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2021年01月27日 11:31 更新

【医師監修】イヤイヤ期はどう対応する? 絶対やってはいけないNG例とは

何かと対応に困るイヤイヤ期。毎日のことなのでどう接していけばいいのか、悩みどころですね。ここでは段階別・場面別の接し方のヒントやポイント、避けたい対応をまとめました。イヤイヤ期の子供に接する際の参考にしてください。

イヤイヤ期は成長の一過程

イヤイヤ期は成長の一過程
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親にとっては苦労させられるイヤイヤ期も、子供の大切な成長過程です。

自立心が芽生えてきた証拠

子供は1歳半ごろから自我が芽生え始めると言われ、自己主張が強くなっていきます。「自分」や「自分のやりたいこと」がはっきりしてくる一方で、まだそれを言葉で正確に伝えたり、思った通りに自分でやり遂げられるほどには成長していません。感情を抑えることも難しいため、思い通りにいかないと簡単にかんしゃくを起こして泣き叫んでしまいます。

一般に、イヤイヤ期のピークは2歳ごろ訪れると言われることが多いようです。この時期はいちいち親の言うこと・することに反抗し、かんしゃくを起こすので扱いにくく感じます。かと思えばできることでも「やって!」と甘えられて、親は理不尽な思いもします。でもこのとき、子供たちもまた、親に依存していたい気持ちと自立したい欲求の間で葛藤しています。

イヤイヤ期は子供が発達するなかで自然に起こること。小さな体と心で精一杯成長しようとしているサインです。「イヤ!」「ダメ!」など否定する言葉で気持ちを表現しようとするのも、この時期ならではと言えるでしょう。

段階別イヤイヤ期の子供への接し方のヒント

段階別イヤイヤ期の子供への接し方のヒント
Lazy dummy

イヤイヤ期は成長の一過程で、やがておさまっていくもの。子供の成長を待ちながら、気長にやり過ごしていくしかありません。

とはいえ、かんしゃくを少しでも減らし、親子の無用な衝突を避けるために、次のような接し方を試してみると良いかもしれません。アメリカ小児科学会のサイトで紹介されている、成長段階別の接し方のヒントを紹介します[*1]。

乳児期の場合

イヤイヤ期に入り始める乳児期には、以下のような点に注意しておくと良いでしょう。

・赤ちゃんは親がしていることを見て学ぶので、あなたが期待する行動の例を示してください。

・赤ちゃんを導くときは前向きな言葉を使いましょう。たとえば「立ってはいけない」ではなく「座る時間だよ」と言います。

・安全性に問題があるときは「だめ」と言います。ただし、危険なものは手の届かないところに置き、なるべく「だめ」と言う機会を減らしましょう。

・危険なものや禁止しているものを、できるだけ遊んでも大丈夫なものに置き換えましょう。

・赤ちゃんのときから一貫したしつけをすることが大切です。パートナーや家族と話し合って、全員が守れる基本的なルールを決めておきましょう。

幼児期の場合

イヤイヤが本格化する幼児期は、次のように工夫してみてください。

・子供は何が良くて何がダメなのか認識し始めていますが、親の反応を見るためにルールを試すような行動を取るかもしれません。好ましい行動は注目してほめますが、そうでない行動には構わないようにしましょう。

・疲労や空腹などかんしゃくのきっかけを予測して、タイミング良く昼寝や食事をすることを心がけてください。

・殴る、噛むなど、攻撃的な行動をとらないように教えてください。親は体罰ではなく言葉で説明するなど建設的な方法で対処し、暴力的でない行動のお手本を示します。

・ルールを適用する際は一貫性を保ってください。また、必要に応じて、静かな場所で短い時間反省させても良いでしょう(※タイムアウト)。
※反省させる時間は、「年齢×1分」が目安。例えば2歳なら 2分、3歳は 3分、4歳は 4分、5歳は 5分間となります。)

・きょうだいげんかの時は、どちらかに味方することは避けてください。おもちゃで喧嘩が起こったらそのおもちゃは片付けるなど、中立を保った方法で終わらせましょう。

就学前の場合

就学前でも、かんしゃくを起こすことはあります。この時期は下記のようなことに気を付けると良いでしょう。

・就学前の子供たちは、物事がどのように機能するのか、そして自らの行動がどのような影響を与えるのか理解しようとしています。子供が適切な行動を学ぶ際には、親や兄弟の限界を試すことがあると心に留めておいてください。

・おもちゃを片付けるなど、年齢に応じた役割を割り当てます。段階的に簡単な指示をして、できたらほめましょう。

・子供自身がしてほしいと思うようなやり方で、他の人に接するように教えてください。

・たまに怒りを感じることは仕方のないことですが、そのために誰かを傷つけたり物を壊したりしてはいけないことはよく説明しましょう。話し合うなど、前向きな方法で怒りの感情に対処する方法を教えます。

・けんかを解決するには、タイムアウトを試すか、けんかの原因を取り除くようにします。

イヤイヤ期の場面別ポイントとNG例

イヤイヤ期の場面別ポイントとNG例
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次に幼児期に多いイヤイヤの場面別ポイントとともに、NGな対応の例を紹介します。

気持ちをわかって!のイヤイヤに……「共感する」

反抗が始まったら、まず子供の気持ちを受け止め、共感する言葉をかけます。たとえば「パンが食べたい」と主張する子供に「今日はごはんだから食べて」と言うと、子供は自分の気持ちをわかってもらえないと感じます。「パンがいいのね。食べたいよね。あげたいけど今はないんだ。」と返すと、自分が言ったことをわかってもらえている、と感じるでしょう。

子供との対話も大切にしましょう。子供が自己主張したら、抱きしめて時間をかけて子供の言い分を聞いてみてください。幼い子供でも、大人には想像もつかないような意見を持っていたりするものです。子供の言い分を聞いて、その意見を通せないときは理由を言い聞かせ、納得させるようにしましょう。こうすることで、子供は自分が大切に扱われていると感じます。

こんな対応はNG

・「どうしたいの!?」と問い詰める
子供は何にでも「イヤ!」など否定する言葉を使うので、言葉通りに捉えると「どうしたいの!?」と問い詰めてしまい、さらに状況が悪くなることも。

まずは子供が何を伝えようとしているのか考え、時には気持ちを代弁しながら受け止めて。それから上手くやるべきことに誘うといったように、真正面から争うのではなく側面からアプローチする方法を試してみてください。

できないことも自分でやりたい!ときは……「やらせてみる」

何でも自分でやりたがることもイヤイヤ期の子供の特徴。親がやってしまった方が早いと思いますが、やりたいという意欲は応援してあげるのが大切です。まだできないことでも、まずはやらせてみましょう。ただし、危ないこと、してはいけないことは、子供がかんしゃくを起こしてもまずやめさせます。子供が落ち着いたら理由を説明してあげましょう。

こんな対応はNG

・どうせできないから、と始めから親がやってしまう
子供のやりたい気持ちを押さえつけてしまうと、意欲が育ちません。時間がかかっても見守りながら適宜声をかけて手伝い、途中までになってもできたことは褒めてあげましょう。

かんしゃくで我を忘れている……「気をそらすか、落ち着くまで見守る」

かんしゃくが起きたら子供の注意をそらしてみてください。別の部屋や場所に移動し、安全なおもちゃを渡したり、大げさに歌ったりして気晴らしを。それが難しければ、まず落ち着くまで待ちましょう。

子供自身や他の誰かに危険がなければ、かんしゃくの間は話しかけず構わないようにします。もし誰かを叩いたり蹴ったりということがあれば、子供をただ抱きしめてかんしゃくが収まるまで待ちましょう。かんしゃくに構わないことは、それが無意味な行動であると教えることになります。

こんな対応はNG

・親もかんしゃくを起こす
親が子供に不満や怒りをぶつけて問題を大きくしないようにしましょう。子供が落ち着く手助けをするために、まずは大人自身が冷静になってください。

体罰や暴言はしつけの効果がないばかりか、子供の健康に悪影響を及ぼすと言われています。叩かれて育った子供は、望み通りにならないときに他の人に暴力をふるう可能性が高くなります。言葉の暴力も10代の問題行動やうつ病を引き起こす可能性があるといわれています。

スケジュールに従ってくれない……「規則正しい生活と余裕のある行動を心掛ける」

できるだけ規則正しい生活をして、予定は前もって伝え、何かするときは事前に声をかけて、子供にも先の見通しがもてるように心掛けてください。こうして子供が安心して行動できるようにすると、イヤイヤが減る可能性があります。

また睡眠をしっかりとることはかんしゃくを減らすことに役立ちます。子供に必要な睡眠時間は年齢によって異なりますが、あくまで目安で個人差があります。その子が必要とするだけ眠れるようにしましょう。

また、外出の準備で慌ただしくなると、子供に寄り添う時間ややりたいことをやらせる時間がとれず、かんしゃくが始まり悪循環になることも。時間に余裕を持って動くことも大切です。

こんな対応はNG

・子供に何も言わずに行動する
「お風呂に入ろう」「散歩に行こう」「ごはんの時間だよ」など、日常生活の些細なことでも何かする前に必ず声をかけましょう。たとえば着替えるときに何も言わずに突然服を脱がせると、子供は驚いて泣いたり、抵抗したりします。

何もかも拒否する……「子供に選ばせる」

イヤイヤ期の子供は自分で決めたい、選びたいという気持ちを持っています。そこで、子供に選ばせる機会を作ってその気持ちを満たしてあげましょう。親が用意した中からその日のおやつを選ぶなど、子供がどれを選んでも、親も納得できる選択肢を用意します。また子供の要求が妥当なときは、前向きに検討して応えてあげましょう。

こんな対応はNG

・「イヤ!」と即答される聞き方をする
「歯磨きはお風呂の前にする?後にする?」など、子供自身が選択できるように聞きましょう。「今から歯磨きする?」のような「イヤ!」と即答されそうな聞き方は避けてください。着替えや歯磨き、入浴など。普段嫌がりそうなことでも子供自身に選ばせるとスムーズにやってくれることもあります。

完璧に対応できなくても気にしないで

完璧に対応できなくても気にしないで
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イヤイヤ期の子供にいつも完璧に対応することは難しいもの。うまくいかないことがあっても、気持ちを切り替えてまた挑戦していきましょう。

親子で試行錯誤していこう

ここまでで説明したようなベストな対応ができないときがあっても、気にしないでください。たまには親が折れることがあっても、また次からやり直せば大丈夫。言い聞かせられずに晴れた日に傘と長靴で外出しても、パジャマで登園しても、いつか子供自身がおかしいと気づくようになります。

おもちゃを大事にしないと壊れて遊べなくなること、食べ物で遊ぶと食べられなくなってしまうことなど、子供が自分で体験する方が早く改善されることも。イヤイヤ期の子には完璧を求めず、見守ることも対応のひとつです。

ただ、親は常に忍耐力を試されます。もし自分の感情がコントロールできないと感じたら、子供が安全であることを確認してから少し離れて、数分間深呼吸をしたり、リラックスできることをしたり、友達に電話したりしてください。落ち着いたら子供のところへ戻り、もう一度向き合いましょう。

もし声を荒げてしまっても心配しないで。お互いの気持ちが落ち着いたら、子供に「ごめんね」と謝り、なぜそうなってしまったのか、親の気持ちや理由、これからはどうするのか伝えましょう。これは間違いをおかしたとき、どんな行動をとればよいのか子供に教えることにも役立ちます。

専門家に相談する方法も

どうしてもイヤイヤがひどい、対応が難しいと感じるときは、地域の育児相談を利用するなど、専門家に相談することも忘れないで。医師に相談する目安としては下記を参考にしてみてください。

・子供のかんしゃくに対して、怒りを覚える、制御不能になることがよくある。

・子供のかんしゃくに従い続けている。

・かんしゃくが親と子供双方に多くの悪い感情を引き起こす。

・自分や子供の状態に関して疑問がある。

・かんしゃくがより頻繁で激しくなった、または長続きするようになった。

・子供が自分自身や他人を傷つけることがある。

・子供が非常に扱いづらく、けんかが多く、ほとんど協力してくれない。


時には聴覚や視覚の問題、慢性の病気、言語発達の遅れ、学習障害などにより、子供がかんしゃくを起こしやすくなることがあります。心配なときは専門家に相談してみましょう。

子供のかんしゃくは通常、自然に治まります。子供は成長するにつれて、自制心を身に着けるようになり、欲求不満に自分で対処することを学びます。感情のコントロールができるようになると、かんしゃくを起こすことはなくなるでしょう。

まとめ

子供のイヤイヤへの対応のコツは、年齢によって徐々に変わってきます。その子の段階に合わせて対処していきましょう。イヤイヤ期は子供の成長過程でいつかは終わりますが、親の側に余裕がないとうまく対応するのは難しいもの。困ったときは周囲のアドバイスやサポートも受けながら、乗り越えていきましょう。

(文:佐藤華奈子/監修:丘 逸宏 先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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