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2021年01月27日 11:38 更新

【医師監修】子供の頻尿 | 原因と対処法・注意点

子供のおしっこの回数が多過ぎると感じたことはありませんか? 頻尿というと大人がなるというイメージがあるかもしれませんが、子供でも頻尿になることはあります。頻尿とはどんな症状か、子供の頻尿の原因や対処法などについてお話しします。

頻尿って?

頻尿とは
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頻尿とはどういうものなのか、また健康な子供のおしっこの回数は何回くらいなのか、まずはチェックしておきましょう。

頻尿はおしっこの間隔が短い、回数が多いこと

頻尿の症状とは「おしっこの間隔が短い、回数が多い」ことです。

朝起きてから寝るまでのおしっこの回数が、一般的な回数よりも多過ぎれば頻尿の疑いがあります。ただし、健康な人でも1日のおしっこの回数は人によって異なるものです。

子供が小さい場合は、本人がおしっこの回数の増減に気づくのは難しいので、ママやパパが「普段より子供のおしっこの回数が増えた」「おしっこが近過ぎる」と感じたら頻尿かもしれないと考えるといいでしょう。

子供のおしっこの回数って?

新生児は少量ずつ頻繁にするので、1日約20回もおしっこをします[*1]。その後、おしっこの回数は成長とともに少なくなっていき、年齢ごとにだいたい次のような回数を1日にすると言われています[*2]。

1〜2歳

およそ2時間おきに8~12回くらいおしっこをします。

3〜4歳

およそ3時間おきに5~9回くらいおしっこをします。

4歳以降

およそ3~6時間おきに4~8回くらいおしっこをします。

4~5歳を過ぎても、1日に10回以上トイレに行ったり、トイレに行く間隔が2時間より短ければ、頻尿の疑いがあります[*2]。

子供の頻尿の原因って?

子供の頻尿の原因
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子供が頻尿になる原因には何があるのでしょうか? 考えられる原因について知っておきましょう。

原因は体の病気または心因性

子供の頻尿の原因は、大きく分けて「体の病気」と「心理的なもの」があげられます。
詳しくは、次の項で見ていきましょう。

頻尿を引き起こす体の病気

膀胱炎

大腸菌などの細菌に感染して起こることが多い病気です。
頻尿以外の症状としては、「おしっこする時に痛む」「おしっこが出にくい」「トイレが近い」「残尿感」などがあります。なお、感染が腎臓にまで拡がる腎盂腎炎になった場合は、発熱することもあります。

尿検査で白血球や細菌を調べて膀胱炎とわかったら、できるだけ水分を摂るように促しましょう。抗菌薬で治療を行うこともあります。

過活動膀胱

おしっこをしようと思っていないのに膀胱が勝手に縮み、「おしっこしたい」「もれそう」「我慢できない」などの感覚が起こるだけでなく、実際におしっこを漏らしてしまうこともあります。1回あたりのおしっこの量は少なく、何度もおしっこをしたくなるのが特徴です。

子供の場合は膀胱に入る容量が少ない上に、膀胱や尿道の機能が未熟なのでこの過活動膀胱になりやすいと言われています。たいていの場合は、成長とともに自然に治っていきます。

なお、頻繁におしっこをもらしたり、5歳過ぎてもおしっこをよくもらす場合は、検査や治療を行うことがあります[*2]。

尿崩症

おしっこを濃縮する抗利尿ホルモンの量が少なかったり、十分に働かないため、おしっこの量が多くなってしまう、まれな病気です。尿崩症の子供はおしっこが多く出るので異常にのどが渇き、水分をたくさんほしがります。

小児糖尿病

こちらもまれな病気ですが、小児糖尿病になると、のどが渇いたり、水分(とくに清涼飲料水を好む)をたくさん摂ってはたくさんおしっこをしたり、頻尿になります。そのため、夜通し寝続けられずにおしっこで起きることもあります。

心因性の頻尿って?

心因性の頻尿は、「膀胱や尿道などの病気がなく、おしっこの量も普通なのに、トイレが気になって何度も行ってしまう」のが特徴です。

この場合、たいていは睡眠中や夢中になって遊んでいる時にはおしっこをしたくなりません。朝起きた時のおしっこの量も普通です。

この心因性の頻尿は緊張やストレスによって起こります。特に繊細でデリケートな子供に多いと言われています。

時期的には新学期になって担任の先生やクラスメートが替わったり、運動会や発表会などが近づく頃などによく見られます。その場合はクラスに慣れたり行事が終われば落ち着くことがほとんどです。

子供の頻尿の対処方法って?

子供の頻尿の対処方法
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子供が「頻尿かも?」と感じたら、どう対処すればいいのでしょうか? 自宅でできること、診察を受ける時に伝えること、治療方法などをお話しします。

頻尿と感じたら医療機関に相談を

頻尿の原因は自己判断ではわかりません。病気が隠れている可能性もあるので、まずはかかりつけの小児科や泌尿器科に相談してみましょう。

診察前に確認しておくといいこと

頻尿以外にも次のような症状があるかどうかを確認し、診察で伝えておきましょう。病院での診断の手がかりになります。

・おしっこする時に痛むかどうか

・血尿や腹痛、発熱などの体の症状はあるかどうか

・飲み物をたくさん飲みたがるかどうか

診察ではどんなことをするの?

問診:毎日のおしっこの習慣、おもらしをするかどうか、量や回数についても聞かれます。うんちの習慣を聞かれることもあります。

尿検査:膀胱炎や糖尿病など、尿に変化のある病気でないかどうかを確認します。なお、受診したとき医療機関で採尿することも可能ですが、可能であれば朝起きた時、最初に出た尿を持参するとその後の流れがよりスムーズでしょう。

朝起きたらトイレで、おしっこの最初と最後の部分は捨て、清潔な容器に採尿します。その後、密栓できる容器に移し替えます。採ったおしっこは、涼しく直射日光の当らない場所で保管し、採ってから2~3時間以内には医療機関に持参します。

体の検査:お腹と背中を診たり、外陰部を診察することもあります。

その他:必要な場合は、超音波検査で腎臓や膀胱を確認するなど、より詳しい検査を行うこともあります。

治療ではどんなことをするの?

診断結果によって治療方法は異なります。膀胱炎であれば抗菌薬が処方されることもありますし、心因性の頻尿では経過観察となることも。ただ、それぞれに合った治療とともに、下記のような生活習慣の見直しも指示されることが多いでしょう[*3]。

1. 水分を十分摂る
水をたくさん飲むことで尿量が増え、膀胱の発達と膀胱炎などの尿路感染の予防に役立ちます(ただし、膀胱を刺激するので、コーラなどのカフェイン入り飲料やココア・チョコレート、柑橘系のジュース、炭酸水の摂りすぎは避けます)

2. 決まった時間におしっこに行くようにする(起床~就寝までに少なくとも6回)

3. 一回でおしっこが出きらない場合は、排尿後少ししたらもう一度して出し切る習慣をつける

4. 便秘を治す(十分な水分摂取、その子の状態に合った食事、運動、食後にトイレに座る習慣をつけることに注意する)

こうした生活習慣を見直しても頻尿が続く場合は、膀胱の緊張を和らげる薬による治療やカテーテルによる導尿が必要になることもあります。

おしっこ日誌もおすすめ

「おしっこ日誌(排尿日誌)」をつけると、誤ったおしっこの習慣に気づいたり改善しやすくなることもあります。

おしっこ日誌には「おしっこの回数」「1回あたりのおしっこの量(紙コップを使ってだいたいの量を測ります)」「おしっこをもらしたらそのタイミング」など、子供のおしっこにまつわることを書きとめておきましょう。

たいだい2~3日続けて記録するだけでも、診断や治療に役立ちます。

自己流の投薬はやめましょう

頻尿の市販薬もありますが、多くは大人用で子供に与えてはいけないとされているでしょう。また、頻尿の本当の原因を医療機関でつきとめずに自己判断で治そうとするのは危険です。

まずは小児科や泌尿器科で診察を受け、原因に合わせた治療を受けるようにしましょう。

まとめ

子供の頻尿のまとめ
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子供の頻尿の原因は、大きく分けて体の病気または心因性ですが、自己判断は禁物。
子供に頻尿かなという様子が見られたら、まずはかかりつけの小児科か泌尿器科で相談しましょう。医師の指導のもとで原因に合わせた対処法や投薬を続けながら、あまり焦らず治していってくださいね。

(文:大崎典子/監修:丘 逸宏 先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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