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2020年12月01日 07:00 更新

保育ママやボランティア、地域の力で支える「江戸川区」の子育て支援政策

江戸川区といえば、夜空に14,000発もの花火を打ち上げる「江戸川区花火大会」が有名です。大きな川、公園や街路樹の充実から、水と緑が豊かな街ととらえる方もいるでしょう。そんな江戸川区では独自の子育て支援が行われており、共働き世帯から住みたい街として人気があるそうです。今回は、江戸川区の子育て支援について調べてみました。

江戸川区ってこんなところ

葛西臨海水族園

江戸川区は東京都の最東端に位置し、面積は49.09平方キロメートルと23区内では4番目の広さです。東に江戸川・旧江戸川、西に荒川が流れ、南は東京湾に面している水辺に囲まれた都市です。区内はJRのほか、東京メトロ東西線、都営地下鉄新宿線、京成電鉄が利用できます。
江戸川区は河川の水質汚濁や大気汚染などの都市環境悪化を改善すべく、日本で初めて「親水」という考え方に基づき整備した「古川親水公園」を作りました。その後も公園や街路樹などの緑の充実を図り、より豊かな水と緑があふれる街づくりを進めている区です。現在は公園総面積が23区内で一位となっており、子育てするのに最適な環境が作られています。

江戸川区自然動物園

江戸川区自然動物園は、行船公園内にある入園無料の施設です。園内にはレッサーパンダやワラビー、プレーリードッグ、オオアリクイなどの約60種680匹もの動物たちがいます。ヤギ、ウサギなどの動物と自由に触れ合うことができる「ふれあいコーナー」は、子どもたちでにぎわう人気スポット。

また、江戸川区内には馬と触れ合うことができるポニーランドが2カ所あります。江戸川の河川敷にある「篠崎ポニーランド」は乗馬と馬車の乗車が、南葛西のなぎさ公園内にある「なぎさポニーランド」は乗馬ができる施設です。どちらも無料で気軽に遊びに行くことができるので、週末になると親子連れでにぎわっています。

子ども未来館

「子ども未来館」は、子どものための公共施設です。1階には4万冊もの蔵書がある子どものための図書館「子どもライブラリー(篠崎子ども図書館)」が、2階には身の回りの不思議を調べる学びや探究活動を行う小学生対象の「子どもアカデミー」があります。子どもアカデミーでは、単発のプログラムをはじめ、半年から1年かけて工作・実験・生物・天文学といったテーマで行われる「ゼミ」と呼ばれる連続講座が開催されています。実験やフィールドワークなどの実体験から子どもたちが知的好奇心や探求心を育み、豊かな感性と自分で考える力を身につけることができそうですね。

東部交通公園

江戸川区内の公園数は488カ所、区民1人当たりの公園面積が23区内で一番広いといわれている緑豊かな地域です。スポーツや水遊び、自然観察、バーベキューなど、魅力にあふれる公園が多数あります。自転車や足踏みゴーカートで遊びながら交通ルールを覚える「東部交通公園」、船をイメージしたアスレチック遊具やバーベキュー広場がある「都立大島小松川公園」、デイキャンプ場のある「新左近川親水公園」など、家族で一日楽しむことができる公園ばかりです。なかでも観覧車や水族館がある「葛西臨海公園」はとても広い芝生のエリアがあり、週末になると区外からもたくさんの人が訪れる人気スポットとなっています。

江戸川区は水辺の街ということもあり、豊かな自然に恵まれています。親水公園のように子どもたちが遊びやすい場所、街づくりが行われていることや区内の緑の多さは、子どもだけでなく大人にとっても住みやすい快適な環境と言えるでしょう。都心部から離れていることもあり、落ち着いて子育てができそうですね。

江戸川区で子育て中の働くママに聞いてみました

◎M.Kさん(39歳)年長と2歳のママ
「保育ママ」という制度があり、家族に代わって子どもを家庭的な環境で預かってくれます。また、ポニーランドが葛西と篠崎にあります。無料で乗馬できたり、動物と触れ合えたりすることは、子どもたちにとって貴重な体験です。お祭りなどのイベントでも出張乗馬をしています。

◎M.Iさん(38歳)小3、小4のママ
各年齢に応じた子ども向けの支援が充実しています。乳幼児から中・高生まで利用できる共育プラザはもちろん、各スポーツ施設では器械体操やチアダンス、トランポリンなど子ども向けの教室が豊富。また、小学校に併設されたすくすくスクールは、学童登録だけでなく、年間500円(任意加入保険)ですべての児童が利用できるので助かっています。

江戸川区の魅力を徹底調査!

保育施設整備や保育ママ制度で待機児童減少へ

江戸川区の待機児童数は、平成30年度に440名いましたが、令和2年度になり203名となりました。就学前人口や申込者数がこの数年安定していることを考えると、区の対策により待機児童数が着実に減っていると言えるでしょう。認可保育所、0~2歳児を対象とした小規模保育所、事業所内保育所などの整備を続けると同時に、区独自の補助制度で私立幼稚園での長時間預かり保育を推進しています。

また、昭和44年から続く江戸川区独自の取り組みに「保育ママ」という制度があります。乳幼児期はできるだけ家庭的な雰囲気の元で育てるのがよいという考え方から、区立保育園では0歳児保育の募集が行われていません。その代わりに生後9週から1歳未満の赤ちゃんを預かってくれるのが各地域で活躍する約150名の保育ママ。少人数、かつ家庭に近いアットホームな雰囲気のなかで保育をしてもらうことができます。

地域全体で子どもの育ちを支える仕組みづくり

江戸川区では地域に根差した区民活動等による「気づき」や、共育・協働による「地域ぐるみ」の支えあいにより、子どもたちの健やかな成長を見守っています。

・地域ボランティアが要支援家庭へ行き食事を手作りする「おうち食堂」
・家庭にお弁当を届ける子ども配食サービス「KODOMOごはん便」
・始業前の学校で地域ボランティアと朝ごはんを作って食べる「子ども朝ごはん食堂」
・支援が必要な子どもや家庭に対し地域の人々が関わりを持つ「おとなりさんボランティア」
・子どもたちのために役に立ちたいという想いを持った地域の方々が活動する「学校応援団」
・町ぐるみで花を育てながら屋外での手入れを通じて「ながら見守り」する「花いっぱい運動」

など、どの活動も区民のボランティアや江戸川区ならではの地域資源を活用した、子どもと子育て家庭を見守る仕組みです。

中高生になっても地域で成長をサポートする 江戸川区の子育て支援

(1)ぴよママ相談

妊娠や出産に対する不安や悩みを軽減したうえで、安心して赤ちゃんを迎えてもらうため、保健師等の専門職員が妊婦全員を対象に「ぴよママ相談」を行っています。出産までに「ぴよママ相談」を受けた方は「ぴよママギフト(こども夢商品券)」を受け取ることができます。

●妊婦全数面接事業(ぴよママ相談)
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e052/kosodate/ninshin/kosodateouennjigyou.html

(2)子育て支援アプリ「ぴよナビ えどがわ」

「ぴよナビ えどがわ」は、妊婦の健康状態や体重記録、お子さんの成長の記録や写真の保管、複雑な予防接種のスケジュール管理などができる江戸川区の子育て支援アプリです。すべての記録を家族みんなで共有できる機能があるのもいいですね。

●子育て支援アプリ「ぴよナビ えどがわ」
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e052/kosodate/ninshin/piyonabi.html

(3)産後ケア(通所型)事業

「育児や家事を手伝ってくれる人がいない」「お産と育児の疲れから、体調がよくない」「赤ちゃんのお世話の仕方がわからない」など、不安や困りごとを抱えている産後4カ月未満のお母さんが利用できる産後ケア事業です。体を休めながら、助産師から授乳指導や育児相談が受けられます。

●産後ケア(通所型)事業
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e052/kosodate/ninshin/sangokea/tuusyo.html

(4)よちよち応援隊

0歳児を養育する家庭の負担を減らすための、無料家事支援サービス事業です。食事の支度や買い物、清掃などの「家事支援」と、沐浴補助や兄弟児の世話、健診の付き添い等の「育児支援」などをヘルパーに依頼することができます。満1歳までの間に、1回2時間以上、合計利用上限14時間まで依頼することが可能です。
※子どもの預かりやベビーシッター等は事業対象外

●0歳児家庭サポート事業「よちよち応援隊」
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e049/kosodate/kosodate/yochiyochiouentai.html

(5)乳児養育手当(ゼロ歳児)

赤ちゃんにとって一番大切な時期にお母さんが育児に専念できるよう、江戸川区独自の経済支援「乳児養育手当(ゼロ歳児)」を行っています。江戸川区に在住の0歳児を養育している世帯に対し、毎月13,000円が支給されます。
※所得制限あり

●乳児養育手当(ゼロ歳児)https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e049/kosodate/kosodate/teateshien/youiku.html

(6)病児・病後児保育

江戸川区内には、病気の回復期にあり集団生活が困難な子どもを預かってくれる病児保育施設が5カ所あります。生後6カ月から小学3年生までと、対象年齢が広いのがうれしいポイントです。前日までに電話で予約するだけで利用ができるので、急な体調不良にも対応ができます。(空きがあれば当日予約も可)

●病児・病後児保育
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e047/kosodate/kosodate/hoiku/ichiji/byogo.html

(7)すくすくスクール

すくすくスクールは、70あるすべての区立小学校で行われています。小学校の放課後や学校休業日に、校庭・体育館などの施設を利用して児童がのびのびと自由な活動ができるサポートをする事業です。学年や人数に関係なく誰でも無料で参加できる「すくすく登録」と、保護者が就業などにより放課後等に養育できない家庭向けの「学童クラブ登録」があります。学童利用の子もそうでない子も一緒に活動ができるため、幅広い交友関係を作ることができるのが魅力です。

●すくすくスクール
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/kosodate/kyoiku/kyouiku/sukusuku/index.html

(8)子ども食堂

区内には、地域ボランティアの方が開いている子ども食堂が多数あります。各々が単独で活動するだけでなく「えどがわっ子食堂ネットワーク」として互いに協力・連携を行っているのが江戸川区の特徴です。子ども食堂は、食を通じて子どもたちが多くの人とつながることができる場所として活躍しています。

●食の支援(子ども食堂・食事支援事業)
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e049/kosodate/kosodate/kosodateshienjigyo/syokunosien.html

(9)青少年健全育成

江戸川区では、子どもたちの健全な育成のためにさまざまな活動を行っています。たとえば「江戸川区少年少女オーケストラ」は小学生から大学生までが、そして「江戸川区少年少女合唱団」は小学校3年生から高校2年生までが一緒に活動している団体です。毎年定期演奏会を開催しているほか、各種イベントにも参加しています。これらの事業を通じて子どもたちの居場所を作り、健全な育成の手助けをしています。

●青少年健全育成
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/kosodate/kenzenikusei/index.html

(10)共育プラザ

区内に7カ所ある共育プラザは、中高生の活動支援・子育て支援・世代間交流支援を行う施設です。2名以上の中高生グループに、スタジオ、ダンスルーム、多目的室、会議室などの部屋を無料で貸し出してくれます。放課後の活動場所としてはもちろん、各共育プラザが独自に行っている英語活動、防災事業、食育などの幅広い活動で子どもたちの成長を助けてくれます。

●共育プラザ
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/kyoiku_plaza/

まとめ

江戸川区は独自の補助金や保育制度など支援が充実している、子育て世帯から人気のあるエリアです。また、助成金などの区としての政策だけでなく、さまざまなボランティア活動、保育ママやよちよち応援隊など、地域力を上手に活かした子育て支援を行っているのがいいですよね。地域全体で子育てに取り組む姿勢は、日中に子どもと過ごすことが難しい共働き世帯にとってありがたいのではないでしょうか。子どもたちが豊かな自然のなかで自由にのびのびと過ごすことができ、安心して遊んだり学んだりできる場所があることは一番うれしいポイントかもしれませんね。
(文:安部美和)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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