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2017年09月03日 22:04 更新

ママ、聞いて! すぐに話しかける発達障害の子供に「待つ」を覚えさせる方法

高機能自閉症児の母で、大学にて障害児教育を学んだほんださんが実際の体験を踏まえた子供との接し方についてを教えていただきました。

私は、わが子の障害が分かってから特別支援教育を学び、しばらく特別支援学校で仕事をしていたことがあります。クラスの子供たちの障害は話し言葉のある、自閉症や知的障害の子供たちでしたが、全員に共通して見られたのは、相手の状況を判断できずに話しかけてくることでした。

昼休みは唯一座ることができ、保護者への連絡帳を書く時間でしたが、その時間にも子供たちは私の周りを取り囲み、昨日の出来事や聞いて欲しいことを伝えてきます。話をすることが、彼らの言葉の発達につながると思い、駆け出しのころは、全員の話を交通整理なしに「そうか、そうなのね」と聞くようにしていました。

現在はLDやADHDなどの軽度発達障害もしくは、グレーゾーンと思われる子供に関わる仕事をしていますが、誰もが口々にとりとめもない話を唐突にはじめるところは支援学校の子供たちと同じです。

話を聞くことは苦になりませんが、子供たちに「待つ」ということを覚えてもらうにはどうしたら良いのかというのが長い間の悩みでした。

なぜ、突然話し出すの? それは……。 息子の言葉から得られたヒント

Lazy dummy

中学生の息子は高機能自閉症なのですが、以前は、私と夫が大事な話をしている間にも、話を遮って自分の話をしてくることがありました。一般的な発達をしている人なら、人の会話の内容を理解して、話題に沿う形で会話に合流することができると思いますが、言葉の遅れのある息子には難しいです。

一度、息子に「お父さんとお母さんは、いま話し中だよね。どうして途中で遮るの?」と聞いたことがあります。すると息子は「今、話しかけないと、考えていることを忘れてしまうんだよ!」と言ったのです。

そういえば、以前、息子は「ワーキングメモリ」という、脳に備わっている「記憶のお皿の面積」が狭く、考えたことをしばらくとどめておくことが難しいという専門家の指摘を受けたことがありました。発達に課題のある人はこの領域が狭いと言われています。

息子にはその場の状況や会話の内容を判断することは難しいと考え、人が話しているときにも緊急で伝えたいことがあるときは、「お話し中すみませんが、ちょっとよろしいでしょうか。」と聞くことをルールとしました。それからは必ず、私達にも「今いいかな……」と断って話しかけるようになりました。

イラストを使うと、子供の視線が一斉に集まる

息子には、一言断りを入れて会話を中断することを覚えさせましたが、マナーを覚えるには少し時間のかかる子供もいます。でも、比較的多くの子供に有効だったのは、イラストを描くことでした。複数の子が一斉に話し出したら、順番に、あるいは、優先順位の高そうな話題の子の話を聞いて、状況をイラストにします。「昨日はこんなことがあったんだねー」などと絵を見せながら言います。

決して絵心は必要なく、白丸に、目のテンを入れただけのシンプルな「顔」で良いです。100円均一ショップにあるホワイトボードが便利です。周囲から飛び交っていた声が急に静かになり、私の手元に視線が集まります。ふふふ・・・と笑い声が聞かれることもあります。文字が理解できる子には、顔のイラストに吹き出しをつけて、言葉をいれてもいいです。

話しかけた子供は、自分が発した言葉がイラストになって整理されますし、周囲の子供たちも、友達の話を理解したり、会話に参加したりして、自分の話ばかりすることは少なくなりました。

Lazy dummy

それでも基本は「話を聞く」ことが大切

全員の話を一度に聞くことは大変難しいですが、たとえ短い時間でも、一日の中で子供と向き合って話をすることが大事だと思います。誰もが「共感してほしい」という気持ちは同じように持っています。

自己肯定感を失いがちな子供たちです。聞いたことを否定せず、「うんうん、~だったんだね。」と繰り返し、「それで・・・」と会話を進めたり「~ということなのかな?」とまとめてみたりして、子供が言いたいことを引き出すことが、安心して話をすることにつながります。

ときには、待ったなしで大事な話をしなくてはならないことがあります。でも、お互いに本音で真正面から向き合って話をすると、感情的になりがちですね。こういうときにイラストを使った会話をすると、視線が手元になるので、冷静に話の内容を整理できます。
「困っていることや、ハプニングの内容」、「そのときの気持ち」、「アドバイス」を順番に描いていくと、本人も、聞いている側も内容を振り返ることができます。しっかりと話を聞いてもらった満足感ができるので、イラスト会話をひとつの手法として取り入れてみるのもいいかもしれません。

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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