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2021年01月27日 13:26 更新

【医師監修】イヤイヤ期がない子もいるの? その理由と遅れて来たときの10の対策

一般に2歳ごろピークを迎える「イヤイヤ期」。子育ての最初の難関ともいわれますが、一方で、イヤイヤが一向に始まらなかったら、それはそれで心配になるかもしれません。ここではイヤイヤ期が来ない場合に考えられる理由や、遅れてきた時に備えて覚えておきたい子供のかんしゃく対策を紹介します。

イヤイヤ期はどんな時期?

イヤイヤ期はどんな時期か
Lazy dummy

イヤイヤ期は、そもそもどんな時期なのでしょうか。

だいたい1歳半くらいから始まる

1歳半ごろの子供は、自分に名前があることやほかの人と自分が違うことがわかり始め、自分でやりたいという気持ちも出てきます。でも、まだ言葉でうまく表現できなかったり、思うようにできなかったりするために、かんしゃくを起こすことがあります。そんな葛藤からイヤイヤ期は始まっていきます。

実際、0〜5歳の子供のいるママ・パパを対象に行った博報堂の調査では、「今、うちの子はイヤイヤ期」と回答した人の割合が、1歳前半では22.1%でしたが、1歳後半で56.8%に倍増、2歳前半がピークで77.3%、2歳後半からは徐々に減っていくという結果でした[*1]。この結果からも、イヤイヤ期はだいたい1歳半~2歳前半にかけてなり始める子が多そうなことがわかります。

ちなみにイヤイヤ期の期間の目安は2年程度と言われていますが、先ほどの調査では5歳前半で23.7%、5歳後半で24.2%の保護者が今イヤイヤ期と回答したとのこと。この子たちのイヤイヤ期がいつ始まったのかはわかりませんが、始まる時期・収まる時期ともに個人差が大きく、一般的なピークより遅れてくることも珍しくなさそうです。

イヤイヤ期の特徴

イヤイヤ期にはどんな特徴があるのでしょうか。博報堂によるイヤイヤ期の調査では、「叫ぶ」「いすわる」「暴れる」「逃げる」の4つがこの時期多く見られる基本の表現方法と報告しています[*2]。具体的には次のような行動をとります。

「叫ぶ」…大泣き・ギャン泣きをする、大声を出す、怒る、当たり散らすなど
「いすわる」…寝転んで駄々をこねる、のけぞって嫌がる、座り込む、歩かないなど。
「暴れる」…ものを投げる、たたく、大人を叩いたり蹴ったりするなど。
「逃げる」…逃げる、隠れる、何でもイヤと答える、聞いていないふりや無視をする、など。

ただイヤ!と反抗する以外にも、さまざまな表現方法があることがわかります。
また、こうした行動の裏には次のような気分になっている様子が見られます。

かんしゃくを起こす

感情が爆発して、ヒステリックに泣き叫ぶかんしゃくを起こします。泣くだけでなく、たたく、蹴る、噛む、物を投げるといった行動を伴うことも。かんしゃくが起こると手が付けられず、長く続くように感じるかもしれません。

ですが2003年の調査で、18〜60ヶ月の子供のかんしゃくのおよそ75%が5分以内だったという報告もあります[*3]。子供がかんしゃくを起こしたとしても、5分以内に収まることが多いと考えて落ち着いて対処していきましょう。

親の言うこと、やることに反抗する

子供は日々成長して、いろいろなことができるようになっていきます。自分ができることを試したいと思うのも当然です。そこで手をつないで歩く、着替えを手伝うといった今まで親が普通にしていたことも、突然拒否するようになります。

まだできないことを自分でやりたがることもあります。逆に親から自分でやるように言われると、できるのに「やってほしい」と甘えることもあります。

気分のムラが激しい

機嫌がよく愛らしいと思ったら、次の瞬間にはもう泣いたり叫んだり、みじめっぽくふるまったり。喜怒哀楽が激しくなります。これも自分のやりたいことがはっきりしてきたのに、自分自身がそれを理解したり、相手に伝わるように話したりできないことから起こるものと考えられます。

イヤイヤがほとんどない子もいる

イヤイヤがほとんどない子もいる
Lazy dummy

上記の行動を見ると、「なかなかイヤイヤ期が来ないな……」と思っていたけれど実はイヤイヤ期が訪れていた、という人もいるかもしれません。また、もしそうでなくても大丈夫。イヤイヤがほとんどない子も珍しくなさそうなのです。

ピーク時でも4人に1人はイヤイヤがない

先ほども紹介したように、博報堂のイヤイヤ期に関するアンケート調査によると、今イヤイヤ期と答えた人が最も多かったのは2歳前半の77.3%、次いで2歳後半の72.3%でした[*1]。やはり2歳がイヤイヤのピークといえそうでが、逆に言えばこの時期でも「4人に1人はイヤイヤ期ではない」ことになります。

結局のところ、子供には個性があるので、よくかんしゃくを起こす子もいれば、滅多にかんしゃくを起こさない子もいます。後者のタイプであれば、周囲の大人はイヤイヤのピークに気づかないかもしれません。このように、子供の個性や親の感じ方でイヤイヤ期の捉え方は異なるもの。イヤイヤ期が来ないと思っていても、そうは捉えていなかっただけで実はもう訪れている可能性もあります。

イヤイヤ期がない、または軽い理由は?

イヤイヤ期がなかったり、軽かったりする理由として考えられることを紹介します。

子供の個性

先ほども説明しましたが、子供の個性によってイヤイヤの出方は異なります。中でも言葉の発達が早い子はかんしゃくが少ないかもしれません。自分の気持ちや要望をうまく言葉で伝えられないことがかんしゃくを引き起こすのはよくあることですが、成長して言葉が発達すれば、伝えられない葛藤によるかんしゃくは減っていくでしょう。2歳でも言葉の発達が早い子であれば、自分の要求をある程度周囲に伝えられるので、かんしゃくを起こすことは少ないかもしれません。

また、もともと大人しい子や穏やかな性格の場合、本人は反抗していても周囲から見ると穏やかなので、イヤイヤと認識されない可能性も考えられます。

親の捉え方など

親の捉え方として、例えば上の子のイヤイヤが激しかった場合、下の子のイヤイヤを軽く感じることもあります。また「反抗」も「気分のムラ」も、子供には当たり前のことと親が思っていれば、特にイヤイヤ期とは捉えないかもしれません。

なお、たまたま親子で好みが似ていたり、親ができるだけ子供の気持ちに寄り添う努力をしているために、子供の要求に応えられる場面が多い場合は、そもそも衝突が少なくなる可能性も。その場合もイヤイヤ期がない、あるいは軽いと感じるかもしれません。

イヤイヤ期が遅れてきたら。子供のかんしゃく対策10

子供のかんしゃく対策10
Lazy dummy

もしイヤイヤ期が遅れてきたら、子供のかんしゃくには次のように対応すると良いかもしれません。

かんしゃく対策10

アメリカ小児科学会では子供のかんしゃくに対して、次のように対応することを提案しています[*4]。

1. 言葉と行動でお手本を見せる
子供に間違っていること・正しいことを言葉で教えます。そして親自身が正しい行動をして子供のお手本になります。

2. 明確で一貫したルールを作り、子供が理解できる言葉で伝える
子供のレベルにあわせたルールを作り、年齢に応じて子供がわかるように説明します。

3. ルールを破ったらどうなるかを説明し、子供が破った時はその通りに実行する
片付けをしなかったらおもちゃで遊ばせないなど、ルールを守らなければどうなるか説明して、それでも守らなければその通りにします。ただし、食事など、絶対に必要とするものは取り上げないでください。

4. 子供の話をよく聞く
子供の言い分をよく聞くことも重要です。解決方法を決める前に、子供の話を聞きましょう。もしきょうだいに嫉妬しているなど同じ理由で何度もかんしゃくを起こしていたら、そのことについて子供とよく話し合ってください。

5. 子供に注意を向ける
子供はみんな親の気をひきたいと思っています。子供に注意を向けることは、良い行動を強化することにつながります。

6. 子供が良い行動をしたら具体的にほめる
子供に良い行動、悪い行動はどんなことなのか伝える必要があります。子供が良い行動をしたら「おもちゃを上手に片付けたね」など具体的にほめましょう。

7.危険でなければ、良くない行動をしても無視する
危険なことでなければ、悪い行動は無視をすることも効果的。おもちゃを投げたら壊れてしまうなど、子供が自分で体験することで正されていくこともあります。

8.子供の行動を予測し、それに備える
子供が問題を起こすことが予測されるときは、事前にどう行動させたいか考えて準備をしましょう。

9. してほしくない行動を防ぐために、別の注意をひくものを見つけておく
退屈などでしてほしくない行動をとりそうなときは、子供の注意をひくものを用意して渡しましょう。

10. ルールを破った時は、部屋の隅などの静かな場所で短時間反省させる
子供が問題行動をやめないときは、反省の時間をとることを警告し、少ない言葉で、できるだけ感情を入れずにいけないことを伝えます。それでも止めないときは、静かな場所で短時間、反省させましょう。反省させる時間は、「年齢×1分」が目安です。例えば2歳なら 2分、3歳は 3分、4歳は 4分、5歳は 5分間となります。

してはいけないこと

アメリカ小児科学会は、子供のしつけは「悪い行動を罰するのではなく、良い行動を教えることに焦点を当てることが重要」と強調しています。

研究によると、お尻を叩く、平手で叩くなどの体罰では、子供の行動をうまく正すことができないとわかっています。怒鳴ることや恥をかかせることも同様です。効果がないだけでなく、厳しい罰は子供の肉体的・精神的健康を長期にわたって損なう可能性もあります。

もし、親自身が自分をコントロールできないと感じたら、冷静になる時間をとりましょう。子供が安全な場所にいることを確認してから、数分待って深呼吸をしたり、リラックスしたり、友達に電話するなどして気分転換をしてください。気持ちが落ち着いたら、子供のところに戻り、やり直しましょう。

まとめ

イヤイヤ期がない子もいるのかのまとめ
Lazy dummy

イヤイヤ期の期間や程度には個人差があるものです。何歳頃に始まり、いつ終わるかも子供それぞれ。中には軽く過ぎる子や、ほとんどないまま成長する子も。生まれつきの性格や親子のコミュニケーションによっても変わってくるので、他の子と違うことをあまり心配することはありません。子供の様子が気になる場合は健診などで相談してみるのもいいでしょう。

(文:佐藤華奈子/監修:丘 逸宏 先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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