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2021年04月12日 11:41 更新

七夕(たなばた)とは? 由来と物語、笹飾りの作り方と短冊の書き方

7月7日は七夕の日です。七夕は、中国の昔話、織姫と彦星の悲しいラブストーリーがもとになったおまつりで、五節供のひとつ。「星まつり」とも呼ばれます。短冊に願いを書いて笹に飾る笹飾りは有名ですね。この記事では、七夕の由来と楽しみ方をご紹介します。かわいい笹飾りを作って、お家で七夕の節句を楽しんでみましょう。

七夕の由来

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七夕は、毎年7月7日に行われる日本の伝統行事です。笹の葉に願い事を書いた短冊を吊るし、織姫と彦星が年に一度だけの逢瀬を楽しむ天の川を眺める風流な催しですね。「七夕は日本古来の伝統行事」と思われがちですが、実はルーツは中国と日本の両国に由来しています。

日本と中国の行事が融合して生まれた七夕の節供

いまでは「七夕」と書いて「たなばた」と読みますが、昔の日本では「棚機」と書いていました。棚機は、農村部でおこなわれていた年中行事です。稲の花が咲く時期にあわせて、村の若い女性が機織り機(はたおりき)で布を織り、神様にお供えして豊作を願います。このとき使った機織り機の呼び名「棚機」です。水辺の上に棚を作って機械を置き、女性たちは小屋にこもって布を織っていました。

一方、中国には「乞巧奠(きこうでん)」と呼ばれる年中行事がありました。乞巧奠は、機織りや裁縫の上達を願う催しです。もともと織姫と彦星のお話は、古代中国が発祥。乞巧奠は、機織りの上手な織姫にあやかってできた行事なのです。

乞巧奠が遣唐使によって日本に伝わると、日本の棚機と結びつき、宮中の行事に発展しました。7月7日の夕方におこなわれていたので「七夕(しちせき)」と呼ばれていたものが、「たなばた」という読み方に変化しています。

七夕行事の移り変わり

七夕の行事は、棚機や乞巧奠だった時代から現代まで、少しずつ変化しています。日本と中国の文化が融合して根付いたあとも、独自の進化を遂げて私たちの生活に溶け込んできました。

平安時代から現代まで

乞巧奠(きこうでん)が日本に伝わったのは、奈良時代だと言われています。遣唐使によってもたらされた新しい文化は、日本の棚機と結びつき、平安時代には宮中行事として開催されるようになりました。貴族たちは、神様に山の幸、海の幸をささげ、織姫と彦星の再会と裁縫や詩歌など芸事の上達を星に願いました。風雅なことが大好きだった、平安貴族らしい催しです。祭壇の両脇には笹がたてられ、美しい五色の糸が飾られました。また、貴族たちは梶の葉に自作の和歌をしたためて祭壇にささげたそうです。葉っぱに文字を書くのは難しそうですが、梶の葉は神聖なものとされ、昔から行事に使われていたものなので、あえて葉に書いたのですね。

こうした宮中行事は、室町時代から徐々に民間に知られるようになりました。その後、平和な江戸時代が到来し、民間行事として親しまれるようになります。織姫と彦星のロマンチックな恋愛物語が浸透し、市井の人々は笹飾りを作って飾りました。

里芋の葉にたまった朝露で墨をすり、五色の短冊に願い事を書きます。短冊の五色は、宮中で飾られた糸のかわりであり、中国の五行思想に由来しています。この世の万物は、木・火・土・金・水の5元素から成るという考え方です。この思想は日本の陰陽道とも結びついて平安時代に発展しましたので、日本人にも受け入れやすかったのではないでしょうか。色になおすと、青もしくは緑、赤、黄、白、黒の代わりに紫の五色が使われます。

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願い事は、織姫にあやかって裁縫の上達、宮中行事の名残で芸事の上達、読み書きを習う子どもたちが増えたことから、習字の上達でした。短冊が飾られた笹を持って子どもたちが町を練り歩いたという文献も残されています。最後は、笹ごと川へ流して穢れを祓っていたようです。これは、もともと棚機が穢れ(けがれ)を祓う行事であったことに関係があるかもしれませんね。

現代では、家庭で笹飾りを飾ったり、幼稚園や保育園で行事をおこなったり、織姫と彦星のお話しを聞きながら、子どもと一緒に楽しまれています。七夕の時期になるとよく流れる「笹の葉さらさら」ではじまる「たなばたさま」という唱歌は、昭和になって作られたものです。また、仙台の七夕まつりや、湘南ひらつか七夕まつりなど、全国的にも有名な七夕まつりもたくさんあり、観光客に楽しまれています。

笹飾りの意味

笹には、短冊以外にも紙で作った笹飾りを飾ります。よく見かける形にはそれぞれ意味があります。短冊には、お願い事を書きますが、内容はよく考えて書くといいですよ。

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短冊には芸事の上達を願おう

七夕のお願いが、クリスマスのお願いと混ざってしまっている子はいませんか? 七夕の由来を考えると、なにかが欲しいというお願いより、自分も努力して叶えるようなお願いがいいですね。織姫と彦星も、怠惰の結果として引き離され、その後、誠実に努力することで再会を許されています。やはり、江戸時代の人々が書いた、裁縫・芸事・習字・習い事の上達のお願いがよいのではないでしょうか。子どもと一緒に物語を楽しみながら、考えてみてくださいね。

短冊だけではなく、飾りにもお願いの意味が込められています。どんなお願いをしたいか、相談しながら作ってみましょう。

吹き流し……仙台の七夕まつりでは、商店街のアーケードに巨大な吹き流しが飾られていますね。まるい紙の風船や、張り子に五色のテープを並べて貼り付けたものです。ちょっとくらげに似た形をしています。織姫の織物の糸を表し、裁縫の上達を願います。

網飾り……一枚の紙に網状に切り込みを入れて作ります。漁網を表しており、大漁祈願です。

くずかご……網飾りと同様に、一枚の紙に切り込みを入れて袋状になるように飾ります。裁縫のときに出る糸くずなどを捨てるかごなので、整理整頓できるように、という意味があります。

ほかにも、折り紙で提灯を作って飾ったり、三角形の紙を繋げて長い飾りにしたり、笹を美しく飾るものもあります。

かわいい笹飾りの作り方

はさみとのり、折り紙で簡単にできる笹飾りを作ってみましょう。笹に飾るときは、こよりを使うのがおすすめです。こよりは、習字用の半紙を細く切り、指でねじりながら丸めていくと簡単にできますよ。

折紙でつくる笹飾り

【吹き流し】

折り紙を筒状に丸めてのりで貼り、口の部分だけ残してハサミで切り込みをいれます。切ってから筒状にしても作りやすいです。口の部分に、金色や銀色の折り紙を貼り付けると、キラキラと光ってきれいです。

【網飾り】

折り紙を三角に折り、さらに半分の三角に折ります。そのあと、さらに半分の三角に折ります。側面から、5ミリ程度の間隔で、互い違いにはさみで切り込みを入れます。切り離してしまわないよう、5ミリほど残して切り込みを入れてください。そっと開いて中心を持ち、四つの角を縦に引っ張り、形を整えます。

【くずかご】

くずかごの作り方は、網飾りと同じです。折り紙を切って広げたあと、ひっくりかえして4つの角をまとめて紐を通し、中に折り紙を切ったものを入れて、吊るして飾ります。

まとめ

日本の七夕は、毎年7月7日です。天気がよければ、天の川を眺めて過ごすのもよいでしょう。子どもには、事前に織姫と彦星のお話を読んであげると、行事をより楽しめます。七夕メニューや七夕飾りを作って、裁縫やお習字、習い事の上達を願って星に想いをはせてみてはいかがでしょうか。星の形の金平糖をおやつにしても楽しいですね。

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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