セックスレスとは？ その意味と深刻度がわかるチェックリスト！ 予防法や対策も

夫にセックスを拒まれる。そういう雰囲気を出しても、無視される。

どうやってセックスに持ちこめばいいかわからない。

セックスレスであることに人知れず悩んで、ほかの誰にも相談できずに、「実はセックスレスなんです」と相談にこられる方が大勢います。既婚女性にとって、セックスレスに悩むのは、少しもおかしなことではありません。

また、セックスレスであることにそれほど悩んでいなかった人でも、何かのはずみで「もう一生セックスできない」と思った瞬間、耐えがたい気持ちになることも珍しくありません。

「セックスについて考えるなんて、恥ずかしい」。そう感じて、見て見ぬふりをしてしまいがちなテーマですが、すべての夫婦にとって、「セックスレス」は、真剣に向き合うべき問題だと考えています。

そもそも、日本人はセックスの回数が少なすぎる、というデータがあります。

2005年、イギリスの大手コンドームメーカーDurex社が行った世界最大規模の性意識・実態調査「グローバル セックス サーベイ」。日本は、調査対象である世界26か国のうち、セックス回数が最低レベルという衝撃の結果になり、大きな話題となりました。以後も、この「日本人のセックス回数は世界と比べてかなり少ない」という傾向は続いています。

日本はいわば、「セックスレス大国」。では、そもそも、「セックスレス」とはどういう状態なのでしょうか。

日本性科学会が1994年に定めた「セックスレス」の定義があります。

「特別な事情がないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシャル・コンタクトが１ヶ月以上ないこと」

ここでの「セクシャル・コンタクト」には、キス、ペッティング、裸でのベッドインなども含まれています。

この、日本性科学会によるセックスレスの定義を聞いて、「えっ、１ヶ月？　短すぎない？」と感じた人もいるかもしれません。確かに、ちょっと厳しめな定義かもしれませんね。

しかし、セックスレスは、かぜと一緒で、予防が大事。スキンシップレスが１ヶ月になる段階で、意識してレスを解消する、というのは、ひとつのめやすです。

日本人の性に関する大規模調査「【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2020」[*1]でわかった驚くべき数字があります。

それは、婚姻関係にあるカップル（20歳～49歳）のセックスレス率は「51.9%」という事実。日本では、実に半数以上の夫婦がセックスレスなのです。

2016年までに日本家族計画協会が実施した「男女の生活と意識に関する調査」（対象者：16歳～49歳）と本調査結果を比較すると、近年、生活にセックスが存在しない夫婦の割合は増加の一方。日本人夫婦のセックスレスが、ますます進んでいることもわかります。

学会の定義はともかく、セックスレスになる理由が夫婦によって違うように、セックスレスの基準も人それぞれでかまわないだろうと思います。わたしの周囲でも、「３ヶ月に１回で十分」という人や「うちは半年に１回がちょうどいい」など、いろいろな声があります。

ここでポイントになるのは、「夫婦ともに、そのペースで納得をしているか？」ということです。

月に１回くらいはゆっくり夜をともに過ごしたい妻と、それすら拒否する夫がずっと一緒にいたら、はたしてどうなるでしょうか？ 想像してみてください。逆もまた、同じことなのです。

夫婦は一艘の船を協力して動かすクルーのようなものです。セックスレス夫婦は、自分たちが航海している海はずっと凪いでいると思っているのかもしれません。しかし、嵐がこない保証はどこにもありません。

これまでに、更年期を迎えた妻が「もう一度、夫と愛情の証としてセックスしたい」と思いを爆発させたり、「男として機能しないまま死ぬのはイヤだ！」と夫の性欲が復活したパターンなど、突然の嵐に翻弄されるご夫婦をたくさん見てきました。

セックスレス問題から目を背け続けるのは、「救命ボートを持たない航海」と同じです。お互いが満足するバランスが取れているうちはセックスレスぎみでもかまいません。でも、夫婦のどちらかに「もう一度、セックスしたい」という嵐がやってきたときに、夫婦できちんと対応できる備えをしておきたいものです。

救命ボートを持たない状態では不倫の危険度が上がり、やがて相手を信頼できない状態に陥るかもしれません。

確かにしばらくセックスしてないけど、本当のところ、自分たち夫婦はどれくらい深刻なの？

そんな疑問が解決する、「セックスレス深刻度チェックリスト」がこちらです。まずは、次の20項目から、自分に当てはまるものすべてを選んでみてください。

１）最近、疲れている。夜はとにかく眠りたい

２）結婚当初と比べて、脱毛やスキンケアをなまけぎみ

３）自分から相手に触れたり、スキンシップを求めたりはしない

４）そういえば、1年くらい新しい下着を買っていない

５）セックスよりオナニーのほうが楽だし、気持ちいい

６）夫とのセックスにマンネリを感じる、または飽きている

７）夫にセックスの話をしたり、誘ったりするのは恥ずかしい

８）自分が「オバサン」っぽくなったと感じる

９）夫をセックスに誘うと拒まれる、あるいは、スルーされることがある

１０）夫に触られるとうっとうしく感じる

１１）夫のことを、自分勝手だと不満に感じることが多い

１２）お互いに「ありがとう」ということがあまりない

１３）夫が留守だと、正直ほっとする

１４）夫は「友達」「家族」という感覚で、セクシャルなイメージを持ちにくい

１５）夫婦で、お互いを「パパ（お父さん）」「ママ（お母さん）」と呼び合っている

１６）日常の生活時間は子供どもを中心に動いている

１７）子どもと添い寝をしている、もしくは夫婦の寝室がない

１８）夫婦の会話は報告・連絡のような事務的な内容が多い

１９）夫婦２人だけで過ごす時間がない状態が3ヶ月以上続いている

２０）お金に余裕がなく、毎月のやりくりがギリギリ

チェックの数が16個以上・・・・セックスレスはかなり深刻。少し真剣に考えてみて！

チェックの数が11～15個・・・・セックスレスの危険「大」。そろそろ対処するのが◎

チェックの数が6～10個・・・・セックスレスの気配がしてきています。予防策の検討を！

チェックの数が０～5個・・・・・今のところ、セックスレスの心配はそれほどなさそう

さて、セックスレス深刻度のチェック結果はいかがだったでしょうか？　

セックスレスになる理由は夫婦によって千差万別。しかし、「よくあるケース」というものも存在します。代表的な６パターンを紹介していきましょう。セックスレスに陥るパターンがわかれば、おのずと必要な予防策や対処法がみえてきます。

たとえ、情熱的な恋愛で結ばれた相手だとしても、やがて恋は愛に変わります。そして、夫婦になれば、多くの人が「男女の愛」から「家族愛」に移行していくもの。

「雰囲気レス」は「家族や友だち感覚が強すぎて、相手を性的な対象として見られない」よくあるケースです。「ムードをつくったり、前戯をしたりするのが面倒くさい」という心理も含まれていて、セックスレスになる原因２大派閥の１つです。

まずは、女性らしさが感じられるファッションやふるまいを心がけること。胸の谷間を強調した服、きれいに手入れした髪、ときには恥じらうような話し方をしてみる、頼る、ほめる、さりげなくボディタッチをするなど。「そんな、ベタな！」と思うかもしれませんが、男性はベタが好きなものだと心得て。

出会ったときのときめきとまではいかなくても、夫にとってあなたは好みの女性だったからこそ、結婚したということを忘れないで。自信を持って女性性を強調しましょう。

「忙しい、疲れている」は、セックスレスの原因２大派閥のもう1つです。

夫婦共働きがスタンダードになりつつある現代ニッポンでは、男性も女性も慢性的に疲れています。次の日も仕事だと思ったら、とにかく夜はいち早く体を休めたい。休みの日も、できるだけ省エネモードで過ごしたい。

気持ちはよくわかりますが、そのサイクルを続ける限り、セックスレスまっしぐらは避けられません。

夫にとってあなたとのセックスが「極上のマッサージ」のような快感を与えてくれるものだったら、疲れていても嬉しいものではないでしょうか。

オイルマッサージなどでスキンシップしながら、エロティックな気分を高めていく方法をおすすめします。一緒にお風呂に入って、髪や体を洗ってあげるのもいいでしょう。

ただし、オイルマッサージは、タイミングが肝心です。休日のんびりしてるときとか、なんとなく退屈そうなときを狙いましょう。どうしても明日の仕事が気になってしまう平日前の夜は、避けてくださいね。

また、夫の仕事の愚痴や将来の不安をやさしく聞いてあげる「聞き上手」になって、心も一緒に癒してあげると、より効果的です。

「妊活をスタートした途端に夫婦間がギクシャクしてしまった」という相談も多くあります。

「いますぐにでも妊娠したい！」と張りきる妻に対して、「『排卵日だから早めに帰ってきてね』というメールがくるとビクッとする。精子バンク扱いか！」などと夫は萎えてしまうケース。

「どれくらいの情熱で、また、どの時期に子どもが欲しいのか？」というコンセンサスが夫婦で取れていないことが原因です。

まず、夫婦で「どこまで妊活をがんばろうと思っているのか？」という意識をすり合わせることです。不妊治療や養子などほかの可能性も視野に入れるのか、踏みこんだ話までしましょう。男性は「いつかできるよ」と女性に比べてライトに考える傾向があります。

注意するポイントとして、自分の気持ちを伝えるときは、決して怒ったり泣いたりしないでください。ヒステリックに迫ると、夫はますます引いてしまいます。また、セックスという行為にこだわらないで、愛情表現を心がけること。遠回りに思えて、じつはそれがいちばんの近道になります。

また、妊活をうまく進めるには「不妊治療は女性の方がダーメージが大きいのよ」と暗い顔で言わないことも大切。男性だって大変なんです。「俺だって頑張ってるのに、どうしてわかってくれないんだ……」と夫に思わせないようにしましょう。

セックスをしようとしても勃起が十分に続かないなど、夫に性欲はあるのにセックスレスになる夫婦もたくさんいます。相手のプライドもあるので、なかなか妻からは指摘しづらい部分があります。

いきなり「病院に行って」というセリフはNGワードです。とくに、「疲れているだけ」とEDを認めない夫の場合、プライドを大きく傷つけ、関係修復をますます難しくするので気を付けて。

ED改善には、食事、運動、睡眠、禁煙が大きな効果をあげることが多いです。これは、なかなか男性ひとりではうまくいかないことも多く、妻側が協力することで事態の改善が可能です。健康的な生活サイクルを、積極的に仕掛けていきましょう。

もうひとつ、妻にできるのは、コミュニケーションを深めて２人の関係をよりよいものにすること。家を居心地のいい状態にする、笑顔で話を聴く。そして、「抱きしめてくれるとうれしい」と、責めるのではなくお願いしてみてください。このケースでは、夫に「妻がかわいそう。愛し合いたいからEDをなんとかしよう」と思ってもらうのがベストです。

多くの女性が思っているよりも、男性はずっとセンシティブです。妻から「セックスばっかりしたがらないで！ したいなら、よそでしてきてよ」と一度いわれて、それから妻を誘えなくなったという夫もいます。

とくに、「セックスは男性が誘うもの」という固定概念が根強い女性は、「一度、断ったくらいでへこまないでしょ？」と考えがち。ですが、セックスを拒否されたら傷つくのは男性も女性も同じです。

セックスを断られた男性は妻を異性として見ることをあきらめて、１人で処理することを選んだり、外に目を向けたりするようになります。その状態で妻から急に迫られても、「なにをいまさら」と怒りが湧く人もいるし、「なにか下心があるのか？」と疑心暗鬼になる人もいます。

軽いキスや愛情をこめたハグなど、スキンシップを積み重ねることからスタートしましょう。夫の傷を癒すのは、あなた自身の言動です。恥ずかしがらないで、「あなたを異性として愛している」と言葉と態度で示していってください。

子どもが生まれると、夫婦には「お父さん」「お母さん」という新しい役割が増えます。夫婦関係に占める割合が「夫＆妻」よりも「お父さん＆お母さん」が上回ったときに、夫婦におけるセックスの優先順位はグンと下がります。

また、都心に近づくほど住まいが狭小になる日本の住宅事情では、夫婦だけの空間を確保しづらい点もデメリットになります。

日本では、「子どもが小さいうちは親が添い寝をする」という家庭がたくさんあります。「だから、できないんです」という相談もたくさんあります。

では、子どもが寝た後に別の場所に移動して、夫婦2人きりになってみてはいかがでしょうか。終わったら、子どものそばに戻ればいいのです。

「浴室、リビング、キッチンなどに場所を移してみたら、新鮮でよかった」と話した人もいました。「寝室でなければセックスはできない」という思い込みを捨てることをおすすめします。

「セックスレスは、かぜと同じで予防が大事」だと上に書きましたが、セックスがあるうちから、予防策としてセーフティネットを張っておくと安心です。そのために、セックスレス深刻度が低いうちからできる予防ポイントをお伝えします。

わたしが見ている限り、たとえセックスをしていても、会話がない夫婦は大きくズレていって、取り返しのつかない亀裂を生むことがあります。

子どもや家族の連絡事項だけではなく、「きょう、楽しかったこと」「一緒に観たい映画」「最近、読んでよかった小説」など、あなたのパーソナリティが伝わる話題を提供してみてください。相手が好きな話題を振って、聞き役に回るのもいいでしょう。

日本性科学会によるセックスの定義にキスやペッティングが含まれるように、愛情をこめてギューッと相手を抱きしめるのだって、かけがえのない行為です。

挿入することやオーガズムに達することを大前提にすると、セックスに対するハードルが上がってしまいます。ときには唇や手で愛撫するだけでもいいし、「大好きよ」とささやきながら髪をなでてあげてもいい。セックスを広義にとらえておくことです。

「妻とセックスしても楽しくない」という男性に話を聞くと、「単純に飽きた」という人は意外と少ないもの。質問を重ねると、「反応が淡白」「自分ばかり一生懸命で冷める」と答える男性もたくさんいます。

声で、体で、表情で、「あなたとするのはとても気持ちがいい」と伝えてみてください。気分は女優です。たとえオーバーリアクションでも、そこに愛があれば決してウソではありません。

もう予防できる時期はすぎたかも、というセックスレス深刻度の高い場合も、諦める必要はありません。

セックスレスになってしまったときに大事なのは、「早くなんとかしなくては」とあせらないこと。一時だけ解消に成功すればいいわけではありません。ダイエットと同じように、長期戦で取り組んでいきましょう。

まずは、軽いスキンシップをしましょう。腕や肩に触る、隣に座ってもたれかかる、脚に手を置く、etc...

あなたのほうから、「地肌にいいシャンプーを買ってきたから、ヘッドマッサージしようか」「背中と腰をもんであげる」など、長い時間、夫の体に触れるきっかけをつくるのもいいと思います。

夫婦にとって思い出の場所に行ってみるのも、新鮮な気持ちを取り戻す1つの方法です。

かつて挙式をしたホテルに泊まって、2年間のセックスレスを解消した方もいました。付き合っているときに2人でよく聴いていた曲を流したり、待ち合わせをしてから一緒に出かけるのもいいですね。

抱かない夫に腹が立つ気持ちはわかります。怒りの裏には女性としての悲しい気持ちもあるでしょう。

でも、そこをグッとこらえて、ここはあなたが大人になってみることも効果的。張り合わずに、手のひらで転がすことを目指してください。「ギュッとして」と、かわいく甘えてみましょう。

セックスレスの問題は、真面目な顔で取り組めばうまくいくというものでもありません。エンタメ要素もとりいれるほうが、恥ずかしさが軽減して、かえってうまくいくことも。

具体的には、夫婦二人でセクシーシーンがある映画やドラマを観る、プレジャーグッズのサイトを観るなど、セクシーコンテンツに触れる機会をどんどんつくってみてください。リラックスした軽妙なコミュニケーションが、再び夫婦の仲を深めてくれることは多いですよ。

セックスレス深刻度が高いことがわかっても、それほど危機感を覚えない、という方もいることでしょう。

「性欲がなくなったわけじゃないけど、夫にはときめかない……」という「妻からレス」状態なのかもしれません。あるいは、セックスレスだけど夫婦関係には満足していて、何が問題ないのかわからないというケースもあります。

わたしの持論としては、「配偶者が自分とセックスしないのは、さみしいと感じるものである」というものがあります。

これにはすぐにうなずけない方でも、なぜ、夫とはしたくないのか？　そこにどんな心理が隠れているのか、一度考えてみてもらえたらなと思います。

自分の心を自分で理解できている方は、意外に少ないもの。自分で自分を把握しておくことが、夫婦関係を健全に保つ第一歩になりますよ。

確かに、そういう方たちも存在します。

ただ、繰り返しになりますが、「セックスに対する情熱のバランスが崩れたときにどうするのか？」と考えておくことが重要です。無策のままの航海では、常に嵐に飲まれる危険性と隣り合わせになります。

「いまは夫婦生活がないままで仲良しだけど、もしも、どちらか一方がセックスを渇望したときにどうするのか」を考えておくといいでしょう。

「セックスのある夫婦の絆は堅い」というのがわたしの持論です。「相手がよろこぶことに応えよう」というサービス精神が関係を色褪せさせないのだと思います。

残念ながら、万人に効くセックスレス処方箋は存在しません。気持ちいいセックスのパターンがひとりひとり違うように、夫や妻のタイプによって、その解消法も異なります。

まず、相手の性格や個性をよく観察して、「なぜ、わたしたちはセックスレスになったのか？」「セックスレスになったことによって、どんなデメリットが生じているのか？」を解き明かしてください。

せっかく夫婦になったのですから、もう一度、夫婦2人でできる究極の行為であるポジティブセックスを取り戻していただきたいなと思っています。

（文：三松真由美／構成：暮らしのチームクレア 田中麻衣子／漫画：ひらたともみ）

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