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2021年11月18日 17:12 更新

【弁護士監修】夫がプラトニック不倫!? 絶対に許したくない……何ができるの?

「プラトニック不倫」とは「精神的な結びつきでつながっている肉体関係をともなわない不倫」のことをいいます。夫がプラトニック不倫をしているとわかったとき、何ができるの? プラトニック不倫の実態や妻がとれる対策を、多くの女性の離婚相談に応えてきた、弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所の代表弁護士、中里妃沙子先生に伺いました。

プラトニック不倫ってなに? 

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夫の浮気を問い詰めたら「プラトニック不倫だから不倫じゃない」。はぁ?と思ってしますが、弁護士の先生に聞いてみると、肉体関係のある不倫とプラトニック不倫は、確かに法律上の扱いがちがうそうで……どうしたらいいの!?

夫が、自分以外の女性を心から大切に思っているとしたら? そこに肉体関係がまったくなかったら?

これを「浮気」と考えるか、考えないか、肉体関係があるのとないのとどちらがマシか、人によって感じ方がちがってくるかもしれませんね。

実際に夫に「プラトニック不倫」をされたときに、妻としてどんなことができるのか、法律上の扱いはいわゆる「不倫」とどうちがうのか、中里弁護士の取材協力および監修のもと、解説していきます。

不倫とプラトニック不倫との違いとは?

不倫とは、既婚者が配偶者以外と肉体関係を結ぶこと。法律用語では「不貞」といい、民法では離婚の原因になると定められています。

一方、プラトニック不倫とは、既婚者が配偶者以外の人と親密な信頼関係を結ぶことをいいます。肉体関係がないので、原則として「不貞」ではありません。プラトニック不倫の実例を見てみましょう。

事例1 「彼女はかけがえのないパートナー」と断言する夫に妻のプライドはズタズタ……

百合子さん(仮名、35歳)は開業医の夫と、看護師長の女性との不倫を疑っています。夫の彼女への信頼は絶対で、看護師長の女性は、百合子さんに対し、何かと対抗意識を燃やしてきます。クリニックでもふたりの関係はウワサになっているようですが、肉体関係を示すような証拠は見つかりませんでした。

「彼女と私とどちらが大事なの?」と夫に詰め寄った百合子さんですが、夫は「彼女はあくまで仕事上のかけがえのないパートナー。失うことはできない」と、彼女を辞めさせるつもりはない様子。百合子さんは夫のその言葉にも、大いに傷つきました。

肉体関係のないプラトニック不倫だったとしても、もう離婚してしまいたいと考え始めた百合子さん。しかし、夫は世間体が気になるのか、離婚を拒否しています。

事例2 元カノとのプラトニック不倫をなぜか誇って逆ギレする夫

真紀さん(仮名、28歳)の夫は、学生時代の同窓会で元カノと再会して以来、プラトニック不倫を続けているといいます。電話やメール、LINEの履歴などを隠そうともしない夫に真紀さんが抗議しても、「自分たちはプラトニックな関係で不倫ではない」の一点張り。しまいには「オレたちはそんな下世話な関係じゃない! 真実の愛で結ばれているんだ!」と、なぜか胸を張ってキレる始末です。

家を出ていきたいと思っても、真紀さんはパートで、収入が不安定、子どもはまだ幼く、夫の収入なしでは生活していけるメドが立ちません。泣き寝入りするしかないのでしょうか?

事例3 「今はプラトニック不倫だが一緒になるために別れてくれ」!?

柚月さん(仮名、41歳)が、地方都市に単身赴任中の夫を訪ねると、なんとそこには女性の姿が! 夫曰く「将来的にはおまえとは離婚して、この女性と一緒になるつもりだが、今はやましい関係ではない」と言い張ります。プラトニック不倫というわけです。

半同棲しているくせに肉体関係がないなんて、信じられるものではありません。夫には愛想が尽きたけど、言われたとおりに離婚してやるのも悔しい……こんなこと、許されるの!?

プラトニック不倫で離婚はできる?

プラトニックとはいえ、不倫は不倫。もう、そんな夫とは暮らしていけない。すぐにでも離婚してリセットしたい……。そう思うかもしれません。

あるいは、プラトニック不倫をしている夫から、「離婚したい」といわれて「ふざけるな!」と怒り心頭、ということもあるかもしれませんね。

果たして、プラトニック不倫は離婚理由になるのでしょうか?

裁判で離婚が認められるには、民法で定められた理由が必要

大前提として、夫婦が互いに離婚に同意すれば、どんな理由でも、離婚はできます。しかし、どちらかが離婚を拒否し、裁判で離婚を争うとなったとき……「プラトニック不倫」のみを理由に、離婚判決を得ることは、原則としてむずかしいと考えてください。

逆に、「プラトニック不倫の相手と一緒になりたいから、別れてほしい」なんて夫が言ってきても、当然、拒否することができます。

民法には「法定離婚事由」、要するに「離婚に相当する理由」は以下の5つであると定められており、要件のどれかを満たさなければ、原則として裁判で離婚は認められません。

民法770条
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる
一 配偶者に不貞な行為があったとき
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

肉体関係がなければ離婚や慰謝料は請求できない

手をつなぐ、ハグするのは「不貞行為」? どんな証拠が必要?

どんな場合なら離婚や慰謝料を請求できる?

プラトニック不倫は不貞行為ではないので、離婚や慰謝料の理由にはなりません。ただ、不貞行為がなかったとしても、夫のプラトニック不倫が原因で別居になった、精神的に病気になった場合は「その他婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚や慰謝料を請求できるケースもあります。

また、

・ふたりでラブホテルで一定の時間を過ごした
・ふたりで旅行して同室に宿泊していた
・同棲している

といった場合は、当人から「プラトニックだ」という主張があったとしても、「不貞行為」があったとみなされ、離婚や慰謝料請求の理由になる可能性が高いです。妻側が希望すれば、離婚は認められるでしょう。慰謝料は、夫と不倫相手の両方に請求することができます。

夫がプラトニック不倫をしているとわかったら

夫がプラトニック不倫をしているとわかったら、どうしたらいいのでしょうか? 法的に合法なお灸のすえ方も紹介します。

夫との関係を維持したいなら、冷静に「やめてほしい」と伝える

もし、夫とやり直したいという気持ちがあなたにあるのなら、逆上したり、感情的になって問い詰めたりせず、できるだけ冷静に思いを伝えるのがいいでしょう。「あなたにそういう相手がいるのは苦痛だ」「不快なのでやめてほしい」と自分の素直な気持ちを伝えるのです。

なかなかわかってくれない場合もあるかもしれませんが、妻の本当の気持ちを知って、夫婦の関係性が変わってくる可能性もあります。

本当にプラトニックなの? 証拠を探す

「プラトニックな関係だ」と言われて疑心暗鬼でいるくらいならば、LINEや電話の履歴を調べたり、探偵事務所に浮気調査を依頼してみるのもひとつの方法です。不貞の証拠が出てくる可能性もあります。

ただし、メールやLINEなどをのぞき見する行為は違法とされて証拠にならない場合があるので注意が必要です。

夫から婚姻費用をもらいながら別居する

プラトニック不倫をしている夫が許せない、離婚したいと思っても、すぐに裁判で離婚を勝ちとることはむずかしいです。でも、夫の顔も見たくない、同じ空気も吸いたくない……こんなときは、いったん別居するのがひとつの選択肢。

また、プラトニック不倫をしている夫から離婚を言い出されたとき。意地でも離婚なんてしてやるものかと思ってしまいますよね。こんなときも、離婚は拒んでおいて、まずは別居する、という手があります。

経済的な理由で、夫から離れられないと思っている人もいるかもしれません。しかし、結婚している夫婦には、たとえ別居していても、結婚生活に必要な費用を夫婦の収入などに応じて分担する法律上の義務があります。夫よりあなたの方が収入が少なければ、別居期間中も夫から生活費を受け取ることが可能です。これを「婚姻費用」といいます。

離婚に応じる代わりに「解決金」を増額させる

夫の方から離婚を希望している場合、夫の思い通りになるのがイヤで、離婚に応じないこともできますが、婚姻費用をもらいながら別居できるのは長くても3~5年程度。そこまで引っ張らないで離婚することを条件に、離婚に当たって受け取る金額の増額を要求するという手もあります。

離婚を希望する側が、離婚に伴い必要になる財産分与など以外に、上乗せで支払うお金のことを、「解決金」と呼んでいます。

【まとめ】プラトニック不倫されたときに選ぶ道

夫がプラトニック不倫をしている場合、夫やプラトニック不倫の相手方に慰謝料を請求したり、すぐに離婚を裁判で認められたりといったことは、むずかしいのが現実です。強制的に夫とプラトニック不倫相手を別れさせる、確かな手段もありません。自分がどうしたいのかをしっかり考えたうえで、法律を上手に利用していきましょう。

夫が離婚したくないのに妻がしたければ、妻は別居して婚姻費用をもらいながら別居期間を稼ぎ、離婚にもっていけます。夫が離婚したいのに妻がしたくなければ、婚姻費用をもらうなどして結婚を当面は継続することも、嫌々ながら離婚に応じる代わりに解決金の上乗せを交渉することもできます。

ただし、夫婦の一方が本気で離婚したいと考えて行動した場合、永遠に結婚を続けることはむずかしいのだと考えて。いつ(時間)、いくら(お金)なら離婚できるか、自分が譲歩できるラインを見きわめる必要があります。それこそが、主体的に自分の人生を選択する一歩になるでしょう。

(文:暮らしのチーム クレア 楠本知子/監修:中里妃沙子/漫画:るい)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、弁護士に取材、および、その監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものです。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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