スープダイエットの効果を高める方法を管理栄養士が解説
スープで脂肪燃焼を目指すダイエット法をご存知ですか? アメリカでは40年以上前から知られている方法のようですが、実はリバウンドを招くリスクも。そこでこの記事では、スープをダイエットに役立てる方法と注意点を解説します。
- スープダイエットって何?
- 野菜でつくったスープを7日間食べるダイエット方法
- いわゆる「脂肪燃焼スープダイエット」のやり方
- スープの作り方と食べ方のルール
- スープダイエットの2つの利点
- 摂取エネルギーを低く抑えられる
- 空腹をあまり感じなくて済む
- スープダイエットで健康的に痩せるためのポイント
- 3食スープのみはおすすめできない
- 取り入れるタイミングは夜がおすすめ
- ダイエットにスープを取り入れるときの注意点
- 摂り過ぎると塩分過多でむくみや高血圧を招く
- スープダイエット3つのバリエーションレシピ
- 生姜でぽかぽか!豚肉のみそスープ
- ハーブの力で塩分オフ!地中海風トマトスープ
- 冷蔵庫に野菜がない?そんなときでも5分で作れる時短豆乳スープ
- まとめ
スープダイエットって何?
スープでダイエットに成功しましたか?
※マイナビ子育て調べ 調査期間:2020年11月24日~12月3日 調査人数:114人(21歳~40歳以上の女性)の回答から抜粋
※ここで紹介したダイエット方法と結果は、個人の体験によるものです。記載の方法を推奨したり、結果を保証するものではありません。効果的な減量方法や結果の出方は個人により異なります。
「スープ ダイエット」で検索すると、「脂肪燃焼スープ」というものが出てきます。そこで、まずはこれの元になったと考えられる、アメリカで一般的に知られている「脂肪燃焼スープダイエット」の概要を紹介します。
野菜でつくったスープを7日間食べるダイエット方法
このダイエット方法は、「脂肪燃焼スープ」とも呼ばれる野菜たっぷりのスープを、7日間食べ続けて減量を目指すというものです。
一説には、心臓外科手術の前に患者さんを短期間で減量させる(太りすぎていると手術ができないため)ことを目的として考案されたダイエット方法とも言われています。
そのためアメリカでは、これを提唱したと言われる医療機関の名をとって「セイクリッドハートホスピタルダイエット」や「メイヨークリニックダイエット」などと呼ばれることもあるようですが、当の医療機関はこれを否定しているとか。
他に、たっぷりのキャベツを加えて作ることから「キャベツスープダイエット」と呼ばれることもあります。このダイエット方法がどのように生まれたのかは定かではありませんが、アメリカでは1980年代始めに人気となったそうで、意外と昔から知られている方法のようです[*1]。
この方法の最大の特徴は、急激な体重の減少を引き起こすということ。この「脂肪燃焼スープダイエット」の支持者は、この食事法を7日間続けるだけで、最大10ポンド(4.5 kg)の体重減少につながる可能性があると主張しているそうです[*1]。
しかし、無理な方法で短期間に行う減量では、リバウンドするリスクが非常に高くなってしまいます。そのため、このダイエット法で言われているやり方を「そのまま」取り入れることはおすすめできません。このダイエット法のくわしいやり方はこのあと説明しますが、良い部分だけを取り入れて、健康的に減量を進めていきましょう。
いわゆる「脂肪燃焼スープダイエット」のやり方
まずは、アメリカで広く知られているという「脂肪燃焼スープダイエット」のやり方を紹介します[*1]。
スープの作り方と食べ方のルール
スープの作り方
材料:
玉ねぎ2個、ピーマン2個、ホールトマト2缶、セロリ1束、キャベツ1玉、にんじん3本、きのこ1パック、スープの素1~2キューブ、水6〜8カップ、油少々
作り方:
【1】野菜は食べやすい大きさに切る
【2】大きな鍋にサラダ油をひき、野菜も加えて炒める
【3】水と、スープの素(コンソメキューブなど)も入れて加熱する。沸騰したら中火に弱め、野菜が軟らかくなるまで30〜45分ほど煮る
【4】塩こしょうや、お好みのハーブ、スパイスなどで味付けしたら出来上がり
食べ方のルール
「脂肪燃焼スープダイエット」には細かいルールがあります。1週間、以下の内容で、スープに加え他の食品を食べていくというものです。
1日目:スープ+果物(バナナは控える)
2日目:スープ+野菜(葉物野菜メイン。豆やトウモロコシは避ける)
3日目:スープ+果物+野菜(じゃがいもやバナナは避ける)
4日目:スープ+バナナ+スキムミルク(脱脂粉乳)
5日目:スープ+肉や魚など(280~560g程度)+トマト(6個まで)+水(コップ6〜8杯)
6日目:スープ+牛肉+野菜(葉物野菜メイン。じゃがいもは避ける)
7日目:スープ+野菜+玄米+フルーツジュース(果汁100%)
この方法では、毎日スープは好きなだけ食べてよいのですが、スープに加えて摂ってよいのは、上記で挙げられているような1〜2種類の低カロリー食品だけ。飲み物は、水または無糖のお茶などのノンカロリー飲料にします。
特定の栄養素が不足する可能性もあるため、マルチビタミンなどのサプリメントを併せて摂取するよう勧められることもあります。また、7日間を超えて継続することは推奨されておらず、一度実施した後、再度行う際は、2週間以上間をあけることが勧められているようです。
なお、ここではよく言われる「脂肪燃焼スープダイエット」がどんなものかを紹介するために解説しましたが、上記で紹介した方法をそのまま試すことはお勧めしません。理由はこのあとくわしく紹介します。
スープダイエットの2つの利点
「脂肪燃焼スープダイエット」にはどんな利点があるのでしょうか。
摂取エネルギーを低く抑えられる
ダイエットで大切なのは、消費エネルギーよりも多くのエネルギーを摂取しないようにすること。余分なエネルギーは脂肪となり蓄積されてしまうためです。
さきほど紹介した方法は、エネルギーの低い野菜類のスープをメインにすることで、摂取エネルギーをかなり低く抑えることができます。ただし、このあと説明するように、この方法をそのまま実践すると、エネルギーやその他の栄養素を摂らなさすぎることによる弊害も出てきます。
空腹をあまり感じなくて済む
ダイエット中は、いつもよりも食事量を減らして我慢することが多いものですが、空腹感とのたたかいは辛いものです。
「脂肪燃焼スープダイエット」では、基本的に野菜で作ったスープは好きなだけ食べてよいとされているので、空腹をあまり感じなくて済みます。
このような2つの利点が支持されているので、「脂肪燃焼スープダイエット」が気になっている人は多いでしょう。
スープダイエットで健康的に痩せるためのポイント
ここまでで「脂肪燃焼スープダイエット」のやり方とその利点を紹介してきましたが、さきほど紹介した方法を忠実に守るのはお勧めできません。この方法をそのまま実践すると、筋肉が減り、リバウンドしやすくなってしまう危険があるからです。そこで、スープで健康的に痩せるためのポイントを解説します。
3食スープのみはおすすめできない
さきほど紹介した「脂肪燃焼スープダイエット」をそのまま実践すると、1週間もの間、メインとして食べるものがほぼ野菜スープのみとなるため、様々な栄養が不足してしまいます。
特にエネルギーやたんぱく質が足りないと、筋肉が減ってしまう恐れがあります。1週間続けてみたらたしかにいくらか体重は落ちるかもしれませんが、ダイエット期間が終わったらリバウンドする可能性が高いです。そのうえ、筋肉量が落ち、ますます痩せにくい体になってしまう可能性もあります。そんな事態を避けるため、この方法をそのまま取り入れるのはやめましょう。
健康的に痩せるためには、主食・主菜・副菜のそろったバランスの良い食事をとり、その中の副菜のひとつとして、1日に1回程度、野菜たっぷりのスープを取り入れる、という方法がおすすめです。
取り入れるタイミングは夜がおすすめ
さらに効率よく痩せたいなら、スープを取り入れるタイミングは、摂取エネルギーを抑えたいタイミングである、夕食時を選びましょう。
夜は脂肪をため込みやすい時間帯なので、この時間に食べ過ぎないことがダイエットではとても重要になります[*2]。
普段夕食のときにご飯や麺類、揚げ物などをつい食べ過ぎてしまう……という人は、食事の最初に野菜たっぷりのスープをよく噛んで食べ満腹感を得ることで、その後の糖質や脂質の摂りすぎを防ぎましょう。減量が進みやすくなりますよ。
ダイエットにスープを取り入れるときの注意点
ダイエットのためにスープを取り入れるときには、次の点にも注意しましょう。
摂り過ぎると塩分過多でむくみや高血圧を招く
女性の食塩摂取量の1日の目標は「6.5g未満」ですが、一般的なスープ1杯に含まれる塩分は1~2g。さらに他のおかずにも塩分は含まれるので、うっかりスープを飲み過ぎるとすぐに目標の塩分量をオーバーしてしまいます。
塩分を摂りすぎると、むくみを生じることで減量が進みにくくなる可能性があります。それだけでなく、高血圧を招き、健康を害するリスクも高まってしまいます。そのため、スープを作るときは薄味を意識するようにし、飲み過ぎないように注意しましょう。
しかし、単純に味を薄くするだけでは満足感が減ってしまいますよね。そんなときは、ネギ・ニンニクなどの香味野菜や、レモン、お酢などで味にアクセントをつけることで、薄味でも満足できるようにするという方法がありますので、試してみてくださいね。
スープダイエット3つのバリエーションレシピ
スープを取り入れてダイエットしてみたい! そんな人のために、ダイエット効果を高めるおすすめレシピを紹介します。
生姜でぽかぽか!豚肉のみそスープ
エネルギー104kcal、糖質4.9g(ともに1人分)
・材料(1人分)
豚もも肉(脂身なし)30g、人参20g、大根30g、生姜5g、むき枝豆20g、味噌大さじ1/2、だし汁180ml、七味唐辛子 少々
・作り方:
【1】人参と大根はいちょう切り、生姜は千切りにする。
【2】お鍋にだし汁と野菜を入れて火にかける。
【3】脂身を取り除いて一口大にカットした豚もも肉も加え、弱~中火で火を通す。
【4】最後にお好みで七味唐辛子を加える。
・ポイント:体温の維持に役立つと言われる生姜をプラス。寒い時期にうれしいぽかぽかスープです。
ハーブの力で塩分オフ!地中海風トマトスープ
エネルギー158kcal、糖質 11.3g(ともに1人分)
・材料(1人分)
ラム肉30g、玉ねぎ1/4個、冷凍ブロッコリー3房、トマトダイス缶1/2缶、ニンニク1/2かけ、オリーブ5粒、お好みのハーブ(オレガノ、クミン、ターメリックなど)、塩 1g
・作り方:
【1】玉ねぎは薄切りに、ニンニクはみじん切りにする。
【2】鍋にニンニクとトマト缶を入れて加熱。
【3】カットしたラム肉と、お好みのハーブも入れる。
【4】冷凍のままのブロッコリーとオリーブも入れて加熱する。
・ポイント:ニンニクやハーブなどの風味がアクセントになるので、塩分を少なめにしてもおいしく食べられます。
冷蔵庫に野菜がない?そんなときでも5分で作れる時短豆乳スープ
エネルギー91kcal、糖質 4.4g(ともに1人分)
・材料(1人分)
フリーズドライの野菜スープ 1食分、お湯150ml、豆乳50ml、冷凍シーフードミックス50g、ラー油 少々
・作り方:
【1】鍋にお湯を入れて火にかけ、フリーズドライのスープとシーフードミックスも入れて加熱する。
【2】豆乳も追加してひと煮立ちさせる。
【3】お好みでラー油をたらす。
・ポイント:市販のフリーズドライスープを活用することで、手軽に作ることができる時短メニューです。
まとめ
スープを活用したダイエット方法について解説しました。アメリカでもよく知られている、いわゆる「脂肪燃焼スープダイエット」は、食事量を極端に減らす方法であるため、そのまま取り入れると健康を害したり、リバウンドのリスクが高まったりしてしまいます。
しかし、野菜たっぷりのスープ自体は、ダイエットを助けてくれる優秀なメニュー。そのため、ご飯などの主食や、肉や魚、卵、大豆製品などのたんぱく質もバランスよく食べながら、副菜の1品として野菜スープを取り入れるようにすると良いですね。野菜スープを上手に活用することで、ダイエットを効率よく進めていきましょう。
(文:猪坂みなみ)
※画像はイメージです
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます