出産・産後 出産・産後
2020年11月30日 16:50 更新

豊かな水と緑を生かした子育て環境を整える「江東区」の子育て政策

江戸の下町情緒が残る地域と、最新イベントが開催される「東京ビッグサイト」やスイマーの聖地「東京辰巳国際水泳場」などの開発が進められている地域。異なる表情を持つエリアが共存する江東区は、共働き世帯にとって住みやすい街と言われています。今回は江東区の子育て支援について、詳しくお伝えしていきます。

江東区ってこんなところ

辰巳国際水泳場

江東区は23区の東南端に位置し、面積は40.16平方キロメートルです。南側は東京湾に面し、墨田川と荒川に囲まれる水と緑にあふれる街です。江戸の文化や下町の雰囲気が今も面影を残すエリアだけでなく、豊洲や青海などの都市整備が進められている湾岸エリアもあります。区内にはJR、東京メトロ、都営地下鉄のほか、東京臨海高速鉄道りんかい線、ゆりかもめ、東武鉄道などさまざまな路線が乗り入れており、東京、新宿、渋谷、池袋といったターミナル駅へのアクセスもスムーズで通勤に便利です。なお、近年の江東区は児童人口が増え続けており、待機児童の解消や子育て・教育環境の整備に力を入れています。育児に適した落ち着いた環境と利便性を兼ね備え、支援体制が手厚いことも人気の秘密かもしれませんね。

江東図書館

江東図書館は、区内でトップクラスの蔵書数を誇る、区立図書館の中央館です。大人用のスペースと少し離れた場所に「こどもしつ」、「おはなしのへや」、授乳室のある「赤ちゃんコーナー」などがあり、子連れで利用しやすい環境が整っています。また、毎週のように開催される「おはなし会」は、子どもたちから人気のイベント。赤ちゃん向け、幼児・小学生向けと分かれているので、年齢に応じた楽しみかたができます。なお、江東区内の多くの図書館は「自動貸し出し機・自動返却機」が導入されているのがポイント。画面に従って操作するだけで簡単に貸し出し処理ができたり、ポストのように1冊ずつ本を入れて返却できたりするのが手軽でうれしいですね。
※コロナウイルス感染拡大防止のため、現在は利用できないサービスがあります

夢の島熱帯植物館

夢の島公園内にある「夢の島熱帯植物館」は、半円のガラス張りドームが3つ連なる形が印象的な建物です。1年を通じて熱帯雨林の環境を整えたドーム型の植物館では、亜帯と亜熱帯(小笠原諸島を含む)の数多くの植物が生育されています。温室の暖房に必要なエネルギーを賄っているのは、隣接する「新江東清掃工場」のゴミの熱焼却で作られた高温水。園内では、熱帯植物が生み出すエキゾチックな風景を楽しみ、映像ホールやイベントホールで熱帯の植物について学べます。ほかにも、「東京都水の科学館」や「日本科学未来館」「ガスの科学館」「防災体験学習施設 そなエリア東京」など、江東区にはさまざまな学習施設があるので、子どもたちの好奇心を満たしてくれそうです。

若洲海浜公園

江東区内には、児童遊園や区立公園だけでなく、国営公園、都立公園、海上公園など、さまざまな公園が存在しています。海や河川が近いことから、水上アスレチックやじゃぶじゃぶ池などの水と親しむことができる公園も充実しているのが特徴です。
大型遊具が多くあり、釣りやバーベキューができる「若洲海浜公園・若洲公園」、パターゴルフやフリーテニスなどレクリエーション性に富む8種目のニュースポーツを楽しめる「辰巳の森海浜公園」、貸しボートに乗れる「横十間川親水公園」など、子どもたちが体を使って一日遊べる公園がいっぱいあります。休日に、家族や友達とバーベキューをして過ごすのもいいですね。

江東区内には、学習施設や自然豊かな遊び場がたくさんあります。しっかり体を使って一日遊べる場所だけでなく、最新の学習施設や図書館が充実しているのもうれしいポイントではないでしょうか。人気の秘密は、落ち着いて子どもを育てるのに理想的な環境が整っていることかもしれませんね。

江東区で子育て中の働くママに聞いてみました

◎M.Kさん(35歳)小1、3歳のママ
城東公園は、小さな信号機や横断歩道が設置されている交通公園です。夏はじゃぶじゃぶ池、それ以外の期間は子ども用の無料自転車貸し出しがあるのでよく遊びに行っています。また、国の制度で幼児教育・保育の無償化が実施されたことに加え、区独自の制度で3歳児以上の児童の給食費も無償となりました。本当にありがたいです。

◎Y.Iさん(42歳)5歳、3歳のママ
子育て世帯が増えていることで予算も割かれ、ファミリーサポート事業や保健所での各種健診、家庭支援センターでの子育て相談、子育てポータルサイトなど、子育て事業に力を入れている印象があり概ね満足しています。待機児童はゼロではありませんが、毎年保育園が積極的に建設されているので着実に減っている様子。また、児童館や子ども家庭支援センター等の子育て施設が充実しています。

江東区の魅力を徹底調査!

区独自の補助金などで、待機児童対策に力を入れている

江東区には29ヶ所の区立保育園のほかに、公設民営認可園、私立認可園、小規模認可園、認定こども園、認証保育所、認可外保育施設など、さまざまな保育施設があります。区立保育園はすべて「区立保育園統一保育理念」に基づき保育を実施しているため、どの園でも同じ理念の保育を受けることが可能です。なお、保育園の環境整備や私立認可保育園の誘致、待機児童向けの保育ルームや居宅訪問型保育の活用、認可外保育園利用者にも区独自の補助金を出すなど、待機児童対策に力を入れています。結果、平成29年4月に322人いた待機児童が、入所希望者数が増えているにもかかわらず令和2年4月に14人まで減少しています。さまざまな対策を並行して行うことで、着実に成果が表れているのではないでしょうか。

恵まれた環境で、子どもからお年寄りまでスポーツを楽しめる

江東区は区のスポーツ施設が充実しており、子どもからお年寄りまで誰もが気軽に楽しむことができる「恵まれたスポーツ環境」が整っています。サッカーや野球、テニス、ランニング、フットサル、ボルダリング、パターゴルフなどの施設はもちろんのこと、水に恵まれた区という立地を生かしてカヌーやカヤック、水上アスレチックなども楽しむことができます。

また、江東区は「特色ある部活動」が行われていることで有名です。たとえば、セーリング部やカヌー部、女子サッカー部のような競技人口が少ないスポーツを希望する小中学生を区内の拠点校や活動場所に集め、学区の垣根を越えて部として活動しています。大会やオリンピック出場を目指して日々練習しているとのこと。子どもたちが自分の好きなスポーツに思い切り取り組むことができるよう、区が部活動をサポートしているのがすばらしいですね。

子どもたちの居場所づくりに力を入れる「江東区」の子育て支援

(1)ゆりかご面接

区内在住のすべての妊婦を対象に、専門職員が面接を行っています。出産や産後のこと、家族の健康、子育てに関する不安や心配事について相談ができます。なお、ゆりかご面接終了後に、その場でこども商品券1万円分が贈呈されます。スーパーや専門店などで、おもちゃや洋服、文具などに使えるほか、タクシーの支払いにも使うことが可能です。
※令和2年4月1日からプレゼントが変更

●ゆりかご面接
https://www.city.koto.lg.jp/260501/kodomo/ninshinshussan/ninshin/97550.html

(2)産後ケア事業

江東区では、産後の体調不良や育児不安のあるお母さんを対象に、産後ケア事業が行われています。
「宿泊型産後ケア」は、初産にもかかわらず家族から支援が受けられない産後2カ月未満のお母さんと赤ちゃんが最大3泊4日まで利用可能。「日帰り型産後ケア」は、産後4カ月未満のお母さんと赤ちゃんが対象です。助産師等から母子ケアや授乳・育児の指導を受けながら、ゆっくり過ごすことができます。「乳房ケア」は訪問型と外来型があり、4カ月未満のお母さんが対象です。自宅または助産院などで、乳房ケアや授乳指導を受けることができます。
※いずれも有料で、利用可能回数が決まっています

●産後ケア事業
https://www.city.koto.lg.jp/260501/kodomo/ninshinshussan/kenko/documents/20200331151120.pdf

(3)子ども医療費助成

中学校卒業前(15歳到達後最初の3月31日)までの子どもが、通院・入院した際の医療費のうち保険診療自己負担分を助成してくれます。入院時の食事代(入院時食事療養標準負担額)や、健康保険が適用されない医療費(健康診断・予防接種・薬の容器代・差額ベッド代等)は対象外です。
※所得制限はありません。

●子ども医療費助成
https://www.city.koto.lg.jp/281011/kodomo/kosodate/teate/5844.html

(4)KOTOハッピー子育てトレーニング講座(はぴトレ)

江東区では、どなったり、叩いたりせず、子どもに向き合い伝えるしつけの方法を学ぶ「KOTOハッピー子育てトレーニング講座(愛称:はぴトレ)」を開催しています。ロールプレイを中心とした実践的な内容となっており、全7回でゆっくりと時間をかけて学ぶ「連続編」と、概要だけを学ぶ「入門編」の2種類があります。講座は無料なうえに、受講中の託児もついているのがうれしいですね。

●KOTOハッピー子育てトレーニング講座(はぴトレ)
https://www.city.koto.lg.jp/281012/hapitore/jyousetu.html

(5)認可外保育施設等を利用されている方への補助金

令和元10月から始まった「幼児教育・保育の無償化」の対象は、保育の必要性がある「3~5歳児クラス」と「住民税非課税世帯に属する0~2歳児クラス」です。しかし、江東区では無償化対象外となってしまう認可外保育施設等を利用している「住民税課税世帯に属する0~2歳児クラス」についても区独自で補助を実施しています。
※「保育の必要性」の認定を受ける必要があります

●認可外保育施設等を利用されている方への補助金
https://www.city.koto.lg.jp/280307/r2hutankeigen.html

(6)保育園の給食費無償化

国の「幼児教育・保育の無償化」の制度では、これまで保育料に含まれていた3歳児クラス以上の給食費のうち副食費(おかず代)は原則として保護者の負担となっています。しかし、江東区では3歳児クラス以上の副食費に対し、区独自の補助を行うことで従来通り保護者徴収なしとしています。

●保育園等における給食費の取扱いについて
https://www.city.koto.lg.jp/280308/hoikumusyouka.html

(7)病児・病後児保育

病気、または病気の回復期などで普段通っている保育施設での集団保育が難しい未就学の乳幼児を、病児・病後児対応型施設、または病後児対応型施設で一時的に預かってくれます。現在は5施設で実施しており、事前に利用登録を済ませておけば前日予約で使うことが可能です。
※一時保育は対象外です

●病児・病後児保育
https://www.city.koto.lg.jp/280307/kodomo/kosodate/service/20788.html

(8)江東きっずクラブ

放課後や夏休みなどに、子どもたちが安心して過ごすことができる居場所を提供する事業です。1~6年生までの全児童を対象として自主的な学びや遊びの場を提供する「A登録」と、保護者が就労等で保育できない世帯の1~3年生を対象とした「B登録」「土曜江東きっずクラブ」があります。

●江東きっずクラブ
https://www.city.koto.lg.jp/583211/kodomo/hokago/gakudo/52316.html

(9)ウィークエンドスクール・こうとう

各小学校で地域の人的資源等を活用し、在校生を対象に学習・スポーツ・文化・芸術・ボランティアなどの活動や体験学習を実施しています。週末の活動を充実させることで、子どもたちの自主性、社会性、創造性が養われます。学校ごとにさまざまな教室が開催されているので、楽しい時間が過ごせそうですね。

●ウィークエンドスクール・こうとう
https://www.city.koto.lg.jp/583210/kodomo/hokago/6306.html

(10)児童館の充実

区内には18の児童館があり、小学生はもちろん中学生や高校生の居場所としても利用されています。17時ごろを目安に、中高生が優先利用できるようになります。施設によって卓球、バスケット、フットサル、ピアノ、ドラム、ギター、ビリヤード、ダーツ、などの遊具や、Wii-U、Nintendo Switchなどのゲーム機、学習スペースなどがあるので、友だちと一緒に放課後を過ごす場所として最適です。
※現在はコロナ感染拡大予防のため予約制となっています

●児童館
https://www.city.koto.lg.jp/kodomo/hokago/jidokan/index.html

まとめ

江東区は待機児童対策に力を入れているだけでなく、就学後の子どもたちの居場所づくりも盛んです。江東きっずクラブ、ウィークエンドスクール・こうとうなどのように、放課後や休日に安心して過ごせる場所があることは共働き世帯にとって非常にありがたいことだと思います。また、公園やスポーツ施設、学習施設などが豊富なのも、子育てをする上で理想的と言えるでしょう。家族で楽しい時間を過ごせそうな環境が、江東区の人気のポイントかもしれませんね。
(文:安部美和)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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