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2021年01月27日 10:29 更新

納豆ダイエットって何? 効果を出すやり方と注意点を管理栄養士が解説

健康にいいイメージが強い「納豆」。実は、ダイエットにも役立つ嬉しい食材です。「本当に納豆で痩せるの?」「どうやって食べるのが正解?」そんな疑問を持つ人のために、よりスムーズなダイエットに役立つ、納豆の食べ方と注意点を解説します。

納豆がダイエットに役立つって本当?

納豆はダイエットに役立つのか
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納豆でダイエットに成功しましたか?

※マイナビ子育て調べ  調査期間:2020年12月21日~2021年1月3日 調査人数:123人(21歳~40歳以上の女性)の回答から抜粋

※ここで紹介したダイエット方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。効果的な減量方法や結果の出方は個人により異なります。

納豆には健康に良さそうなイメージがありますが、実は、ダイエットのサポートも期待できる食品です。

ダイエットをスムーズに進めるのに役立つ栄養がたっぷり

納豆には、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維などが含まれています。詳しくは次の章でお伝えしますが、これらの栄養が効率的な筋肉づくりや、脂肪燃焼・代謝のサポート、便通の改善などに役立つと期待されるため、納豆はスムーズなダイエットをサポートしてくれると考えられます。

ダイエットも健康もサポートしてくれる!納豆の栄養

ダイエットも健康もサポートしてくれる納豆の栄養
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具体的に、納豆に含まれるどんな成分がダイエットに役立ちそうなのか、詳しくお伝えします。

たんぱく質・アミノ酸の質がダイエット向き

納豆のたんぱく質は体内で効率よく利用される

納豆に含まれているたんぱく質には、体内で効率よく利用されやすいという特徴があります。

人の体のたんぱく質を作っている20種類のアミノ酸のうち、9種類は「必須アミノ酸」と呼ばれていて、人間の体内で必要量を生成できないため、食事から摂取する必要があります。
この必須アミノ酸をバランス良く含むかどうかを知るための目安が、「アミノ酸スコア」という指標です。

アミノ酸スコアが満点の「100」に近いほど、体内で利用されやすい良質なたんぱく源だと考えられています。植物性の食品の場合、一般的にこのスコアは低いのですが、大豆 の場合は「100」。筋肉量を減らしたくないダイエット中にぴったりのたんぱく源だといえます[*1]。

ただし、たんぱく質を摂るだけで筋肉を増やせるわけではないため、筋肉を落とさず減量したい場合は、適度な筋トレなどの運動も実施するようにしましょう。

大豆たんぱくには体脂肪低減効果が期待されている

納豆の原料である大豆に含まれるたんぱく質には、体脂肪を減らす効果もあるのではないかと期待されています。

実際に、ある研究では、肥満のマウスを、「大豆たんぱく」を含むエサを与えるグループと、「乳たんぱく」を含むエサを与えるグループに分けて比較したところ、大豆たんぱくのグループのマウスのほうが、より体脂肪が減ったと報告しています[*2]。

これはあくまでもマウスの研究なので、大豆のたんぱく質を食べて人の脂肪が減るかどうかまではわかりませんが、少しでもダイエットに役立つかもしれないなら嬉しいですよね。

脂肪燃焼効果が期待されている、大豆由来の成分を含む

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ほかに、納豆に含まれている「大豆イソフラボン」や「サポニン」「レシチン」などの成分にも、以下のように脂肪燃焼効果が期待されています。

大豆イソフラボン

体内で脂肪細胞を作るときに働く遺伝子の発現を抑えて脂肪蓄積を抑えたり、エネルギー産生を促進する物質の働きを助けたりすることで、脂肪酸の燃焼を促進する可能性があると期待されています[*3]。

サポニン

大豆製品に含まれる「サポニン」には、体内に余分に脂肪が溜まるのを防ぐ作用や、脂肪燃焼を促進する物質である「アディポネクチン」の分泌を促す働きがあると考えられています[*4]。

レシチン

大豆製品に含まれる「レシチン」の構成成分である「コリン」は、肝臓における脂質代謝を助け、脂肪蓄積の防止に役立つと言われています[*5]。

他にもダイエットをサポートしてくれる成分がたっぷり

納豆には、以下のような、ダイエット中に不足させたくないビタミンやミネラルも含まれています[*6]。

ビタミンB2:糖質、たんぱく質、脂質の代謝、エネルギー産生などを助ける[*7]
カリウム:余分なナトリウムを体外に排出してむくみ防止に役立つ[*8]
食物繊維:腸内環境を整えて便秘予防に役立つ[*9]

鉄分や葉酸といった貧血の人に役立つ栄養も

さらに納豆には、貧血が気になる女性におすすめしたい、以下のような栄養素も含まれています。

鉄分:不足すると鉄欠乏性貧血を招くため積極的に摂りたい栄養素[*10]
葉酸:赤血球の生産を助けるビタミン[*11]

納豆をダイエットに役立てる方法

納豆をダイエットに役立てる方法
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ダイエットや、健康的な体の維持に大切な栄養素を豊富に含む納豆。食事には、具体的にどのように取り入れると良いのか解説します。

1日1回食べるだけ

納豆のおすすめの食べ方は、1日1回、1パック(約50g)を食べる、というものです。

食べるタイミングは、いつでも構いません。代謝アップや便秘解消のためには朝食べるといいと言われることもあります。一方で、納豆に含まれる「ナットウキナーゼ」という成分には血栓予防効果があると言われており、血栓が気になる人は、血栓が生じやすい夜中に効果が出るように、夕食のときに食べると良いと言われることもあります [*12]。

ただし、この効果についてくわしいことはまだあまりよくわかっていないようです(持病があって薬を服用中の人は、このあと解説する「納豆ダイエットの注意点」も参照してください)。

なお、いくらダイエットや健康に役立ちそう!と思っても、特定の食品だけを食べる単品ダイエットは、栄養が偏ってしまうので避けましょう。食事の基本は、主食(ごはんや麺、パンなど)、主菜(肉や魚、卵、大豆製品などのたんぱく質を多く含む食品)、副菜(野菜類)を中心に、いろいろな食材をバランスよく取り入れることです[*13]。納豆だけを食べ過ぎないようにしてくださいね。

納豆ダイエットの注意点

納豆ダイエットの注意点
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納豆ダイエットには、以下のような注意点もあります。

おすすめの量

納豆ばかりを食べ過ぎると栄養バランスが偏る恐れがありますので、毎日食べるなら 1日1パック(約50g)程度を目安にすると良いでしょう。

なお、腎機能に問題がある方は、たんぱく質の多い食品を食べ過ぎると症状が悪化する可能性があるため、納豆をどのくらい食べていいか、医師に相談するようにしましょう。

また、持病があって血液をサラサラにする薬(ワルファリン)を飲んでいる人は、納豆を食べてはいけません 。納豆に含まれるビタミンKは、ワルファリンの作用を弱める働きがあるためです 。ワルファリンを服用中の方は、自己判断で納豆を食べるのは控え、食べる前に必ず医師に相談しましょう[*14]。

納豆の食べ過ぎで考えられるリスク

体によさそうな納豆ですが、食べ過ぎると、以下のようなリスクも考えられます。

大豆イソフラボンの摂りすぎ

大豆イソフラボンには、脂肪燃焼効果だけでなく、骨粗しょう症や乳がん、前立腺がん等の予防効果なども期待されています。その一方で、乳がん発症や再発のリスクを高める可能性もあるのではと懸念されており、1日上限摂取目安量は70~75mgと設定されています。

納豆1パック(50g)には、約37mgの大豆イソフラボンが含まれますので、納豆も含め、大豆製品ばかりを長期的に食べ過ぎることがないよう、気をつけましょう[*15]。

プリン体の摂りすぎ

納豆1パック(50g)には、約57mgのプリン体が含まれます。プリン体の多い食事は、体内で尿酸の産生過剰を引き起こし、高尿酸血症の原因になる可能性があると考えられています。

プリン体の1日の摂取量は400mgが目安ですが、納豆以外の肉や魚にも多く含まれるので、うっかり摂りすぎにならないよう注意しましょう[*16,17]。

セレンの摂りすぎ

納豆には、セレンという微量元素が、1パック(50g)あたり約8μg含まれます[*6]。セレンの1日の推奨量は、女性(18歳以上)の場合25μgですので、3パックよりも多い量を食べると、推奨量を超過してしまいます[*18]。

セレンを慢性的に過剰摂取していると、爪の変形や脱毛、胃腸障害、下痢、疲労感などが見られると言われているので、納豆ばかりを食べ過ぎないよう気をつけましょう。

まれにある「納豆アレルギー」にも注意

実は、納豆が原因でアレルギーを引き起こすこともまれにあります。通常の食物アレルギーは、食べてからすぐに症状があらわれることが多いですが、納豆アレルギーの場合は、症状が出るまでに数時間かかるという特徴があると言われています。

万が一、納豆を食べてから何時間後かに下記のような症状が出たら、すぐに医療機関を受診しましょう。

・かゆみ、蕁麻疹(じんましん)などの皮膚の症状、咳、ぜん鳴などの呼吸器の症状、鼻水、唇のはれなどの粘膜症状、嘔吐や下痢などの消化器症状 

納豆のダイエット効果を高める簡単レシピ

納豆のダイエット効果を高める簡単レシピ
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納豆を取り入れたいけれど、毎日そのまま食べるのは飽きてしまいそう……そんな人のために、簡単なアレンジでダイエット効果が高まる工夫を盛り込んだ、3つのレシピを紹介します。

酸っぱいパワーでダイエット効果UP!お酢納豆

エネルギー102kcal、糖質2.9g(ともに1人分)

・材料(1人分)
納豆 1パック、お酢 小さじ1、青ネギ(小口切り)少々

・作り方:
【1】納豆をよく混ぜる
【2】お酢と添付のタレ1/2袋を加えてさらに良く混ぜる
【3】最後に青ネギを散らす

・ポイント:血糖値の上昇を穏やかにする働きなどが期待されている、お酢も一緒にとれるメニューです。

便秘撃退!マグロの納豆キムチ和え

エネルギー182kcal、糖質 5.2g(ともに1人分)

・材料(1人分)
納豆 1パック、マグロ赤身(角切り)30g、オクラ2本、キムチ40g、ごま油小さじ1/2、刻みのり少々

・作り方:
【1】納豆をよく混ぜる
【2】オクラは茹でて小口切りにする
【3】材料を全て混ぜて、最後に刻みのりをトッピングする

・ポイント:同じ発酵食品であるキムチをプラスすることで、便通改善効果UPを狙うレシピ。

ビタミンたっぷり!納豆サラダ

エネルギー 214kcal、糖質 8.6g(ともに1人分)

・材料(1人分)
納豆 1パック、グリーンレタス40g、玉ねぎ40g、プチトマト4個、さけるチーズ1/2本、オリーブオイル小さじ1、ハーブソルト少々

・作り方:
【1】納豆をよく混ぜる
【2】グリーンレタスは洗って水を切り、食べやすいサイズにちぎる
【3】玉ねぎは、繊維に対して垂直に薄切りにして、水にさらしておく
【4】プチトマトは半分に切っておく
【5】サラダボウルに野菜と納豆、チーズを盛り付け、ハーブソルトとオリーブオイルをかける

・ポイント:納豆に足りないビタミンやミネラルを野菜で補うレシピ。グリーンレタスで包むことで、ネバネバの納豆も食べやすくなります。

まとめ

納豆に含まれている栄養素の働きや、ダイエットに役立てる方法について解説しました。調理が不要で、そのまま食べることができる納豆は、忙しいときでも手軽に取り入れることができる点が嬉しい食品ですよね。そのまま食べるのに飽きたときは、アレンジレシピも活用して、効率的にダイエットを進めてみて下さいね。

(文:猪坂みなみ)

※画像はイメージです

参考文献

[*1]日本食品分析センター:食品たんぱく質の栄養価としての「アミノ酸スコア」
[*2]Soy Protein Isolate and Its Hydrolysate Reduce Body Fat of Dietary Obese Rats and Genetically Obese Mice (Yellow KK).
[*3]日本食生活学会誌:大豆食品と健康
[*4]長寿科学振興財団:健康長寿ネット「サポニンと効果と摂取量」
[*5]長寿科学振興財団:健康長寿ネット「レシチン・コリンの効果と摂取量」
[*6]文部科学省: 日本食品標準成分表2015年版(七訂)
[*7]長寿科学振興財団:健康長寿ネット「ビタミンB2の働きと1日の摂取量」
[*8]長寿科学振興財団:健康長寿ネット「カリウムの働きと1日の摂取量」
[*9]厚生労働省:e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
[*10]長寿科学振興財団:健康長寿ネット「ミネラル成分の鉄分の働きと1日の摂取量」
[*11]長寿科学振興財団:健康長寿ネット「葉酸の働きと1日の摂取量」
[*12]須見洋行「納豆キナーゼと線溶系」, 化学と生物, 29 巻 , 2 号, 日本農芸化学会, 1991.
[*13]農林水産省:食事バランスガイド早わかり
[*14]独立行政法人医薬品医療機器総合機構:くすりQ&A 食品とくすり
[*15]内閣府 食品安全委員会「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」
[*16]公益財団法人 痛風・尿酸財団:食品・飲料中のプリン体含有量
[*17]長寿科学振興財団:健康長寿ネット「高尿酸血症」
[*18]長寿科学振興財団:健康長寿ネット「セレン」

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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