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2020年12月03日 07:00 更新

ワーママだからできる仕事とその価値を磨きたい!人材紹介会社勤務 古橋有紀さん #働くママの人生

赤ちゃんとの生活がスタートして一息ついたと思ったら、保活・職場復帰、仕事との両立などなど、働くママは心も体も忙しい毎日。ほかのママたちはどんな風に一日を過ごしているのか、どんな考え方で育児をしているのか、夫婦間での分担は?など、働くママが知りたい、リアルな日常をインタビュー。

妊娠、出産を経て、仕事を続けているママは、どのような日常を過ごしているのでしょうか?今回は、人材紹介会社に勤務し、女の子と男の子を育てる古橋有紀さんにお話を伺いました。

プロフィール

・お名前:古橋有紀(32歳)
・業種:人材紹介会社

愛知県出身。3歳の長女と0歳の長男を育てるママ。
大学で経営工学を学び、経営資源である「ヒト・モノ・カネ」の活用にかかわる仕事を志して2011年、地方銀行に入行。法人向け融資審査業務に従事した。13年、人材紹介会社へ転職し、14年に結婚。キャリアアドバイザーや法人営業を担う採用コンサルタントを経験した。
15年、現在勤める大手人材紹介会社に入社。17年長女を出産。直後に夫の海外赴任先である中国へ渡航。帰国後の18年4月に職場復帰し、時短勤務で採用コンサルタント業務を担った。昨年12月から長男出産のため2度目の産休・育休に入り、来春に復職予定。

1日の流れ

◇産休前(昨年11月ごろまで)
6:30 起床・朝食
7:40 保育園へ送り出し、家の片づけと掃除、身支度
8:30 自宅を出て会社へ
9:30 始業 メールチェック
10:00 クライアント訪問
12:00 帰社 同僚とランチ
13:30 社内ミーティング
15:00 社内業務
16:30 終業
17:30 保育園を経由して帰宅
18:00 夕食
19:00 風呂
20:00 子供を寝かしつけ
21:00 翌日の夕食準備、ネットスーパー発注、洗濯などの家事を済ませて自分の時間
23:00 夫が帰宅
24:00 就寝

◇育休中(現在)
7:00 起床
7:30 長女と朝食後、長男の離乳食
8:15 保育園へ出発
9:00 長男朝寝、洗濯片づけと掃除
10:00 ベビーカーで近所を散歩
12:00 昼食
13:00 長男昼寝、夕食準備
15:15 保育園お迎え
16:00 子供たちと遊ぶ
17:30 夕食 長男はおんぶで夕寝
19:00 お風呂
20:30 子供たち寝かしつけ(以後2、3時間おきに夜泣き対応)
21:00 ネットスーパー発注、洗濯、片づけ
21:30 資格の勉強
23:00 夫帰宅
24:00 就寝

将来へ向けて資格取得!育休を活用して勉強中

——現在は2度目の育休中と伺っています。どのように過ごしていますか。

「コロナ禍で、それ以前と比べると、お出かけなどの外出は控えていますね。自宅時間が増えている分、自分の時間がつくりやすいので資格取得に向けて勉強をしています。料理が好きで、子供の食事を考えていきたいという思いから今年の2月、長男を出産後に食育アドバイザーを取りました。今は、復職後を見据えて、オンライン講義でキャリアコンサルタントの勉強をしています。
ちなみに前回の育休には、夫の仕事の都合で中国にいたのでHSK(中国語検定)4級と、興味のあったITパスポートの資格を取得しました。出産前も今も、いつ復職となっても戸惑わないように、日経新聞には毎日目を通して社会情勢を掴んでおくように心がけています」

——来春は2度目の職場復帰を予定していますね。前回と比べて心境のちがいはありますか。

「一度目の復職は、生活の変化をはじめ想像がつかない部分があって不安でした。今回は、前回の経験がありますから、それほど不安は大きくありません。

長女出産後の職場復帰のときは、子供と過ごす時間が減るのはさみしく思いましたが、その分一緒に過ごす時間をより大切にするようになりました。来春に向けては、コロナ禍による経済状況や仕事の仕方の変化などはあるでしょうけれども、私自身は時短勤務で働くイメージが持てて、今後のキャリアも具体的に考えられるようになっています。

前回復職時に『仕事がしたい』『やっと多くの人と話せる』とワクワクしながら戻りましたが、復帰直後は仕事がうまく回らないこともありました。時短勤務をしていたため、夕方以降に来た社内や社外からの依頼事項に当日対応できずに迷惑をかけてしまったり、終業時間ぎりぎりに電話や相談が集中して仕事の優先順位がつけられず、期限に間に合わせることができない業務が出てきたりしたのです。
試行錯誤の末、復帰後半年経ったころに、すべてのメールの末尾に『*9:30―16:30の時短勤務をしております。急ぎのご連絡は代理の〇〇にお願いします*』と添えるようにしました。すると、連絡時間を気遣っていただいたり、子育ての話で盛り上がることが増え、トラブルを減らしていくことができました。

自分が時短勤務であることは、先方に嫌がられるだろうと考えて伝えていなかったのですが、たまたま訪問先で子供の話が出て『自分も朝、保育園に送ってから来ているよ。お互い大変だね』と共感いただき、『引け目に感じることはないのかな』と思えるようになったのです。お気遣いをいただく中で、『仕事の質でしっかりお返ししよう』と前向きにとらえるようになりました。

このころ、営業ノルマに対しても産休前と同じような成果が出せるようになりました。中途入社した社員の育成を任され、新規プロジェクトをメインで担当させてもらえることになり、仕事に自信がついてきて。復帰して改めて、仕事をしている自分が好きだな、と感じましたね。がんばったあとに、仕事仲間と飲むビールは最高においしくて、『また出産しても絶対に戻ってきたい』と思いました」

——仕事と育児の両立で苦労したことはありますか。

「長女が入院し、仕事を休まなければならない時期があったんです。その時は、急な日程調整や業務の引継ぎなどに苦労しました。夫はエンジニアで休みにくく、いつも私が休暇を取っていましたが、いつになったら本格的に仕事ができるのか、不安が大きかったです。幸い娘は1年ほどすると体が強くなりましたし、病児保育が利用できることも知り、育児と仕事の調整での苦労は減ってきました」

思いがけない時期の妊娠 まわりに相談しづらく

——妊娠中に大変だったことを教えてください。

「ひとり目のときは吐き気、ふたり目は頭痛で、朝の通勤電車や顧客訪問がつらかったです。時に、仕事に差し支えることもありました。特にひとり目のときは予想外のことで、気まずさを感じました。妊娠がわかったのは今の会社に移って半年後で、研修を終え本格的に仕事を任せてもらうようになったころ。まずはキャリアを積んで活躍して、子供を授かるのは少し先、とイメージしていたタイミングでした。妊娠は上司に伝えたものの、まわりには『甘えちゃいけない』と思って相談できなかったです。

ふたり目のときは、社歴も重ね、仕事にも慣れていたので柔軟に予定を組めました。上司には心拍確認後すぐに妊娠を報告し、出社時間を柔軟にしてもらうなど配慮をいただき、助かりました。まわりにも伝えて、腹痛など少しでも気になる症状があれば会社近くの産婦人科で診てもらいました。仕事上のストレスが子供に影響しないか不安でしたが、すぐ診察してもらうことで、安心できるようにしたかったのです。

夫婦間では、出産や子育ての大変さについて、早めに夫と覚悟を共有しておうべきだったと思います。夫は臨月でも週1、2回の飲み会に出かけていたので、私は『いつ生まれるのかわからないのに、お酒を飲んじゃうんだ』と言いたくなります。そうした認識のギャップで何度か衝突しました。少なくとも臨月に入る前までに、先輩夫婦などに一緒に話を聞くなどできていればよかったな、と思います」

——産後の生活はどうでしたか。

「産後の生活は想像していた以上に、体力とメンタルの限界を試されましたね。私の体のリズムとは関係なく泣き声で起こされ、大声で泣き続ける子供のそばを離れられない。大切な小さい命を私が守るという緊張感や、家族以外と会話をしない世界が数か月続く孤独感……。もちろん、わが子の可愛さも、想像以上でしたけれど。

日常生活は、家族の支えが大きいです。長女の出産後は、日本にいる母に中国からテレビ電話でいろいろ相談しました。また、平日は私ひとりで子育てに専念する環境だったので、週末は夫に子供をみてもらい、私はマッサージに行ったり、お風呂にゆっくりひとりで入るなど少しでも自分ひとりの時間が取れるように協力してもらいました。ふたり目が生まれてからは、実家の母の力も借りて、同じように自分の時間が確保できるようにしています」

保育園送り担当は夫 父子の時間を大切にしてほしいから

——夫婦で、家事や育児の役割分担はどうしていますか?

「夫はエンジニアで残業が多く、平日は帰りが遅いため、朝の保育園の準備と送りだけを担当してもらっています。私は料理は好きですが、それ以外の家事は得意ではないので、掃除ロボットや洗濯乾燥機などの便利な家電は重宝していますね。そして、買い物はネットスーパーや通販サイトでほぼ済ませ、週末も家族の時間がしっかりとれるようにしています。出産直後は自治体の産後支援事業を利用して、掃除などを手伝ってもらいました。また、二度目の産休に入る前は、月に1回の月末の職場飲み会の日は夫に早く帰ってきてもらって寝かしつけをお願いし、飲み会に行っていました。

保育園送りは、一度目の育休復帰時から夫の担当ですが、当初は何度も意見が衝突しました。夫にとって負担が大きかったようで『送るのは出社時間が遅いほうが担当するといいのでは』と言うのです。私としては、平日夜が完全に私のワンオペになっていますし、それ以上に『父親も親子の時間をとってほしい』という思いがあって譲れません。話し合い、夫が早く出社しなければならない日に限り週2日まで私が送る、雨で自転車が使えない日は実家の母に手伝ってもらう、といった工夫もしていますが、今も夫がメインです。『保育園の話題で盛り上がったり、子供のちょっとした変化に気づいたりすると、一緒に子育てしている実感がわいてうれしい』と伝える中で、少しずつ理解してもらったと感じています」

——夫婦で上手にやっていくため意識していることは何ですか。

「きついときはSOSをちゃんと出し、互いに受け止めること、ねぎらってほしいときはそう伝えること、2人で無理なら早めに実家など第三者に頼ること、です。家事や育児は大変でタスクの押しつけ合いになりがちですし、心の余裕がなくなると『自分はこんなにがんばっているのに』という不満が爆発し、終わりなき戦いに突入してしまいますから。日ごろから思いをわかってもらうこと、相手のいい面を認めることは大切にしています。私の場合、夫にほめてほしいときは『こんなにきれいに掃除したよ』『こんなことがあって大変だったよ』とアピールします。夫から『すごいね、がんばったね』と言ってもらえると、言わせたセリフでもうれしいものです。逆に、夫が疲れていそうなときには、娘も巻き込んで『パパにやさしくしてあげようね。いつもありがとうね』と声をかけています」

自分だからできることに自信を持つ

——仕事と育児・家事の両立に向けて意識していることはありますか。

「何においても、できない部分にフォーカスしないことです。たとえば時短勤務中は時間の制約があり、仕事でほかの同僚のようにできない部分はどうしてもありますが、今の自分だからできることに自信を持つ。そうすることで、仕事も家庭も前向きな気持ちで向き合えます。子育て世代の転職者らへの理解が深まったという直接的な面ももちろんですが、育児でストレス耐性がついたのか、仕事で簡単に頭に血が上らなくなり、仕事で多少嫌なことがあってもおおらかに受け止められるようになりました。これも、育休を経て得たものだと思います。

そう考えられるようになったきっかけは、今の会社に入って半年たったころに尊敬する上司からもらったアドバイスです。『大手の営業職らしくならないと』と根を詰めても成果が上がらず落ち込んでいた私に、上司が『苦手ばかりに目を向けず、強みを伸ばそう』と声をかけてくれたのです。『(前職で)中小企業と向き合ってきた私だからこそできる仕事がある』と見方が変わると、次第に結果がついてきました」

——今後やりたいことや目標を教えてください。

「自分だから出せる価値を高めていきたいです。産休・育休は、通常の業務ではできない経験です。私が子育てをしながら働き続けることで、まわりに何らかのよい影響が与えられればいいなと思っています。たとえば、後輩の未婚の女性社員に、キャリアの積み方のひとつとして参考になるのではないか、と考えています。後輩から「私も将来、古橋さんみたいにママになっても楽しく働きたい」と言ってもらえるとうれしいです。家族や仕事、何かを犠牲にすることはなく、家族で明るく暮らし、夫婦ともに一生懸命働き、たまには自宅で勉強し、自己研鑽する。そうして前向きにがんばる親の背中を、子供たちに見せていきたいですね」

(取材・文:内田知子)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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