ライフスタイル ライフスタイル
2020年12月31日 17:30 更新

【漫画】母から娘にできる、最高の贈りもの。 コミック『母親だから当たり前?』作者 龍たまこさん特別インタビュー! 第4回

平凡だけど幸せな主婦だったはずのあかりが、「母親ならフツウ」「女なら当たり前」という考え方に苦しみ、翻弄されるコミック『母親だから当たり前? フツウの母親ってなんですか』が話題です。作者の龍たまこさんに、主人公とその母親とが会話する、物語のラストシーンの真意をお聞きします!

お母さんは、お母さんになって、幸せだった……?

漫画,コミック,龍たまこ,母親だから当たり前?フツウの母親ってなんですか
漫画,コミック,龍たまこ,母親だから当たり前?フツウの母親ってなんですか
漫画,コミック,龍たまこ,母親だから当たり前?フツウの母親ってなんですか
主人公あかりとその家族がそれぞれの幸せを見つけて新たな道を歩き出す、物語の感動のラストシーン。ずっと聞きたかった疑問への母の答えに、あかりは思わず涙をぬぐう……。
――前回は、親と子、母と娘の関係の複雑さから、お子さんにどんな自分を見せたいかという話をお聞きしました。

作品のなかでは、主人公あかりと娘・未来、夫・平太とその両親など、いくつもの親子関係がもつれあっています。それぞれが「フツウ」にとらわれて苦しんで、身動きがとれなくなっていた状態から、少しずつほぐれて、解決に向かっていく……。

そこに至るまでのあかりの奮闘は、書籍でじっくり読んでいただくとしまして……、物語のラストで描かれている、主人公・あかりと、あかりのお母さんとの会話エピソードについて、質問したいと思います。

最後のシーンに、この会話をもってこようと思われた意図を教えていただけませんか?

どの時代の母親にも、その時代なりの苦労と喜びがあったはず

龍たまこさん:わたしやあかりは、「お母さんみたいになりたくない!」と反発してきたんですけど、よく考えてみたら、母世代の母たちだって、そのまた母世代の母たちだって、その時代なりに必死にやってきただけなんですよね……。

その時代の母たちの頑張りがあったからこそ、今のわたしたちがある。

そして、そこには苦労ばかりじゃなく、喜びもあったはず。

子どもの目線からは見えない母の世界があって、母の喜びがあったはずだって。

自分が母になって、子どもからは見えない「母の喜び」に気づいた

龍たまこさん:これは、自分が母になってみてわかった感覚でした。

子どもが笑顔で元気でいること、子どもに何かをしてあげられることが、こんなに嬉しいなんて、親になるまでわからなかったし、お母さんがこっそり台所で高級チョコを食べてることも知らなかった(笑)。
――高級チョコ(笑)。確かに。

「お母さんは幸せだったよ、あんたも幸せになりなさい」という母の愛

龍たまこさん

「心配せんでも、お母さん、あんたの知らないところで、高級なお菓子食べたり、お高いランチ食べたりしてたんだから」

今、自分でこのシーン読み返してみて、このセリフはもう、お母さんの愛そのものだなぁって思います。

「もしかしたら、自分は、お母さんの負担だったんじゃないか」

そう感じているあかりの気持ちを分かった上で、不安な気持ちを、ふっとほぐすような一言。あなたも何も気にすることなく幸せになりなさい、という母からのメッセージだと思いますね。
――そうか、主人公のあかりが、小さいころ「お母さんって大変そう」「お母さんみたいになりたくない」と思っていたのは、「自分がお母さんの負担になっているのでは」という罪悪感の裏返しでもあったんですね。そりゃあ、自分はお母さんの負担なのかもと思いながら、そんなお母さんにならなくちゃと思うのは苦しいです。

だから、「幸せだったよ」という母の言葉は、あかりの心を何よりも解放してくれる。子どもの目には見えなかったかもしれないけど、実は楽しいことがいっぱいあったのよ、と言われて、心の底から喜べる。

うーん、わたしも、子どもに隠れて高級チョコ、どんどん食べていこう(笑)。

「フツウ」のしんどさを感じているすべての人へ

――長いインタビューになってしまいましたが、最後の質問です。

このインタビューを通じて、『母親だから当たり前?フツウの母親ってなんですか』という物語は、あらゆる世代の、あらゆる立場の人たちが、それぞれ自分の中の「フツウ」に苦しみ、見つめなおして、一歩ずつ抜け出していくお話なのだなと感じました。

「フツウ」のしんどさから、解放されるための方法が、ていねいに、ていねいに、描かれている物語。

今、この記事を読んでいて、実はまさに「フツウ」に苦められているところなんだ、という人もいると思います。そういう人たちに向けて、メッセージをいただけないでしょうか?

「フツウになれない」は不良品でも欠陥品でもない

龍たまこさん:わたしもそうでしたが、「自分はフツウになれない」って思うのって結構しんどいんですよね。「別に立派になりたいとかじゃないのに、フツウにすらなれないのか、わたしは」って、よく思っていました。わたしは、不良品、欠陥品、みたいな。

でも、みんながみんな規格通りの箱にはおさまらないのが当たり前ですよね。ちょっと頭が出ちゃったり、足が出ちゃったり、するもんだと思います。

自分の「フツウ」は自分で作る、それが生き方を自分で選ぶということ

龍たまこさん:なので、自分の「フツウ」は自分で作ればいいと思ってます。

自分を周りに合わせていくより、自分の型を自分で作った方が何倍もラクです。それは、「自分の生き方を自分で選んでいく」ってことと同じことだと思います。

自分はどう生きたいか? どうありたいか? 何を大事にしたいのか?

結局ここのところを、突きつけられるんですよね、「フツウ」について考えていくと(汗)。
――自分が考えている「フツウ」って、辞書に書いてある「普通」という言葉の意味とはかけ離れていたりするんですね。だって、自分のなかにあるものだから。

それを自覚できただけでも、この本と出あえて本当によかったと思います。

龍たまこさん、本日は、ありがとうございました!

書籍『母親だから当たり前?フツウの母親ってなんですか』について

漫画,コミック,龍たまこ,母親だから当たり前?フツウの母親ってなんですか

平凡だけど幸せな人生…の、はずだったのに。

「母親だったらそれくらい当たり前でしょ?」「妻ならこうするものだ」という目に見えない圧を感じ、苦しめられる、専業主婦のあかり。

令和になってもこびりつく昭和の価値観。女の幸せはどこに!?

「ママの求人」サイトで大反響を呼んだ話題作が書籍化されました。主人公のあかりと夫・平太のなれそめや、義両親のその後など、書籍オリジナルのエピソードも収録されています。

龍たまこさんのプロフィール

3人の子どもを育てる主婦マンガ家。ライブドア公式ブログ「規格外でもいいじゃない!!」をほぼ毎日更新中。著書に 強迫性障害の夫との日常を描いたコミックエッセイ『規格外な夫婦』(宝島社)、「フツウ」に苦しみつつ抜け出そうともがく母親と家族を描く創作コミック『母親だから当たり前?フツウの母親ってなんですか』(KADOKAWA)がある。

ブログ 規格外でもいいじゃない!!
Instagram @ryu.tamako2

(漫画:龍たまこ コミック『母親だから当たり前?フツウの母親ってなんですか』KADOKAWAより/取材・文:マイナビ子育て編集部)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-