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2021年01月27日 13:14 更新

【医師監修】新生児の頭囲はどのくらい? 頭の大きさと関連する病気とは

「うちの子の頭は大きすぎる?」「この子は頭が小さいかも……」。生まれたばかりの赤ちゃんを前にすると、さまざまなことが気になるものです。ここでは新生児の頭囲の平均値や頭囲と関係する病気についてまとめました。

新生児の頭囲の平均値と正常範囲

新生児の頭囲の平均値と正常範囲
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よく「赤ちゃんは頭が大きい」といわれますが、新生児の頭囲の平均値と正常範囲は次のようになっています。

平均値

出生時の頭囲の平均は33cmくらい。厚生労働省の平成22年乳幼児身体発育調査によると、男の子が33.5cm、女の子は33.1cmです。

生まれたときは、ふつう胸囲よりも頭囲の方が少し大きめです。その後の平均値は、1~2ヶ月未満で男の子が37.9cm、女の子が37.0cm。3ヶ月~4ヶ月未満では男の子が41.3cm、女の子が40.2cmとなっています。

1歳ごろになると頭囲と胸囲がほぼ同じになり、それから胸囲が少し大きくなります。1歳0ヶ月~1歳1ヶ月未満の頭囲の平均値は、男の子で46.2cm、女の子で45.1cmです[*1]。

ちなみに、日本人の成人男女の頭囲平均はだいたい50cm台後半のようです[*2]。赤ちゃんの頭は1歳までの間に急速に大きくなり、その後は徐々に大人のサイズに近づいていくのですね。

正常範囲

頭囲の正常範囲は母子手帳の「乳幼児身体発育曲線」を見るとわかります。頭囲のグラフのページに、測定された頭囲を書き込んでみましょう。同じ月齢の赤ちゃんの94%が入る範囲が帯で描かれていて、各月齢の時点でこの帯の中に入っていれば標準の範囲内といえます。

出生時だけでなく、その後も乳児健診で測定された頭囲を書き込んでいくと、頭囲がどんなペースで成長しているか確認できます。平均より小さめでも大きめでも、曲線に沿って頭囲が大きくなっているのなら、順調に成長しているといえます。

頭囲の発育曲線は次でも確認できます。
厚生労働省 平成22年乳幼児身体発育調査報告書p68、69
「図7.乳幼児(男子)身体発育曲線(頭囲)」
「図8.乳幼児(女子)身体発育曲線(頭囲)」

なお、詳しくはこのあと解説しますが、赤ちゃんの「頭が大きすぎる」または「小さすぎる」のはどの程度の場合なのでしょうか。

赤ちゃんの頭部が小さいか、出生後に頭部が成長しなくなる場合を「小頭症」、頭が大きいか頭蓋骨が大きい場合を「大頭症」と呼びます。 小頭症は頭囲が平均以下で標準偏差の2倍以上小さい場合、大頭症は頭囲が平均以上で標準偏差の2倍以上大きい場合とされています[*3]。

新生児の頭が大きいとき、心配なことは?

新生児の頭が大きいとき、心配なこと
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まず、赤ちゃんの頭が正常範囲より大きい場合に、考えられることを解説します。

問題ないことが多い

大頭症は頭囲が大きい状態を指す言葉ですが、大きく2つのタイプに分けられます。1つは体と頭のバランスがとれていて、「体が大きいので頭囲も大きいタイプ」。もう1つは、「体格に対して頭が大きいアンバランスなタイプ」です。どちらにしても、たいていは健康で問題はありません。

両親のどちらかが子供のときに頭が大きいと、赤ちゃんの頭囲も大きくなりやすいものです。つまり、頭囲が大きいからといって必ずしも病気とは限りませんが、発達の遅れを伴うこともあるので、健診などで指摘されたら小児科の医師に診てもらうことが大切です。

2~3ヶ月で大きくなってきたら早めに受診を

大頭症が症状の病気もあります。たとえば「水頭症」は、脳や脊髄などをめぐる液体(髄液)の循環や吸収が悪くなって、脳の内部にたまってしまいます。たまった液体によって脳室が拡大し、それとともに頭囲が大きくなることがあります。水頭症は、先天異常や脳内出血、脳腫瘍など、多くの原因によって起こります。

赤ちゃんの頭の骨は、大人とちがって複数にわかれています。骨と骨の間はゆるくつながっていて、そのつなぎ目を「頭蓋骨縫合」と呼びます。頭蓋骨縫合は1~2歳ごろまでやわらかいので、脳の成長に合わせて頭蓋骨も大きく成長していきます。そのため、水頭症のような頭骨の内部の圧力が高くなる状態が起こると、頭蓋骨縫合の部分が広がって頭囲が大きくなります。

水頭症は早期発見が大切です。頭囲が発育曲線で標準の範囲内であっても、2~3ヶ月の間に急に大きくなっているときは、早めに医師に相談しましょう[*4]。

そのほか、難病指定されている「ソトス症候群」(大頭症のほか顔貌の特徴、身長が大きい、発達の遅れなどの症状がある)など、先天性の病気が原因で大頭症となることもまれにあります。

新生児の頭が小さいのは病気が原因?

新生児の頭が小さいのは病気が原因なのか
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次に、赤ちゃんの頭が小さい場合の原因として考えられることを解説します。

小柄な赤ちゃんは頭囲も小さめ

身長や体重が平均より小さめの赤ちゃんであれば、やはり頭囲も小さくなります。頭囲の平均値はママのお腹にいた期間によっても異なり、在胎週数が少ないほど頭囲の平均値も小さくなっています。

厚生労働省の平成22年乳幼児身体発育調査でも、在胎週数別の頭囲の平均値は34週で男の子31.4cm、女の子31.1cm。35週は男の子32.2cm、女の子31.6cm、36週は男の子32.6cm、女の子32.8cm、38週で男の子33.4cm、女の子33.0cmとなっています[*5]。

まれに病気が原因のことも

標準よりも頭囲が小さい状態を「小頭症」といいます。まれなことですが、小頭症の原因のひとつに頭蓋骨が大きくなれない「頭蓋骨縫合早期癒合症」があります。大頭症でも説明しましたが、赤ちゃんの頭の骨は複数の骨がゆるくつながっており、そのつなぎ目である頭蓋骨縫合が拡大することで頭蓋骨が大きくなります。

ところが通常よりも早くつなぎ目が融合してしまうと、頭蓋骨がそれ以上大きくなれず頭の形が変形し、脳が圧迫されてさまざまな問題が起こります。この場合は頭蓋骨の一部を切り取る手術を行います。

また、脳自体が大きくなれない病気もあります。染色体異常や脳の先天異常、胎児期の感染が原因です。小頭症以外にも、けいれん、体の麻痺、運動機能や知能の遅れといった症状があらわれます。

いずれにしても、病気が原因であれば早期に発見して適切な時期に治療をすることが大切です。そのため小頭症の場合は、ほかに明らかな症状がなくてもCTやMRIなどの検査をしたうえで、専門医による慎重な経過観察が行われます。

頭囲が大きい・小さいときの対処

赤ちゃんの頭が大きいまたは小さくて不安なときは、落ち着いて次のように対処しましょう。

心配な場合は健診などで医師に相談を

上で紹介したような病気もあるので、出産直後だけでなく健診でも身長、体重とともに頭囲が測定されます。そのうえで医師が詳しい検査が必要かどうか判断するので、特に指摘がなければあまり心配しなくても大丈夫。もし医師から指摘があれば、特に気になることがなくてもできるだけ早く受診して検査を受けましょう。

測り方によって誤差が出る場合も

厚生労働省が定めた頭囲の測り方は、2歳未満は「寝かせた状態で後頭部の一番突出しているところから前頭部の眉の上の直上を通る周径を巻尺で計ること」とされています。後ろは突出した部分に巻尺をあてますが、前は額の突出した部分ではなく眉上に巻尺を回します。

ただ計測時には赤ちゃんが動くこともあり、測定結果は誤差が出やすいものです。また頭囲の成長は身長や体重と比べても数値の伸びがわずかで、短期間に1~2回計った数値から発育の異常を判断するのは難しいのです。心配なときは、健診の度に継続的に測定した数値を見て、経過で気になることがあれば医師に相談するようにしましょう。

まとめ

新生児の頭囲まとめ
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出生時の頭囲の平均は約33cm。生後1~2ヶ月未満でおよそ37~38cmにまで成長します。赤ちゃんの頭囲が平均と比べてどのくらいか気になるときは、母子手帳にある発育曲線の頭囲のページを見て確認を。もし頭が大きい・小さいことでよりくわしい検査が必要な場合は、健診で伝えられるはずです。頭の大きさには個人差もあります。頭囲の測定は誤差も出やすいので、正常範囲から少し外れていたとしても、医師から何も言われていないのなら、あまり心配し過ぎないようにしてくださいね。

(文:佐藤華奈子/監修:丘逸宏 先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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