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2021年05月26日 08:30 更新

離乳食の「取り分け」どうする?いつから?【管理栄養士監修】

「離乳食では取り分けがラクでいい」と聞いたことはあっても、実際やろうと思うと難しいこともありますよね。今回はいつから取り分けができるのかや、取り分けのコツについてお伝えします。

離乳食がぐんとラクになる「取り分け」

離乳食の時期は、おむつ替えや授乳など離乳食作り以外にも大変なことはたくさんあるにも関わらず、自分や家族の分の食事も作るとなると、とても大変ですよね。ぐんとラクになる取り分けをおすすめします。

取り分け離乳食のメリット

カレーを作る工程の途中

取り分け離乳食とは、離乳食を一から作るのではなく家族などの食べ物を作る際に赤ちゃん用に取り分ける手法です。

赤ちゃんのものだけ別に作ろうとすると、小鍋に少しずつ作ったり冷凍したりと手間がかかります。フリージング離乳食もいいですが、家族の食事を作らなければいけないのは同じです。途中まで一緒に作ることで工程を減らし、時短できるのが取り分け離乳食のメリットです。

離乳食の取り分けはいつから可能?

離乳食の取り分けは、離乳初期から可能です。

初期のころは調味の前、食材を水やだし汁でゆでただけのタイミングで取り分けられるといいでしょう。取り分けた食材を裏ごししてペースト状にすれば、離乳初期にふさわしい離乳食になります。

  ■ワンポイントアドバイス■

離乳食を取り分けるときのコツ、ポイント

大人の食事から離乳食を取り分けるときには、3つのポイントがあります。

ポイント1:大人用の調味料を入れる前に赤ちゃんの分を取り分ける

味噌汁に味噌を入れる

取り分けるポイントの1つ目は「調味料を入れる前に取り分ける」です。

味噌汁などの場合は、だし汁で具を煮てから最後に味噌を溶かし入れるので、この手法を使います。ほかにも、最初から味を付けてから煮込むイメージのあるかぼちゃや根菜類などの煮物などであっても、赤ちゃんがいる場合はだし汁だけで煮込んでから取り分け、最後に大人の分に味を付けるといいでしょう。

ポイント2:赤ちゃんの分はとろみをつけるなどして食べやすくする

水溶き片栗粉でとろみづけ

大人用から取り分けたら、赤ちゃん用のものはとろみをつけて食べやすくします。

赤ちゃんが食べられるのであれば取り分けたものそのままでもいいですが、離乳食ではとろみがあると飲み込みやすくなったり、口の中で食べ物がまとまることで咀嚼しやすくなったりします。

ポイント3:赤ちゃんの分の食材は食べやすい大きさにカットする

大人のものは大きくカットしてあるため、赤ちゃん用に小さく切る必要があります。

だいたいの目安は離乳後期(9〜11ヶ月)ごろで1cm程度です。食材のかたさによって大きさは異なりますが、1つの目安として覚えておいて、だいたいその前後くらいに切るといいでしょう。また、大きくても厚みが薄ければ食べることができるかもしれないので、様子をみながら調整しましょう。

離乳食取り分けでの注意点

大人のメニューをなんでも取り分けできるかというと、そういうわけではありません。やはり取り分けにおすすめのものと向かないものがありますので見ていきましょう。

取り分けメニューは油分を控えめに

油分が多い揚げ物
揚げ物の衣などは離乳食への取り分けに向かない

赤ちゃんに取り分ける時に気を付けたい点は、油分を多すぎないようにすることです。大人のメニューで油が多いなと思われるような、揚げ物の衣や、肉の脂身などは避けた方がいいでしょう。

食材を炒めたりする油は離乳食に使っても構いませんが、揚げやきのように油をたっぷりつかうような料理を取り分けるときには、赤ちゃんの分を一旦湯につけるなどして表面の油を取ってから使うといいでしょう。

油をとること自体が赤ちゃんに悪いわけではなく、便秘改善やカロリー確保などにも役立ちます。あくまでも「とりすぎ」に注意しましょう。

赤ちゃんに不向きな食材は避ける

赤ちゃんに不向きな食材・避けるべき食材は以下のようなものです。

乳児ボツリヌス症候群の危険があるもの(ハチミツ)
・食中毒の危険があるもの(生の魚や肉など)
・小さくて硬いもの(煎り大豆、ピーナッツ豆など)
・丸くてつるっとしているもの(ミニトマト、ぶどう、うずら卵など)
  ※4つ以上に切り分けるなど細かく切ればOK
・硬くて噛みきれないもの(イカ、タコ、タピオカなど)
・アルコール(酒など)
  ※しっかり煮切ればOK
・香辛料が多いもの(ワサビ、唐辛子など)
・油の多いもの(揚げ物、肉の脂身など)
・添加物の多いもの
・カフェインの多いもの(コーヒーなど)

これらは避けましょう。なお、「多いもの」と書いてあるものに関しては、少量が混じる程度であれば構いません。香辛料や油などが気になる場合は、取り分けてからお湯につけて落とすなどするといいでしょう。

食物アレルギーにも注意

卵と大根の両方が入ったおでん

アレルギーの有無がわかる前にアレルギーの可能性のある物質を避ける必要はありませんが、食後に何らかの症状が見られた時には「原因としては何の可能性はあるか」を考える必要があります。

例えば大人のおでんから取り分けた際、赤ちゃんには大根だけにしたとしても、取り分け前に茹で卵が同じ鍋に入っていた場合、卵のアレルゲンが大根にも微量ながら入っています。それが悪いわけではありませんが、もし何かがあった場合には「取り分け前に入っていた卵かも」と考えられるようにしておきましょう。

特に、鶏卵、牛乳、小麦、大豆は赤ちゃんに多いアレルゲンなので、気にしておくといいですね。

離乳食の取り分けにおすすめのメニューとコツ

最後に離乳食への取り分けに最適なメニューと調理のコツについて解説します。

野菜の煮物

野菜の煮物

にんじんや大根など赤ちゃんの離乳食にも使える野菜を煮込めば、取り分けてからの調理も短時間ですみますね。

できあがったものから取り分ける場合

・野菜をだし汁でゆでる
・取り分ける
・大人のものに味を付ける

というの順番が理想ですが、すでにできあがった煮物からとりわける場合は、大人のも味が中まで染みてしまっていると思います。小鍋にお湯を入れて、赤ちゃん用の具材だけを取り分けて水で茹でることで余分な塩分を水の方に出すことができます。そこから野菜だけを取り分けるといいでしょう。

うどん

うどんは離乳初期の後半から中期ごろ、おかゆに慣れたら取り入れられるメニューです。塩分や大きさ・硬さに注意すれば、大人の分からの取り分けもラクにできるでしょう。

うどん

スープは取り分けない

うどんを取り分けするときに特に心配なのは、塩分です。
うどんの中にも塩分が入っていますが、スープの中にも含まれています。赤ちゃんはできる限り減塩できるといいので、スープを取り分けないようにしましょう。うどんの麺だけをあげても十分に味は染みています。また、他のおかずなどで塩分をとらないようにして調整できるといいですね。

時期に応じて大きさ・硬さを変える

長いものは喉につまる可能性もあるので、
・離乳初期:つぶす
・離乳中期・後期:1cm程度に細かく切る
・離乳完了期:2cm程度に切る

など小さく切るといいでしょう。

また、うどんの種類によっては硬くてもちもちしているものもあり、離乳中期でも噛み切れないことがあります。指で簡単につぶせるかどうかを確かめてからあげましょう。

味噌汁・スープ

スープ

味噌汁やスープは毎日のように作るものなので、野菜たっぷりにすれば大人も一緒に栄養がとれていいですね。調味前の具材を取り分けしやすいというメリットもあります。

完成品からの取り分けは汁に注意

汁をたくさん飲んでしまうことによって過剰な塩分をとってしまいますので、具だけを取り分けるといいでしょう。また、具だけではなく汁も飲みたいようであれば、味噌汁やスープと同量の水(だし汁)を加え「半分ぐらいに薄くする」ようにしましょう。

まとめ

親子で食事

赤ちゃんをお世話する大人も元気でいるために、「離乳食は作るけど大人はおにぎりだけ……」というようなことがないように、たまには大人の食事をメインで考えて、そこから「赤ちゃんに取り分けられるかな?」と考えてみることも大切です。また、離乳食づくりが大変だなと思ったときにも、「大人のものから取り分けてちょっと茹で直してみればいいかな?」と思えるようになると、ぐっとラクになります。ぜひ取り分けをマスターして離乳食作りをラクにしてみてください。

(文:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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