当になれない、好きな子と一緒のクラスになれない、ベテランの先生に当たらない、授業が簡単すぎる、難しすぎる……このようなことは、自分の子どもが損をすることだと考え、その逆になれば、わが子が得をすると考えるのです。

ですから、わが子が得になるようにと、理不尽な要求をします。そのために、ほかの子が不利益を被っても、気にしません。

みんなが希望どおりになるわけではないことを理解して!

常識的な親なら、自分の子どものことだけでなく、ほかの子のことや、クラス全体のことを考えて判断します。

集団生活の場では、みんなが自分の希望通りになるわけではありません。クラス分けや先生の配置は、いろいろなことを総合的に考えてなされていること、子どもには得意不得意があることや、理解の早い子遅い子がいることなどが理解できるはずです。

ですから、わが子の損得だけでなく、クラス全体にとって、よいか悪いかと、判断します。

まあ、そういう常識的な判断ができない人が「モンペ」と言われるわけですから、なかなか難しい問題なのですが……、少なくとも「モンペ」と言われるような行動は、決して、子どものためにはならないということは言えるでしょう。

遠慮せず学校に相談すべきなのはどういうとき?

子どものことで何か心配なことがあっても、「モンペ」と思われるのではないかと不安で、先生には相談しづらい、なんてこともあるのではないでしょうか?

「こんなこと、相談したら迷惑かな」などと、常識的で気づかいのできる親ほど、遠慮してしまいがち。

でも、子どもの教育に関しては、学校にも責任があることですから、子どもの様子に変わったことや不安に思うようなことがあるなら、遠慮せず聞きましょう。
不信や不満の芽は小さいうちに摘み取ってしまった方が、学校にとっても親にとっても、そして何より子どものためにもいいのです。

たとえばこんなケースでは、ぜひ先生に相談しましょう。

いじめ? 子どものケガ、異常な汚れ、持ち物の紛失

子どもに、遊んでできたと思えないような切り傷やあざがあったり、洋服が異常に汚れていたり、持ち物が無くなっていたりした場合は、いじめに遭っている場合もありますから、遠慮せずに先生に相談しましょう。

いじめに関しては、報復を恐れて子どもが正直に話さない場合もありますし、いじめが、先生の目の届かない所でなされている場合もあります。先生が気づいていないこともあると考えて、決して怒鳴りこんだりはせず、まずは子どもの様子を落ち着いて具体的に伝えましょう。

その後の対応については、先生やカウンセラーと相談するといいでしょう。

明らかに元気のない状態が続く

子どもは、当然ながら、園や学校で、いろいろな出来ごとに遭遇します。友だち同士の問題もありますし、先生との問題もあります。たいていは2、3日もすれば忘れてしまうでしょうが、元気のない状態が長く続くようであれば、先生に相談してみましょう。

たとえば、仲よしの子と喧嘩したなど、友だち関係がうまくいっていないとか、先生に叱られたことが納得いかなくて引きずっているとか、授業についていけなくて悩んでいるなど、まずは原因を探ってみることが大切。子どもが正直に話してくれれば、親としてもある程度対応できますが、子どもはなかなか、正直には言ってくれませんからね。

園や学校ではふだん通りにふるまっていて、先生は気がついていないということもあります。先生に家庭での子どもの様子を知らせることは、先生にとっても指導の参考になるでしょう。

学習態度に関する不安

子どもの学習態度の変化や、成績が著しく下がったというような場合は、こちらから相談しなくても、先生からお話もあるかもしれませんが……勉強や家庭での学習意欲などで気になることがあれば、保護者のほうから、先生に聞いてみるといいと思います。

何が原因なのか、家庭での出来ごとで心あたりがあるなら、それを先生に伝えると、先生も事情が分かって助かります。逆に、学校での出来ごとが学習態度に影響しているのなら、家庭での対処の仕方を、先生と相談することもできますね。

問題行動が長引くときに先生に相談するのは、決して「モンペ」ではありません。

まとめ

子どもの教育は、家庭だけ、また学校だけでできるものではありません。家庭や学校、またお稽古ごとなどで出会う様々なイベントや人間関係。子どもを取り巻く環境は複雑です。

まだ精神的に鍛えられていない子どもの時期には、それらに大きな影響を受けてしまいます。ですから、親としてわが子を守ってあげたいという気持ちや、わが子の成長が気になるのは当然です。

一方、先生や学校は、学科を教えることに、大半の時間を取られます。大勢の子どもたち一人一人の生活環境や性格を、ふだんの学校生活の中だけで把握することは、ほとんど不可能とも言えます。しかも、子どもたちは、家庭と学校や園など外の世界とでは、まったくちがう顔を見せることも多いのです。

ですから、親が家庭での子どもの態度を先生に知らせることや、親が学校での子どもの態度を先生に聞いて知ることは、お互いにとって有意義なこと。子どもに関して、どうしても気になる点がある場合は、「モンペ」扱いされることなど気にしないで、先生に相談してみましょう。

ただし、相手は子どもがお世話になっている先生であり、教育のプロであり、同時に、感情を持つ一人の人間であることを肝に銘じて、「苦情」ではなく「相談」という形でアプローチすることをおすすめします。

園や学校との付き合い方に悩むご両親へ、参考になれば幸いです。

(文:平川裕貴/漫画:田辺ヒカリ)

※画像はイメージです

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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